Falo Los Eclaireurs y Pinguinera
地の果ての灯台通過に感激し、ペンギンを見て南極を想う

2011.2.3 / Argentina (Ushaia) 本日 自転車0km走行 : Total 25928km走行
天気:晴時々曇 ネット:1
朝飯→パン 昼飯→チャーハン 夕飯→ステーキ / 宿→上野山荘8日目

(English)
 I attended to the tour of Canal Beagle. I could saw famous lighthouse and so many panguin. This was good tour. I was satisfied.



(Español)
 Asistí a la gira de Sabueso del Canal. Podría serrar faro famoso y tantos panguin. Ésta era la gira buena. Estaba satisfecho.
 毎日だらだらとビデオ編集モードだったのだが、昨日の日記に、ウシュアイアでやりたいことを書き出したら、心がウズウズしはじめてきた。<文字化>するって、潜在意識を意識化させる効果がある。

 一応、昨日編集し終えた映像をYouTubeにアップしようと、いつものように、ネットカフェに行こうと思って、昼ごはんを食べた後、セントロに向かったのだが・・・天気がいい。気持ちよいくらい青空が見えている。ウズウズしはじめた心が刺激される。

 今日は、このままアクティビティやっちゃうか。

 国立公園トレッキングや氷河散策は、一日かかっちゃうから、今からだとちと遅い。今から楽しめそうなのは・・・ビーグル水道ツアーだ。15時半から5時間くらいかけてビーグル水道を船で巡るツアー、今から今日一日楽しむにはちょうどいい。

 ということで、インフォメーションセンター近くのツアー会社に行って、チケットを購入。ウミウ、アザラシがいる島を巡った後、地の果ての灯台を通過し、ペンギン島へ船で行くツアー。235ペソ(+港タックス7ペソ)。

 15時に、港に入り、遊覧船に乗り込む。今日はちょいと風が強い。日中は日差しがポカポカして暖かいウシュアイアであるが、風は冷たいのだ。動き始めた船は風をまともに受けるため、景色を堪能しようと、甲板に出るも、寒すぎて耐えられない。そそくさと、船内に逃げ込む。

 しばらくしたら、ガイドが、ロス・パハロス島に到着、と案内。乗客みな、一斉に甲板に出て、目の前の島を眺める。

 ロス・パハロス島には、気持ち悪いくらいの鳥がいた。最初、そのずんぐりむっくりな姿を目にし、おぉ、ペンギンか!とテンションがあがったのだが・・・その鳥は、羽を広げ、飛ぶではないですか・・・あれっ?ペンギンって飛ぶんだっけ???オイラのように、勘違いする人が多いのか、ここでガイドの声が響く「これはペンギンじゃないですよ、ウミウです、ウミウ」

 ペンギンじゃないのかぁ、とちょっとガッカリするも、この数のウミウを目の前にすると、圧倒されるものがある。<たくさん>という存在はそれだけでパワーだ。きっと数匹見る程度では感激しないだろうウミウも、これだけの数を一度に目にすると、心が踊る。う~ん、この<たくさん>のパワーが生まれる境目って何匹からなんだろうな・・・きっとこの数以上のウミウを目の前にすると心が動く、という数の境界線があると思うのだが・・・

 しばらく停船し、ウミウ島を堪能させてくれた後、船は次の島へ。向かった次の島は、ロス・ロボス島。シーライオンが見れる島だ。が、到着したロス・ロボス島も、ウミウでいっぱい。あれっ?シーライオンが見れるんじゃなかったの?と思ってよくみてみると、ウミウの奥に寝そべっているシーライオンを発見。シーライオンは、ガラパゴスで大群に囲まれてきたからな・・・微妙に心は動かず。感激力って、二度目のものに対しては弱まってしまうようだ。だからこそ、何でも、最初に見るものって大事。感激力の法則に従うと、最初に見たものが、その人にとって<世界一>になる可能性が高いのだから。

 船が動き出す。次の島までは、しばらくあるということで、一旦船内に戻る。船内でマッタリしていたが、窓の外には、素敵な風景が。この風景は窓越しに見ていてはもったいない、と、寒さを覚悟で甲板に出る。うひょ~、寒い・・・

 と、目の前に、赤白の建造物が見えてきた。あれはひょっとして・・・

 これ、これが見たかった!<地の果ての灯台>エクレルール灯台(Falo Los Eclaireurs)。世界の果てのイメージは、すべて、映画<ブエノスアイレス>で描かれていた映像が刷り込まれてしまっているオイラとしては、このエクレルール灯台は、絶対はずせないモノでして。というのも、映画<ブエノスアイレス>で、登場人物の寂寥とした気持ちを表現するのにカットバックされたこの灯台のシーン、オイラの中での<最果て>のイメージは、この灯台だったんです。見る人によっては、ただの灯台に見えるでしょう。ただの灯台といえばただの灯台なのだが、<知>がそれをそれ以上のものにしてくれる。ウォン・カーウァイというすばらしい詩的なイメージを持つ監督を通して刷り込まれたフィルターが、この灯台を、ポエティックな存在として魅せてくれる。雄大だが厳しい面を覗かせるパタゴニアの風景、人の存在を感じさせない海、茶色く苔むした無人島、ポツンとそびえ立つ、赤白の塔。これ以上の、最果てイメージはあるだろうか。

 自分の感受性って、自分がそれまで接してきた<メディア>に大きく依存している。何を知ってきたか、がその人の感受性を磨く。自分の感受性に素直に旅を楽しむ・・・って、実物を目の前にして「大きいな」とか「きれいだな」とナチュラルに反応するってことじゃない。そういうナチュラル反応である第一次感覚から一歩踏み込んで、自分の中で作り上げてきたフィクションという第二次感覚で、目の前に見える旅の風景を捉えるということ。

 とにかく、オイラの第二次感覚は、ビンビンと反応し、目の前のエクレルール灯台に、大興奮。多分、ここは、ずっと居てもいいよと許されるのであれば、一日中居られたかもしれない。が、これはツアー船、まだまだ灯台を見ていたいオイラの気持ちをよそに、エンジンが始動し動き始める。あぁ、エクレルール灯台が離れていく・・・

 名残惜しく、小さくなっていく灯台を見送るオイラ・・・寒ッ。灯台に気をとられ、しばらくの間ずっと甲板に出ていたオイラの体はすっかり冷え切っていた。これから船はマルティージョ島というペンギンコロニーがある島へ向かうのだが、1時間半ほど、途中、どこかに寄ることもなく、ひたすら進む続けるらしい。このまま甲板に居ては、体が冷えるだけなので、船内へ入り、暖をとる。

 暖かくなったら、眠くなってきた。心地よい椅子に座り、ウツラウツラ・・・と、ガイドの「ペンギン島が近くなってきました」というアナウンスの声で目が覚める。慌てて甲板に出る。まだ島は遠くに小さく見えるだけ。寒いので、他のツアー客のみんなは直前になってから甲板にでる作戦なのか、まだ数人しか甲板には出ていない。

 島が次第に近づいてきた。さきほど見たウミウみたいなのが、島の岸辺にウジャっと戯れている。またウミウか・・・と思ったら、今度はペンギンだった。マゼランペンギンが岸に大量に生息している。想像以上の大コロニーに、これまた大興奮。そして、このツアー、島には上陸できず、ペンギンは船から眺めるだけ(上陸させてくれるツアーもある)と聞いていたので、ペンギンはだいぶ離れたところから見るだけなんだろうな、と思っていたんですケド、島に近づく船は、そのまま島に体当たり。座礁というか、島に乗り上げるカタチで、停船。いつものことで慣れているからなのか、船が突っ込んでも動じることないペンギンは、船の周りを無防備にヨチヨチ歩いている。

 ということで、遠目に見るだけと思っていたペンギンが目の前に。しかも、早めに甲板にでていたオイラは、乗り入れた船のヘリの先という絶好のポジションを陣取れたため、上陸しないまでも、ペンギンはホントに、目と鼻の先で動いているではないですか。写真とりまくり。生動物は、なんか、自分の中の妙な部分を刺激してくれる。この気持ちの正体がなんなのか、今は語れる言葉を持っていないんですけど・・・

 真っ黒なペンギンと、薄灰色のペンギンがいた。最初は二種類のペンギンがいるのかな、と思っていたのだが、どうやら、薄灰色のペンギンは、子供ペンギンらしい。この薄灰色の毛が生え変わって黒色の大人毛になるとのこと。ちょうど生え変わりの時期なのか、抜けかけている毛がマフラーのようにモコモコなペンギンもいる。

 あぁ~、南極に行った人が「楽しかったよ~」というのは、きっとこういう気持ちを、さらなるスケールで味わえるからなんだろうな、って思った。桁違いの数のペンギン、さらに雄大な風景、そして・・・汚れのない無垢な巨大氷河、というか氷の島。どれも、これまでの経験から、想像はできるけど、きっと、実物はどれも想像を遙かに超えたものに違いない。パタゴニアがいつもオイラの想像の上をいっていたように。

 南極に行かないだろうからと、皇帝ペンギンの代わりに見に来たペンギンツアーでこんな気持ちにさせられるとは思わなかった。

 ん~・・・南極・・・今の気持ちは7対3です。まだ、行かない方が優勢です。