社会主義の国Cuba

2008.12.20 / Cuba (Habana)

 I walked around town today.
 ホテルをチェックアウトし、荷物を積んだBD-1でHabanaの街を走る。目指すはラ・アバーナ・ビエハこと旧市街地区。MexicoCityのペンション・アミーゴでディエゴ君から聞いた、Habanaで安く泊まれるホワキナさんのCasa Paticularが旧市街地区にあるからだ。Casa Paticularとは自宅の一角をお客が泊まれるような部屋に改造した民宿。ホテルより安く泊まれるし、こちらの人の生活も垣間見れるということで、僕にとっては、願ったりの宿なんです。このCasa Paticular、実施するには、政府に許可を得て一定の額を納めなければならないらしい。許可が下りたCasa Paticularにはドアにマークが張られている。一方、一定の額を納めるのが嫌で、無許可で旅行者を泊める闇Casaなるものがあるそうで、宿代は相当安くなるようなのですが、近所からの通報などで、警察のガサ入れがあり、見つかると、泊まっている人は拘束され、さらに多額の違約金の請求があるとのこと。政府のお墨付きでないと商売が出来ないあたりが社会主義国ですねぇ・・・さて、ホワキナさんのところは、もちろん政府許可を受けたCasa Paticular。ドアのところにマークがありました。ドアのベルを鳴らし、自転車を中に入れる。ホワキナさんは、すごく明るくオープンなおばちゃん。まず、冷たい水とコーヒーをご馳走になりまして。Cubaの街はちょっと走っただけで、汗ばむ陽気なので、すぐにのどが乾きまして。さすが、わかってらっしゃる!と感じるもてなしを受けました。部屋は一室にベッドが二つある相部屋。バス、トイレは共同。キッチンもあるので、料理もできるとのこと。うーん、いい感じなので、3週間、ここを拠点にさせてもらおうっと。ちなみに、ホワキナおばさんからは「なんで直接家に来なかったの?空港では<宿があります>と言い張れば大丈夫なのに」と言われました。

 さて、街に出ると新市街地区であるVedadoとは違った町並みが広がっていました。細い路地の両脇には、古いスペイン様式の建物。路地には多くの人たちが溢れていました。

 そして、どうしても食べ物に興味が行ってしまうおいらとしては、街を歩いているとついつい、食べ物屋を探してしまう。旧市街地の名所と呼ばれるいわゆる観光地化しているところでは、外国人向けレストランが多くある。これらのレストランは、日本人感覚的にはリーズナブルな金額とも言えるけど、ここCubaの人たちからすれば、かなり高額のはず。Cubaの地元の人たちは地元の人たちで行く店があり、そこへ行けば、かなり安い値段で食べ物にありつけるのです・・・が、ここがCubaという国の不思議なところでして。実は、Cubaには2つの通貨があるのです。外国人向けのCuc(セウセ)と地元の人向けのCup(クバーナペソ)。宿代とか観光地での食事、土産等の代金はCucで支払う。僕らが銀行で両替をお願いするとCucで渡される。つまり、外貨稼ぎ向けのレートなわけだ。ちなみに、僕が両替した時のレートで1Cuc=100円くらいでした。一方、Cupは1Cuc=24Cupというレート。地元の人が行く店で、$10と書かれたハムとチーズがはさんであるだけのバーガー一個の値段を見て「これで1000円?」と最初は驚いたが、実はこれは人民ペソ値段の表記。換算すると40円ほど。そう考えると逆に驚くほど安いのだ。お店によってどちらの値段表記なのか確かめなければいけないってわけ。うーん、ややこしい。

 お金をなるべく節約しようと考えている僕は、CucをいくらかCupに両替してもらった後、地元の人たちが行くお店をいろいろ探索。で、店を覗くと、種類の少なさにビックリした。先ほどハムとチーズをはさんだバーガーを紹介したが、あるバーガー屋に一店に並べてあるバーガーはこれのみ。他に選択の余地がない。かといって他の店に行けば別のバーガーが食べられるかというと、他の店も似たようなもの。はさんでいる具が牛肉を焼いたものや、チキンを蒸したものかの差くらいなのだ。しかも、この焼いた牛肉も、筋があって固かったりする。Cubaでは食事は期待できないよという話は聞いていたが、なるほど、という感じ。だったら、自炊かと、生鮮食材を探そうとしたが、野菜がこれまた・・・ないのだ。トマトやサトイモっぽい根菜を扱っている店はいくつかあったのだが、どの店も、数種類の野菜しかない。これが社会主義的食料事情なのか?むむむ、こちらの人は、一体どんな食材で、どんな家庭料理を作っているのだろうか・・・

 種類が少ないのは、食べ物に限ったことではない。お店はいっぱいあるように見えるのだが、どの店にも同じようなものしか並べられていない。スーパーに入り、山のように並べられた多くの種類の製品から、買いたいものを選ぶという資本主義的モノ事情とは対極の世界がここにありました。

 Cubaは医療製品輸出が好調らしい。また、観光に訪れる人も多い。そうやって稼いだ外貨は、一旦国に入る仕組みになっており、国からは<生活に最低限必要なモノが安価に>提供される、というのが社会主義国Cubaの仕組み。稼いだお金は、国に行くわけだから、人々の働く態度は、とてものんびりしたもの(だから、どこへ行っても行列が出来ている)なワケだが、サービス精神らしきものを感じ、まぁいいかと思わされてしまうのは、ここの人々の根がラテンだからなのだろう。ひょっとしたら、このラテン的オープンさが社会主義をうまく成立させる上で重要なファクターなのかもしれない。