Colectivo Numero 152
152番バス完全制覇

2010.07.04 / Argentina (Buenos Aires) 本日自転車0km走行 : Total 19891km走行
天気:曇のち晴 ネット:1
朝飯→牛丼:Vacio(自炊) 昼飯→なし 夕飯→肉じゃが:Vacio(自炊) / 宿→上野山荘別館

(English)
 I walked around Boca area.



(Español)
 Dí una vuelta el área de Boca.
 ボカ地区は、日曜日が面白いというので、今日はちょいと天気がすぐれなかったんですが、ボカ地区へ行ってみることにしたのでした。宿の管理人のルミさんに、バスに乗ってのボカまでの行きかたを聞き、出発。宿の近くのサンタフェ通りを通る152番のバスに乗っていけば、終点がボカのカミニートだから、と聞いていたので、サンタフェ通りに出て、バスを探すと・・・ちょうど152番のバスが!思わず飛び乗るオイラ。

 乗ったバスは、街をグルグル回った後、サンタフェ通りを西へと向かっていく。ん?ボカ地区は、セントロからみたら、南の方向にあるはずなのに・・・???今日は、手元に地図を持ち合わせていなかったので、ひょっとしたらオイラの勘違いなのかも、とバスに身を任せる。が、バスはどう見ても郊外へ向かっているし、乗っている人もどんどん減っていく。これは、本当にボカに向かっているのか、さすがに不安になり、運転中の運転手のおじちゃんの隣に行き「キエロ、イル、ア、ボカ(ボカに行きたいんですが)」と聞いたところ、「ん~ん~」と、肯定的な返事。おじちゃんの返事があいまいだったので、不安が残ったものの、まぁそのまま乗り続ける。そして、辿り着いたのが、寂しい街角の終着バスターミナル。終点がカミニートと聞いていたのに・・・カラフルな家々はどこにも見えず、人っ子一人いない。やっぱり変だと思い、ターミナルに居た、別のおじちゃんに聞いたところ、「カミニートへは、このバスに乗って、終着まで行けば着くよ」と。「???・・・そうか、やっぱり逆方向に来ちゃったのか!」ここでようやく、逆方向のバスに乗ってしまったことに気付く。

 しょうがないので、再び152番のバスに乗りこむ。バス料金が2ペソしない程度だから、お金的にはまぁいいんだけど・・・やっぱり市バスは苦手だ。嫌い。

 再び、セントロに向かって走りはじめたバスに1時間ほど揺られ、先ほど乗り込んできた場所をまた通過。そこから20分ほど走ると、賑わいのある港脇に到着した。ようやく到着したここがカミニートらしい。う~ん、結局、終点から終点まで乗っちゃったなぁ・・・152番のバス。そんな、バスを降りて、港の先を見ると、カラフルな家々が・・・そうだよなぁ、この雰囲気がカミニートだよなぁ、とようやく辿り着いたボカ地区、カミニートにホッと一息。

 ボカ地区のカミニートは、ラプラタ河沿いの港町で、路地にレストランやタンゴバー、土産屋が並ぶスポットでして。こう書くと、どこにでもありそうな町のようですが、ここが他の場所と違うところは、路地がまるで一つのアートスポットのようになっていること。様々な色の原色ペンキで塗りつぶされ、カラフルな彩で覆われた、建物の壁や屋根・・・それらの建物のベランダからは、等身大の人形達が姿を見せ、壁には、アルゼンチンタンゴをモチーフにした画が描かれている。路地に並ぶレストラン前の路上には、テーブルが並べられ、食事をしながら、目の前で繰り広げられるフリーのタンゴショーを見ることができる。今日、日曜日は、多くの観光客で溢ており、100mほどしかないカミニートの路地は、まるでお祭りのような賑わいをかもし出していた。

 ここ、カミニートは、タンゴ発祥の地としても有名なところ。19世紀末、港町ブエノスアイレスの中でも、貧しい労働者や娼婦たちが集う裏町としての存在であったボカ地区のこのあたりのカフェで、ギターを伴奏に踊られ始めたのがタンゴ。この貧民街から生まれたタンゴは、次第にダンスホールなどを中心に踊られるようになり、アルゼンチンの大衆カルチャーとして市民権を得られるようになってきたとのこと。そんな経緯から、カミニートはタンゴの街と主張するがごとく、街のいたるところに、タンゴのモチーフがちりばめられている。店先では、アルゼンチンタンゴを踊るダンサーのショーが繰り広げられ、タンゴ衣装を着たオネェサンが、ポーズを決め写真撮影させてくれる。

 オイラ的には、ここで、楽しみにしていた<バンドネオン>の生演奏を聴くことができたのが嬉しかった。バンドネオンとは、アコーディオンのようなジャバラ楽器。鍵盤の代わりに幾つものボタンで演奏するこの<バンドネオン>、もともとドイツで作られた楽器らしいのですが、誰かがアルゼンチンに持ち込み、いつしか、ギターの座をうばい、タンゴの主役楽器として用いられるようになったとのこと。アルゼンチンタンゴと聞いて思い浮かべるのは、哀愁漂うメロディーでしょ。これ、<バンドネオン>が奏でる音なんですよ。

 そんなアルゼンチンタンゴ、オイラ日本に居る時から、好きで聴いていたのです。といっても<Astor Piazzolla>というアーティストの曲だけでしたけど・・・このピアソラの音楽は、とにかく素晴らしい。特に<タンゴ:ゼロアワー>というアルバムは超お勧めでして。このアルバム、CDの音を聴いただけで、ビンビンと、音を越えた魂が飛び越えてくるんです。音を通じて、これだけの魂を感じたのは、久々かもっていうくらいの衝撃的な出会いでした。CDであれだけの音を出せるんだから、ライブはどんなもんやねん、と、ピアソラの生ライブ見たかったんですけどねぇ・・・残念ながら、彼は1992年に他界。

 さて、ボカ地区のもう一つの顔といえば、サッカー。そんなにサッカーに興味がないオイラでも、<ボカ・ジュニアーズ>の名前くらいは聞いたことがある。あのマラドーナが一時在籍したことがあるクラブチーム。ボカ地区には、そんな<ボカ・ジュニアーズ>の本拠地スタジアムがあるんです。ミーハー気分で見てきました。W杯中は、アルゼンチンリーグは試合をやらないようなので、スタジアムは静まり返ってましたが、周囲にはパチパチと写真をとる観光客姿が。そして、そんな観光客をターゲットに写真撮られビジネスを展開する偽マラドーナが・・・

 ボカ・ジュニアーズ・スタジアムの周りをグルリと散歩した後、再び路上タンゴを堪能。また152番のバスに乗り、セントロに。夕食は、昨日の超メガ牛丼の残りバラ肉を使って作った肉じゃが。肉じゃがが美味く作れる男になっちゃいましたよぉ・・・