Isla lluviosa
雨のフエゴ島。キツイ、寒い、つ、つらすぎる・・・

2011.1.21 / Chile~Argentina (Porvenir付近~San Sebastian) 本日 自転車132km走行 : Total 25516km走行
天気:晴のち雨
朝飯→パン 昼飯→パン 夕飯→さば缶サンド / 宿→国境の休憩所泊

(English)
 It was rain today. I run on the dirty road. Today's running was heavy for me.



(Español)
 Era la lluvia hoy. Corro en el camino sucio. El funcionamiento de hoy era pesado para mí.
 夜中、雨の音で目覚める。あぁ・・・明日は雨の中走らなきゃいけないのか、とガックリしながら、再び眠りにつく。

 で、朝起きると、雨は止んでいた。そして、空は雲が多いものの、薄日が差しており、いい天気になりそうな兆し。風は若干吹いている。北西風、追い風だ。おお、今日はいい走りができそうだと、テントをたたんで、出発準備を整え、走り始める。

 しばらく海岸沿いを走る。海鳥の鳴き声、そして潮のカホリが気持ちいい。今日も、走っていて、出会うのは、グアナコばかり。長い足でそこらじゅうを走り回っている。羊や牛はエスタンシアの柵で囲われた中でしか行動できないのに対して、グアナコは、柵を飛び越え、縦横無尽。そして、グアナコ、羊や牛と出会うのと比べて圧倒的に低い頻度で、車とすれ違う。まったく人の気配を感じさせないフエゴ島の道。海の沖合いをボートが人を乗せて走っているのを見たりすると、もはやグアナコを見かけるより、圧倒的に嬉しい気分になる。

 海沿いの道は、最初はアップダウンが激しかったのだが、次第に平坦な道となり、走りやすくなった。ここで追い風の助けを受けたら、相当楽に走れるのだが・・・朝若干吹いていた風もいつのまにか止んでしまい、今日も拍子抜けするくらい無風。風がない未舗装道、まぁ、スピードはでないんで・・・ノンビリ走りです。

 と、ノンビリ走っていたら、薄日が差していた空に、厚い雲が広がってきた。いかにも雨雲。これは、一雨来るんじゃないか、と思っていたら、案の定、ポツポツと雨粒が顔に当たり始めた。

 次第に激しさを増す、雨。雨宿りしようにも、雨を遮ってくれるモノがない。ひたすら走るしかない。未舗装道は、みるみる泥道へと変化していく。たまに通るトラックが、その泥水を跳ね飛ばしながら、すれ違っていく。その泥水を頭からかぶるオイラ。最悪だ。心ある運転手さんは、スピードを出していると、遠くまで泥水を跳ね飛ばすことを心得ていて、オイラの横を走る時に、スピードを緩めて走ってくれるのだが、そんなことを気にしない運転手は、そりゃもう、シャワーのごとく跳ね上げた泥水を撒き散らしてくれる。

 そして、いつの間にやら、風も吹き始めた。しかも、この風、なぜか北東風。西へと進んでいるオイラ、北西風なら、ほぼ追い風なのだが、北東風は、向かい風。えぇ~、ここを吹く風は北西風じゃないのぉ・・・未舗装道、雨、向かい風ってこの三重苦、これはいじめか?そして、こんな状況なのに、目標地点は遠い。次の休めるところは国境近くのチリのイミグレ。今日120kmくらい走らないと辿りつかないのだ。

 国境目指して、ひたすら雨の中走り続ける。雨で濡れるサイクリンググローブが冷たい。服、パンツは重ね着をしているため、体全体としては、そんなに寒くはないのだが、末端が冷える。手がかじかむ。

 漕いでも漕いでも辿り着かない気がする。延々と続く泥ロード。お腹も空いてきて、気持ちがすさむ。泥水シャワーを浴びせていく車にイライラ。

 そして、ようやくチリのイミグレが見えてきた。イミグレがあるサン・セバスチャンには、ホテル&レストランと書かれた建物があったので、ここで、休んでいこうかと思ったのだが・・・雨が小降りになってきたのと、アルゼンチンのイミグレまで行けば、ただで泊めさせてくれるということを聞いていたので、もうちょっと頑張って、アルゼンチンのイミグレまで行ってしまおう、と考え、チリの出国手続きをすべく、イミグレへ。パスポートを出し、出国スタンプをポン。

 さぁ、次はアルゼンチンの入国だ、と走り始めたのだが、また雨が降り始めた。そして、国境はすぐだったのだが、アルゼンチンのイミグレまでが・・・遠かった。国境越えて10km近くも走らされるはめに。降りしきる雨の中1時間、もう、これ以上は力がでません、というほど疲労困憊したオイラは、もはや、泥水で曇ってしまった眼鏡のレンズをぬぐう余裕もない。アルゼンチンのイミグレの建物に入り、無言でパスポートを出す。

 まじめそうな国境職員さんが、チラリとオイラの顔を見てパスポートのページをめくる。「ビシクレタ(自転車)?」と話しかけてくれる国境職員さん。「ええ・・・」「ここに泊まるか?」時刻はすでに20時過ぎ。まぁ、自転車なら、次の町へ行く時間ではない。もう、走り終えるんだろう、と見越して声をかけてくれた国境職員さんの言葉に甘える。

 「あっちに、トイレがあって、その脇に休憩所があるから、そこで泊まっていっていいよ」と言われたのだが、その<あっち>がどっちか分からない。「ドンデ(どこ)?」と連発する、迷惑な旅人のオイラに、優しい国境職員さんは、わざわざ席を立ち、オイラを休憩所に案内してくれた。

 案内してもらった休憩所には、ガスストーブが灯してあった。国境職員さんに感謝し、早速ガスストーブに手をかざして暖まるオイラ。あぁ、ありがたい・・・

 濡れた衣類もストーブで乾かす。一応コンセントとかもあったので、パソコンをとりだして何かすることも出来たのだが、そんな気力が起きず。今日は、久々に辛い走りだった。ここへきてこれか・・・最後にアルゼンチンイミグレ職員さんたちの優しさにふれて、心が和んだけど、いや、走っている最中は、ホントひどい心の荒れようだった。雨の日走行はやっぱ、微妙だ。ゴールにこんな気持ちで突入するのは・・・嫌だな。気持ちよくアメリカ大陸縦断を終えたい。ウシュアイア到達日は、晴れますように・・・