Policeman take me home
ポリスマンに連行されて

2011.6.1 / Lesotho(Kome Cave Village~Leribe) 本日 自転車76km走行 : Total 27712km走行
天気:晴
朝飯→パン+フィッシュ&チップス 昼飯→パン 夕飯→スーパーの惣菜パン / 宿→ポリスマンセバチャーナさん宅(70マロティ)

(English)
 Today I arrived at Leribe.



 夜中、トイレがしたくて起きた。あまりの寒さに、テントから出たくなかったのだが、尿意が限界に達し、意を決して外へ出る。すると、空には満天の星。ビックリするくらいの星が空を覆いつくしていた。普段は見ることができない、細かい星が集まってできる天の川がいくつも見れるほどのクリアな星空。この満天の星空を見るのもレソト旅の楽しみにしていた一つだった。雲が多かったマレアレアでは見れなかったし、街の明かりが明るすぎたマセルでも見れなかった。ここに来て、ようやく見れた素敵な星空。しばし、限界に来ていたはずの尿意も忘れ、夜空を眺めるオイラ。

 この星空をずっと眺めていたかったのだが・・・思い出された尿意と、寒さに耐え切れず、小便をすませて、再びテントの中へ。

 一度目覚めてしまったためか、素敵な星空に興奮してしまったためか、寝袋にくるまったもののなかなか寝付かれず・・・ようやくウトウトしはじめたのは朝も4時くらいになってのことだったのだが、今度は、鶏が鳴き始めた。しかも、お世話になってる家の飼鶏らしく、テントの横をウロウロしながら鳴き叫ぶ「コケコッコー」の声がうるさすぎて眠れやしない。

 まったく眠れないまま周囲が明るくなり、6時半起床。テントから出てみると、テントや自転車が真っ白に霜化粧されてた。どうりで寒いはずだ。そんな霜化粧されてしまったテントを片付けるのに、一苦労するオイラ。テントをたたもうとするにも、触るだけで手がかじかんで痛い。そんなオイラを見て、おじさんが手伝ってくれた。いやぁ、なんて優しい人だ。そして、片付け終わった後、火にあたれと、家の中に招き入れてくれた。ふ~、体だけでなく、心も温まりましたよ、ハイ。

 Caveハウス目的で来て、目的のCaveハウスは、まぁこんなものかって感じだったのですが、素敵なレソトの家族との出会いがあり、大満足でした、Ha Kome。

 そんなHa Komeを後にして、自転車をこぎ始める。昨日とは違って、今日はめっちゃ天気がいい。雲ひとつない青空をひた走る。昨日はまだ本調子ではなかったのか、自転車走りで体力を使っているというのに、食欲がなかったのだが・・・今日はお腹がグーグーとないている。腹が減ってきた。いい傾向だ。体が復活してきた証だ。

 たまらず、途中で寄った町で、食堂を探す。が、レストランっぽい店はない。あるのは、テイクアウェイのフィッシュ&チップス店のみ。そうそう、南アもそうだったんですけど、フィッシュ&チップス(白身魚のフライとポテトフライの盛り合わせ)のお店がレソトにも多い。旧イギリスの植民地だった場所では一般的な食べ物になってるんですかねぇ・・・腹が減っている身としては、美味しくいただけるんですが、欲をいうと、野菜の付けあわせが欲しい。そしたら、気分的にも満足できるんだけどねぇ。揚げ物だけだと、腹は膨れても、なにか物足りない。(そうそう、フィッシュ&チップスと一緒に売っていた丸いヤツが美味しかった。味は揚げホットケーキ。ほのかな甘みが絶妙。町の人たちも大量に買ってつまみ食っていた。)

 さてと、腹も満たし、体の調子もよくなってきたようで、走りは快調・・・と言いたいところですが、今日の道はひたすらアップダウンが激しく、病み上がりの体力的にはかなりしんどかった。

 それでも、楽しく走れるのは、相変わらず、レソトの人たちが道端から、応援してくれるから。ま、彼らにしてみれば、応援しているって感じではないのかもしれない。ただ単に、珍しいものを見たから、接してみようという好奇心的な試みなんでしょう。どこへ行く?という質問に対して、例えば今日の目的地である「レリベ」と答えると、「OK」という返事。反応がもらえたことでヨシとするビーコン的コミュニケーション。

 そんな話しかけ攻撃、大人たちは簡単に済むことが多いのだが、子供たちが強烈でして。子供たちの学校が終わる時間になると、もう大変。オイラが走っているのを遠くから見つけると、道端にダッと駆け寄ってきて、ジッと道端で待機。ひたすら、オイラが辿り着くのをジッと見ている。そして、オイラが「ハロー」と声をかけた瞬間に、声を発し始める子供たち。一度声を発すると、もう止まらない。「どこから来た~」だの「なんだそれ~」だの「オレも乗せろ~」だの質問が浴びせられる。自転車はそのまま通り過ぎているのに、質問は終わらない。子供たちはしばらく追ってきて、背中越しに質問攻撃が続くのだ。

 最初は楽しんでいる余裕もある質問攻撃も、あまりに頻繁だと少々疲れる。ようやく本日の目的地レリベ到着した頃には、体も精神的にも疲れてしまっていた。さて、町に入って、早く宿でノンビリしよう、と思っていたのだが・・・町の入口で検問をはっていた警察につかまった。別に職務質問というわけではなく、ただ、でっかい荷物をくくりつけた自転車に乗っている異国の若者に興味をひいて声をかけたって感じ。早く宿で休みたいというのに・・・この話好きのポリスマン、なかなかオイラを解放してくれない。

 冬の日の入りは早い。もたもたしていると、あっという間に暗くなっちゃう。なので、「宿を探そうと思っているんでそろそろいいですか・・・」とポリスマンに言うと、「この町の宿は高いぞ」とポリスマン。ええ、ロンプラにそう書かれていたんで、覚悟はしているんですけど、と思っていたら、なんと、「オレの部屋にくるか?」とポリスマンから、思ってもみなかったありがたいお誘い。「いいんですか?」というと、「いくらだす?」と・・・う~ん、アフリカは、こうくるか・・・まぁ、お世話になるわけですから、少々支払うのはかまわないんですけど。70マロティでということで、交渉成立。ポリスマンのセバスチャーナさん、仕事中のようなのですが、とりあえず、一旦仕事を中断し、オイラを連行するというカタチで、自分の家に案内してくれた。

 案内してくれたところは、教会。セバスチャーナさん、教会の一角に部屋を間借りしているらしい。部屋に通してくれて、自由にしてていいから、と言った後、セバスチャーナさんは、再び職場へ。おぉ?ここでも、見ず知らずの旅人を信頼してくれるんですなぁ。ありがたいことです。

 さて、近くのスーパーに買出しに行った後、部屋でくつろいでいたら、トントンと誰かがドアをノックしている。セバスチャーナさんは22時に帰ってくるっていってたのに・・・誰だろうと恐る恐るドアをあけると、教会のシスターが立っていた。オイラが今日、ここに泊まることをセバスチャーナさんから聞いた教会のシスター、「今晩は冷えるから、布団をもってきたわ」と。重ね重ねありがたいことです。そして、22時過ぎに仕事を終え戻ってきたセバスチャーナさんは、またもマシンガントークを繰り広げはじめたのですが・・・シスターにもらった布団にくるまり、もはや完全に眠気に包まれていまして・・・セバスチャーナさんのマシンガントークを子守唄代わりにして、いつのまにやら寝付いてしまったオイラなのでした。