Azul
見たことのない蒼色

2010.12.15 / Argentina (El Calafate) 本日 自転車0km走行 : Total 24783km走行
天気:曇時々雨 ネット:1
朝飯→おむすび 昼飯→パン 夕飯→チャーハン / 宿→Fuji旅館

(English)
 Today I went to Perito Moreno Glacier. I walked on the ice. That was fantastic experience.



(Español)
 Hoy fui a Perito Moreno Glaciar. Caminé en el hielo. Ésa era la experiencia fantástica.
 カラファテの西80kmの場所には氷河地帯が広がっている。数々の氷河がある中、ペリト・モレノ氷河という氷河がとにかく美しいという噂を聞いていた。パタゴニアに入る前から、知っており、このペリト・モレノ氷河はなんとしてもこの目で見ておきたいと思っていたのであった。

 そんな期待を大きく抱いていたペリト・モレノ氷河であったのだが、パタゴニアを南下するにあたって、数々の氷河を目にしてきたオイラ。ここカラファテに到着してみると、ただ氷河を見る、ということだけでは、そんなに興味を惹かれなくなっていたのであった。ん~、氷河を見に行くためだけに100ペソも払うのはなぁ・・・そう、ペリト・モレノ氷河が見れる展望台まで行く交通費が100ペソ近くかかってしまうのだ。自転車で行けばただじゃないか、と言われるでしょうが、80kmの距離はちょいとシンドイ。まぁ、普段だったら、一日かけて自転車で行って、向こうでキャンプして帰ってくるということをプランニングしたかもしれないが、先日のパタゴニア暴風を体験したオイラとしては、この辺を、あまり自転車で動き回りたくない。ん~、どうしようかなぁと思っていたところに、<アイストレッキング>の情報が入ってきた。ペリト・モレノ氷河の上を歩けるというアイストレッキング。これはただ氷河を見るだけじゃないぞ、ということで、一気にテンションが上がりまして。ちょいと高めで720ペソもするのですが、昨日、そのアイストレッキングツアーに申し込んできたのでした。

 で、朝7時。宿に迎えの車がやってきたので、乗り込む。そして、カラファテの大通りで待っていた大型バスに乗り換え、いざ、ペリト・モレノ氷河へ。天気は若干雲があるものの、青空がのぞく、まずまずの天気。こりゃ、期待できるぞぉと思っていたのですが、ペリト・モレノ氷河に近づくにつれ、どんどん空は雲で覆われていく・・・パタゴニア南部氷床地帯では、海から吹き付けてくる風が急激に冷やされ、雲が発生しやすく、カラファテが天気でも、氷河地帯は曇や雨といった悪天候になることが多いとは聞いていたのだが・・・

 9時過ぎにペリト・モレノ氷河の展望台に到着。10時まで自由時間ということで、展望台からペリト・モレノ氷河を眺める。うむむ、確かに美しい氷河だ。白(青白)だけで構成されており、土による汚れがほとんどない。あぁ、日の光が当たっていたらもっときれいに見えるんだろうに・・・天気が悪いのがちと残念。オイラ的には、快晴の空の下でみたオヒギンス氷河のほうが、ポイント高い。

 より近くへいって見てみようと、展望台を移動しようとした時<ドドドド~ン>という大音響とともに、氷河が崩れ、大きな氷の塊が湖に落ちていく様子が見えた。氷河の崩落です。ペリト・モレノ氷河は崩落を見れる確率が高いという話を聞いていたのだが、こんなにも早く見れてしまうとは。これだと、ちょっとありがたみってモンが・・・

 この氷河、ちょうど先端部がアーチのようになって、岸とつながっているのが、面白い。このアーチの部分の一部が崩れ落ちる崩落を見ることもできた。ちなみに、以前、このアーチ部分全部が崩れ落ちるという大崩落があったらしい。その後、同じようにまたアーチが出来ているというのだから、自然の造形技術は素晴らしいですな。

 1時間弱では、氷河を堪能しきれないよぉ~と最初は思っていたのだが、崩落も3回も見れちゃったし、意外と満足できちゃいまして。10時にバスに戻り、船乗り場へと移動。

 船に乗り込み、氷河の南側へと回り込む。こちら側の氷河は、まるで切り立った崖のごとく、きれいに側面が垂直に切り立っている。こちら側からの眺めのほうが、氷河鑑賞的には新鮮だ。

 まずは近くにある山小屋へ。ここでトイレをすませ、氷河の脇の岩場をトレッキング。1時間ほど横目で氷河を見ながら歩くと、林の中にテントが張ってある氷河トレッキング入り口ポイントへと到着。ここで、ハーネスとアイゼンを渡され、装着。アイゼンとは、靴にはめ込むアダプタ。鉄製で、とんがった歯がついており、この歯を氷にかませることで、滑らずに氷上を歩くことができるようになるのだ。ツアー客全員がアイゼンをつけ終わったことを確認して、いよいよ、アイストレッキング開始。さぁ、テンションあげて・・・と言いたいところなのだが、天気がビミョー。相変わらず、空は雲で覆われ、パラパラと小雨が舞っている。そして、何より、かなりの横風が吹いているのがウザイ。パタゴニアの爆風を体験したオイラとしては、このくらいの風は大したことないのだが、それでも結構な風が吹いているわけで。写真を撮ろうと、レンズを開くと、風で吹かれた、雨の水滴がレンズにつくのが、ホントにウザイ。

 あぁ、せっかく高い金を払って参加した、アイストレッキングなのに、天気がこんなかぁ・・・とテンション落ち気味。太陽の光が当たっていれば、この空間はどんだけ素晴らしいものになるものやら・・・

 と、気落ちしながら、しばらく歩いていたのだが、目の前に、なにやら青い物体が見えてきた。近づいてみると、これは物体ではなく、氷河の割れ目に水が溜まってる場所であった。この蒼は・・・氷河の上では物凄く美しい蒼色が見れると言う噂は聞いていたんです。青色好きなオイラとしては、それを楽しみにしてこのアイストレッキングツアーに参加したのですが、しょっぱなから、この蒼色を見ることができるとは!!!いや、これを見たかったんですよ。恐ろしいほどの透明度のある水が、氷のキャンバスに溜まっており、その奥の濃い蒼色の美しさと言ったら、これはなんと表現していいのやら。

 ツアーは立ち止まることなく、どんどんと先へ進んでいってしまう。あぁぁ、この水溜りをもっと堪能していたいのに・・・とぼやきながら、最後尾で遅れながらついていくオイラ。で、氷の山を一山越えた時に、オイラの目に、素晴らしい風景が飛び込んできた。

 いや、スゲェ・・・

 広大に広がる白い大雪原の中に、点々と存在する蒼い水溜り。いやぁ、一気にテンションが上がってしまいました。もう、レンズに雨がつくだなんて、言ってられませぬ。とにかく、シャッターきりまくり。どこにカメラを向けても素敵な写真が取れている予感。ツアーはそのまま歩き続ける。しばらく歩いて、ある場所で先頭のガイドが止まった。先を見ると、氷の上を水が流れ、川となっている。いや、氷河の上に川が存在するなんて、知らなかったですよ。で、この川の水は、この立ち止まった場所で氷河の中へと突入し、途切れているではないですか。ガイドはその途切れているところへ入り込む。そして、一人一人来るように指示してきた。列になって順番を待つオイラ達。ガイドの手招きで、川が注ぎ込んでいる氷の中をのぞくと

 こりゃ、また、スゲェ・・・

 中は氷の滝になっており、川の水が、注ぎ落ちている。水が注ぎこむ先は、深遠なる蒼色の世界。覗き込んでいると、思わずその世界へ足を踏み込ませたくなる誘惑に駆られてしまう。思わず一歩踏み込んでしまったところ、後ろから、ギュッと引きとめられた。ガイドがオイラの背負っているナップザックをつかんで、引き戻してくれた。「それ以上行くと、クレバスに落ちてしまうぞ」とガイド。いやいや、危なかった。一人で来ていたら、あの世界へ、引き込まれていたぞ。

 その後、氷河上にできた湖脇で、昼食。だんだん風が弱まってきて、過ごしやすくなってきた。昼食後、来た道とはちょっとルートをかえ、戻ることに。落ちたらまず、助からないクレバスを跨いだりしながら、歩く。いやぁ、このアイストレッキング、超楽しい。途中、また滝を見せてもらって、蒼い世界を堪能。

 そして、再び、アイゼンをはめた場所へ戻ってきた。ここで、アイゼンをはずし、岩場をトレッキングして、山小屋へ戻る。トータル5時間のアイストレッキング、あっという間だったなぁ。

 船が来るまでの待ち時間、目の前にそびえるペリト・モレノ氷河を眺めながら過ごす。と、突然、ものすごい大音響とともに、目の前の氷河が崩れ落ちた。最後にペリト・モレノ氷河がくれた最高のプレゼント、今まで見た一番でかい大崩落でしたぜい。