(English)
Today I left from Elta Are Volcano. I wanted to stay here more. I miss Volcano.
|
|
昨日、火口を見に行った後、一旦歩いて10分ほど戻った場所にあるキャンプ地に引き返し、またもや23時となった遅い夕食を食べた。で、その後、マグマを見足りない気分のオイラとユースケくんとエリックは、もう一度、火口に行きたいと、主張したのだが・・・飯を食べたらめんどくさくなったのか、アーミーたちが「全員行くならいいが、3人だけならダメ」と言い始めた。ここでは、自分勝手な行動は許されない。常に、アーミーの監視下の元で動かねばならないのだ。ということで、アーミーがダメだと言ったら、動けない。ガブリエラおばさんとロベルトは、疲れちゃって、もう寝る体制に入っているので、5人そろって動くのはもはや無理。「なんとか3人だけで」とごねたのだが、警備を二手に分散させられない、という理由で、オイラたちの申し出は却下された。「じゃぁ、明日の朝、5時から火口を見に行かせて」という交換条件を飲み込んでもらうことになり、しぶしぶ寝ることに。まぁ、5時ならまだ夜明け前。真っ暗闇の中でのマグマの躍動をもう一度見ることが可能だし、いいか、と。
ということで、今日は、朝4時50分起床。まだ、真っ暗な中、火口に向けて出発。ちなにみ、アーミーの皆さん、夜中中起きて警備をしていた模様。眠りの浅いオイラは、うろうろ見回っているアーミーの足音で、夜中何度も目を覚まさせられ、若干寝不足。
さて、再び訪れたエレタ・アレの火口。そんな寝不足なんて吹っ飛ぶ大迫力。感激度合いは昨日からまったく衰えない。相変わらず、スゴイ。昨日の夜は、とにかく、写真を撮ることに夢中になってしまったので、今朝は、なるべく、生の眼で燃え滾るマグマを観察することを心がけることに。
夜が明け始め、次第に明るくなってくる周囲。足元がだいぶ見えるようになってきたので、火口のまわりを一周することにした。火口の周囲は、亀裂が入っている箇所ばかり。注意して歩かないと、足場があるからと踏み込んだ箇所が崩れ落ち、マグマが燃え滾る火口にまっさかさまなんてこともありえる。テロリストには襲われなかったケド、邦人一名、火口に落下し死亡なんてことになったら、洒落にならん。それでも、なるべく火口に近いところを歩きたいというのが、怖いもの見たさな心情ってやつでして。危険だと分かっているのに、亀裂のギリギリのところに足を出してしまう。恐る恐る一歩ずつ、足場を確かめながら、火口の周囲を歩いていく。
で、もっとも活動が激しい裂け目の上部に辿り着いたところ・・・真下で地球の呼吸がごとく、躍動しているマグマが、大量のガスを一緒に吐き出していまして。めっちゃ硫黄くさい・・・いや、硫黄くさいなんて生易しい表現じゃ、的確じゃないな。温泉に行った時によく匂ってくる程度の硫黄くささなんて、比じゃないくらい、強烈な刺激臭。いや、臭いがどうのこうのってレベルじゃないな。ガスが、粘膜を刺してくるって言った方が、正しいか。ちょっと吸っただけで、鼻や喉が猛烈に痛くなる。目を開けていると、涙が止まらない。まさに、毒ガス。
「ゴホッ、ゴホッ」
タオルを鼻と口に当てているのだが、そんな程度では防御にならない。たぶん、ここに3分居たら、死んでしまうだろう、って思うほど強烈なガスが充満している。
お前ら人間なんて、俺の吐息ひと吹きでイチコロなんだからな、という地球の声が聞こえてくるようだ。
明るくなって、火口の様子が分かるようになってきた。燃え滾るマグマが噴出しているのは一部。その噴出されたマグマは、表面に出ると、冷やされるためか、固まってしまっている・・・ように見えるのだが、おそらく固くなっているのは、ホントに表面の薄い部分だけなのだろう。ホットミルクをしばらくほおって置いたら、表面に膜ができるでしょ、あんな感じ。だって、赤オレンジ色ではない灰色の溶岩石に見える部分も、おそらく下で躍動しているマグマの動きにあわせてか、脈打つようにうごめいているし。そう、マグマ以外のところも、実は固まってなんかいないのだ。薄皮一枚がかぶさっているだけ。この広い火口全体の、薄皮一枚の下には、ドロドロした紅蓮のマグマで満たされている。一部、ほんの一部だけ見えている、脈動する赤オレンジ色のマグマでさえ、恐怖心を植えつけるには、十分だというのに・・・この下一面に、赤オレンジ色のマグマがあるだなんて・・・
ここは、ホント、すごい。写真では、オイラがここで感じた恐怖感がまったく伝わらないのが残念だ。なんか、単に迫力ある場所って感じでしか残されていないもんな、視覚的には・・・
そんな死と隣り合わせの場所であるにもかかわらず、ここは、いつまででも居たくなる場所でもあった。怖いけど、居たい。この矛盾した不思議な感情。
多分、好きなんだと思う。
オイラは、地球の躍動を感じさせてくれるところが好き。奇岩や隆起した大地の風景に魅せられるのは、そういうことなんだと思う。そして、ここは、その究極の場所だった。
この好きという感情が、恐怖の感情を凌駕しちゃっているのだ。
「もう、戻るよ」
というガイドのネガーシの言葉が恨めしかった。好きなものとの別れの辛さ。駄々をこねて、1時間、いや、10分でもいいから、まだ、この生きている地球の姿を眺めていたかった。
後ろ髪を引かれながら、何度も何度も火口を振り返りながら、しぶしぶ、キャンプ地に戻る。そういえば、例の事件は、このキャンプ地で起こったとのこと。夜中、2時頃に、40人くらいの武装集団がこのキャンプ地を襲ってきたという。こんな人っ子一人いないような場所に潜伏していて現れるなんて・・・いや、過激派グループは、こんなエクストリームな場所だからこそ、潜んでいるのだ。相手から逃れやすいという意味があるのだろう。訓練などをするには適しているからということもあるのかもしれない。テロリスト集団と言われる人たちは、たいていジャングルや砂漠といった場所に潜んでいるものだ。
そんな話を聞きながら、何事もなく夜が明け、無事、帰れることになったことに、ホッとする。本来、旅は安全安心志向なオイラ。こんな無茶な時期に無茶な場所に行くようなことは、しないのがモットーなのだが・・・ここは特別だった。そして、ホントに来てよかった。
朝飯はパンですませ、3時間かけてベースキャンプに戻る。昨日は真っ暗な中歩いてきたから、周囲の様子はまったく分からなかったのだが、一面、火山岩で覆われていた。あのエレタ・アレの火口で見た、表面の薄膜が、そのまま完全に固まってしまったような風景だ。ということは、以前はこのあたりも、マグマで満たされていたってことなのだろう。周囲一面が、あの火口のようだとは・・・まさに地獄のようだな、そりゃ。いや、想像すると空恐ろしい。
アーミーの駐屯地であるベースキャンプに到着。付き添ってくれたアーミーの皆さんにお礼を言って、車に乗り込む。ここから、火山岩地帯、そして砂漠地帯を走り抜け、アルガニッシュ姉さんが、昼飯を用意して待っててくれている村へ。到着して、早速、昼飯。ああ、美味い。今日のミネストローネスープは、また特別に美味かった。
さて、壊れてしまった車は結局、どうにもならなかったらしい。とりあえず、ココに置いていくことに。で、レンタカーでもう一台を調達して、二台で戻る・・・という案も挙がっていたようなのだが、ここで車を借りるとなると、レンタカー代が高すぎて、とても、今回のツアー代金では割に合わないってことになりまして。結局一台の車で戻ることに。地元のガイドがここで降りる代わりに、アルガニッシュ姉さんと、もう一台の運転手だったソロモンが乗り込むことになり、11人を乗せることになったランクル。ガイドのネガーシとソロモンをルーフ上の荷台に乗せ、砂漠道をひた走り、ハマディラに戻ったのであった。
|
|
|