Welwitschia Revenge
千五百年生きているという植物を前にしてモノ想う

2011.4.6 / Namibia (Opuwo~Swakopmund) 本日 自転車0km走行 : Total 26024km走行
天気:雨のち曇のち晴
朝飯→パン 昼飯→パン 夕飯→野菜ラーメン / 宿→Youth Hostel Swakopmund(テント泊20ナミビアドル)

(English)
 Today we could see Welwitschia.



(Español)
 Hoy podríamos ver Welwitschia.
 明け方4時頃、ポツポツと雨が降り始めた。テント泊だったオイラとダイスケくんは慌ててテントをたたんで車の中に退避。同じく外でテント泊をしていたガイドのフェストゥスさんも、車の中に退避してきた。ここ、ヒンバ村への道、結構な悪路でして。ただ、ここ数日は雨が降っていなかったため、ぬかるみみたいなのがなくなっていて、昨日は割りとスムーズに走ってこれたのですが・・・フェストゥスさんが言うには、雨が降ると、道を横切る川ができ、下手すると戻れなくなるかも、とのこと。ひたすら降り続ける雨に、不安心をくすぐられるオイラたち。空が白み始めたと同時に、戻ることに。

 フェストゥスさんのいうとおり、昨日はなかった川が道を横切っている。幸いまだ、深い川にはなっていないようで、ティーダでもつっこめば越えられそうだ。ドキドキしながら、つっこむ・・・クリア。以降、いくつかの川トラップが出来ていたのだが、なんとかオールクリアして無事、オプウォの町に戻れた。

 ちなみに、町にでると、上半身裸で赤茶色に肌を塗ったヒンバ族の人たち以外に、もう一方、目立つ人たちがいるんですよ。派手な衣装を身にまとい、女性は頭に角のような帽子をかぶっているヘレロ族の人たち。そもそもは同一民族であったらしい、この二つの部族。相当おしゃれさんな人たちです。

 さて、ナミビアで見たいもの2つ、ナミブ砂漠とヒンバ族を堪能できたので、後は、もう戻るだけ。まぁ、途中いろいろありましたが、日程的には、予定以上のスムーズペースで旅が進んでいるため、帰り道は余裕がある。ということで、二日前に見逃してしまったベルヴィッチア・リベンジをしましょうか、という話になり、遠回りにはなるけれども、再び、スワコップムントに向けて走ることに。

 スワコップムントへの道・・・来た時には、二日弱かかったのに、戻るのは一日で戻れちゃいまして。オプウォに行った時とは違う道を通ったのですが、行きに脇道だから悪路だろうと思って避けていた道が、意外と走りやすい道でして。なんだ、ナミビア、脇道も結構走りやすいんじゃん、と思ってしまったオイラたち。この思い込みが、明日の大変な山道ドライブを引き起こすことになるとは、この時はまったく気づいていないのでした・・・

 さて、到着が遅くなるようだったらベルヴィッチアは明日見ようという話だったのですが、日が落ちるまでまだ1時間以上もある時間にスワコップムントに到着。なので、このままベルヴィッチアを見に行くことに。二日前、進むのを断念した場所で出会ったおじさんに書いてもらった迂回ルートに突入しまして。途中、ここも川が氾濫してて通れないかも、と言われていた場所に、ためしにいってみたら、川は落ち着いたようで、問題なく通れるじゃないですか。これは行けるかも、と車を走らせる。しばらく走って、ムーンランドスケープに抜ける道を左折すると・・・見えてきました、それっぽい植物が!「アレがベルヴィッチアじゃないですか!」というダイスケくんの声で、とりあえず車を止め、降りて見に行く。

 おぉ~

 相当奇妙な植物です、これ。砂漠のど真ん中で何千年も生きるという巨大植物。固い幹のようなものに、アロエのような葉がおまけ程度についている。その葉は先っぽはもう枯れてしまっていて葉としての働きはどれほどあるのか分からない。でも、幹からは、花のつぼみらしきものが出ていて、新たな息吹、この植物の生命感を感じさせてくれる。ただ、この辺に生えているベルヴィッチアはそんなに長生きしているものではないらしい。砂漠の奥には、1500年以上生きているという巨大ベルヴィッチアが横たわっている、という話を聞いてまして。

 「ここまで来たら、1500年以上生きているという一番でっかいベルヴィッチアを見たくないっすか?」

 皆の意見は一致し、さらに砂漠の奥にあるという直径2m以上の巨大ベルヴィッチアを見に行くことに。おじさんの書いてくれた地図に、これがある場所が記されているのだが・・・ただ、手前で、また川を渡らなければならない。この川が氾濫していたら、2日前の時と同じように、諦めざるをえないのだ。

 「ま、行くだけ行ってみましょ」

 行ってみたら、行けた。確かに道をふさいでいる川はあったのだが、ティーダでも乗り越えられる程度の川でして。ココを越えればもはや難所はなし。後は、ひたすら、巨大ベルヴィッチアを目指して走る。さてさて、周囲にはベルヴィッチアがたくさん見えるのだが・・・どれが、巨大ベルヴィッチアなのかが分からない。どれもそれなりにデカイので、「あれが、そうです」と言われれば、ああ、そうですか、と納得できそうなのだが、不確かな納得で「これが1500年のベルヴィッチアなんだよな、多分?」という疑念を抱いて帰るのは、なんとなく不完全燃焼。ドーン、というインパクトのあるものを期待しているのだが・・・それっぽいものが見当たらないんですよ。

 もうちょっとかも、もうちょっとかもと、進んでいると、目の前に、なにやら、掘っ立て小屋ぽいものが見えてきた。

 「あれ、なんか囲われてません?」

 そう、金網で囲われたベルヴィッチアが見えてきた。しかも、そのベルヴィッチア、相当デカイ。車を止め、金網に駆け寄るオイラたち。

 「これだ・・・」

 いやはや、納得のド迫力。ご丁寧に、上から眺められるように、階段まで備え付けられている。いやぁ、リベンジしてまで見に来てよかった、ベルヴィッチア。この植物を目の前にするとで、インパクトがあるのですが、こいつは西暦が始まったころに生まれ出たものなんだ・・・という想いを頭に置いて見ると、ある種の感慨が心にわいてくる。

 何千年も生きるって、巨木ではよくある話なのだが、このモッコリした植物が、無味乾燥した大地でひたすら生き続けているというのが、涙を誘う。何を想って生きているのだろうか。いや、植物には意識なんてものはないのだろう。意識がないからこそ、何千年も、なにもないところで平然としていられるのだ。それは幸せなことなのか?いや、そもそも、植物には幸せとかそういった意識はないんですってば、多分。