(English)
At last, I set foot on the Paine mountain range.
(Español)
Por fin, escribí la cordillera de Paine.
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夜中、風がうるさくて何度も目が覚める。しかも、テントをはった場所が微妙に傾いてたせいか、寝返りを打つたびに、テントの片隅へと転がっていく。おかげで、微妙に寝不足感が残る朝の目覚め。
外は昨日よりさらの雲が増えていて、完全に曇天。残念だ。昨日一緒だった二人のトレッカーのテントは早くも撤収されていた。朝早くに出発してしまったらしい。一人寂しく、パスタを作る。朝食をすませ、8時に出発。う~ん、リョウマくんと一緒だった時には、朝食後、しばらく談笑してたんで、出発が9時半くらいになっていたのだが・・・一人だと特にやることもないんで、早々と出発ってことになってしまうな。
さて、昨日の時点では、このまま南下し、Administrativa CONAFまで行こうと思っていたのだが、この天気では、遠景も微妙だし、なにより、曇った中で、11,000ペソも払ってペロエ湖の船に乗るのはもったいないな、って思いまして。ここは大回り計画は断念し、もと来た道を戻る作戦を決行することにした。
歩き始めて30分ほどで、昨日立ち尽くしてしまった草原に辿り着く。今日のパイネ連峰は、完全に雲をかぶってしまっている。それでも、まぁ、雰囲気はいい。ひょっとしたら、雲が晴れるってことはないかな、と若干期待をこめて、その場に座り込み、雲かぶりのパイネ連峰を眺める。1時間ほどボーっとしてみたのだが、一向に雲がなくなる気配がないため、出発することに。
晴れたら抜群に景色がいいであろう道を淡々と歩き、再び、戻ってきたペロエ湖湖畔。昨日に引き続き、今日もここで昼ごはん。丸パンにクリームチーズを塗って、ハムをはさむという同じ献立なだけに、強烈なデジャブ感に包まれる。うぬぬ、昨日が今日で今日が昨日なのではないか・・・そんな不可思議な感覚。
さて、今日は、ここから8kmほど離れたイタリアーノキャンプ場へと向かう。クエルノス・デル・パイネの麓にあるキャンプ場だ。歩きはじめると、昨日、遠景で堪能したパイネグランデと、クエルノス・デル・パイネが目の前に広がり始めた。すごく迫力ある風景だ。
これがパイネか・・・
パイネを7日も歩いて、ようやくパイネがなんたるかが分かってきた気がする。なんだかんだいって、パイネってやっぱり、このパイネ連峰がメインなんだし、この複雑に連なる山々の構造が分かって、ようやくパイネを理解できてくるんじゃないかな、と思うのです。えぇ~、今頃?って言われるでしょうが・・・サーキットルートで、北側を歩いていると、複雑な連峰の様子はあんまりワカンナインデスよ。北側にそびえる美しいセロたちは見えるんですけど、このセロたちは、まるで城壁のようにグルリと一枚の壁で内部を取り囲み、複雑なパイネ連峰の内部を垣間見せてくれないんです。まぁ、それにも増して、グレイ氷河という素晴らしい氷河があるもんで、そっちばっかりに意識を持っていかれるというのもあるんですけどね。
で、ペロエ湖の畔から、歩き始め、次第に複雑なパイネ連峰の様子が目の当たりに見れるようになってくると、なるほど、これがパイネか、と思えるようになってくるのですよ。特に、見る角度によって、ガラリと表情を変える、クエルノス・デル・パイネは興味深い。昨日引きの画でその複雑さをしっかり目に焼き付けてきたから、余計、面白く感じる。
しばらく歩いていたら、だんだんと雲が薄くなっていき、晴れ間が覗くようになってきた。やっぱりトレッキングは、日の光が当たる下のほうが、断然気持ちいい。気分よく歩いていたら、途中、スコッツベルグ湖(Lago Skottsberg)の脇に絶景ポイントを発見。休憩がてら荷物を降ろし、座り込んだら、あまりの絶景っぷりに、心地よくなってきちゃって。そのまま立てなくなってしまいまして。なんとか、立ち上がって、再び歩き始める。
正面に見えるクエルノス・デル・パイネが次第に大きくなっていく。いい。花崗岩の上に茶色の別の質の岩を乗せているところが、チャーミングで、素敵。それにしても、パイネの山々はデカイ。セロ・カスティージョ、フィッツロイとパタゴニアの山々を間近で見てきたが、形のよさに感激したものの、ここまで、デカさに圧倒されるほどのことはなかった。この迫力は、残念ながら、写真には写し込めませぬ。このド迫力は、来なきゃわからん。いやぁ、それにしても、パタゴニアの凄さは、写真では撮り切れないってことなんだろうな。どんなにシャッターを切っても「撮り切ったぜ」と思えない。普段ならば、カメラでハンティングすることで、征服欲が満たされる風景も、ここ、パタゴニアの風景の前で構えるカメラは、この眼で捉えた雄大なる風景を思い出すための、フック写真をとるための道具にしかなりえない。
途中、何度も何度も風景に気を取られ、その度に立ち止まり休憩しながら、進む。そして、目の前に幅の広い川が現れ、吊橋が見えた。そして、この吊橋を渡ると、イタリアーノキャンプ場に到着。ここも、結構人で賑わっているキャンプ場だった。テントをどこにはろうかとキョロキョロしていたら、キャンプ場の管理人らしき人が近づいてきて声をかけてきた。「ハポネか(日本人か)?」「はい」。オイラが日本人だと分かると、トレッキングには注意しろよと、この先のフランセス谷に入り込むルートに関する説明がはじまった。なんでも、この先のルートで、最近一人の日本人が帰らぬ人となってしまったらしい。う~ん、分かりやすいと思うこのパイネのトレッキングルートでも、思わぬ危険は潜んでいるんだなぁと改めて思う。
さて、フリーのキャンプ場である、ここイタリアーノ。トイレはあるが、飲み水は川の水。白濁している氷河水は最初飲むのに抵抗があったのだが、今じゃもう慣れっこ。ただね、いつもより若干お腹が緩い気がするのは・・・やっぱり生水のせいなのかな?
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