I like the road like this
腹は減ってるんですが・・・なんか走っていて心地よいぞ、このあたり

2011.5.18 / SouthAfrica(SomersetEast手前50km~Pearston付近) 本日 自転車76km走行 : Total 27128km走行
天気:晴のち曇x3
朝飯→ビスケット 昼飯→スーパーのお惣菜 夕飯→パン / 宿→テント泊

(English)
 Today I run on mountain road.



(Español)
 Hoy corro en camino montañés.
 ビスケットにピーナッツバターを塗ってポリポリ。これが今日の朝食。腹が減りすぎて目が覚めた今朝、とにかく、さっさと次の町へ着いてしまおうと、周囲が明るくなると同時に出発。

 そうそう、この辺、緑が多く、水分があるためなのか、日が当たると同時に霧靄が大量に発生するのですよ。夜明け前、満点の星空が見え、「ようし、今日も青空の下、気持ちよく走れるぞ」と思っていたら、日がのぼると同時に、周囲は真っ白な空間となっちゃいまして。テントがびしょびしょに濡れてしまい、たたむのがめんどくさくなるわ、自転車をこぎはじめると、メガネが曇って前がみえなくなるわで、いや、なかなか大変、霧靄ゾーン。

 そんな、霧靄ゾーンを抜け、ようやく青空の下に出たら・・・目の前にはビックリするほど、素敵な空間が広がってました。いつの間にやら海抜1,000mを越えてまして。もう、すっかり山の中。カルーと呼ばれる丘陵平原地帯へと突入していたのだ。

 ああ、心地いい景色だ・・・

 やっぱり自転車で走るのなら、こういうところを走るのが好きかも。パタゴニアを走ってからというもの<未舗装>とか<風が吹き荒れている場所>を走ることにあまり抵抗感はなくなっている。逆に、舗装されていて、車の往来の激しい場所を走ることの方に、違和感を感じ始めているのかもしれない。アフリカ走りを始めて、なんかモヤモヤを感じながら走っていたのは、<やりたいのにやれない>イライラもあったのかもしれないが、ひょっとしたら、それ以上に<交通量の激しい幹線道路>を走っていたことに、心が反発していたのかもしれない。ワイルダネスで脇道を走った時や、何もない山の中にあるロッキーロードで泊まった時に心が安らいだのは、実は、そういうことを示していたのかもしれないな、と今になって思う。

 と、心地よさに酔いしれるオイラを邪魔するのは、<グゥゥ・・・>となり続ける腹の虫。いや、困ったことに、耐えられないくらいの空腹が襲ってきた。しかも、道は、ひたすらゆるやかなるのぼり道。ギアチェンジしたファニーバニーではがんばれちゃうから、ひたすらこいでのぼるのだが・・・お腹が減ってバテバテ。とにかく、次の町に辿り着けば、なんか食べるものが手に入るはずだ、と自分を励ましながら、がんばるオイラ。

 なんとか辿り着いたサマセット・イーストという町。まず、町の入り口にあったガソリンスタンドで、水を補給させてもらい、「どこか食べる場所ありますか?」と聞くと、この先に、スーパーがあるから、そこで食べ物を買えるぞと、教えてもらう。

 町に入って、2kmほど走って、スーパー発見。でっかいスーパーだ。食べ物がたんと買えそう!・・・が、ここでちょいと悩むことに。というのも、大型スーパーって店内に入ると、止めておいた自転車が見えなくなっちゃうんですよ。フル装備の時には、常に、自分の目が届く場所でしか行動しなかったオイラ。走り途中で、レストランで食事をする時も、買い物する時も、常に、ファニーバニーが見える店にしか、行かないのを原則にしてまして。この用心深さがゆえ、これまで2年半、モノを盗られることはなかったって自負しているワケでして。

 ん~、このスーパーに入ると、ファニーバニーは見えなくなってしまう。しかも、店先には、怪しそうに見える黒人のお兄ちゃんやおじちゃんがめっちゃたむろっている。そして、オイラのファニーバニーなんて、止めちゃった日には、黒人のお兄ちゃんたちが群がってくるのは目に見えている・・・

 そう、アフリカに入って、実はちょっと走りにくさを感じているんですけど・・・それは、視線。中南米の人たちって、まぁ、目立つチャリダーではあっても、そんなに、ガン見してこないんですよ。ところが、アフリカの人、特に黒人の人って、めっちゃガン見してくるんです。いや、少々見てもらえるのは、なんか注目されている気分でそれなりにいい気分になるのですが、ガン見されちゃうと、視線が痛いのです。

 そんなことを思いながら、ちょいと悩んだのですが、ここは、空腹には勝てなかった。結局スーパーの店先に、ファニーバニーを止め、鍵でガッチリ固定。と、やっぱり、黒人のお兄ちゃんたちに囲まれた。「どこから来たんだ?」とか「なんだこのちっちゃいタイヤは」とか質問攻め。いつもなら、笑顔で返事を返す余裕があるのだが、今日は無理。お兄ちゃんたちの質問攻撃から逃げるように、スーパーの店内へ。振り返ると、さらに多くのお兄ちゃんたちが、ファニーバニーに群がっている。ああ・・・ちょっと心配だが、とりあえず、食べ物、食べ物・・・惣菜コーナーに行って、おいしそうなものをいくつもオーダー。こういう空腹状況で買い物にくると、絶対余分にモノを買ってしまうのだが・・・今回も、まさに、買いすぎ状態。いや、今日のは買いすぎではない。今日の空腹状態ならば、あっという間に全部お腹に入るに違いない。

 レジをすませ、外へ。すぐにでも買ったお惣菜を食べたかったのだが、ファニーバニーに群がっているお兄ちゃんたちの目の前でムシャムシャを食べるワケにもいかず、とりあえず、再び始まった質問攻撃を交わし、町外れまで走る。すまん、兄ちゃんたち、今日は、かまっている心の余裕がないのだ。

 町外れに、ちょっとした公園っぽいところがあり、ベンチもあったので、そこに座ってようやく飯。あぁぁぁぁ、ウマイ!!!美味そうだと思って買ったやつ、全部大当たり。いや、これ、腹が減っているからウマイとかじゃなく、普通に食ってもウマイはず。肉とか野菜がはさんであってとりあえず、ボリュームありそうだからと思って買った惣菜パンが、なんと、カレーパンだったし。いや、キーマカレーっぽい具材を詰めたパンがちゃんと揚げパンになっていて、完璧なカレーパン。いやぁ、ホントにウマイ!

 腹ごしらえができ、パワー補充したオイラ、走り始めたのですが・・・なんか力がでない。一度ゼロまで使い切ってしまったパワーは、再びパワーが使えるようになるには、エネルギー補給以外に、十分な休息が必要なのだろう。が、とりあえず、明日には、グラーフライネという町に到着したいオイラ、パワーの出ない体で走れるところまで走り続ける。

 南半球では冬場のこの頃、5時半には日が落ちてしまうので、5時過ぎに走りを終了。、テントをはれそうな場所を探すオイラ。そう、今日も、町には辿り着かないため、道端で野宿。と、昨日は、車通りの少ない道だったので、道脇でもかまわなかったのだが、今日はそれなりに車が通る道沿いでして。

 あまり道に近いところは人目につくから避けようと、一歩入り込んだところで、いい場所はないかと探したところ、ちょうど、農家の入り口らしき場所によさげな場所を発見。ただ、さすがに、他人の家の玄関先に勝手にテントをはるのもなんだなぁと思ったのだが・・・許可をもらおうにも、家が、入り口から5km先くらいにある。まぁ、見つかって怒られた時にはその時だ、と、勝手にテントをはらせてもらうことに。

 と、テントをとりだし、ポールをしこんでいたら・・・なんと、農家の家のほうから、車がやってくるではないですか。これは、早速見つかって、注意されるのか?オイラがテントはり準備をしている横に止まる車。家の入り口でテントをはろうとしているオイラを車の中から眺めるおじさん。「ハロー」と挨拶し、「ここにテントをはってもいいですか?」と、テントをはりながら聞くオイラ。そんなずうずうしいオイラに、おじさんは優しい笑顔で「もちろん」と答えてくれた。

 ええ人やぁ、おじさん。オイラもなぁ、こんな感じで、広い心を持って人に接しないといかんな。今日の昼間、スーパーの前で出会ったおにいちゃんたちには、すまんことをした。いや、いくら腹が減っていたからといえ、あのそっけない態度はなかったな。反省反省。