Tambor in Calanda town
最高のスペイン・アラゴン体験

2012.9.15 / Spain(Zaragoza~Calanda~Zaragoza) 本日 257km移動(自転車0km走行) : Total 40182km走行
天気:晴
朝飯→シリアル 昼飯→パブロさん宅の家庭料理 夕飯→BBQ / 宿→カルロスの実家

(English)
 Today I went to Calanda with Carlos. In this town Carlos's friend live. I could play tambor with them. It's fun time for me. After Calanda, we were back to Zaragoza and went to Carlos's friends' birthday party. I had such a productive day today.



 朝起きて、シリアルをいただく。アガタがなにかモノ欲しそうに近づいてくるので、ミルクをあげたら、顔をミルクまみれにして飲んでいた。

 さて、カルロスが起きてきて、今日の予定を聞く。今日は、一日オイラに付き合ってくれるというカルロス。というか、カルロスの中で、予定がびっしり出来上がっていた。今日は、まず、アルカニスという町に寄った後、カランダという町に行き、カルロスの友人宅訪問。その後、サラゴサに戻ってきて、夜友人の誕生日パーティがあるのだが、昨日の結婚式とは違って、フランクなものだから、オイラも連れて行く、と。

 ということで、車に乗って、まずアルカニスという町へ。アルカニスは、こじんまりとしていい雰囲気の町だった。このアラゴン地方の典型的な地方町って感じの場所。カテドラルに入って、しばし雰囲気を楽しむ。

 そして、ここには、パラドールという、昔お城だったところを改築してホテルにしている施設があった。そこへ連れて行ってもらって、泊まるわけではないのだが、パラドール体験。

 その後、再び車に乗って、カランダという町へ。カランダではカルロスの友人のパブロさん宅を訪問。が、パブロさんは遊びに行っててまだ戻ってきていないというので、しばし、パブロさんのお父さんであるパブロおじちゃんと、お母さんであるロサマリおばさんが相手してくれ、パブロさんの帰りを待つ。

 さてさて、果物農園を経営しているおじちゃん宅は、農耕器具が壁に飾ってあって、興味深い。キョロキョロ眺めていたオイラに、おじちゃんが、いろいろ説明してくれた。そして、昨日もぎってきたという取れたての桃を出してくれたのだが・・・これ、まだちょっと食べるには早かった。もうちょっと寝かして熟したらめっちゃ美味くなるだろうに。

 さて、そんな農耕器具について熱弁を振るうパブロおじちゃんの背後に、さらに気になるものが。それはおじちゃんが座っている椅子に、ちょこんとかけてあった皮袋。おじちゃんは、話の途中で、ちょくちょく、これを取り出し、チューッと中に入っているワインを口の中へ放り込んでいたのだ。豪快な飲みっぷりに、ほぉ~と、歓心の声を上げるオイラに、「アラゴンでは、こうやってワインを飲むのだ!」と、おじちゃんは説明。が、そこですかさず、カルロスが「そんなことはない。これは、おじちゃん特別」と突っ込み。で、せっかくなので、オイラも、おじちゃん流ワイン飲みに挑戦させてもらうことに。これ、勢いが大切。躊躇していると、ワインがこぼれて大惨事になってしまう。開けた口に狙いをさだめて、皮袋を思いっきり絞る。そして・・・思いっきり絞った皮袋からは、思った以上のワインが口の中に入り込んでくる。これ、何度もトライできませぬ。1回やるだけで、相当酔える。

 さてさて、ワインをだいぶ飲んで、さらに饒舌になってきたパブロおじちゃん。オイラがチャリダーだということを聞き、チャリでユーラシア大陸を横断した友人の話をしはじめ、彼が書いたという本を持ち出してきてくれた。ふむふむ、スペイン語で書かれているからほとんど読めないが、挿入されている写真を見ているだけで楽しい。ほぼ、これからオイラが通るであろうルートだから、参考にもさせてもらうことにしよう。

 そして、さらに調子に乗ってきたパブロおじちゃんは「キミのことを気に入ったから、一曲歌ってあげよう」と、ロサマリおばさんのギター伴奏で一曲、浪々と歌い始めてくれたじゃないですか。これには、カルロスもビックリしていた。なんといっても、おじちゃんは、この辺では有名な歌い手らしい。日本で言えば、吉幾三レベル(いや、それは言いすぎか?)のおじちゃんが、いくら気に入ったからといって、一曲歌ってくれるなんて、と。いや、確かに、おじちゃんの歌はもう、上手いのレベルを超えた歌でしたよ、ハイ。

 そうこうしているうちに、パブロさんが戻ってきた。コロンビアから来ている友人のインデさんと、ロッククライミングを楽しんでいたらしい。二人が戻ってきたところで、ランチ開始。ミュール貝と、チーズのベルムーをつまみながら、おばちゃんが用意してくれるランチを待つ。豆のスープから始まったランチは絶品。そして、デザートのおばちゃんお手製のアップルケーキはさらに絶品でした。

 さて、ここで、オイラが太鼓に興味があるという話をしまして。というのも、部屋に太鼓が置かれていたし、カルロスから、ここは太鼓の町だっていう話を聞いていたのですよ。カランガへ向けて車で通ってきた道には<Ruta del Tambor y del Bombo(太鼓の道)>って看板に書かれてあったし。

 そしたら、ここカランダで毎年開かれる<太鼓(タンボール)祭>のビデオを見せてくれることに。KKK団みたいな怪しげな衣装を着込み、太鼓を叩きながら町を練り歩くこのお祭り。正午12時になった瞬間に、街中の人たちが一斉に太鼓を叩き始める瞬間に、思わず鳥肌が立ってしまった。あ~、これは生でも見てみたい。う~む、スペインにはまだまだ知られざる素敵な祭りがいっぱいあるもんなんだな。

 そんなビデオ鑑賞が終わったところで、パブロおじちゃんが、奥から大太鼓(ボンボ)を持ってきてくれた。そして、オイラに装着しろという。パブロさんは小太鼓(タンボール)を身につけ、オイラとセッション開始。大太鼓の叩き方は、パブロおじちゃんが、横で身振り手振りで教えてくれる。

 ふ~、まさか、ここで、太鼓修行が出来るとは!さっき、しこたま飲んだワインの酔いも一気に吹っ飛び、太鼓に集中。ええ、オイラ、太鼓となったら、どんな状況でも集中できるんです、ハイ。それにしても、楽しかったぜい、この太鼓セッション。ちなみに、カルロスも小太鼓を叩けるとのことで、途中から飛び入り参加。そして、大太鼓修行の後、オイラも、小太鼓も挑戦させてもらった。が・・・この小太鼓を叩くスティックが太いっていうのもあったのだが、全然スティックコントロールが出来なくなってて愕然とした。一応ね、ドラムセットを叩くドラマーではあるので、それなりにスティックコントロールは出来ていたのですよ。が、この旅の四年間、素手で叩く打楽器ばかりに挑戦してきて、スティックで叩く打楽器は久しぶり。ブラジルで、お遊びでヘピを叩いた時に、ちょっとスティック(といっても、ヘピのスティックはしなるので特殊なスティックだったのだが)を触って以来。いやぁ、カラダはコツを覚えてはいるのだが、手が動かなくなっているもんだ。ロールが上手く出来ず、パブロさんが教えてくれるロールやフラム&ドラッグ入りのフレーズに四苦八苦。ああ、スティックを使う打楽器なら、いいところを見せられると思ったのに・・・

 そんな感じで、全然かっこいいところを見せられなかったオイラであったが、太鼓が好きだという熱意は伝わったようで、終わった後、パブロおじちゃんから、「これ、プレゼントするよ」と、スティックをもらった。ありがと~、パブロおじちゃん、これで、旅中にスティックコントロールの練習をちゃんとやることにするよ。次回、カランダに来た時には、ぜひ、成長したオイラのドラムを聞いてください。

 その後、しばらく雑談をしていたら、あっという間に夕刻になってしまった。そろそろ戻らなきゃということで、名残惜しいんですが、パブロさん宅を後にすることに。

 あ~、このパブロさん宅訪問は、最高に楽しかったなぁ。スペインでこういう体験をしたいって思っていたことを全部させてくれちゃった感じ。すっかりパブロおじちゃんに気に入られちゃったオイラは、「またカランダにきたら、ここの戸をノックしろよ。喜んで迎えてやるからな」と言ってもらえて。これ、最高に嬉しい別れの言葉です。

 ちなみに、ここカランダ、あの<アンダルシアの犬>というシュールな映画を撮った、ルイス・ブニュエルの町でもある。音楽的にも映画的にも、オイラの興味を満たしてくれる素敵な町だったぞ、カランダ。オイラ一人旅だったら、たぶん訪れていなかった町だけど・・・人につれてきてもらうと、こういう広がりが嬉しい。

 さて、一旦、サラゴサのカルロスの実家に戻って、シャワーを浴びた後、再び外出。今晩は、カルロスの友人の誕生日パーティーがあるので、バーベキューなのだ。ああ、スペイン人はホントフィエスタ好きだな。毎日何かしらある。カルロスのところに来て、ノンビリ過ごそうと思っていたのに・・・パソコンを開いている暇なんてまったくない。この旅で一番忙しい日々を送っている気がする。

 で、カルロスの友人、イエルモさんの誕生日パーティには20人くらいの友人達が集まっていた。そんな中に、オイラはカルロスに紹介され突入。皆さん、フレンドリーなんで、何者かよく分からない日本人のオイラを快く受け入れてくれる。

 一応ね、簡単な会話ならついていけるんですけど、スペイン語。でも、友人同士が話すようなネイティブ会話になると、もう全然ついていけない。カルロスが、時々「今こんな話をしているんだ」と英語で通訳してくれるのだが、基本的にオイラは、なんとなく雰囲気で相槌を打つ役。

 ま、それでも、仲間同士でわいわいやっている雰囲気に交じれたのがうれしかった。ちょうどね、オイラの大学時代の友人から「今年も恒例の飲み会やるますよ~」というお誘いメール(オイラは日本にいないのは分かっているのだが、律儀にお誘いメールを送ってくれている)が来ていた時だったんで、なんか、ちょっぴり日本のことが思い出されて、切なくもなっちゃった。