Maria Pages
やっぱりフラメンコがスゴイ

2012.9.7 / Spain(Sevilla) 本日 自転車0km走行 : Total 40068km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→宿の朝食 昼飯→なし 夕飯→レストラン飯 / 宿→Hostal Oasis Backpackers(ドミ10ユーロ)

(English)
 I stayed in Sevilla.



 フラメンコ・パーカッションの修行、ようやくゲットした達人の電話番号に連絡すべきかどうか、一晩悩んだのですが、やっぱり、二日しか習えないのにお願いするのは失礼ではないか、と思いまして。今回は断念することに。と、普段なら、例え時間が二日しかなくてもお願いしちゃうずうずうしさを持つオイラ。今回、断念できたのは、実は、セビージャの街を巡っている時、フラメンコ・パーカッションの教則DVDを発見していたのですよ。

 カホンの教則DVDと、パルマというフラメンコには必須の手拍子の教則DVD。フラメンコ・パーカッションは、見ているだけで、だいたい何をやっているかわかるので、ビデオ学習でも習得できるだろう、と思ったんです。二日だけ、基本中の基本だけを習って終わりになるくらいなら、ビデオで、もうちょっと先の応用一歩手前あたりまで自己学習できるほうが、いいだろう、と。

 ということで、フラメンコ・パーカッションの修行費として計上していた予算は、カホンとパルマの教則DVDの購入費に。

 昼間は、購入したDVDを見ながら、早速フラメンコリズムの学習。で、まず、パルマの教則ビデオを見たのだが・・・フラメンコを習得するには、<パルマ>が重要なんだということに気づかされた。

 フラメンコには独特のリズム感がある。ただ聞いているだけだと、拍がとりにくいのは、3拍フレーズが組み合わさって構成されていたりするから。さらに、フラメンコとひとくくりにしてますが、フラメンコの中で、ジャンルがいくつか分かれていて、それぞれが別のベースリズムを持っているため、曲によって拍のとり方が違うっていうのも、分かりづらい要因の一つ。

 フラメンコの形式の中で最も基本的なものでは、12拍子を1単位(1コンパス)とし、アクセントをつける場所により、曲の形式が作られるらしいのですよ。これが、コンパスと呼ばれるフラメンコ独特のリズム。で、このコンパスも、
・Bulerias
・Fandango de Huelva
・Rumba
・Seguiriya
・Tanguillos
・Solea
・Jaleos
・Tientos-Tangos
・Sevillanas
・Alegrias
 と、購入した教則DVDで紹介されているだけで、これだけのジャンル分けがある(実際にはもっとたくさんあるらしい)。そして、それぞれのジャンルで、手拍子の仕方が違う。

 そんな<パルマ>をDVDを見ながらやり始めたら、あっという間に夕刻になってしまった。いかん、そろそろビエナルが始まってしまう時間だ。もちろん、今日も、ビエナルへ行くつもり。さて、今日はどんなフラメンコが見れるのかいな、と、プログラムを見てみると、今日は、4つくらいステージが書かれていた。どれを見ようかと思ったのだが・・・そういえば、小野ちゃんがこれまたNHKのスペイン語講座で「フラメンコは<マリア・パヘス>というダンサーが有名」という情報を仕入れてきていた。残念ながら、小野ちゃんたちは、もうセビージャを発ってしまったので、結局<マリア・パヘス>のステージは見れないままとなってしまったのだが・・・「島田くん、代わりに見ておいて」と指令を受けていたのだ。で、プログラムを見ると、本日、<マリア・パヘス>のステージがあると書かれている。

 ということで、本日は、<マリア・パヘス>のステージを見に行くことに。会場は、この間バレエ・フラメンコを見た劇場Teatro Maestranzaと一緒。前回、一番安い席だと、集中力が欠けてしまったため、今回はもっと近くでみたいなぁとは思ったものの、ステージに近い席だと、やっぱり値段が・・・ということで、今回も、一番安い席のチケットを買って鑑賞。

 が、このステージは、奮発して高くてもいいから、もっとステージに近い席で見るべきだったと、後で後悔することに・・・

 前回のバレエ・フラメンコ同様、フラメンコというより、演劇要素を取り入れた<舞台>っていうイメージで始まった<マリア・パヘス舞踏団>。が、前回の緩い感じとは全然違っていて、しょっぱなからピリピリした緊張感。

 この緊張感は、ステージの全てが計算しつくされ、緩さを全部剥ぎ取ってしまっているところから発生していた。

 そして、演劇要素を取り入れた<舞台>と書いたが、このステージからは、ストーリー的なものは一切感じなかった。場面は展開されていくのだが、ストーリーという<意味>は排除され、ひたすら歌と踊りによって、刹那的な<強度>が積み重ねられていく。

 このステージには、惹き込まれた。

 90分があっという間に終わってしまった。

 フラメンコダンスとしては、派手なパフォーマンスはあまりなかった。でも、フラメンコを広げると、こんな世界も表現できるのよ、という、マリア・パヘスの描く世界に圧倒させられた。

 小野ちゃんに指令を受けていなかったら、違うステージを見に行ってたかもしれない。いやぁ、危ないところだった。ありがとう、小野ちゃん。

 興奮冷めやらぬオイラは、早速帰って、ネットでマリア・パヘスの調査。で、調べたら、マリア・パヘスは、日本でも有名な人らしいですね。そして、彼女は、フラメンコ界でも、異端児的な存在らしい。フラメンコをベースにしながら、フラメンコ以外の要素もステージに取り入れ、フラメンコの枠組みを広げようとしている彼女。<フラメンコとはかくあるべき>というオールドスタイルのフラメンコをやる人たちからは、違う目で見られているらしい。

 確かに、彼女のステージを見て<これがフラメンコだ>って思うのは、ちょっと違う気がする。でも、<こういうフラメンコもあるんだ>って思ってみるなら、すごく刺激的なステージ。

 今回の<UTOPIA>という公演は、マリア・パヘスが、あのブラジルの建築家、オスカー・ニーマイヤーと出会ったところから生まれたものらしい。ということで、音楽はブラジル音楽の要素がとりこまれていたし、舞台装置で使われていた素敵な曲線のオブジェは、なるほど、オスカー・ニーマイヤーっぽいものだった。

 海外旅の醍醐味は、こういう<ホンモノ>が生で見れるということ。もちろん、マリア・パヘスレベルになると、来日公演とかも行うだろうから、日本でも見れるんだけど・・・日本で見るとなると、たぶん、ビックリするくらい高いはず。今回のステージは、22ユーロで見れちゃったんだけど、これ、日本でみたら、1万円くらいするんじゃないの?