Friendly People, Kindly People
何もないけど楽しいぞ、モルドバ走り

2013.10.22 / Moldova(Balti~Chişinău手前) 本日 自転車115km走行 : Total 49730km走行
天気:晴
朝飯→パン 昼飯→チキン 夕飯→スープ / 宿→Motel(200モルドバレイ)

(English)
 I run on Moldova road.



 昨日の晩は、バルティという町の入り口にある銅像の脇、というビミョウな場所にテントを張ってしまった。町の入り口となる大通りの中央分離帯が芝になっていて、周りがちょっとした木々で垣根になっていたのだが、道路からは、オイラのテントは丸見え状態。

 一応、町からもうちょっと離れると、人っけのない、林とかもあったので、そこにテントを張らせてもらおうと思って、行ってはみたんですよ。が、そこには野犬の群れが・・・近づくだけで、ワンワン吼えまくるので、こんなところで、野宿なんてできないと、諦め、しょうがないので、銅像の脇にテントを張っちゃったんです、ハイ。

 なので、今朝は、明るくなって、人目につく前に、テントをたたんで出発。

 さて、しばらく走っていたら、道脇に、なにやら見覚えのあるものが見えた。ん~、なんだったっけかな、これ・・・そうだ、ミーシャだ。

 オイラの世代か、それ以上の世代の人だったら、ピンとくるはず。そう、これは、1980年の夏にソ連で開催されたモスクワ五輪のマスコットキャラ<くまのミーシャ>。胸のところに五輪マークがついているから間違いない。当時、西側東側の争いがまだ残っていた時代で、共産圏で初めて開催されたこのオリンピックに、西側諸国は、選手団をボイコットさせるという、異例の事態に発展。スポーツの祭典に、政治の問題を絡めていいのか!という、点で、世間を騒然とさせていた、ニュース映像の片隅に、そんな人類の騒乱を小バカにするような表情をして映し出されてた、くまのミーシャが、子供心に、強烈に印象に残ってしまっていた。

 そういえば、モルドバは当時、ソ連だったからな。ここに、ミーシャがあってもおかしくはない。しかし、あれから30年以上も経つのに、まだ、あるっていうのは、ちと不思議だ。しかも、結構保存状態がいい。

 いやぁ、それにしても、こんなところで、30年も前の記憶が蘇させられるとは思ってもみなかった。これが、キャラクターのパワーってやつだな。今、ブームらしい、日本のゆるきゃらってやつも、そのうち、くまのミーシャのような存在になっていくのかもしれない。って、オイラは、今、どんなゆるきゃらが活躍しているのか、よくは知らないのだが。

 さてさて、モルドバでは、今日も、皆さんがオイラのことをかまってくれた。昼飯のパンを食べていたら、犬が次々と寄ってくるし、休憩しようと、ガソリンスタンドに立ち寄る度に、ガソリンスタンドのおじさんたちが「どこから来た?ベトナムか?」と、必ず話しかけてきてくれる。

 ところで、皆さん、口をそろえて「ベトナムから来たのか?」って聞いてくるのは、ナゼ?

 ま、とにかく、そんな感じで、現地の人たちと絡むチャンスが転がりまくっているモルドバ。やっぱり、こういうのが、楽しいのですよ。圧倒的な大自然の中を、一人孤高に走る、ノルウェーのようなチャリ旅も、そりゃ面白いのですが、こういう感じで、現地の人たちと絡みながら、ゆるやかに走るってのが、面白い。うん、オイラはどちらかというと、後者の旅スタイルの方が好きかも。ま、こういう<好み>はその時の気分によって、コロコロ変わるもんなんだけどね。少なくとも、今は、こういう<人との触れ合いチャリ旅>スタイルが、最高に心地いい。

 で、本人は気づかないうちに・・・浮き足立っていたんでしょうな。

 モルドバの首都キシナウに近づくにつれ、交通量が増えてきた。そして、道路工事もいたる所で行われていた。いつもだったら、こういう状況の道は、用心して、スピードを落とすオイラなのだが・・・この時は、テンションがあがっちゃっていたのか、そのままのスピードで、工事車両の間をすり抜けようとしてしまった。

 そんな工事車両の脇にある、工事中の道路の道路が、踏み固めてあるように見えるただの砂地だったって、気づいたのは、砂地にタイヤをとられ、自転車ごと、ひっくりこけた後だった。

 痛てて・・・

 久々にやってしまった。自転車ですっころぶなんて、ブラジルのボニート以来・・・いや、パタゴニアのウシュアイア到着直前でも、一回小コケしてたっけ。ま、とにかく、ブラジルの時も、パタゴニアの時も、いずれも、テンションが、あがりすぎちゃったために、起こった事故だった。

 テンション上がりすぎて走ると、コケるって、分かっていたのに。

 だから、走りには慎重になってきていたのに。でも、その慎重さを、忘れてしまうほど、モルドバは楽しかったのだ。うむむ、まぁ、楽しかったのだから、しょうがない。

 幸い、相棒のファニーバニーは、無傷だった。転んだ拍子に、バックが外れて、飛ばされちゃったりしたけど、ファニーバニー自身は、ナニゴトもなく、クルクルと、元気に前輪を回している。

 一方、オイラは、左膝を大きくすりむいてしまっていた。とりあえず、転んだ瞬間のアドレナリンのため、痛さはまだ、さほど、感じないのだが、これだけすりむいちゃっていれば、後から、激しく痛んでくるにちがいない。っていうか、痛みよりも、傷がついたってことが気になってしょうがなかった。というのも、ガーナ事件があったから。あの時は、歩いていて転んだのだが、つくってしまったすりむき傷を、放っておいたら、傷口が化膿して歩けなくなっちゃったのだ。

 今回は、ちゃんと消毒しなくちゃ、と思うも、ただ今、オイラの応急処置グッズには、消毒液がない。ガーナ事件の後、消毒液を買ってはおいたのだが、アフリカで買った消毒液の入れ物の蓋が、きっちり締まらないタイプだったので、中でダダ漏れしちゃって、消毒液は、なくなってしまっていたのだ。

 とりあえず、まずは、水で洗い流しておこう、と、水でジャバジャバやっていたら、工事現場で働いていたおじさんたちが、ワラワラと、オイラの周りに集まってきた。「大丈夫か?」と、心配してくれるのかと思いきや、「どこから来た?ベトナムか?」と、いつものパターン。そして、オイラよりも、相棒に興味を示し「すげ~な、これ、GPSってやつなのか?お、キシナウがうつっているぞ」と、ワイワイガヤガヤ。

 おほほ~い、ここに怪我をした人が転がっているんですけど。

 しかし、まぁ、オイラとしては、このおじさんたちの能天気さが、なんだかちょっと心地よかった。妙に心配されるよりは、放っておかれることで、そんな傷、大丈夫だよ、と言ってもらえている気がしたからかもしれない。

 ま、大丈夫だとは思うんだけれども・・・オイラとしては苦い経験があるので、このまま放っておくわけにはいかない。

 おじさんたちは、応急手当グッズらしきものは、何も持っていないとのことだったので、 とりあえず、走って、薬局を見つけたら、そこで、消毒液を買って手当てすることに。

 最後まで、オイラより、相棒に興味を示しっぱなしだった、おじさん達と別れ、キシナウ方面へ走り始める。

 が、全然薬局が見つからない。というか、キシナウに近づいているとはいえ、まだこの辺の周囲は、ド田舎。薬局どころか、家すらないところなのだ。

 と、ちょっと先に、ガソリンスタンドが見えてきた。そして、そのガソリンスタンドには、併設でモーテルがあるみたい。ちょうど、モーテルの入り口にオーナーらしき、おじさんが立っていたので、「ここいら辺に、薬局はありませんか?怪我をしちゃったので」と聞いたところ、「どれどれ、ちょっと見せてみろ」とおじさん。

 「これくらいの擦り傷ならば、ウチにある薬で手当てできそうだ。ちょっと寄っていけ」と、言ってくれまして。

 ということで、モーテル併設の食堂に入れてもらい、そこで、応急手当開始。傷口にかけると、ジョワーとなる消毒液をかけてくれた後、日本で言う赤チンみたいなのをつけてくれ、手当て完了。

 ありがとうございました、オーナー。

 無事消毒できたことで、気が緩んだのか、アドレナリンがおさまったようで、今度は、足が痛み始めた。キシナウまでは、もうちょっとの距離ではあるのだが・・・まぁ、そんなに急ぐ必要もない。今日は、このモーテルに泊まって、ゆっくり休むことに。

 いやぁ、しかし・・・何もないのに、いろんなことが起こるな、モルドバは。
































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