Derrota
負けましたと言っているのに

2011.1.10 / Chile (Villa Tehuelches付近~Punta Arenas) 本日 自転車110km走行 : Total 25311km走行
天気:雨のち曇時々晴 自転車折りたたみ:1 ネット:1
朝飯→パン 昼飯→パン 夕飯→チャーハン / 宿→Barefoot Backpackers(5000ペソ)

(English)
 Today was windy day.



(Español)
 Hoy era el día ventoso.
 昨日、夕刻には、風が弱くなっていたので、適当なところに、適当にペグを打ってテントを設営していたのだが、今朝は、朝早くから暴風。テントから出たら、ペグが全て外れていた。テント内に詰め込んだ荷物のおかげで、かろうじて、テントが飛ばない状態。いや、ここが風のパタゴニアだということを忘れてはいけませんな。

 で、慌ててテントを撤収しようと、空を見ると、虹が!昨日の晩から朝にかけて、微妙に小雨が降り続いていたのだが、朝の太陽に照らされて、見事に半円アーチを描く虹が!慌ててテントに戻り、カメラを持ち出し、パチリ。そして、念のためもう一枚、と思って構えなおしたら、もう虹は消えていた。はかない一瞬の美しさ。

 風が吹き荒れる中、走る。昨日に引き続き、南へと続く道。風は基本的に北西から吹きつけてくる。道が結構蛇行しているので、風向きは頻繁に変わるのだが、だいたい、追い風もしくは横風。真横風の時はシンドイが、基本的に風は味方してくれているので、快調に飛ばせる。普段平地だと、平均11~12km/hくらいのペースで走るのだが、昨日、今日は15~16km/hのペース。いやいや、味方になってくれると、これほど心強い味方はないのだが・・・パタゴニアの風。

 7kmほど走ると、村が見えてきた。Villa Tehuelchesだ。昨日は、ここまで走って、宿を探そうかとも思ったのだが、まぁ、テントでいいかと、ちょい手前でテント泊しちゃったのだ。手持ちの水が少なくなってきていたので、ここで水を補給。売店のオバちゃんに、水が欲しいとお願いしたら、村の公園脇にあるトイレに案内してくれた。ちょうどいい、トイレも済ませる。

 さて、Villa Tehuelchesを後にして、しばらく走っていると、左手に動く気配が。昨日に引き続き、またニャンドゥか、と思いきや、今日は、犬っぽい。なんだ、犬かぁと思ってよく見たら、なんか犬とは違う。お、これは、ひょっとして・・・ええ、きつねみたいです。パタゴニアきつねのようです。慌ててカメラをとりだし、パチリ。

 昨日も思ったけど、動物に遭遇すると、テンションがあがる。その後は、どんだけいるんだ!?とビックリするくらいの羊が戯れていた牧場やら、オイラが通り過ぎると、一斉にこちらを睨み見てくる牛くんたちと出会いながら、パタゴニアの大地を風にあおられながら爆走。

 午後になるにつれ、風は一段と強くなってきた。追い風だから、走っている最中はあまり気にならないのだが、ちょっと立ち止まると、後ろから吹き付ける強烈な風に気付く。これは、ひょっとしたら、カラファテに向かう最中に遭遇した、殺人爆風に匹敵する風が吹いているのかもしれない。ああ、今日は進行方向が風とは反対向きでよかった。

 とりあえず、腹減ったので、どこかで飯を食べようと思うも、この爆風の中、食べ物を広げると大変なことになる。どこか、風除けになりそうなところでも・・・と走りながら探し、見つけたバス停の待合室。まぁ、こんなところに、人は来ないだろうと思って、堂々と入り口を陣取って昼飯のパンを食べていたら、一台のバスが止まって、人が降りてきた。えぇ!こんなところで、人が降りるんですか・・・どうやら、ここ、チリのプンタ・アレーナス方向と、アルゼンチンのリオ・ガジェオス方向の道が交差する場所らしく、乗り換えの人が降りて、バスを待つらしいのだ。降りてきたオジちゃんたちと、一緒になり、待合室で、風除け。オジちゃんたちはすぐにきた、リオ・ガジェオス方面に向かうバスに乗っていってしまった。昼食を食べ終えたオイラ、さて、出発するかと、自転車を走らせる。

 と、ここから、道が南西方向になった。風はほぼ横風。強烈な横風での走り方は、サーフィン的風乗り走法としてマスターしたのだが・・・ここでは、あの走法が使えない。以前と違って、この道、結構車の通行料があるのだ。強烈な横風に流され、道路の真ん中まで行き、風が弱まった瞬間に右の路肩に戻る、なんて走り方は、危なくてしょうがない。ということで、吹き付けてくる横風をまともに受けながら、前進。午後はひたすら横風。スピードが一気に落ちた。そして、メガネも吹っ飛んだ。あぁ、もう、パタゴニアには負けましたって、降参宣言したのに。まだ、オイラに勝負を挑んでくるのですか・・・

 まぁ、正面風じゃないだけありがたい。以前体験した時速1kmという、絶望的な状況に陥ることだけは避けられる。

 途中、前方に、風力発電のための巨大な風車が見えた。そりゃそうさ、この自然の暴威をエネルギーに変換しないという手はない。が、立っている風車は3棟だけ。そして、メチャメチャ風が吹いているというのに、なぜか、風車はゆっくりとしか回っていない。ん~、どんな仕組みにしたら、この爆風をあんなゆっくりな回転に変換できるんだ?まぁ、なんらかの減風処理は入れているんだろうけど・・・この爆風をまともに受けるような風車だったら、あっという間に壊れてしまいそうだしね。

 風に何度も道路中央に押し流され、その度に、後ろから来る車にクラクションを鳴らされ、危ない思いをしながらも、なんとか、走りきり、プンタ・アレーナスの街が見えてきた。遠くからでも、ビルが見える。思っていた以上に大きな街らしい、プンタ・アレーナス。

 街に入ると、風が弱まってきた。障害物がたくさんあるからだろう。セントロ方面に走る。パタゴニアのほかの町なら、町に入ったらすぐセントロなのだが、ここは、なかなかセントロに辿り着かない。街に入って5kmほど走って、ようやくそれっぽい雰囲気になってきた。適当な宿を探して、チェックイン。ふ~、今日は意外と疲れた。相棒のファニーバニーも大変だったようで、後輪のスポークスが2本折れていた。ギア側のスポークスなんで、自分では取替えづらい。こりゃ、自転車屋に持ち込まなきゃいかんな。