El aroma de la brisa
目は嘘をつく、匂いで感じる旅

2009.06.29 / Colombia(Cali~Piendamo) 本日自転車110km走行 : Total 11144km走行
天気:晴のち曇時々雨 パンク:1 自転車折りたたみ:1
朝飯→バナナ+シリアル 昼飯→ポヨプレート 夕飯→ポヨ / 宿→バスターミナル裏のホテル(15,000ペソ)

(English)
  I started from Cali.



(Español)
  Hoy yo salio de Cali.
 今日も若干体がだるい。体がだるいのは単に疲れただけではないのかもしれない。高低差の激しいコロンビアは、気温差も激しい。低い場所では干からびるかと思うほどの暑さでありながら、山を上ると長袖を着ていないと耐えられないほどの寒さになる。この気温差に体がついていけないのか、若干風邪っぽい体調なのだ。まぁ、昨日よりはだいぶマシになったので、今日こそカリを出発することにした。

 朝5:30に起きて、昨晩まとめた荷物を部屋の外へ持ち出す。ドミ部屋の場合、相部屋の人たちはまだ寝ている時間。毎度のことなのだが、朝早くにガサゴソして、眠りを妨げてしまうのは気が引ける。でも・・・しょうがないじゃないんです、チャリダーの朝は早いんです。

 宿を後にして、朝のカリの街を走る。だいたいどこの街も朝は静か。ここカリも例外ではない。数台のタクシーと、数台の自転車に追い抜かれる程度だ。ただ、時間が経つにつれ、あっという間に交通量は増えてくる。そうなるとやっかいなので、交通量が増える前に抜けてしまいたい、と急ぎ気味でペダルをこぐ。カリの街に滞在中、宿周辺しか散策しなかったのだが、チャリで走ってみると、あらためてカリの街のデカさを実感。なかなか街を抜けられない。コロンビアでよくお世話になっている<EXITO>というスーパーマーケットも発見。

 ようやく街を抜けたらしく、周囲が緑に囲まれた一本道に出た。ここでも、トレーニング中(?)のサイクリストに遭遇。コロンビアの大きな街の周囲の道は、どこへ行ってもサイクリストが走っている。メデジンを出発した時と同じように、彼らとプチレースを展開している気分で走る。平坦な道が続き、気持ちがいい。

 50kmほど走り、Santander de Quilichaoという町に出た。そして、この町を抜けると上り道に。一気に走りのスピードが落ちてきた。今日一日は、楽に走れると思ったんだけどなぁ・・・なかなかそう思うようにはいかないのが、コロンビアの道なのであった。

 上り道をゆっくり上っていると、なんだかぷ~んと、臭い匂いがただよってきた。しかもその匂いがずっと続いている。そうそう、中米からずっと、道には牛や馬の糞が転がっているんですよ。まぁそれを巧みによけながら進んでいるワケなんですが・・・今回は、臭い匂いが続くので、それを踏んじゃったのか!と、タイヤや靴の裏をチェック。が、どうも、糞を踏んだ形跡はない。じゃぁこの匂いは?とよく嗅いでみると、嫌な匂いではない、どうやら発酵臭みたいなのだ。そして、キョロキョロ周囲を見渡すと<Hay Queso(ケソあります)>の文字が・・・この辺はチーズの産地のようなんです。さらによく周囲をみると、あちこちで、白い物体が路上や建物の屋根の上に広げられ、天日干しされているじゃないですか。そうか、この天日干しされているチーズから匂ってくる臭さだったのかぁと納得。

 そうそう、匂いといえば、田口ランディさんが、とある本で、タスマニアに旅をした時のことを振り返って「タスマニアに行ってからしばらくは、鼻でしかリアリティを感じられないんですよ。視覚情報はリアリティとして入ってこないの」と語っていたのを思い出しました。目って嘘つきで、ずーっと牧草地が続いていて、羊とか牛とかいると目は、まず一番似ているものを連想させて、それに似ているように見せちゃう、タスマニアにいるのに、北海道みたいって感じさせられちゃう、鼻はその点、その場の匂いを<新しい情報>として感じさせてくれる、と。あぁ、なるほどなぁって思ったんです。そう、視覚情報って段々慣らされてっちゃうんです。視覚だけで風景を見ちゃうと、「ここはどこかで見たような気がする」って思っちゃって感情の高ぶりがイマイチになってしまう。匂いを嗅いだり、触ってみたり、他の感覚器官を総動員することで、「ここは今までとは違う場所なんだゾ」と、ようやく頭に思い込ませることができ、感情を揺さぶられるようになるんじゃないかと。全身の感覚をむき出しにして移動する自転車の旅が、感覚を箱に閉じ込めながら移動するバスの旅と違うのはこういうところなんでしょう。こと移動に関しては、自転車のほうが異国に来ている感を実感しやすい、と思うのです。

 とはいうものの、自転車での移動は大変ざんす。疲れ果てようやくPiendamoという町に到着。ふ~、あ、パンのいい匂いがする・・・