Reserva Nacional Cello Castillo I
この旅初の単独長距離トレッキングはムチャだらけ(セロ・カスティージョトレッキング一日目)

2010.11.18 / Chile (Villa Cello Castillo) 本日 自転車0km走行 : Total 24029km走行
天気:曇時々雨
朝飯→ご飯 昼飯→パン 夕飯→ふりかけご飯 / 宿→テント泊

(English)
 Today I treak around Cello Castillo.



(Español)
 Hoy doy una vuelta Cello Castillo.
 グレゴリーのバックに、テントと寝袋、マット、アンダーシャツ、股引、歯ブラシを詰め、ナップザックに、お弁当、パン、スナック菓子、水を詰め、トレッキング準備完了。1泊2日でのセロ・カスティージョトレッキング。単独での泊トレッキングはこの旅初だ。ちょいとした不安でドキドキする。

 宿に自転車と残りの荷物を置かせてもらい、慣れない荷物を背負い、宿のオバちゃんに借りた地図を片手に、出発。

 町から出てトレッキングルートに入るところで、ちょうど、これから、山の麓を馬に乗って巡るというホースライディングツアーの人たちに出くわした。「アミーゴ、どこへいくんだい?」と声かけられたので、「セロ・カスティージョトレッキングに行ってきます」と答えると、「今、セラドだ(閉まっている)よ」と言ってきた。うむむ、やはり公式的には、今、トレッキングは出来ない状態のようだ。しかし、オイラとしては、もう、行く気満々だし、ここで引き返すわけにはいかない。とりあえず、行ける所まで行ってみて、ムリなようだったら引き返してくればいいやと、前へ進むのであった。

 トレッキングマップに従い、セロ・カスティージョの左手側から登るべく、しばらくイバニェス川沿いの道を歩く。右手側から登れれば早いのに・・・と思うも、もらったトレッキングマップには載っていないので、わざわざ遠回りしての登山に挑むオイラであった(後から、別のトレッキングマップを見たところ、右手側からのルートもあったらしいことが判明)。

 6kmほどトレッキングルートが続いていたのだが、そのルートが草原に入った途端、道がよく分からなくなった。ハッキリとした道がなくなり、それとなく道らしき跡が、いくつにも分岐して先へのびている。前回、ラス・ガビオタスでトレッキングをした時、道が分からなくなったことがあったのだが、適当に進んでいたら、再びトレッキングルートに戻れたので、今回も、それっぽい道を歩いていけば、トレッキングルートから大幅に逸れることはなく、どこかで本道へとぶつかるだろう、と、軽く考え、適当な道を進むことに。

 この甘い判断が、後々の大変な事態に導く、導火線になってしまっていることに、この時にはまったく気付いていなかったのであった。

 しばらく草原が続く。誰かが歩いたであろう、草の倒れ方が周囲とは異なっており、道のように見えるラインを辿って前へと進む。草原を抜けると、目の前には木々が生える林が広がっていた。目の前から道らしきものは見えなくなった。ただ、地図とGPSを見比べると、方向的には間違っていない。まぁ、手元にGPSがあるし、ラス・ガビオタスで森の中を彷徨っても大丈夫だった経験から、道のない林の中に突入することに。

 ここで引き返しておけば、まだ傷は浅くてすんだろうに・・・

 林は結構斜面になっており、そもそも道のない足場の悪い中、木々の根に足をかけながら、前へと進む。と、林を抜け、ふたたび草原地帯へと出た。草原地帯に出ると、また誰かが歩いたであろう草のラインが見えてきた。おお、やっぱりこっちで大丈夫だったんだ、と安心して歩きだす。

 その草のラインは、おそらく動物がつけたものであって、人が歩いた道ではなかったんだろうと気付くのは、まだまだ先の話。

 再び草原を歩くと、また林地帯へと辿り着いた。ここから先は、まさに山上り地域となっており、斜面が急勾配になっている。しかも、見上げた先、林を抜けたところからは、岩場がひたすら続いている。この林を抜けたところで、登れる道はあるのか?と、キョロキョロ探してみるも、それらしき道は見当たらない。まぁ、道って意外と下から見ると見えなかったりするしなぁ、と自転車での峠越えの経験から判断し、とりあえず、このまま再び強引に林抜けをすることに。

 もはや、気持ち的に引き返すという選択ができなくなり、どんどん深みへと嵌っていくオイラ。おそらく、山で遭難して帰れなくなってしまう人の心境とはこういうものなのでしょう。今にして思えば、無事生還できたオイラはただラッキーだったとしかいいようがないほど、ひどい彷徨い方へと展開していく。

 林を抜けたところで、目の前に広がっていたのは、まさに岩場。しかもほぼ直角に見える急勾配。ロッククライミング登山でしか登れないような状況だ。ココへ来て、さすがに、オカシイと気付き始めたオイラ。ここは本道ではない。とにかく本道へと辿り着かなきゃ、と思いはじめる。そこまでは正しい思考であったのだが、ここからがおかしくなってきた。目の前に広がる岩場を見て・・・この岩場を上りきれば道が見えてくるかも、と、今考えると、とんでもない判断をしはじめたのだ。ほぼ垂直な岩場を素手でのぼりはじめる・・・とにかく、手と足を滑らせないように、しっかりと握り部と足掛け部を確かめながら、登る。10mくらい登ったところで、段になっているところがあり、休息ができた。と、そこで上を見上げるも、ひたすら、崖が続いている。道らしきものなんて見えない。しかも、さらに岩場は厳しさを増してみえる。

 これは・・・引き返したほうがいいのではないか・・・途中何度も、帰ろうかと思いつつも、とにかく前に進んできたオイラ、ここで初めて、引き返すという選択をするのであった。再び判断としては正しい方向に向かい始めているのだ・・・が、そもそもこの岩場を登るという判断が大きすぎる誤りであった。この岩場、登るより、降りるほうが怖い。登る時は、ひたすら上を見ながら行けばいいのだが、降りは、下を見なければいけない。平地がはるか下に見える眼下の風景は恐怖以外のなにものでもない。登る時以上に、神経を使い、脂汗を垂らしながら、下るも・・・一瞬の気の緩みからか、足を滑らせた!!!そのまま崖を滑り落ちるオイラ。あぁ、このまま死ぬのかも、と一瞬死が頭をかすめたものの、奇跡的に、背負っていたグレゴリーバッグが岩にひっかかり、止まることができた。しかも結構滑り落ちたにもかかわらず、傷は、左手手首の擦り傷のみ。ふ~・・・

 今考えると、ホントここは無謀過ぎ。まず、あの崖を登るという判断をした時点で頭がおかしい。

 とりあえず、2度目の林を抜けた地点まで戻る。そこから、上へではなく、横へ移動し、どこかにあるであろうトレッキングルートの本道を探すことに。しかし、そこから横に広がっているのは、ゴロゴロとした巨大な岩が瓦礫となっている場所。まぁ、さっきの急勾配な崖を登るよりは楽だ、と歩き始めるオイラ。

 いやいや、実はこういう場所が一番危ない。なんといっても、突然岩が崩れ、足元がなくなってしまう可能性もあったし、頭の上から巨大な岩が転がってくる可能性だってあったのだ。

 岩場を抜けると、今度は砂地が広がっていた。踏ん張れない足元にイライラしながら前に進み、なんとか、セロ・カスティージョの左端へと辿り着く。と、再び見えてきた緑の林の中に、土色の一筋のラインがかすかに見えた。ひょっとして、あれが、トレッキングルートなのでは・・・急いで近づこうとするオイラ。しかし、目の前に立ちふさがるのは、眼下に小川が見える谷。あちら側に見えるトレッキングルートらしき場所に辿り着くには、この谷を越えなければならないのだ。急な崖を降りる怖さは、先ほど身に沁みて体験したオイラ。なんとか勾配の緩い箇所はないものかと、谷沿いに歩きまわり、一番勾配が緩いであろうと思われる場所から降り、なんとか小川を渡る。その後、林の中を上り、先ほど見えた土色のラインの場所へ・・・いや、それは、明らかに、トレッキングルートでした。ようやく、本道のルートに辿り着くことができたのです。安堵と喜びで胸がいっぱいになったオイラ、これまでのあまりにも過酷だった山上りに疲れきってしまっていたので、もう、このままトレッキングルートを辿って帰ってしまおうか、との想いが頭をかすめる。

 いや、せっかくきたんだから、もうちょっとがんばってみようよ、というもう一人の自分の励ましに後押されして、とにかく登る方向で前に進むことに。しばらく進むと、分岐点が見えてきた。右に進むと、セロ・カスティージョの正面へ回り込むことになり、左に進むと、セロ・カスティージョの後ろ側へと回り込むことになる。当初の計画では、正面へと回り込み、、セロ・カスティージョの正面姿を拝んでから戻ってくることを考えていたので、右へ進んでみたのだが、なにやらトレッキングルートが怪しいことになっている。道があって無いような状態になっていて・・・トレッキングルートを見失い、ひどい目にあったオイラは、ここで臆してしまった。まぁ、道が確実に続いてそうな左へ進んで、後ろからでもセロ・カスティージョが見れればいいやと判断。左ルートを歩いていくことにしたのでした。

 ココから先は、これまでの道と比べたら、雲泥の差がある歩きやすいトレッキングルートが続く。そうだよなぁ、トレッキングは本来こういうものだよなぁ・・・、と、トレッキングルートをロストしてしまったことをしきりに悔やみながら、前へ進む。そして、18時頃には、キャンプ地に到着。ここから素敵な眺めが拝めるはずなのだが、空はあいにく雨模様。しとしとと雨が降っており、周囲の景色はまったく見えない。寒いし、疲れ果てているしと、サッサとテントを張って、中に篭るオイラであった。

 あぁ~なんか、今日は、反省だらけの山歩きだ。振り返れば、ホント、無事だったのが奇跡と思えるほどムチャしてたし・・・こわっ