Fragancia de la felicidad
幸せのかほりがするパン屋さん

2011.1.25 / Argentina (Rio Grande~Tolhuin) 本日 自転車112km走行 : Total 25720km走行
天気:晴
朝飯→パン 昼飯→パン 夕飯→パン屋のまかない飯 / 宿→Panaderia La Union(タダ)

(English)
 Yesterday my bicycle already finished to repair. Today I left from Rio Grande. I run to Tolhuin. I heard cyclist could stay in Pan shop in Tolhuin. So I looked for Pan shop and entered. This pan shop was very kindness. I was happy to stay here and I loved.



(Español)
 Ayer mi bicicleta ya terminó para reparar. Hoy salía de Rio Grande. Corro a Tolhuin. Oí que el ciclista pudiera quedarse en Cacerola vaya de compras en Tolhuin. Así que buscaba Cacerola vaya de compras y entró. Esta tienda de la cacerola era la misma bondad. Estaba contento para quedarse aquí y amé.
 ようやくリオ・グランデを出発できる。まさかここに3泊もするとは思ってもみなかった。自転車旅、いろんなことが起こります。予定は未定。計画しても、その通りには辿り着ける方が稀。

 さて、リオ・グランデの宿で3泊も待っていたら、入れ代わり立ち代りチャリダーやライダーがやってきては、去っていった。同じ日にこの宿に辿り着いたコロンビア人のチャリダーカップルも、次の日にはウシュアイアに向けて出発。滞在を余儀なくされ、出発してしまった彼等を羨ましげに見送ったオイラを励ましてくれたのは、その後やってきた、イタリア人チャリダーラウル、そしてドイツ人チャリダー、テッドおじいさんだった。結局2泊した彼等と、同じ日に出発。ラウルは、ウシュアイアへ、そして、テッドおじいさんはプンタ・アレーナスへ向けて走り出す。オイラとラウルは同じ方向なのだが、あまりにもスピードが違いすぎるため、ペアランは断念。オイラは後から、ゆっくり追いかけ走りをする、と言って、ここから100kmほど離れたトルフィンの町での再会を願い、ラウルとテッドおじいさんの出発を見送る。

 さて、と、オイラもゆっくり走り始める。ギアは快調。向かい風の中、踏ん張って走ってもまったく問題なし・・・と思っていたら、ギアを一番軽くした途端、カラカラカラ・・・とチェーンが空回りしはじめた。

 え?

 やっぱりダメか?また修理か?また足止めか?と頭の中にいろんな想いが駆け巡らせながら、一旦ファニーバニーから降りて、前ギアを確認してみる。

 ん~、1段ギアの時より、2段になった分、若干外側に出てしまっている前の大きい方のギア。後ろギアとのバランスで、後ろギアを一番内側のギアにシフトさせると、チェーンがテンションに引きづられて、前ギアの小さい方のギアに自動的にスライドするようになってしまっているようだ。で、今、ギアカバーをつけているため、外れたチェーンが、内側の前ギアにひっかからず、ギアカバーの側面でカラカラと、なんにも引っかかっていない状態で回り続けるってワケなのだ。

 うむむ、これは、16速化どころか、実質6速化じゃないか・・・この現象、一番軽いギアだけでなく、もう一段落としたギアでの生じてしまう。ギアカバーをつけている限り、重いほうの6段のギアしか使えない。

 ギアカバーを外してしまえば、前ギアの小さい方のギアも使えるようになるのですが、軽いギアにシフトした途端に、いきなりメチャメチャ軽くなってしまうというのも、なんか、走りづらそう・・・それに、また自転車屋に行って、待ち状態になるのが嫌だったので、もう、この状態でウシュアイアまで走りきることにした。

 天気は快晴。風は結構あるものの、爆風ってほどじゃない。しかも、リオ・グランデの街を出る時には、向かい風となるが、街を出てしまえば、横風、そして追い風となる。

 気持ちよく道を走っていたら、後ろから追い抜いていったバイクが、目の前で止まった。お、ひょっとして・・・日本人ライダーのヒロさんだ。実は、昨日の夜、リオ・グランデに到着したヒロさんとは宿が一緒になりまして。今日出発するとは言っていたものの、オイラが出発した時間にはまだ寝ていたヒロさんに、静かに別れを告げ、走り始めていたんです。まぁ、どうせウシュアイアまでは、一本道、途中で追い抜かれる時にまた会えるだろう、と思っていたら、案の定。早速の路上再会。

 今日、もうウシュアイアへ到達してしまうつもりというヒロさん。やはりライダーとチャリダーはスピード感が違う。オイラは今日はムリ。ヘタすると明日もムリ。あっという間に小さくなってしまったヒロさんの後ろ姿を見ながら、シミジミ自転車旅のユックリさを思う。いいんです、このユックリさが素敵な出会いを生むんですから。

 ヒロさんと別れた後、淡々と走っていたら、前方からチャリダーの姿が。また、チャリダーだ。いや、ホント、チャリダー遭遇率がハンパなく上がってきた。南米にはこんなにもチャリダーがいるものなのか。今まで出会わなかったのはナゼ・・・というか、これからが走りの季節なのか。オイラが早すぎただけだったのか。

 今日出会ったチャリダーは、イアンおじさん。南下してきて、ウシュアイアに辿り着いたのだが、また自転車で北上するらしい。サングラスにメットで、顔立ちがハッキリ見えないけど、イアンオジさんも結構年とっている。いやぁ、テッドおじいさんといい、イアンオジさんといい、欧米人は、ある程度の年齢になっても、自転車で気楽に旅している。これって、とても素敵なことだと思う。

 そんな出会いもありながら、あっという間に100km走りきり、到着したトルフィンの町、というか村。さて、とパン屋を探しはじめる、オイラ。え?いつものように、宿じゃないの?お腹が空いたんですか?・・・いやいや、そうじゃないんですよ。ここ、トルフィンにあるパナデリア、パン屋さんは、チャリダーを泊めていただけるという、話を聞いてまして。ぜひともお世話になっちゃおうと思っているワケなのです。

 村に一軒しかないというパナデリアはすぐに分かった。結構大きなパン屋で、人も多く、賑わっている。こんな忙しそうな中、「泊めさせてください」なんてずうずうしいお願いを聞いてくれるもんなのか?と、恐る恐る、カウンターに行って「あの、僕、チャリダーなんですが・・・」というと、接客中のカウンターのオジさんが、みなまで言うなって感じで、うなずき、そこでちょっと待ってろと、言ってくれた。カウンターに並んでいたお客さんの混雑がひと段落したところで、オイラをカウンター内に招き入れてくれたオジさん。若いパン職人のお兄さんを一人呼ぶ。どうやら、このお兄さんがオイラ達チャリダーをかまってくれる担当らしい。陽気なお兄さんに連れられ、パンを作っている厨房に入っていくと・・・なんとそこには、二日前出発したはずの、コロンビア人チャリダーカップルの姿が!再会を喜ぶオイラ達。しかし、エプロンまでしちゃって・・・チャリダー辞めて、パン屋さんになるんですか?ってスタイル。すっかりここが気に入ってしまって、お手伝いをしながら、二日間、ここに滞在しちゃっているらしい。オイラ達の騒ぎをききつけて、奥から一人の欧米人が現れた。おぉ、イタリア人チャリダーラウルだ。そう、オイラもラウルも、今日の目的地はココだったからね。ここで再会しようって朝別れていたんですよ。で、彼がここに到着したのは、オイラの到着の3時間前。うっひょー、速いなぁ・・・

 さて、離れに建っている小麦粉置き場みたいな倉庫に自転車をいれさせてもらい、その建物にある、部屋の一角を寝床として使ってくれとのことなので、荷物を置かせてもらう。トイレをすませ、スッキリしたところで、パン屋さんなだけに、パンでも買って夕食にしようか、と思って、パン屋の厨房に戻ったら、さっきカウンターにいたオジさんがやってきて、「腹減ったか?減ってるよな、あそこに用意しておいたから、食え」と。行ってみると、パン屋さんのまかない飯が、パンをこねる台の上においてあった。いやいや、泊めていただけるだけでもありがたいのに、こんな飯までいただけるなんて・・・ウシュアイアゴールまで後100km。最後の最後にこんな素敵な気持ちで心を満たさせてもらえるなんて。旅途中に何があったとしても、ここの優しさに触れれば、全て旅がいい思い出に変わりますよ。まさに、チャリダーのオアシス。

 ありがたく、まかない飯をいただいた後、コーヒーやらマテ茶やらも振舞っていただいて、もういたれりつくせり。いいんですか?こんなに甘えさせていただいちゃって。いやいや、これはなんかご恩返ししないと、申し訳ない。

 ってことで、オイラもパン作りをお手伝いさせてもらうことにしたんです。ああ、なるほど、コロンビアカップルの二人は、こういう流れで、エプロンを身にまとうことにしたんだろうな。うんうん、気持ちはよくわかる。とりあえずバターロールのための、バター生地を作るというので、大量のバターの包み紙を剥いて、機械へ放り込むという簡単な作業をお手伝い。しかし、作業としてお手伝いできたのは、ここまで。その後、適量に切り分けたり、切り分けた生地を叩いて伸ばしたりという、職人さん仕事の領域に入ると、スペイン語で指示されて、イマイチ何をやっていいのか分からないオイラ。皆さんがやっているのを見て、真似て作業をすることしかできず、速い流れでこなしていくパン作り作業の中においては、そんなオイラは返って足手まとい。

 手伝ってご恩返しを、と思いつつも、途中から完全にただの見学者になってしまったオイラ。邪魔にだけはならないようにと心を配る。が、作業中のパン屋の若いお兄ちゃんたち、アジア人=カンフーが出来る人、と思っているらしく、しきりにオイラに、映画を見て、見よう見まねで覚えたらしいカンフー技をしかけてくる。いや、ダメでしょ、パン工場内でそんなにドタバタしちゃ・・・

 結局、大してお手伝いできなかったんですが、店じまいの時間まで、厨房でウロウロさせてもらっちゃっいまして。パン工場の厨房に居た時間は、すごく楽しい時間だった。なんだかんだいって、旅をしてて、一番贅沢な時間というのは、こういう時間なんだと思う。おいしそうな焼き立てのパンの匂いに交じって、幸せのかほりがするパン屋。また、大好きな場所が一つできました。