How fantastic panoramic view
自分が好きな風景をこの目で見れるってことで幸せなのだ:シミエントレッキング1日目

2012.2.4 / Ethiopia(Gondar~Simien N.P) 本日 自転車0km走行 : Total 36729km走行
天気:晴
朝飯→エッグ+パン 昼飯→エッグサンド 夕飯→スープ&パスタ等 / 宿→Sankaber Campsite

(English)
 Today was first day in Simien Mountains.



 今日からシミエンマウンテンにトレッキング。しかも、ツアーでトレッキング。山の風景は自分の気の向くままに見ていたい派なオイラは、通常、山には一人で突入するのだが、シミエンマウンテンは単独トレッキングを許してくれなくて。スカウトと呼ばれるガードマン的な人を雇わなければ入山できないのだ。一人でトレッキングできるのなら、ツアーになんか参加せず、単独で突入するところだったのだが、誰かと一緒に歩かなければならないのであれば、それならいっそのこと、ツアーでいいや、と思ってツアー参加することにしたんですよ。値段もまぁ、そこそこだったし。

 それにしても、ツアーでトレッキングだとホント楽。食事も水もすべて用意してくれているのだ。自分で持っていくものといえば、服とカメラくらい。まぁ、オイラの場合、テント&寝袋を自分のを使うということで、30ドルほど安くしてもらっているので、テント&寝袋も持参することにはなっているけど。ズボンのポケットにカメラとiPod TouchとGPSを入れ、ナップザックに着替えの服と洗面用具とトイレットペーパーを入れ、オルトリーブのバック1つに、テントと寝袋とマットとサンダルを詰め込む。以上で準備完了。

 で、残りの荷物と自転車を、宿で預かってもらおうと思い、ツアーの車が来る10分前である6時50分にロビーに荷物を抱えて降りたのだが、朝早いせいか、レセプションに誰も居ない。昨日一応「朝早いけど大丈夫?」と確認して「大丈夫」って言ってたのに。うむむ、どうしよう。このまま荷物を放って置くわけにもいかないしな、と悩んでいるうちに、迎えの車が来てしまった。「宿の人が誰もいないんだけど」というオイラに、「荷物なら、エージェンシーのオフィスで預かるよ」とツアー会社の窓口担当のビケが言ってくれた。なので、宿の隣に建っている小さな小屋のようなオフィスに預けることになったのだが・・・しかし、このオフィス、昼間、ドアが開けっ放しで、いろんな人が出入りするんだよな・・・しかも、担当のビケは小屋を離れて周辺をウロウロしているのを、昨日この目で見ているし・・・セキュリティは大丈夫なのか・・・と若干心配なオイラ。が、自転車とか持っていくワケにもいかないので、覚悟を決めて、オフィスに置かせてもらうことに。(ま、結果的には、何事もなく、無事預けた荷物は戻ってきました。ここ、なかなか信頼のおけるツアー会社です、ハイ)

 さて、車を運転してくれるのはアレックス。そして、もう一人同乗しているのは、料理人のティディ。アレックスは、シミエンまでの行きと帰りだけお世話になるのだが、ティディは毎日オイラたちに付き添って、飯を用意してくれるのだ。

 そんな車に乗ってまず向かったのは、近くにある別のホテル。そこで二人のツアー参加者をピックアップすることに。乗り込んできた二人は、アンとマティアスというカップル。アンはアメリカ人で、マティアスはドイツ人とのこと。そしてその後、別のホテルへ行って、もう一人、男性をピックアップ。彼は、オーストラリア人のブライアン。今回のツアーは、オイラを入れてこの4人がトレッキングメンバーとなる。ちなみに、オイラ以外の3人は知り合い(アンとマティアスはカップルだし)とのこと。彼らは今、エチオピアで働いており、皆、同じ会社で働く同僚らしい。ということで、乗り込んだ車の中では、普通に英語の会話が繰り広げられるのでありまして・・・英語にダイブ慣れてきたと思っていたオイラであったが、全員がネイティブ(ドイツ人のマティアスもめっちゃ英語が堪能)な3人のしゃべる英語についていくのは、さすがにしんどい。あまりの会話の早さと滑らかさのため、聞き取れず、脳が理解するのを拒否するのだ。なんとか理解しようと耳を傾けるのだが、3分でダウン。とりあえず、聞いてるフリだけをしていると、「で、どう思う、ヨシ?」と、アンやブライアンが、いきなりふってくるもんだから、冷や汗たらたら。

 さて、メンバーがそろったところで、いよいよシミエンに向けて走り出す車。ゴンダールの町を抜けたらいきなり未舗装道となった。シミエン国立公園への玄関口となるダバルクの町までは、ところどころ舗装、だけど未舗装みたいな道が続く。一応全面舗装道路を目指しているらしく、工事中のようではある。が、工事中だからそこ、迂回路も多くて、砂埃がモウモウと巻き上がる変な道を走らなきゃならなかったり・・・この道、自転車で走るのは大変そうだ。リンさん、もうアクスムに到着したみたいだけど、こんな道走ったのかいな?(後でリンさんにメールで聞いたら、この道はバスに乗ってワープしたらしい)

 そんな道を走りぬけ、到着したダバルク町でガイドのジョナスと、スカウトのガウおじさんをピックアップ。さらにこの町にあるシミエン国立公園の管理事務所みたいなところで、入山手続きをした後、レストランで朝飯を食べ、いざ、国立公園へ。

 ダバルクからちょっと走ると、シミエン国立公園の入園ゲートが見えてきた。いよいよ、ここからシミエンだ。ちなみに、国立公園内に、ずっと、このまま車が通れる道がひいてあり、かなり奥まで車に乗って入っていくこともできる。つまり、車でシミエンを訪れ、ちょこっと歩いて風景を堪能し、また車で戻ってくる、なんていうお気楽シミエンハイキングなんてのも可能なのだ。実は、最初、シミエンはそんな感じの一泊二日ツアーみたいなので、いいかなって思っていた。ダナキルで一緒だったガブリエラおばちゃんが、「シミエン、日帰りで行ってこれるツアーもあるわよ。風景を見たいだけならそれで十分よ」って言っていたので。が、実際ゴンダールでツアーを探してみると、行って帰ってくるだけで200ドル近くすると言われまして。結局移動費が高いらしい。一方で、同じくダナキルで一緒だったロベルトが、「シミエンはゆっくり歩いてこそだ」と9日も、シミエンに山篭りしていた体験をトクトクと語ってくれたっていうのもありまして。9日は無理としても、4日くらい山に篭るのはアリだよなぁ、って思い始めていたオイラ。3泊4日でも同じような額がかかるのなら、そっちのほうがいいか、と判断して、このツアーに決めたのですよ。

 しかし、まぁ、実は、シミエン、そもそも、訪れるかどうするかも悩んでいたのですよ。ガイドブックでシミエンの写真を見た瞬間から、ここは、気になる存在になっていたのは間違いない。一目見て、「あ、この風景はオイラの好きな風景だ」って思ったし。ええ、思ったんですけども・・・思ったからこそ、好きだからこそ、そこで見れるであろう風景が、なんとなく想像できちゃったんですよ。だって、好きな風景だから、今までそういう感じのところをいっぱい訪れてきて、心行くまで自分の中に刻み込んできたわけなんで。だから、<未知なる場所へ>というダナキルと比べて、シミエンはイマイチ、モチベーションに欠けていたんです。が、エチオピア北部旅を始めて、途中途中で「絶景だ」と思う山々を目にするにつれ、「想像できてもいいじゃん。自分が好きな風景を、この目でまた見れるってことが、幸せなことでしょ」と思うようになってきまして。いつの間にか、<すでに知ったものには金と時間をかけない>的な気持ちが働くようになっていたのかもしれない。でも、やっぱりそれではもったいないのだ。すでに知っているかもしれないものでも、自分が好きだろう、って思う場所であれば、行けばいいのだ。そこが例え想像どおりの場所であったとしても、好きなんだから、浸ればいい。新鮮な驚きを求めるだけが、旅じゃない。

 と、いろいろ考えながら訪れたシミエン、今回、オイラたちは、公園入り口近くで、車を降り、そこから4日かけて歩き、奥までいったところで、車に迎えにきてもらって戻るというプランとなる。

 公園内を車でしばらく走った後、「ココからは歩き」とガイドのジョナスに言われ、車を降りるオイラたち。いよいよトレッキング開始だ。寒くなった時用のフリースとダウンジャケットと水と、「これ、ランチボックス」といって手渡されたビニール袋に入ったサンドイッチとバナナをナップザックに入れ歩き出す。テント類は、このまま車に積んでキャンプ地まで運んでいってくれるとのこと。ああ、なんて楽なトレッキングなんだ。ツアーじゃなかったら、この時点から、テント類やら、食材がずっしり入って重くなったバッグを背負って歩き始めなきゃならないところなのに。

 さて、歩き始めて、すぐ、目の前に絶景が広がった。車で一気に上がってきた高台からのうねりのある大地を仰ぎ見るこの風景。ああ、この風景が見たかったんだ。これを見るために、シミエンに来たんだ。大好きな風景。想像していた通りではあるんだけど、確実にオイラの心を揺さぶってくれる風景。ああ、やっぱりきてよかった。

 う~む、しかし、歩き始めしょっぱなから、こんな素晴らしい風景が見れるとは。絶景は、3日目に訪れるイミット・ゴーゴーまで行かないと見れないかと思っていた。なんだ、これだったら、やっぱり1泊2日の簡単ハイキングでもアリだったな。十分にシミエンの見たい風景が見れるぞ、なんて思ってもみるのだが・・・しばらくこの絶景を見ながら歩いていたら、そんな考えはふっとんでしまった。いや、ここで十分にシミエンの見たい風景が見れるからこそ、もっとここに居たくなるのだ。この風景を見たら、逆に1泊でなんて帰れないや、と。

 とにかく心地よすぎる。こんな場所に4日も居られるのが、幸せだ。

 そんなシミエンを歩いていると、観光客相手に、モノを売る少年たちが寄ってきた。お土産を買う気がないオイラは、彼らに興味がなかったのだが・・・一人、気になる少年がいた。ペットボトルを使って一本弦の楽器を作り、それを弾きながら歌を披露している少年がいたのだ。決して上手いとは言えなかったのだが、なんか味がある演奏だった。チップを帽子にはさんであげると、うれしそうにハニカミながら演奏を続ける少年。ああ、なんかこういうのはいい。

 その後も、とにかく気分よいトレッキングが続いた。

 言葉なんていらない。

 この風景がすべて。

 17時頃、本日のキャンプ地サンクバルに到着。先に車で到着していたティディが、すでに、アンたちのテントを設置して、コーヒー&お茶、ポップコーンを用意してくれていた。おお、ツアーって至れり尽くせりだな。参加者はただ歩いて、飯食って、寝ればいいっていうこの楽さ。普段は何から何まで自分でやっているオイラとしては、こんな対応に、逆に不安になる。とりあえず、オイラは、運んでもらっていた自分のテント道具を受け取り、テントを設営。その後、コーヒータイム。そして、夕食。コックの格好をしたティディがスープを運んできてくれる。このスープが激ウマ。いやぁ、エチオピア、ツアーのクオリティ高いぞ。ダナキルの時同様、このツアーもいい感じ。あ、でも、ティディ、スープは激ウマだったけど・・・パスタはビミョウだったよ・・・それが、ちょっと残念。

 ちなみに、この夕食で、他の3人のメンバーには、早くもオイラが大食いということがばれてしまった。つーか、他の3人が食べなさすぎ。それで足りるの?っていうくらいしか口にしない。ま、高度が高い環境だから、高山病対策として、食べ過ぎないのは大事だけどね。ん?それを分かっていながらも、ここでバカみたいに食べているオイラはなんなんだ?

 さて、シミエン、日が出ている時はまだ暖かいのだが、日が暮れると一気に寒くなる。火をおこしてくれたので、焚き火を囲んで談話タイム。当然というかなんというか、オイラのチャリ旅の話になった。「ヨシ、これまでの旅で一番よかったところの話をして」とアンからのリクエスト。ああ、困るんです、こういうの。日本語でさえ、感動を伝えるのがままならないというのに、英語で話さなきゃいけないなんて・・・どだい無理な話ってワケですよ。とりあえず、自転車で一番テンションがあがったウユニの話を始めたのですが・・・ああ、もどかしいほど、伝えたいことが言葉にならない。一応、ウユニについて知っていたブライアンが助け舟を出してくれて。後半は、ブライアンが話すウユニ話に、オイラが「そうそう、そういうこと」と相槌を打つだけという展開に。まぁ、とりあえず、話は分かってくれているだろうとアンの顔を見たら、なんか怪訝な顔をしている。その顔を見てハッとした。そうか、今話されている話は、単なるウユニ塩湖についての話であって、<オイラの旅で訪れたウユニ塩湖>の話ではない。「私は、<あなたの>ウユニ塩湖の話が聞きたいの」と、アンの怪訝な表情は語りかけてくるようだった。そうだ、オイラの旅の話をしなきゃいけないんだ、と思って、言葉を捜しているうちに、オイラが乗っている自転車がドイツ製だということを知った、ドイツ人のマティアスが食いつき、自転車についての質問攻めが始まってしまった。

 ああ、久々に「英語をもっと話せたらいいのに」って星空に願ったシミエン初日の夜でした、まる。