Go to Zaragoza
このもてなしは、日本語書きとネクタイ結びだけでは

2012.9.14 / Spain(Cambrils~Zaragoza) 本日 229km移動(自転車0km走行) : Total 40182km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→グラビノーラ 昼飯→ソーセージと豆 夕飯→タパス / 宿→カルロスの実家

(English)
 Today I had been to Zaragoza with Carlos. This town is Carlos's home town. I met Carlos's mother and she guided around Zaragoza town for me.



 昨晩、「ココがヨシの家であり、ヨシの部屋だから」と一部屋与えていただき、そこにあったソファーをベッドにして寝かせてもらい、快眠。そんな、カンブリルスのカルロス宅では、しばらくノンビリ休息させてもらうつもりで来たのだが・・・カルロスには計画があるらしい。今日の午後から、カルロスの生まれ故郷である、サラゴサっていう街に帰ることになっていて、そのサラゴサにオイラを連れて行くということなのだ。

 おお、ここで、ノンビリってワケじゃないのねん。

 今日の午前中の仕事が終わってしまえば、一週間ほどの長期休暇が取れることになっているというカルロス。その休暇で、サラゴサに帰ることになっていて。で、その休暇中のサラゴサに居る間なら、オイラとずっと付き合えるということで、オイラには、13日に来てと、日付指定で再会を約束してきたのだったのだ。

 ふむむ、いろいろ気を使わせてしまって申し訳ない。

 さて、とりあえず、午前中は仕事に行くというカルロスとサラ。飯は適当に冷蔵庫に入っているものを食っていいから、あ、洗濯機も使い方分かるよね。そして、鍵はココに置いておくね。と、至れりつくせりの言葉を残して、出かけて行った。

 う~ん、それにしても、ホント、こう、人を信用するっていうか、旅人を家に泊めて、鍵まで預けて仕事にでちゃうっていうのがスゴイっていうか・・・旅に出るまで、こういう感覚、信じられなかったな。っていうか、こういうことを出来る人たちがいるっていうことを知らなかった。

 さてさて、残されたオイラは、まず洗濯。手洗いばかりで、十分に汚れ落としが出来ていない衣類も全部洗濯機に入れ、全自動。あ~、この洗濯機が使えるってのは、ホントありがたい。

 シャワーを浴びて、飯をいただいた後、洗濯機が洗濯し終えるまで、近くの海岸を散歩。カルロス宅、目の前がビーチにあるという、超ナイスなロケーション。海好きのオイラとしては、うらやましい限りですわ。しかも、若い女の子がトップレスという、さらにナイスポイントな海岸だし。

 さてさて、散歩から帰って、洗濯し終えていた衣類を干し、カルロスの帰宅を待つ。で、14時頃戻ってきたカルロスが「お腹空いたかい?」と。実はめっちゃ空いていたのだが、そこは遠慮がちに「うん、ちょっとだけね」と言ったところ、「じゃあ、昼飯を作るから、これを食べて待ってて」と、出してくれたのが、オリーブとオリーブオイルと、チーズとパン。スペインではベルムーと言って、昼食前に、小腹を満たすちょっとしたものを食べる習慣があるという。で、ベルムーで出してくれたオリーブオイルは、パンにかけて食べるのがスペイン流。スペインではなんでもオリーブオイル。ちなみに、この<Mestral>というおブランドのオリーブオイル、この辺で作られている、めっちゃ美味いオリーブオイルらしい。スペインの食品展で何度も賞を受賞しているものらしい。そんなオリーブオイルなのだが・・・まだオリーブオイルの味の違いが分からないオイラは、「なるほど、これが、最高級のオリーブオイルなのね」と、とりあえず、舌は分かっていないが言葉で頭を納得させる。で、オイラがそのベルムーをつまんでいる間に、カルロスは、焼いたソーセージに豆をあえたのを作ってくれた。ああ、なんか手伝いたいのだが、手際よくこなすカルロスにつけ入る隙がない。ただ、周囲をウロウロして写真撮るだけのオイラ。で、「これ、簡単にできるからよく作るんだよ」と、手早く用意してくれた昼食をいただく。美味い。

 そして出発。「サラゴサには3日くらい滞在する予定だから、そのつもりで持っていくものを用意して」と言われ、小旅行セットをまとめる。グレゴリーのバックと、ナップザックのバック2つセット。後の荷物は、3日後に戻ってくることだし、そのままここに置かせてもらうことに。

 で、車に乗り込むオイラとカルロス。「あれ?サラは一緒に行かないの?」「うん、サラは仕事があるから、行くのは僕達だけ」と。ほほ~、3日も彼女と離れてていいのかい?と聞いたところ、実はカルロス、オイラに会う直前まで、3週間ほどアメリカ旅行に行ってて、ずっとサラと一緒だったそうだ。ふむふむ、だったら大丈夫だね・・・って、え?この前まで3週間夏休み休暇があって、さらにまだ、いなかに帰る休みが取れちゃうの?ヨーロッパ人、休暇が十分に取れる仕事スタイルだとは聞いていたけど、こんなにも、自由な感じだとは・・・予想以上ですわ。日本の会社だったらありえないっすわ。

 さてさて、走り始めた車。サラゴサまでの旅路、途中、マドレ(母親)が喜ぶからと、美味しい果物を作っている農園に立ち寄って、お母さんへのお土産に、袋一杯の果物を購入。物価が高いといわれるヨーロッパですが、それは、途中で人が介するから、サービス料が加算されて高くなっちゃうんですよ。人件費やタックスが高いヨーロッパですから。なので、生産者から直で買うと、ビックリするくらい安く買える。ふむむ、一つ勉強になった。これ以降、走っている途中でフルーツ農園とかあったら、寄っていくことにしようかな。

 さて、そんなこんなサラゴサに到着。早速、カルロスの実家へ。お邪魔すると、まず、飼い猫のイギリスキャットのアガタがお出迎えしてくれた。かわいいやつだが、カメラ嫌い。ちょっかいだすと、ジッとオイラの顔を見つめているくせに、レンズを向けた瞬間、そっぽを向く。

 そんなアガタと戯れていたら、カルロスのマドレのカルメンおばちゃんが登場。「ファン(カルロスのセカンドネーム)から話は聞いているわよ。サラゴサに居る間は、この部屋を自由に使って」と、ここでも、一部屋お借りすることに。いや、またまた、ありがたい話です。ムッチャグラシアスです、ハイ。

 さて、キッチンに案内され、飲み物とか果物をいただいてくつろいでいたところに、カルロスが「ヨシ、仕事だ」と紙とペンをもってやってきた。カルロスは、今日、これから友人の結婚式に参加するらしく、そのメッセージカードに日本語でお祝いの言葉を書いて欲しいとのこと。なんでも、その友人はかなりの日本びいきらしいのだ。それくらいのことなら、たやすい御用、と書き始めたのだが・・・<御結婚>と書こうとして、<御>の字を忘れていることに気づいた。ふおお、パソコンで日本語打ちはやっているものの、実際に文字を書くのは久々なもんだから・・・忘れちゃうもんですな。これはヤバイと、<御>は<ご>とひらがなで書くことに。他にも忘れてしまった言葉があるかもしんないから、一旦下書きさせてもらって、いざ本番執筆。

 さて、無事、失敗せずに書けたメッセージカードをカルロスに渡そうと、待っていたら、「ヨシ、もう一つ、仕事」と、礼服に着替えたカルロスが、左手にネクタイを持ってやってきた。「ネクタイの結び方がわからないんだよ」と。スペインではめったにネクタイなんてしないらしい。なので、忘れちゃったから、ヨシ、結んでくれとのこと。カルメンおばちゃんも、わからないという。しょうがないなぁ、そういうことなら、おまかせ。日本の会社員の芸術的なネクタイ結びを披露することにしましょうか。リサーチャー時代はネクタイなんてほとんどしていなかったオイラだが、マーケッター時代はほぼ毎日ネクタイをして会社に行ってたからな。4年間、ネクタイなんて触ってもいなかったが、これは、手が覚えている。

 と、まぁ、日本語書きとネクタイ結びという仕事をこなしたオイラだが、カルロスには、それくらいのことでは申し訳ないくらいのことをしてもらっているわけでして。ええ、こんなことで謙虚な心を失くしてはいけない。

 さて、そのまま結婚式に出かけていってしまったカルロス。残されたのはオイラと、カルメンおばちゃん。そんなカルメンおばちゃんが、これから、サラゴサの街を案内してくれるという。「え?いいのですか?」「だって、ここに居ても暇でしょ。せっかくサラゴサに来てくれたんだから、案内するわよ。」

 ということで、カルメンおばちゃんとサラゴサの街歩き。いやぁ、スペイン語がそれなりに理解できるレベルでよかったよ。とりあえず、つたないながらも、なんとかカルメンおばちゃんとコミュニケーションをとり続けることができて、きまづい雰囲気にならなかったからな。というか、陽気なラテンおばちゃんであるカルメンおばちゃんは、常に、いい雰囲気を作ってくれていたから、すごく、楽しい時間をすごせましたよん。それにしても、ファンキーなおばちゃんだ。突然息子が連れてきた、カタコトしかスペイン語を話せない外国人を、連れ歩いてくれるのだから。オイラの母親にこの芸当ができるだろうか?

 そんなカルメンおばちゃんに、サラゴサのシンボルでもあるピラールに連れて行ってくれたあと、目抜き通りを散策。その後、「お腹空いたでしょ」とバルに連れて行ってくれて、夕飯をごちそうしてもらった。

 その後、病院生活をしているカルメンおばちゃんの母親に会いに行くため、病院へ。オイラもつきそって、病院へ。う~ん、なんかめっちゃ自然体だな。飾ったところへ連れて行くわけではなく、カルメンおばちゃんがいつも生活している行動パターンに、つき合わせてもらっている感じが、とてもいい。こんなスペイン人の生活に入り込む体験、なかなかできるもんじゃないからな。さて、ベッドで寝たきりになっているおばあちゃんの部屋で、介護のため、働いてもらっているアントニエッタと出会った。彼女は、ペルーから出稼ぎに来ているらしい。スペインには、そうやって南米から来ている人がいっぱいいるようだ。ま、スペインだと、スペイン語通じるからね。他のヨーロッパ諸国に行くよりはスペインに来たほうが行動しやすいんでしょう。

 地元の人の生活を垣間見れる居候生活。チャリで走っているだけでは、見えてこないいろんなものが見えてくる。いいね、こういう旅スタイルも。ただ・・・オイラとしては、<お世話になっている>っていう恐縮する気持ちがないわけではない。が、カルロスやカルメンおばちゃんは、居心地いい空気を作ってくれる。そんな彼らなんで・・・恐縮して楽しまないのは返って失礼だ、と割り切って、せっかくだから、思いっきり甘えちゃおうっと。