Making Djembe
ラストレッスンはジャンベつくり:ジャンベ修行Ⅳ10日目

2012.5.11 / Senegal(Toubab Dialao) 本日 自転車0km走行 : Total 37480km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→フランスパンサンド 昼飯→チェブジェン 夕飯→ビスケット / 宿→La Mimosa(5000CFA)

(English)
 I stayed in Toubab Dialao. I was learning Djembe here.



 今日でヴィアレッスンを終了。今まで習ったことを総復習した後、今後の自主学習のためにと、ヴィアにソロフレーズを延々演奏してもらい、それをビデオに収めた。ティーチングは終わりだけど、ジャンベ修行は、これからもずっと続く。っていうか、これから<オイラの>ジャンベ道が始まるのだ。

 ふ~、それにしても、4人の師匠にジャンベを教わって、ようやくティーチングが終わったって実感できた。ジギに教わった後は「さぁ、これから知っていくぞ」って感じだったし、ジプソンに教わった後は「もっと違ったタイプも知りたい」って思ったし、ディザンに教わった後は「まだまだ知りたいことがあるのに・・・」だったんで。ヴィアに教わって、ようやく「ここまで教われば満足」って思えた。もちろん、これは、ヴィアが全てを教えてくれたってコトじゃない。それまでの3人の師匠による修行の積み重ねがあったからこそ、この想いに辿り着けたワケで。

 ということで、多分、セネガルでのジャンベ修行はもう終わり。

 改めて振り返ると、一人の師匠にずっと習うよりかは、複数の師匠に習ったのがよかったと思う。マンネリ化が避けられ、常に緊張感を持って望めたし、なによりも、ジャンベの多面的に気づかされた。同じように聴こえるジャンベも、人によって、場所によってビミョウに違う。ジャンベ道を極めたいと思っているオイラにとって、この<ビミョウな違い>が分かるようになったということが、非常に大きな成果。

 さて、ラストレッスンが終わった後、ヴィアが「これからもジャンベは叩き続けるんだろ?ジャンベは買わないのか?」と言ってきた。もちろん叩きたい。だから、欲しいんだけど・・・旅が続くから、重いジャンベは持ち運べないのよ、と応えると、「じゃぁ、小さいジャンベなら軽くていいんじゃないか?」と言ってくる。いや、小さいのは音がアレでしょ、と応えると、「いや、セなら、小さくでもいい音のジャンベを作ってくれるよ。」と。

 うむむ、そういうものなのか?お土産用に売っている小さいやつ、いい音がした験しがないのだが、あれは適当に作っているからなのか?ちゃんと作れば、小さくてもいい音がなるようになるのか?なんて思いながら、セのところへ。ヴィア師匠からオイラの要望を聞いたセが、小さなジャンベを取り出した。ヘッドが張っていない木だけのヤツだ。「これにヘッドを張れば、いい音が鳴るよ」とセが言う。

 セのことを信用しないワケじゃないけど、音も聴いていないうちから、買いますとはいえない。「作ってもらうのはいいけど、買うかどうかは、出来上がった音次第ってことでね」というオイラの勝手なお願いは聞き入れられたかどうか、定かではないが、とにかく、作り始めてもらうことに。

 さて、セが取り出してくれたジャンベ、サイズは小さいとは言え、いい木みたいで、これ、ズッシリと重いのですよ。重いボディーがパワフルな音のジャンベを作るとのこと。うむむ、そうか、お土産用は軽い木で作っているからいい音がしないのか・・・しかし、重いと、今後の旅での持ち運びが大変になる。いい音か、持ち運びの楽さか・・・いい音でありながら、軽くというオイラのワガママお願いは実現不可能なのか?と思ったのですが、そこは、ジャンベ職人のセによる、オーダーメイドジャンベ、とりあえず、音に影響しないと思われる範囲で、削れるだけ削って軽くしようと、木の内部を削る作業から始めてくれたんです。でかいノミみたいな工具で、少しずつ削っていく。それを隣で見ていたら・・・オイラのジャンベ探究心がウズウズしてきちゃいまして。うむむ、これは、ジャンベつくりを学ぶラッキーなチャ~ンスではないですか。ということで、「オイラにもやらせて」と、セに代わってもらい、オイラもジャンベつくりに参加することに。

 しかし、これ、かなり根気の要る作業。木が固いので大変だし、音に影響しないようにと気にしながら、丁寧にちょっとづつ削らないといけないし。オイラは今後の旅のため、ということがあるから、軽くしようとがんばれるが、何の思い入れもないなら、「大体削れていればいいんじゃん」と放りだしたくなる作業で。

 さて、結構削ったように思ったのに、全然軽くなってない気がするのですが・・・まぁ、あんまり削りすぎちゃうと、音に影響しちゃうから、と、この辺で削り作業は終え、表面をヤスリがけして、ワックスみたいなのを塗って光沢を出し、ボディ再生作業が終了。そして、次は、いよいよ皮張りに。

 皮は、ビシュという皮を使うことに。たぶん、羊皮。まず、水につけて、フニャフニャにしておく。で、ヘッド部にあたる部分を覆っている表面の毛を、剃刀で適当にそぎ落とす。そして、ボディの口の部分と同じサイズの鉄の輪を皮に乗せ、鉄の輪の周囲に適当な間隔のノリシロを設け、皮を丸く切ってしまう。そして、皮の周囲のノリシロ部分に穴をあけ、ヒモを通して、上で束ねるようにする。これで、適当な張りのある皮状態にするのだ。で、これをボディの口に乗せ、その上から、もう一つの輪をかぶせる。そう、ジャンベの皮は、二つの金属の輪に挟まれて、ボディである木の上に乗せられているのだ。ちなみに、後乗せの輪には、チューニング用のヒモを張り巡らせるヒモ輪加工をしておく。このヒモ輪と、ジャンベボディ下部のヒモ輪を通して、ボディの側面に長~いヒモを編みこむことで、ヘッドにテンションが加わって、皮がパンパンになってくるという仕組みなのだ。

 この辺の作業は、基本的にセにやってもらいながら、手伝えるところは手伝うというカタチで参加。ボディの側面のヒモの編みこみ作業をひたすら行い、ヘッドにある程度のテンションがかかる状態になったところで、編みこみ作業を中断。で、この仮止め状態で、ヘッド皮の状態を見るため、束ねていた紐を取り外したのだが・・・と、ここで、問題発生。なんと、ヘッドに穴が空いていたのだ。小さな穴だが、皮の穴はNG。修繕のしようがない。ということで、新しい皮で張り直し。ヒモの編みこみ作業結構大変だったのに・・・が、しょうがない。潔くやり直し。再び、編みこんだヒモをほどく。ええ、こういうモノづくりに失敗はつきものなのです。

 ということで、ヒモをほどき終わったところで、新しい皮が用意された。今度はバシュという皮。今度のは、多分、牛皮。これまた、水につけて、フニャフニャにさせる。フニャフニャになるまでの待ち時間に、再び、ボディの内部の削り作業をすることに。う~ん、削りすぎちゃってないかな・・・音にどれだけ影響するものなのか、イマイチわからない・・・ま、セが、まだ大丈夫っていうから、大丈夫なんだろう。

 さて、フニャフニャになった皮を、先ほどの同じ手順で、ボディに取り付ける。仮止め状態まで持っていって、「今度はちゃんとした皮張り状態だ」と、確認した後、本格的なヒモ締め作業に入る。両足でジャンベを押さえ、ヒモをグイグイ締めていく。先日使った特別の工具も持ち出され、ジャンベが締め上げられていく。と、ここで、「ブチッ」という嫌な音がして、ヘッド止めようの輪につけられていたヒモ輪が切れた。ああ、またやり直しかい?と思ったら、セが「まぁ、こういうことはよくあることなのさ」と、慌てず、対処策を施しはじめた。皮の穴はどうにもならなかったけど、ヒモはどうにかなるらしい。一本ヒモじゃないとギッチリ締め上げられないんじゃないの?と思っていたのだが、どうやらそうでもないらしく、新しい紐が用意され、接ぎヒモされていった。そして、この接ぎヒモの余り部分をうまく使って、なんと、ジャンベ持ち運び用の取っ手を作ってくれたではないですか。うむむ、うまいことやるもんだ。モノづくりで、生じるハプニングをプラスの方向に変えるこのテクニック、勉強になります。

 ちなみに、ヒモを締めながら、セは、ヘッドの周りをでかい石でガンガン叩いていっていた。この作業は、ヘッドのリングをボディにフィットさせるためにやるとのこと。かなり荒っぽい調整の仕方だ。

 さて、一応側面に編みこんだヒモを全部ガッチリと締め上げたところで、ジャンベを日向に置いて、皮の乾燥工程に。皮は乾かしてパンと張るといい音になるんです。ということで、しばし、待ちです。ヴィア師匠と、セと、日陰でバナナをかじりながら、談笑タイム。ちなみに、皮、水分を含んだ状態だと、かなり生臭い。置いていると、ハエがブンブンたかってくる。

 で、皮が乾いたところで、再びヒモ締め作業。ここからが、いわゆるジャンベのチューニング作業となる。側面に縦に編みこんだヒモを、さらに横から編みこんでいくのだ。ここから横編みこみが、ジャンベ特有の編みこみ方法。縦に張ってあるヒモに横からヒモを通すのだが・・・二つ通して一つ戻すという、特殊な通し方をすることで、縦に張ってあるヒモがクロスされ、このクロスすることによって強化されるヒモのテンションが、皮をより強く張らせることになるのだ。つまり、この二つ通して一つ戻すという部分をやればやるほど、ジャンベは高い音がなることになる。今後、このチューニング作業は、自分でやることになる可能性が大なので、ヒモの通し方をしっかり学ぶ。ちなみに、これ、そもそもテンションがかかった状態のヒモをさらに張ることになるわけなのだから、相当力がいる作業だったりする。

 この音がいい感じだろう、という状態になったところで、ヒモ張り作業終了。最後の仕上げは、表面に残っている毛の剃り作業。剃刀でジョリジョリと残った毛をそり落としていく。打面部分は完全にツルツルにすることで、こもりのない、抜けのよい音が鳴るようになるのだ。

 さて、このジャンベ、ここまで、作ることに関与しちゃうと・・・そりゃ、愛着が沸いてきちゃうものでして。つくりながら、もう、買うことになるな、と思っていたのですよ。まぁ、それなりの音さえすれば、合格点としよう、なんて考えていたのですが・・・出来上がったジャンベの音を聴いてビックリ。いい音なるんですよ、これが。ミニジャンベっと言って侮るなかれ。これは、なかなかどうして、がっつりしたいい音が鳴るのです。ボディの木の材質のせい?ヘッドの張り方のせい?いや、きっと、これは、作り手の愛情のせいです、たぶん。

 思っていたより軽くはできなかったということ以外は、満足なこの手作りジャンベ。まぁ、重いのは、いい音を出すためしょうがない要素なのだ、と割り切ることに。ということで、お買い上げ。お値段は・・・22,000CFA。4000円くらい。通常で買うよりちょっと高いのだが、これは、ジャンベつくりを教えてくれたセへのレッスン料って意味も含めて払うことにした値段でして。ジャンベつくり体験なんて、それだけですごい価値があることなのですから、オイラにとって。

 そんな出来立てホヤホヤのジャンベを持って、夕刻の海岸へ。これから練習するというヴィア師匠のバンドに混ぜてもらうことになったのですよ。うむむ、やっぱり皆さんのプロ用ジャンベと比べちゃうと、音は・・・って感じですが、それでも、まぁ、そこそこの音をかもし出してくれまして、マイジャンベ。いやぁ、いい買い物をしちゃったな。

 ところで・・・本日、5月11日。今日は何の日だか知ってます?ボブ・マーリーの命日なのですよ。テゥバブジャラゥに今日まで居ようって思ったのは、実は、この日があったからってこともありまして。ラスタと関連性の深いバイファールな人たちがたくさんいるテゥバブジャラゥでは、ボブ・マーリーの命日には、盛り上がるんじゃないかな、って思って。で、そんな本日・・・昼間は、いつものテゥバブジャラゥだったのですが、夜は完全にレゲエ色で包まれまして。オイラは、<Sobo Bade>で開かれた、レゲエライブへ。レゲエって正直あまり好きではないんですけど、セネガルレゲエは面白かった。パーカッションがたくさん入ってたからね。で、ここで、ギタという料理用のボールをひっくり返したような太鼓楽器を初めてみた。上部を叩くとドヨ~ンと鳴り響く不思議な低音が興味深い。あ、あと、伝統弦楽器であるコラもコラボレーションしてて。レゲエに清涼感のあるコラの音は合うのかいな?と思っていたのだが、意外や意外、これが合っているじゃないですか。

 それにしても、世界中の黒人から愛されているボブ・マーリーって存在がすごいなぁって改めて思う。個人的にはそんなにピンとくる人ではないのだが・・・誕生日も命日も、世界中がこんなにも盛り上がってくれる人なんて、そうそういないでしょ。