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師匠は全部お見通し/タブラ修行125日目

2016.1.2 / インド(Varanasi) 本日 自転車0km走行 : Total 57751km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→サンドイッチ 昼飯→師匠宅でカレーランチ 夕飯→エッグフライドライス / 宿→Joti Cafe(ダブル300ルピー)

(English)
I stayed in Varanasi.



 さて、タブラレッスンも、今回はあと残すところ2週間。最後は派手なフレーズを習って終わろうとオイラ的に思っていたのだが・・・本日レッスンに行くと、いきなり師匠が「一昨日のライブで刺激を受けてしまったと思うが・・・タブラは派手にやればいいってもんじゃない」と、オイラの心を見透かした先制パンチなことを言うではないですか。

 はわわ、ごもっともです。最後に派手なフレーズを教えてもらおうなんて思ったオイラがバカでした。やはり基本っすよね。ええ、地味な基本フレーズこそ、やらなきゃいけないことですよね。

 ということで、バックトゥベーシック。一番最初に習ったダダテテから、ダーティラキタタカ、そして、中指を使うダーティラキタタカという基本フレーズを習い直し。結局、このフレーズを<ちゃんと叩ける>ようにならないと、速いフレーズは叩けない。だから、これが出来るまで、次のステップには進めないのだ。派手なフレーズは、これがちゃんと叩けるようになってから。

 第一回目のタブラレッスンの時から、「これをちゃんと叩けるようにしろ」とは言われていたんですよねぇ。でも、その当時のオイラは聞けなかった。っていうか、ちゃんと叩くってことがどういうことか分かってなかった。叩けたつもりではいたんですよ。つもりだったんですけど。まぁ、だからいまだに上達できてない。っていうか、ヴィパサナ後、やっとちゃんと叩くってことがどういうことか分かるようになって、今になってようやく徐々に上達してきている感じ。

 まぁ、今回の9ヶ月かけたタブラ修行で、<ちゃんと叩く>ってことが分かっただけで収穫なんですわ。だから、残りの時間は、フレーズを増やすよりも、もっとちゃんと叩くってことを師匠に徹底的に習っておくべきなのだ。

 ということで、今日は、新しいフレーズとしては、ガットカイダNo.2のバリエーションを習って終わった。まぁ、これはこれでめっちゃ勉強になったんですけどね。今まで32小節でやっていたのを64小節に伸ばすやり方、つまり長いフレーズの作り方、そしてバリエーションの作り方が分かるヒントが詰め込まれた面白いフレーズだったのだ。

 そして、ディンナがまだちゃんと叩けていないことも判明。ほら、まだ、ちゃんと叩けてすらいないんだから。今やるべきことは、これ。

 さて、昼飯後の個人練習では、ダダテテから、ダーティラキタタカの練習を加えてみた。確かに、これをやると、手が動くようになる。最近ようやく力の抜き方が分かってきた。最初にフレーズをやった時とか、速いフレーズを叩こうとしたときには、どうしてもやっぱり余分な力がかかっちゃうんですよ。それを何度も繰り返して、手に馴染ませることによって、徐々に力が抜けていくんですが、この抜き具体を意識してやると、より効果的になるってことに気づいたんです。そして、力が抜けるまで、練習をやるべし。そして、力が抜けたら、次の速さにいくべし。

 これをやるのに時間がかかるから、師匠は「ちゃんと叩けるようになるのに3年かかる」とか言ってたワケなんですよ。ええ、これは一朝一夕にできるようになるもんじゃない。これこそ、愚直な努力が必要だったのに・・・オイラは、これをさぼっていたんですよ。さぼっていたのに、派手なフレーズを叩きたいとか、速いフレーズを叩きたいとかいう欲求だけあって。このギャップがモヤモヤを生んでいたんですわ。自分がやりたいことと出来ることの差。それを埋める方法を放棄しているのに、やりたいという願望だけは持っているという、アンバランス。

 今回の修行は、そこを徹底的に叩き込んでもらったんですわ。それで、ようやくアンバランスが解消された。

 そう、だから、今のオイラには、まだ派手なフレーズは早いというのは分かる。それよりもやるべきことがあるというのも分かる。今やるべきことを2年やり続けて、師匠のところに戻ってくれば、次のステップへ進ませてもらえるのだ。

 だから、今やるべきことは、その2年の間、間違ったやり方で体が覚えてしまわないように、正しいやり方をちゃんと把握すること。相変わらず、直されまくりの状態を少しでも減らしておくべしなのだ。

 と、そんな練習をしていたら、一人のイタリア人が師匠のところにやってきた。お、ひょっとして・・・師匠が前に「昔の生徒がやってくるんだ」って言っていたイタリア人ですか?と聞いたら、そう、とのこと。そのイタリア人のシモンさんは、5年ぶりに師匠のところに舞い戻ってきたらしい。

 師匠の前で叩き始めたシモンさんのプレイを見ていたら「ヨシ、これが5年間の違いだ。手の動きのスムーズさが、キミとは全然違うだろう」と師匠。ええ、確かに。すごく綺麗に叩けている。5年間、ちゃんと練習し続けてきた人の動きだ。

 なんか、めっちゃ勉強になった。上手すぎる師匠と違って、それなりに上手い人のプレイは、今のオイラに何が足りないのかということを強烈に教えてくれた。

 一昨日のライブで、タブラソロを披露してくれた女性プレイヤーのように、上手すぎるより、それなりに上手い人のプレイを見るのが、今のオイラにはいいのかも。今、刺激を受けまくれたり、勉強になったりするのは、どちらかというと、そういう人の演奏を見た時だ、と気づいた。

 それにしても・・・いやぁ、最初は、今のシモンさんくらいのレベルに、半年習ったら出来るようになれるんじゃないか、なんて思っていたんですケド・・・やっぱ5年かかるっすね。あ~、だったら、タブラを5年前からやっておきたかった。7年も世界を彷徨っていたのに、何やっていたんだろう・・・って後悔というか、ちゃんと出来ているシモンさんに嫉妬というか、へんな気持ちが湧き起こる。

 オイラは半年もがんばったのに・・・この人の方が上手いなんて・・・っていうか、オイラがもし旅の初めにタブラを始めていたら、ぜったい今、この人より上手くなっていたはず・・・なんて思っちゃっている自分がいる。

 いや、まぁ、そう思うのは、今のオイラだからだ。7年前にインドに来てたオイラだったら、タブラは2週間だけやって「う~ん、難しいな」で終わっていたに違いない。結局、オイラは、7年かけないと、ちゃんと叩くとはどういうことなのか、ってことに気づけない人だったのだ。

 だから、7年前から・・・とか考えても意味がない。それよりも、これから愚直に続けて、5年後にシモンさんレベルにもっていかねばならないのだ。今回は、ちゃんと独り立ちできるくらい、やりこんだから大丈夫だとは思うんだけど、今までのように、旅が始まったら、復習練習をやらなくなるっていうパターンに陥るのだけは避けねばならない。

 実際、今まで師匠が教えてくれたことを復習するだけでも、膨大な時間が必要なのだ。しばらくは、新しいフレーズなんてやっている暇はない。新しいフレーズよりも、習ったフレーズを<ちゃんと叩けるように>する。今まで怠っていた、そのことをやるべし。

 まだまだ習いたいフレーズはいっぱいあって、知らないフレーズもいっぱいあるんで、「もっとインドにいて、師匠に習い続けるべきだろうか」なんていう思いも頭をかすめるんだけれども、たぶん、今のオイラに必要なのはそういうことじゃない。このまま居続けても、しばらくは、ちゃんと叩く練習ばかりしなくちゃいけない。もちろん、それをやり続けることは大事で、直してくれる師匠が傍にいるっていうのは、理想的な環境なので、このままインドに居続けるのもアリではある。タブラの上達ってことだけを追い求めるのなら、それが最適なチョイスだろう。

 でも、旅の資金もなくなってきたことだし、タブラだけっていうワケにもいかない。その辺は人生のバランス。練習は自分だけでもできないことはない。ただ、強靭な意思が必要だが。まぁ、そこはオイラ自身を信じよう、今回は。そして、今まで習ったことがちゃんと出来るようになったら、また師匠のところに戻ってこよう。それがベターなチョイス。

 タブラを一日中叩いているだけでいい、っていう今の環境は、上達には最適。実際、ヴィパサナ以降、日に日に上達を感じるので、なおさら思う。ただ、逆に言うと、こう練習したら上達するってことを掴んだってことでもある。場所が変わっても、それを愚直に実践していけばいいのだ。って、場所が変わるとそれが難しいんだけどねぇ・・・でも・・・やるしかない。まぁ、今まで場所が変わると出来なかったのは、結局自分でやるべきことが分かっていなかったからってのがデカかったと思う。その点、今のオイラは、ちゃんと自分でやるべきことが分かっている。以前のオイラとは違うのだ。

 そういうことで、1月末でインドを去ることに関しては、心に踏ん切りがついた。居続けるのがベストだが、居なくてもなんとかなる。去ると、自分の強靭な意思をもってなんとかせねばならない、ってことをちゃんと自覚して、前に進んでいくことにしよう。










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