(English)
Today we went to trekking to Paso de la Oveja.
(Español)
Hoy fuimos a viajar a Paso del la Oveja.
|
|
朝5時過ぎに起床。外はまだ暗い。下のキッチンに行くと、ヨシキさんがすでに朝飯を食べていた。オイラも朝食、と、作り置きしておいたスープカレーを温める。
ん、なぜ今日はそんなに早起きなのか?・・・昨日の日記にも書いたのですけど、今日からテントを持って泊りがけで、ウシュアイアの裏山にトレッキングに行ってくることにしたのですよ。
今回は単独トレッキングではなく、ヨシキさんとマツナミさん、というトレッキング好きなお二人と一緒。一週間前くらいに上野山荘に到着していたお二人、到着早々<Laguna Esmeralda>という湖を見るウシュアイア周辺にあるトレッキングに出かけていまして。戻ってきた彼らから、トレッキング話を聞いてたら、ウズウズしはじめちゃったオイラ・・・ちょうど、今パタゴニアを激走中のチャリダー夫婦、ようこ&ひろさんから「ウシュアイア周辺のPaso de la Ovejaトレッキングがいいらしいですよ」とのお勧めメールが届いたタイミングとも重なりまして。一休みした後、次に、Paso de la Ovejaトレッキングを攻めるというお二人に、ご一緒させてもらうことになったのですよ。
さて、上野山荘の朝のキッチン、オイラとヨシキさんが朝ごはんを食べ終えた頃、マツナミさんが準備を終えて降りてきた。オイラたちも荷物を背負い、準備完了。明るくなり始めた外へ出る。
バスで、ウシュアイアの町を通り抜け、町の西側にある、国立公園へ続く道路で降りる。ここが今回のオイラたちのトレッキングのスタート地点となるのですが・・・実はココ、ロンプラなどで紹介されているPaso de la Ovejaトレッキングの入り口とは逆の場所。ロンプラコース的には出口にあたる場所なんです。久々のトレッキングなんで、一泊二日で帰りたいというオイラのわがままと、3,4日はトレッキングしたいというお二人の想いを刷り合わせた結果、ルートを逆に歩けば、三人の要望を満たせるんじゃない、ということになりまして。
歩き始めたオイラたち・・・多くのトレッカーにとっては出口となるここには、<入り口はこちら>、なんて親切な標識は立っていないのですよ。地図を見ると、川の手前からトレッキングルートは川沿いに谷へと入っていくはずなんだけど、なぜか川を越えてしまうオイラたち。うぬぬ、早速迷ったようです。トレッキングコースが分からず迷うって、オイラだけじゃなかったんだ・・・経験豊かなお二人でも、そうなのね、と、道に迷うという状況で、なぜか、心がホッとするオイラ。
道の先の工事現場におじさんが居たので、とりあえず地図を見せて、道を聞いてみたのだが・・・なんだか、答えが怪しい。このまままっすぐ進めばいけるというので、行ってみると、民家らしい敷地にぶつかり、門が閉ざされている。「なんか違う感じがするんで、引き返してみますか」。迷ったと思ったら、元の道へ引き返してみる、これ、トレッキングの鉄則です。
戻る道の途中に、牧場があり、中に建物が見えた。「あそこに人がいるかも知れないから、行って聞いてみましょう」と、ヨシキさん。閉じている門を開け、敷地におじゃまするオイラたち。しかし、建物には人はいない雰囲気。「引き返しますか」というオイラに対し、「なんか、奥に道が続いているみたいだから、行ってみましょう」と、ヨシキさん。えぇ~、それは、ケモノ道の可能性が大だから、深追いすると危険ですよ・・・民家から続く道を進み、とんでもないところに突っ込んでいってしまったセロ・カスティージョトレッキングの思い出が頭をよぎるオイラとしては、このまま進みたくはないのですケド・・・しかし、ここは、本日のトレッキングリーダーのヨシキさんの判断にゆだねることに。
しばらくそれっぽい道が続いたのだが・・・道の先には有刺鉄線が。その先は、こんもりした木々が立ち並ぶ林ゾーン。ほらぁ、やっぱりここは、引き返したほうが・・・とオイラは思うも、ヨシキリーダーは、有刺鉄線の柵を越え、林ゾーンへとつっこんでいく。
不安なオイラの心配をよそに、「たぶん、あっちのほうだと思うんだけどなぁ」と言いながら、道なき道を進んでいくヨシキリーダー。あぁ、これは完全に遭難パターンだ、と思った瞬間「あ、道があった」というリーダーの声。行く手をさえぎる木々を押し分け、リーダーのもとに行ってみると、確かにそこには、ケモノ道ではない、トレッキングロードらしき道があるではないですか。
さすがリーダー。勘がさえてます。この人についていけば大丈夫のようです。
さて、そのヨシキリーダー、歩くのメッチャ速いんですよ。あっという間に先のほうに行ってしまう。意外と歩くの速いでしょと、自負していたオイラですが、まったくついていけない。それに対して、のんびりトレッカーのマツナミさんは、ゆっくりペース。ヨシキリーダー、オイラ、マツナミさん、という順番で歩く、今回のトレッキングパーティ。3人の間隔は、それぞれ30mくらい離れて歩いてます。ま、離れすぎたら、先頭のリーダーが休憩がてら、立ち止まって待っててくれるんで、こんだけ離れちゃってても、ぜんぜん問題はないんです。
さてさて、そんなトレッキングですが、道なき道を歩くのと、トレッキングロードを歩くのでは、大変さが雲泥の差なんですよ。ようやくトレッキングロードに出たので、楽になるかと思いきや、目の前の道の上には、木々が倒れ、トレッキングロードをふさいでしまっている。
そうか、昨日言われたのはこのことだったのか・・・
実は、昨日、トレッキング申請をしに、ウシュアイアの町にある事務所に行ったとき、オイラたちが今歩いている西側の道は、倒木があまりにも多いため、公園管理局としては、封鎖状態にしている、と言われたんですよ。どうしても行きたければ止めないけど、そこは自己責任でね、と受付のお姉さんがにこやかな顔で言ってまして。
やっと楽に歩けると思ったのに・・・
ただでさえ、上り気味の勾配があり、きつめのトレッキングロードに倒木が横たわちゃって・・・こんなん、トレッキングなんかじゃないっす。フィールドアスレチックですよ、これは。
これを進まなきゃいけないのか・・・3つくらい倒木障害を乗り越えたところで、息が上がってきたオイラたちは、この先に延々続く倒木アスレチックの風景を呆然として眺めるのであった・・・・
とにかく大変な思いをしながらも、なんとか倒木ロードを歩ききることが出来た。やっと森林を抜けた・・・と思って、顔を上げると、目の前には、瓦礫。今度のアスレチックは瓦礫歩きか・・・とほほ。
森林の中ではクッキリしていたトレッキングロードでしたが、瓦礫ゾーンに突入した途端に道が薄くなり、いつのまにやら、道らしきところがなくなってしまい・・・再び、道ロスト状態。ヨシキリーダーを先頭にして、道を探しながら、前に進むオイラたち。何の道しるべもない瓦礫道、途中、ブッシュの中に突入し、木々に引っかかれたりする。
「多分、上のほうがトレッキングロードだと思うんだけど・・・」と言いながら、先頭を進む、ヨシキさんが叫ぶ「ありました!トレッキングロード」。やっぱり、さすがリーダーです。
ようやく見つけた瓦礫ゾーンのトレッキングロード。しかし、このトレッキングロード、瓦礫がゴロゴロしているため、道といっても歩きづらい。一応この方向に進めば大丈夫という安心感くらいは得られるケド、それ以上の効果はない。歩きづらさは変わらない。ま、安心感を得られるだけでもありがたいんですけどね。
しばらく瓦礫道を進み、ようやく、峠越えゾーンに突入。道は相変わらず瓦礫道が続く。
<Paso de la Oveja>峠、道はひどいが、景色は抜群。険しい姿の玄武岩の山々で囲まれている風景は、言葉に出来ないほど、素晴らしい。「<Paso de la Oveja>は、パイネに負けないくらい素敵なトレッキングロードだよぉ」と聞いていたのですが、なるほど、ココから見る風景は、確かに、パイネに負けないくらい迫力満点・・・が、何かが足りない。心にググッと入り込んでこないのだ。なんでだろう、と悩むオイラの頭に、思い浮かんだのは<雪>だった。そうだ、雪が足りないのだ。今までパタゴニアで魅せられてきた山の風景は、全て、雪によって彩られていた。多分、オイラの心は、雪山に反応してきたんだと思う。夏のウシュアイア、雪はすっかり溶けてしまっていて、万年雪が少々残る程度の雪化粧しかされていないのが、惜しい。ここ<Paso de la Oveja>は、周囲に見える山々が雪をかぶっていたならば、<こいつぁスゴイ>ランキング、かなり上位に食い込む風景になるんだと思う。
とは思うものの、ここで、雪が降られたら、トレッキングどころではなくなるんだろうな。ただでさえ、歩きにくい道なのだから。
途中から、また道が薄くなり、ただの瓦礫ゾーンとなってしまった峠を越える。峠を越えたところから、下りとなったのだが・・・下りは、上りよりも大変。引き続く瓦礫ゾーン、とにかく足場が不安定。もはや崖といってもいいような急斜面を下るため、目の前に、相当下の風景が見えて、怖い。もし足を滑らして落ちたら・・・なんて考えると、思わず、金玉が縮み上がる。
激しい道が続き、いい加減に疲れてきた。そろそろ休みたい・・・
この急斜面を降りていけば、湖が見えるはず。今日はそこで、キャンプだ、ということで、あと少しだからと自分を鼓舞しながら、進むんですが・・・なかなか湖が見えてこない。ちょっとした峠がいくつも続くこの道、「この峠を越えたら、湖が見えてくるはず」と、何度も期待を胸に抱きながら峠を越えるも、毎回、期待を裏切られる。川は見えるも、その上流にあるはずの湖が見えない。
「この峠を越えて見えてこなかったら、もう、川沿いでいいんで、テントをはって休んじゃいましょう」。いい加減、歩くのに疲れたオイラたち三人。もう、湖があってもなくても、次の峠を越えたところで休むことにして、最後の峠を越える・・・
・・・と・・・
「あった~!!!」
ありました、湖。ちょうど、日が差してきて、エメラルドグリーンの湖面がキラキラと美しく輝いている。しばし、俯瞰して眺める湖風景を楽しんだ後、いそいそと、湖脇へ。何の設備もなく、とりあえず、テントがはれるだけのキャンプサイトになっている湖脇にテントをはって、一休み。早速お湯を沸かして、ホットココアを飲む。ふ~、この瞬間が最高に心地いい。
さて、ここで、リーダーから号令が・・・
「5時になったら、サイドトリップに行きましょう」
・・・え?まだ歩くんですか、今日・・・
ロンプラに<Don't miss it>と書かれている、サイドトリップ道がこの奥にありまして。往復で3時間ほどと書かれているサイドトリップ道、「今、日が長いから、今からでも、ぜんぜん行けますよ」とリーダー。ええ、確かに、時間的には大丈夫だと思うんですけど、体力的に・・・
体的には休みたかったんですけど、しばらく雲で覆われていた空に青空が見えてきて、気持ちよい天気になってきた。天気がいいうちに行っちゃいましょうよ、というリーダーの、柔らかいながらも、有無を言わせぬ強い意志のこもった誘い文句に、オイラもマツナミさんも、断れるはずもなく、サイドトリップへ出発。
隣の湖までの道は、比較的楽な道。他のトレッカーも、歩く道らしく、誰かが歩いた跡がクッキリと残されており、歩きやすかったのだが・・・その先が大変だった。隣の湖より先には、誰も行った気配がない。確かに崖や、湿地帯が続いており、行くのがためらわれるゾーンが広がっているのだ。「こ、これは・・・」と思っているオイラの目の前には、「当然、前に進むでしょ」と、普通の顔で、ガンガンと前進するヨシキリーダーの姿。
もう、ついていくしかありません。険しい道をひた進む、オイラたち。
初日だし、がんばれるだろうと思ったのに、やはり、一ヶ月ぶりに動かした体は鈍りきってました・・・途中まで、リーダーについていけたものの、いつの間にか、オイラ一人、完全に取り残されちゃいまして。遠くに見える山の頂に、二人の姿のシルエットを見ながら、苔の生えた岩に腰かけ休むオイラであった。
とりあえず、あの二人のところがゴールか。あそこまでは、がんばって行ってみるか、と最後の力を振り絞って行ってみた。ここが最終点で「引き返しましょうか」と言われるかとおもいきや、リーダー、ヨシキさんの言葉は、「あの、峠の向こうまで行きましょう。きっとスゴイ風景が見えますよ」
いや、オイラは、もうここで十分です。ここから見た風景で、満足です。最後の峠に挑むリーダーとマツナミさんの姿を見送り、風除けの岩で待つオイラ。
・・・寒い・・・
歩いていると、まだ体が温まるんで、寒さを感じないんですけど、立ち止まると、ホント寒い。夏のウシュアイアといえども、山はなめちゃいけませんな。
途中で戻ってきたマツナミさんと、一緒にリーダーの帰還を待つ。日が、山に隠れ、寒さの厳しさが増したところで、ようやくリーダーが戻ってきた。「もう満足しました」というリーダーの言葉を聞き、いそいそと、テントサイトに戻るオイラたち。
テントに戻ってすぐにガソリンストーブでお湯を沸かし、パスタつくり。とにかく寒さと空腹を満たす。寒さと空腹を満たしたら、眠くなってきた。テントの中に入って、横になったら、いつのまにか寝てしまった、オイラであった・・・
|
|









|