(English)
I stayed in Brasov.
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ここんところ、ホント宿に篭りっぱなしで、ひたすらパソコンと向かい合うだけの生活。いやぁ、たまには息抜きが必要でしょ、ということで、本日、オペラを見に行ってまいりやした。
オペラ・・・ヨーロッパに来たら、ぜひ、一度だけでいいから、体験しておきたかったんですよ。が、なにかと忙しいヨーロッパ滞在、なかなか見に行くチャンスが掴めなくて。
で、ブラショフのこの宿に泊まった当初に出会った台湾人のタイさんが、「この町のオペラハウスでオペラを見てきたわ。オススメよ」と教えてくれまして。それなら、オイラも。ようやくオペラを見るチャンスの到来か、と、実は、ブラショフ到着早々に、教えてもらったオペラハウスに、チケットを買いに行ってみたんです。
が、近い日程で行われる公演は全て売り切れてて。11月後半の公演しか空いてないと言われまして。その時には、さすがに、11月後半までブラショフに居ることはないだろう、って考えていたから、ああ、またチャンスを逃しちゃったか・・・って思っていたんです。
それなのに、結局11月後半までブラショフに居る流れになってきちゃったので・・・この間、もう一回オペラハウスに行ってきて、24日の公演のチケットを買っておいたんですよ。
ちなみに、オペラのチケット料金は、30ルーマニアレイ。900円ですわ、安っ!
演目は<Il Trobatore>。一応会場で、解説紙をもらったのだが、ルーマニア語のため読めず。Wikiによると、「ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラで、ヴェルディ中期の傑作の一つとされる」とのこと。物語の舞台は、15世紀のはじめのスペインアラゴン地方。うむむ、オイラの思い出の地、アラゴンのオペラってことで、めっちゃテンションがあがる。
さてさて、オペラを軽く考えていたオイラ。ま、映画やミュージカルや演劇と同列の、大衆娯楽でしょう、と。だから、服装は、いつものチャリ漕ぎ姿で行っちゃったんです。ま、着る服なんて、これくらいしかないから、替えようがないのだが。
が、会場に到着して、他の見に来ている方々を見て、愕然。めっちゃオシャレして来ているんですよ。男性は、スーツっぽい姿が原則だし、女性は、普段の町ではみかけないような素敵なドレスを着ている。子供も結構見に来ているんだけど、そんな子供も、みんなビシッとした格好で。普段しないようなオシャレをしてくるための場として、オペラは存在しているのではないか、と思っちゃったくらい、皆さん、キメまくってる。
オイラ、完全に浮きまくり。
オペラって、いわゆる大衆娯楽なんかではないんですな。これは、上流階級の人たちの娯楽。
・・・いや、娯楽と呼べるものですらなかった。これは芸術だった。
始まった舞台は、思っていた以上に<芸術>だった。うん、これは、娯楽っていうより、芸術鑑賞に近い。舞台は、一応物語りに沿って展開していくのだが、その展開は、歌手による歌唱で進められる。そして、歌手の歌う歌を、舞台前で、交響楽団がオーケストラチックに生伴奏する。
映画や演劇を期待してきたオイラとしては、完全に裏切られ、戸惑う。
さらに、台詞(歌詞)がわからない、ってのもあって、流れがイマイチ掴みきれないオイラは、役者があまり動かなくて、ただ、歌ってばかりいる舞台を、最初、どう楽しめばいいのかが、さっぱり分からなかった。
そして、1幕2舞台構成で、4幕まであるこの話。とにかく長い。18時半から始まって、終わったのが、22時。1幕終わるごとに休憩を挟むとはいえ、3時間半の長丁場。ひたすら、歌が歌われ続ける。
そんな長丁場のオペラを見ていて、途中で、そうか、オペラって、<歌>を楽しむものなのか、と気づいた。
そういえば、チケットを買う時、受付のおばちゃんが「この舞台は、この歌い手がいいのよ。若いけど、これから伸びるわ」と、舞台の内容より、歌い手の<歌>のことばかり言及してオススメしてくれていたし、休憩時間に、オペラ好きなのかい?と、話しかけてきたおじさんは、「いいだろう、この舞台のあの女の歌い手は。若くて声にハリがある」と、歌い手ばかりを褒めていた。ちなみに、このおじさんは、このオペラハウスの常連さんで、この演目も、これまでに何度もみたことがあるという。
物語の流れは、何度も見て知っているはずなのに、同じ演目をまた見に来るのは<歌い手>を見たいからなのだ、きっと。
<歌>を楽しむ。
これが、オペラの楽しみ方。映画や演劇のつもりで、見に来ちゃうと、オペラは戸惑う。ストーリーや展開を楽しむ映画や演劇とは違い、オペラは<歌>という芸術を楽しむものなのだ。うん、これは、どちらかといえば、クラシックのコンサートに近いと考えたほうがいいだろう。
歌に集中すればいいんだ、って分かったら、目の前の舞台を楽しめるようになった。ただ、残念なことに、オペラ的な歌い方ってやつは、オイラの好みじゃない。この歌い方が大好きって人なら、きっとオペラは病みつきになっちゃうんだろうけど・・・
この旅で、もう一回オペラを見に行くことはないだろうなぁ・・・ま、もう一回行かない最大の理由は、オペラのドレスコードにあう服なんて持ってないからなんだけど。
休憩時間に話しかけてくれたおじさんから「キミの格好は、オペラハウスではストレンジだね」と、突っ込まれちゃったんだもん。
ヨーロッパに来て、オペラを見に行く皆さん、行くときは、ちゃんとした服を着て見に行ったほうがいいです、ハイ。
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