Mountain Road
チャリダー泣かせの山道へ突入・・・で、ワクワクしちゃってるのはドMチャリダーの証

2011.6.2 / Lesotho(Leribe~Oxbow付近) 本日 自転車64km走行 : Total 27776km走行
天気:晴 自転車折りたたみ:1
朝飯→パン 昼飯→パン 夕飯→パン / 宿→テント泊

(English)
 Today I run on Mountain road. It's tough for me.



 寝ているオイラを誰かが起こす。目を覚ますと、外出着に着替えたポリスマンのセバスチャーナさんが目の前に。「オレはこれから出かけなきゃいけない。君が出発する頃に戻って来れないかもしれないから、その時は、鍵をあけたままでいいからな」と。今何時ですか?時計をみると、真夜中の3時。こんな時間に出かけなきゃいけないって、さすがポリスマン、「お勤めご苦労さんです」・・・って、お勤め姿じゃなかったな。完全な私服じゃん。ということは、これから夜遊びか?とにかく、寝ぼけ眼で、「OK」と答えるオイラ。「じゃぁ、よい旅をな」というセバスチャーナさんと固い握手で別れる。

 それにしても、見ず知らずの旅人を家に招き、自分は出かけて、出発する時には、鍵をあけたまま出てっていいって・・・なんでしょう、このあけっぴろげな感じは。ポリスマンだからって、いいんですか?ここまで開放的で・・・

 まぁ、とにかく、再び眠りについたオイラ。目覚ましで起きた朝、やっぱりセバスチャーナさんは戻っておらず。出発準備を終え、言われたとおり、鍵をあけたままお世話になった部屋を後にする。

 さて、レリベの町を出ようとしたところで、いつものようにシャトルバスの運ちゃんに「ドコへ行く?」と声をかけられた。いつもならば、次の行き先を答えるだけ答えて、そのまま自転車で去っていくのだが・・・今日は、ふと「このバスに乗せてもらおうか?」という思いが頭をよぎった。

 というのも、マセルで寝込んでしまったおかげで、レソト走りの日程がギリギリ、いや、時間的には、間に合わなさそうな感じになってしまったのだ。一日に100km近く走らないといけないんだけど・・・これから山道に突入することになり、一日の走行距離が今までどおり100km進めるとは限らなくなる。昨日の道程度で、ヘタってしまったオイラ、これから激しさを増すであろう山道を、一日100kmで進める自信はない。ってことは、このまま正直に走りきったら、オーバーステイ確実って事態に突入するってワケなのだ。

 で、思いついたバスワープ、値段を聞いてみると、24マロティで30km先の次の町まで行ってくれるという。しかも朝早いから客が少ないらしく、自転車も楽に積めこませてくれそう。ということで、乗っちゃいました、シャトルバス。この道沿いに、恐竜の足跡が見れる場所があるらしく、そこに寄るのをちょっと楽しみにしてはいたのですが・・・バスに乗っちゃうと、そのままスルーしてしまう。ま、恐竜の足跡はモリジャで見れたのでいいか、と。

 さて、バスはあっという間に30kmの道のりを走りぬけ、次の町Butha-Butheに到着。ここから再び自転車で走り始めたオイラだったのですが・・・次第にアップダウンが激しくなっていく道に、心が折れる。いやぁ、最初に楽しちゃったらダメですな。甘え癖がついてしまいます。またバスに乗っちゃえばいいじゃんか、という甘い誘惑が頭をグルグル駆け巡る。

 そこはまぁ、なんとか甘い誘惑を断ち切り、我慢してしばらく走ったオイラ、Motengという村に到着した。ここから先、2900mくらいの峠越えが待っている。ちなみにただいまの標高は1900m程度。1000mを一気に上ることになるのだ。今日は完全にダメダメモードのオイラ、ここは、車に甘えちゃおうと、村のバス乗り場でたむろっていたバスに声をかけたところ・・・どのバスも、ここから先は進まず、もと来た道を引き返すだけだという。えぇ~、ここからバスに乗れないのぉ・・・一応バスはあるらしいのだが、本数は少なく、しかも、人がいっぱいで、自転車を積めさせてくれないだろうとのこと。

 しょうがないので、覚悟を決め、峠への道を上り始めるオイラ・・・

 いやぁ、辛かったですよ。ただ、途中眼下に広がる風景が心地よく、ツライながらも、心の中ではワクワクし始めているオイラ。しかも、上っていくうちに、南米でアンデスを越えた頃の心境が蘇ってきて、しばらく心の中で眠っていたドMチャリダーっぷりが、むくむくと起き上がってくるのを感じる。

 大変であればあるほど、喜びもまた大きい。この喜びを得るために、わざわざ大変な試練を抱え込んじゃうのが、ドMチャリダーってやつでして。

 今回も、辛かった分、なんとか上り終えた峠の頂上での充実感と開放感は、格別なものでしたよ。これこれ、これですわ、チャリ旅の醍醐味は。これまでの比較的平坦な場所とは違い、本格的な山岳地帯となる、レソトゾーンに突入し、チャリ旅の厳しさと、オモシロさを思い出させてくれるに違いない。これまでの比較的人が多く住んでいる西部とは異なり、人があまりいなくなる東部、裏レソトはどんな表情をオイラに見せてくれるのだろうか?

 そんなワクワク感を抱きながら、峠を越えたのであったが、早速始まった猛烈なアップダウンの山道に早くもゲンナリ。いや、やっぱり山道走りは、楽しくなんてないッス、ツライだけッス・・・

 こんな感じで揺れに揺れ動くチャリダー心。我ながら、やっかいな性格だと思いますわ、ホントにねぇ、モウ。