Realidad dura y fantasía
辛い現実とファンタジー

2009.09.08 / Peru (Chuquicara~Yuracmarca) 本日自転車62km走行 : Total 13453km走行
天気:晴れ パンク:4
朝飯→パン+バナナ 昼飯→スナック 夕飯→ソパ+ポヨ / 宿→礼拝堂(タダ)

(English)
  Today I run on dirt road all day long.



(Español)
  Hoy corro todo el día mucho tiempo en camino de suciedad.
 Chuquicaraを出ると、すぐに未舗装道路が始まった。Cajamarcaからの道も未舗装で大変だったのだが、ここからの未舗装道路は、それ以上。石がゴロゴロしている岩場道が続くのだ。これはグアテマラでティカルに向かう時に通った山道並みのヒドさ。久々に、平地なのに、自転車を押して進まねばならぬという状態に陥ったのであった。目標としている60km先の町まで、しばらく川沿いの平坦な道が続くと地図には書かれていたので、今日は楽勝だと思っていたのだが、この道の状態は予想外だった。未舗装とは聞いていたがここまで悪路とは・・・う~ん、この道、他のチャリダーの皆さんは、普通に自転車をこいで進んでいるのであろうか?

 ひたすら、自転車を押し進める。車もほとんど通らない、断崖に作られた道。隣に流れる川の音だけが聞こえる。あぁ、孤独だ。またしても、この世には自分だけが取り残されてしまったのではないか、という感覚に襲われる。日中、外で移動しているにも関わらず2時間人に会わないと、そんな気持ちになってきます。これ不思議。

 そして、岩道を無理やり進めているからなのか、パンクが頻繁に発生。あぁ、泣けてきます。ここんところ、毎日のようにパンクが生じてまして。以前はこんなにパンクしなかったのに。最近変えたことってなんかあったっけ・・・?とパンクを修理しながら、考えてみたのです。すると、一点思い当たることが。そうそう、ずっと、タイヤは、SCHWALBEのMARATHON PLUSを履かせていたのですが、後輪タイヤが磨耗しちゃったので、BD-1オリジナルタイヤに替えていたんです。で、パンクが生じ始めたのは、タイヤを交換した時から。ここんところ続くパンクは、ひょっとしてタイヤが原因なのではないか?と。そこで、買いだめしておいたSCHWALBE、MARATHON PLUSの最後の1本を履かせて走り始めたところ、パンクがピタリとおさまりまして。やはり、タイヤはMARATHON PLUSでないと、ダメみたい。今、予備のタイヤが一応4本あるんだけど、これらを履かせても・・・一日3回パンクに悩まされることになる。うぬぬ・・・リマでなんとしてもMARATHON PLUSを手に入れなきゃ。これからの旅が不安だ。

 そんな新たな悩みを頭に抱えつつ、道を進む。岩場を削ったトンネルをいくつもくぐり、とにかく前へ。16時頃、ようやく、レストランを発見。店もない道をずぅっと進んできたので、お昼はスナック菓子のみ。が、あまりにも空腹になりすぎて、逆に食べ物を食べたい気分ではなくなっていた。しかも、レストランのオジさんに聞くと、Yuracmarcaまでは、後10kmちょいくらいだが、町に着く直前にひたすら登り坂になる、とのこと。辿り着けるのかいな、Yuracmarcaまで、と不安になり、先を急ぐことに。とりあえず、オジさんが勧めてくれた、アイスを3ペソで購入。急いで食べたら、頭がキーンと痛くなった。久々の感覚だ、これ。

 アイスを食べ終え、再び押し進み開始。とにかく、今日は辛い。やっぱりアンデスに向かうのは辞めておけばよかった、なんて考えながら、フト前を見ると、厳しい表情の茶色い断崖山の向こうにチラリと見える白い山肌。おぉ、もうちょっとがんばったら、素敵な風景に出会えるのか?と妄想が膨らみ始める。そう、辛い現実に負けないようにするには、<この先にきっといいことがあるぜ>という根拠ない妄想、ファンタジーを思い描くことが重要なんです。ファンタジーが旅を前進させる駆動力となるのです。

 さて、この先に広がるであろう山々の雄大な姿を、勝手に頭に抱きつつ、さらにしばらく進んでいると、山の上のほうに、町らしきものが見えてきた。おそらくあれがYuracmarcaなのだろう。が、今の標高は900mくらい。Yuracmarcaは1400mにあるという。600mも上るのかいな、これから・・・時計を見ると、もう17時を回っている。到着する頃には確実に日が暮れる・・・と思っていたら、早速暗くなりはじめてきた。高い山に囲まれているここでは、日が陰るのが早い。山道には街灯なんてものはなく、次第に闇が迫ってくる。進む道をぼんやり照らす自転車の小さなマグライトだけが頼り。真っ暗になった中、ようやく町に到着。

 町の人に宿の場所を聞くも、「ホテルはもうちょっと行ったところにあるよ」と言う人や、「この町にホテルはない」と言う人など、聞く人によって答えが違う。そして、宿は全然見つからない。えぇいメンドクサイ、もうテントでも張るかと思っていたところ、一人のオジさんが、宿に案内してくれるという。しばらくおじさんに付いて行くと、「あのセニョーラに聞いてみな」と一人のオバさんを教えてくれた。おぉ、あのオバさんが宿のオーナーか、と思って、オバさんに「部屋はありますか?」と聞くと、オバさんは怪訝な顔。ん?あれ?通じてないのかな?と思って「眠る場所を探しているんですけど」と言い直すと、「ああ、寝る場所ね、ついてきなさい」と、案内してくれる様子。よかった、とりあえず、この砂埃まみれの体をシャワーだな、なんて考えながらついていくと、連れていかれたところは、どうみても礼拝堂。中にはキリストの像がポツンと飾ってあるだけのコンクリート作りの四角い部屋だった。「テントとか、寝袋は持っているんでしょ」と、オバさん。「はい・・・」「ドアは鍵がないけど、この辺は安全だから大丈夫よ。」うぬぬ、いつか教会とか礼拝堂にはお世話になると思っていたのだが、それが、まさか、今日とは。あぁ、でも壁があるだけありがたいです。シャワーはなくとも我慢します、すぐ寝ることにしますんで。