Pruebe para eco
ロライマ登山四日目:テストフォーエコー

2009.05.26 / Venezuela(Roraima) 本日自転車0km走行 : Total 9887km走行
天気:曇のち晴れ
朝飯→アリパ 昼飯→シーチキンサラダ 夕飯→ミートご飯 / 宿→テント泊(ツアー)

(English)
  We went to top of the mountain of roraima. The scene that we saw on there was quite beautiful. I couldn't say anything.



(Español)
  Subimos a la cuenta más alta del Mt. Roraima.
 朝、寒くて何度も目が覚める。山の朝をなめてはいけないです。曇り空で風がビュービュー吹いている外の景色は、これまたまったく見たことがない世界。この世界に一人でポツンと立っていると、この世界にオイラ一人だけ取り残されてしまったのではないかという猛烈な不安感に襲われる。

 さて、8:00過ぎに出発。今日は一日、頂上探索ツアーなのだ。まずは、El Fosoという滝に行くらしい。片道4時間くらいかかるとのコト。山の上を4時間歩くって・・・平らなテーブルマウンテンならではですな。

 岩から岩へと飛び移りながら、山頂をひたすら歩く。周囲は奇妙な形の岩だらけ。・・・が、もっと興奮するかと思っていたオイラの心は、正直なんかピンときていない。期待に届いていないっていうか・・・事前に情報を入れすぎちゃったせいかな。異世界感はあるけど、別世界に来ている感が薄いのだ。なんとなく知っちゃった世界に入り込んでいる視点・・・そうそう、モノを見るときの視点について、ちょっと興味深いお話を。<多重層理論>なる話をとある本で読みました。松尾芭蕉の「夏草や つわものどもが 夢の跡」という俳句の解釈をめぐる話です。まず、なんの教養も知識もない人が、この俳句を聞いても、それなりに面白い。で、調べてみると、この俳句を松尾芭蕉は、中尊寺金色堂で有名な奥州藤原氏の土地で読んだと知ります。すると、そこは、源義経が兄の頼朝から追われて逃げ込んだところだとわかるのです。そうすると、この句の<つわものども>が源義経や弁慶で<夢>は兄頼朝と戦っての全国制覇だなと理解が深まるのです。が、もっと調べてみると、藤原氏は頼朝から義経を出せと脅されながらそれでも拒否していたことを知ります。ここで、<つわものども>は藤原氏のことでもあり、藤原氏の<夢>が義経を利用しての全国制覇であったと理解が深まるのです。で、藤原氏の家紋が夏草であるユリであることを知るとさらに・・・と、とある<対象>に対して、知識の深さが、楽しみを深めてくれるという視点の理論なんです。そう、この理論で述べられているようなことを薄々感じているから、より深く楽しむために、どこかで何かを見るときに<事前に情報を得る>という行為にでるんです、オイラ達は、きっと。が、別世界の衝撃を楽しむためには、この<知識による世界の解釈>が邪魔になる。<こりゃスゴイ>とぶん殴られるような衝撃は、自分の解釈を超えたものに出会ったときに感じるものだから。知らなかったからこそ自分では解釈できない・・・そんな対面をした時、その対象を<スゴイ>って思うんでしょう。とはいうものの、情報がこれだけ氾濫している世界。全然知らないでいることのほうが難しい。だとすると、おとなしく<多重層理論>にのっとった、知識によるモノの楽しみ方に考え方にシフトしていくしかないのだろうか・・・

 なんだか、そんなコムズカシイことを考えながら4時間歩いてました。そして、辿り着いたEl Fosoの洞穴滝。さらに奥に行くと、ベネズエラとブラジル、ギアナの三国の国境であるトリプル・ポイントが見えてきた。このトリプル・ポイントをグルッとまわり、ブラジルとギアナにも入国(したことになるのかな?)。何故この地点にトリプル・ポイントがあるのか、ブラジル人のジョーが説明してくれたのだが、言葉がわからずうまく理解できず。残念。そしてEl Fosoに戻って昼食を済ませ、帰路につく。4時間かけて歩いてきてこれかぁ・・・とちょっぴりガッカリ間を感じながら歩いていると、別グループのパーティに遭遇。彼らはこれからロライマの山頂の中でも最高点となるマーベリックという岩に行くとのこと。ホセが、時間があるし、行きたいメンバーは一緒に行ってきたら?と。すると皆「行く」と即答。歩きつかれたオイラは、正直え~まだ歩くの?と思ったが、ついて行くことに。

 延々歩き続け、いい加減疲れ果て、途中でなんども<もう山には二度と登るもんか>と思う。ようやっとマーべリックに到着。といっても似たような岩が周囲にたくさんあるので、どれがマーべリックなのかは、ガイドのみぞ知る。そして、悪い足場になんども足をとられながら、上った地点で見たものは・・・

 そう、これが見たかったんです!

 歩きながら考えていたコムズカシイことを見事に吹っ飛ばしてくれた、想像を超えた自然の素晴らしい風景。片側はテーブルマウンテンの山頂がぐるりと一望でき、もう片側は切り立った崖とともに、ロライマ山の下に広がる柔らかい緑の山々を眼下に望む、超絶景のパノラマ風景。

 す、すごい・・・

 言葉を失いました。そして、切り立った崖の上に立ち、チンチンが縮みあがりました。

 いやぁ、やっぱり登ってよかった。この風景、一生に一度はこの眼で見ておかなきゃ。ガイドが言うには、オイラ達はラッキーで、マーべリックに登ってこんなに晴れ渡った風景を見れるのは稀とのこと。それにしても・・・ロライマは絶対ここがスポットです。例え天候が悪く、どんだけ待たされても、他のどこをすっとばしてでも、マーべリックには登るべきです。ここにくれば、ロライマ登山の辛さを全て洗い流してくれます。

 マーべリックに向かう時、辛いからホセと一緒に先に戻っていると帰ってしまったおじさん。エンジェルフォールもそうだったのだが、一番の見所は一番行きづらいところにあるものなのだ。やはり、疲れたからといって断念するのはもったいない。そして、この一番の見所を見なければ、「エンジェルフォールってイマイチだよね」とか「ロライマってイマイチだよね」と感じてしまうでしょう。実際、エンジェルフォールを身近に見れるハイキングに参加しなかったドイツ人のおじさんは、「エンジェルフォールってイマイチだったな」って言ってました。

 満足感で満たされ、岩場のホテルに戻る。夕飯を食べながら見た空はきれいな夕焼け空。ロライマ山頂での最後の夜を称えてくれているような巣晴らしい空であった。いつものように、日が暮れたらテントに入り就寝。テント生活、オイラは自転車旅で慣れているんだけど、初めてだとキツイのかも。テント生活初挑戦のヤジータは、しきりに眠れないと嘆いている。