(English)
Today I ride the ferry.
(Español)
Hoy monto la barca.
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いやいや、またしても、出発のタイミングに悩む。トルテルもずっと居たくなる町なんで・・・実は、気持ち的には、トルテルに後2泊くらいしていこうという思いがあったのですよ。が、ネックになったのが、手持ちのお金。パタゴニア、僻地にくると、銀行どころか、ATMすら町にないなんてことがありまして。ここ、トルテルもATMがない。次のビジャ・オヒギンスに行けばあるだろうと思っていたんですが、オヒギンスのパンフを見ると、ここにも、お金を得られる場所がないようで。一応、チレチコを出発する時に、今後のチリ旅で、十分と思えるほどのお金は引き出してきたつもりだったのですが、オヒギンスから乗る船の代金が、思っていた以上に値上がりしているという事実が判明しまして。あんまりノンビリしていると、財布が空になってしまうかもしれない事態に。あぁ、こんなことなら、コクランで銀行に行っておけばよかった。土日だったから、躊躇しちゃったんだよなぁ。
ということで、本日出発することにして、まずは、自転車を運び出す。面倒な橋道の急階段を上がっている途中で、なんと雨が降り始めた。んん~、これはやっぱり、もっとトルテルに居ろという神のお告げか、と出発を取りやめ、自転車を持ったまま宿へ戻る。もう一泊延泊するかと、部屋着に着替えたところ、外を見ると、青空が広がり始めているじゃないですか。あれ~、やっぱり走れるかぁ、と再び外着に着替え、出発の準備。また、自転車を持って橋道を上る。あぁ、こんな面倒な道を通るときに限って、こんな優柔不断な天気にならなくてもいいのに・・・
宿と町の入り口を二往復して、荷物を運び終え、入り口で荷物を自転車に装着し、準備完了。走り始める。
空は青空が見え隠れする激しい雲の流れ。雨は降っては止み、降っては止みの繰り返し。面倒な天気だ。とりあえず、大雨にならないので、走るのは走れる。
そんな天気の中走り、アウストラル街道との分岐点に戻ってきた。ここで、またアウストラル街道を走ることになる。ここから20kmちょい行ったところに、プエルト・ユンガイという場所があり、そこで、フェリーに乗ることになるのだ。地図では20kmちょいと書いてあるのだが、なぜかここにある標識では、プエルト・ユンガイまで30kmとなっている。まぁ、どちらにしても、16時発のフェリーには十分間に合う時間なので、ゆっくり走ることにしよう。
ここから、山道の上り坂が始まった。一つの峠を上りきったと思ったら、下りきる前に次の峠が始まる。上った分だけ下りがあるはずなのに、延々上っている気がするのはナゼ・・・まぁ、上りは、自転車を降りて押すから時速4~5kmのスピードでしか進めない。一方で、下りは、時速20~30kmのスピードで一気に下ってしまう。同じ距離なら、圧倒的に上りの方が時間をかけているわけで・・・感覚的には、ずっと上っている気になっちゃうのもしょうがない。
4つほど続いた大きな峠を越えている最中、天気はめまぐるしく変わった。晴れ、雨そして、しまいには雪まで降り始めたではないですか。いやぁ、毎日南へと下っているわけですが、日増しに寒さが厳しくなっていくのを感じる。テント泊をした時の朝なんて、外に出るのがまたキツクなってきた。この辺は、標高300mくらいなのに、雨が雪に変わる。あぁ、寒いぞ・・・
14時前にプエルト・ユンガイに到着。コクランのツーリストインフォでユンガイからのフェリーの時間を聞いたときに、一日二便で11時と16時に出ているよ、と教えてもらっていたので、次の出発は、16時のはず。2時間待ちかぁ、長いなぁと思って、一応出発時間を確認しようと、フェリーのオジちゃんに、「次は16時ですよね」と聞いてみると「いや、18時だ」と。え・・・18時・・・?「そう、12月になったからね、便が増えて、10時、12時、そして、18時になったんだよ」と。おおっと、そういえば、今日から12月・・・便が増えるのはいいんですけど、乗りたい船の発車時刻が2時間も遅くなるって・・・嬉しくない。結局4時間も待つことになってしまったじゃないですか。
埠頭沿いにある売店に入り、特に何も買わないのだが、ずうずうしくも、ストーブで暖をとらせてもらう。地図を見たり、ガイドブックを読んで、今後のルートについて、想像力を膨らませ、ワクワクしていようとするも、時間は2時間ほどしかつぶれず。まだ2時間も時間が・・・
同じく売店で船待ちをしているイタリア人バックパッカーの二人も時間をもてあましている様子。テーブルにつっぷして寝ている一人につられ、オイラもウツラウツラ・・・
と、窓の外に、二人組みのチャリダーが走ってくるのを発見。売店に入ってきた二人は、イタリア人チャリダーで、ここにいた二人のバックパッカーと友達らしい。彼らはここに今日一泊して明日の朝一のフェリーで、湖を渡るらしい。え~、乗れるときに乗ればいいのに・・・
ようやく18時になり、フェリーが出航。乗り込んだのは、オイラと、車に乗った旅人らしきカップルのみ。ふむむ、これだけしか客がいないのに、運行が成り立つのか・・・?まぁ、このフェリーは、国か州が運営しているらしく、タダで乗れるんで、採算度外視なんでしょうけど。
さて、40分ほどの船旅を終え、対岸のリオ・ブラボーに到着。次の目的地であるビジャ・オヒギンスまではここから100kmほどあるというので、まだ明るい今日のうちに、いくらか走って距離を稼いでおこうと思ったのですが、フェリーを降りるとき、フェリーのオジちゃんが「あそこにある待合建物で、泊まれるぞ」と声をかけてくれた。「風がよけられるし、トイレもあるし。もちろんタダだ」とのこと。どうやら、このままプエルト・ユンガイにフェリーが戻ってしまったら、次の日の朝一の便の時間まで、ここへは誰も来ないので、待合建物は空きとなるらしく、まぁ、勝手に使っちゃってもかまわないようなのだ。オジちゃんが、そう言ってお勧めしてくれるのなら、お言葉に甘えて、使わせてもらうことにしよう、と今日は、待合建物に泊まることに。
誰もいない待合建物に、自転車を入れる。荷物を降ろし、必要なモノを取り出す。あっとう間に自分の部屋状態に。とにかくお腹が空いていたので、パスタでも作ろうと、自炊道具を持ち出し、外で、湯を沸かし始めた。埠頭では、プエルト・ユンガイへと引き返すフェリーが動き出した。カメラを構えて、見送っていると、「さっきのシクリスタが、カメラを構えてるんで、ポーズをとるように」とこちらまで聞こえるスピーカーフォンでの船内アナウンスが流れてきた。「ブエナ・スエルテ(幸運を)!」と言いながら、ポーズを取ってくれるオジさんたち。なんだか、ジーンとしてしまったこの風景、カメラのビデオモードで撮影しているつもりが、心が溢れていたせいか、録音ボタンを押し忘れ。オジさんたちの心温まるお別れポーズは、オイラの心の中だけに残されることとなりました、まる。
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