Reserva Nacional Cello Castillo II
今度は登山解禁後に・・・いつの日かリベンジを(セロ・カスティージョトレッキング二日目)

2010.11.19 / Chile (Villa Cello Castillo) 本日 自転車0km走行 : Total 24029km走行
天気:雪のち晴
朝飯→ふりかけご飯 昼飯→パン 夕飯→カレーチャーハン / 宿→Hospedaje Austral(5000ペソ)

(English)
 Today was 2nd day of treaking around Cello Castillo.



(Español)
 Hoy era 2 día de dar una vuelta Cello Castillo.
 山の朝は、超寒い。マットがなかったら、凍えていたかもしれないというほど、地面が冷え、朝方、寒さで何度も目が覚めてしまう。まんじりとも眠れなかった状態で、朝を迎えることとなってしまった。6時、日の出を見ようと、キャンプ場からちょっと離れた高台に登りはじめる。外は雪がぱらついている。この辺は、まだまだ<雪>が降るのだ。そんな雪が積もっており、行く手には雪の塊がたくさん残っている。雪の上を歩くのは危険と判断し、なるべく土の上をあるこうとするのだが、巨大な雪の塊が広がっている地帯などもある。そんな場所では、大きく迂回せねばならず、なかなか上へと辿り着けない。

 暗かった空の色が次第にクリアなブルーへと変わっていく。日の出・・・は見えない。というのも、東側は、セロ・カスティージョがそびえたっており、セロ・カスティージョは、日の出の時刻には、逆光を浴びた神々しい姿になるのだ。マダマダ空には雲が多かったのだが、流れが速く、時折見せる青空が心地よい朝の風景を演出してくれる。

 高台から見る風景は、周囲を完全に雪山で囲まれた絶景。ああ、この風景を見るために、苦労してここまで来たんだ、と納得できるほど、厳しくも雄大なる風景が広がっていた。

 しばし、風景を堪能した後、キャンプ場へと戻り、テントをたたむ。さて、ここからセロ・カスティージョの正面に回るトレッキングルートがあるらしいのだが、道が見つからない。もし、道があるようだったら、そちらを辿って行ってみようかと思っていたのだが、道がないので諦める。もと来たトレッキングルートを辿り、下山開始。快調なペースで、進む。と、再び、昨日、行こうかどうしようか迷ったセロ・カスティージョの正面へと回り込む分岐点へと辿り着いた。時間はまだ午前中。このまま下ってしまうには時間がまだ早い。ちょっと、行ってみようかと、正面への道へ入り込んで見る。道があってないように見えたのは、分岐点周辺のみで、このトレッキングルート、入り込んでみると、途中途中に、マーキングがしてあったり、方向を示す矢印の看板があったりと、それなりにトレッキングルートが分かる道になっていた。ただし、結構急な登り坂になっており、山上り道となる。まぁ、とりあえず登ってみるかと、歩き始め、息を切らしながら、なんとか登りきると・・・そこからは、これまた絶景が広がっていた。セロ・カスティージョを真横に望み、眼下にイバーニェス川が流れるビジャ・セロ・カスティージョの町がある谷、そして、雪化粧した山々と、まさに360度絶景が広がる大パノラマ風景。こ、これは気持ちよい・・・今日二度目となる絶景感動を堪能。

 さぁ、後一山超えれば、セロ・カスティージョの正面に回りこめるぞ、と前に進もうとしたところで、道が分からなくなった。というか、道がないのだ。目の前に見えるのは、ところどころ雪が残る、土色の砂地山・・・ここでオイラの頭の中には、昨日、トレッキングルートが無い状態での厳しすぎた山登り記憶がフラッシュバックされてきた。あの想いは、もういやだ・・・それに、先には雪が見える。雪が多くて危険だから今は閉山されているという話もしてたしなぁ・・・ここで、前に進むことを臆してしまうオイラ。標高高い場所で、ものすごい横風が吹き荒れていたということもあり、思考能力が低下していたオイラは、感覚的にムリという判断をし、そのままもと来た道を引き返すことにしたのでした。

 そして、しばらく降りてきて、トレッキングルート沿いに備え付けられてあるベンチに座り、一休憩。風もおさまり、気分も落ち着いてきたところで、改めて思考してみると、もしかしたら、行けたんじゃないのか?という思いがムクムクと心に湧きあがってきた。道は確かに見つけられなかったかもしれないけど、昨日の崖に比べたら、緩やかな峰づたいの場所だし、目標地点は見えているわけだから迷いようもない。セロ・カスティージョの正面に回れば、スゴイ氷河も見れたかもしれないし、なにより、オイラが惚れ込んだ、正面からの姿が間近で見れたのに・・・と悔やみの気持ちで溢れてきたのだ。

 そう、ある程度下山して落ち着いて考えればいろいろ考えられるんだ。でも、登っている最中、特に状況が厳しい状態であればあるほど、思考は窮屈な思い込みに縛られることになる。思考が縛られた状態では、ある判断をすると、それしか考えられなくなる。他の選択肢、可能性があるのだろうが、それが見えなくなる。人間、テンパってしまうと、どうしても、思考が絞られてしまうんだろう。

 一方で、そのテンパリ具合は、経験によって和らげられるはず。今回、初めての単独での泊トレッキングということで、出会う状況がイチイチ新しく、広い思考ができるほどの心のゆとりをもてなかった。だけど、今回経験し、いろいろと反省をしたことで、次のトレッキングでは、もうちょっと、後で後悔しない判断ができるようになってくるんだろうと思う。今回は、正直、気持ち的にいろいろ、負けました。大好きなセロ・カスティージョでの敗北は、残念だけど、これから行くであろう、フィッツロイ、パイネのトレッキングは、この経験を踏まえて、より楽しめれば、と思う。そうすれば、この敗北も価値あるものだったと考えられるようになる。

 そんな、思いを胸に抱きながら、下山。昨日合流した箇所を過ぎ、初めて通るトレッキングルートをひた歩く。そして、トレッキングルート入り口のパネル地点に辿り着く。あぁ、昨日、この場所から入っていれば、もっと楽しめたかもしれないのに・・・と、再び悔やみの気持ちに襲われる。と、入り口まで順調に辿り着いたので、心が油断したのか、突入した草原地帯で、トレッキングルートを見失い、また彷徨うハメに。ん~、草原地帯は、人以外に、馬や羊や牛達が歩き回るため、道らしきものが何本も入り組んで走っているのだ。分岐した道からも、しばらくは太い道が続いているため、正しいトレッキングルート、と思って安心して歩いていると、突然道が途切れてしまったりする。今回は、無謀に前に進むことはせず、安全策をとって、来た道を引き返し、迷った分岐点から、逆の道へ入り、前へと進む。下に下りてから、思った以上に手間取るハメになり、19時近くに、ようやくビジャ・セロ・カスティージョの町に戻ることができた。

 ふ~、なんか、満足感はあるものの、敗北感の悔しさも心に残る複雑な気持ちだ。この悔しさをバネにして、これからのパタゴニアトレッキングを楽しむことにするぞと、心を切り替えたものの、いつの日か、もう一度、セロ・カスティージョトレッキングに挑戦し、勝利してやる、と、町から見えるセロ・カスティージョの姿を見ながら、心に誓うのでした。