(English)
Today I run mountain road.
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冬の山の中のテント泊はめっちゃ寒い。とりあえずは、手持ちの防寒でなんとか耐えられるのだが・・・ただし、ギリギリ。凍えるような寒さの中、日が出るまえにテントをたたみ、出発準備。
さて、次の目標の村は、モホトという村でして。昨日の距離標識から判断すると、あと100km進まないといけない。ん?100km!?・・・昨日から完全に山の中に突入してしまい、激しいアップダウンが続くこの山道で、一日100km走りは、無理。また今日も道の途中で野宿かなぁ・・・しかし、困った、レソトの観光ビザは二週間しか滞在日程をもらっていないので、今日を入れて残り3日で出国しなければならない。国境のあるサニパスまで150kmほど。普通の道だったら問題ないんだけど、ここからは、3000mの峠越えがいくつも待っているらしい、未舗装山道・・・辿り着けるのか?オイラ。
そんな不安を胸に抱きつつも、とにかく、前に進むしかないので、昨日の続きの上り坂をひたすら上り続ける。標高地図を持っていないオイラは、この上り道がどこまで上るのか、全然分からない。そろそろ頂上だろうと思って曲がった道の向こうに、さらに上が見え、愕然とすることを何度も繰り返す。手元のGPSの高度計は、いつのまにやら3000mを越えている。もうちょっと行けば、もうちょっと行けば、と思うものの、なかなか越えられない峠に、いい加減うんざりしてきた。
大変そうな雰囲気をかもしだしながら、自転車を押すオイラを横目に、大型トラックが何台も横を通り抜けていく。ここは、もう車に頼りたいところなんですが・・・大型車って、乗せてもらいにくいんですよ。大抵荷物を積んでいるから、荷台がいっぱいだし、そもそも、荷台が高いんで、自転車&荷物を入れ込むのが大変。そこをわかってか、トラックの運ちゃんも、どこへ行く?と声をかけてはくれるものの、めったに、乗っていけと言ってはくれない。
と、一台のトラックが後ろから坂を上ってきた。そして、オイラの横で止まった。坂道上りに疲れ果て、少々機嫌が悪くなっているオイラ、「また、ひやかしだけでしょ」と、無視するカタチで、止まってくれたトラックに目を向けることもなく、坂道を上り続ける。と、トラックが、クラクションを鳴らしてきた。なんだよぉ、もう、と思って、振り返ってトラックの荷台を見ると、運ちゃんが、乗せていけと、ジェスチャーしてくれているじゃないですか!
えぇ~!!!いいんですか!!!
ちょうど、この先のMothaeという村に羊を取りにいくところだという、このトラック、荷台は空でして。動物の糞がちりばめられている荷台でしたが、そこは、もう、なんの躊躇もなく、自転車と荷物を放り投げて積ませてもらう。いやぁ、助かりましたぁ。
オイラを拾ってくれたトラックの運ちゃんは、ツェポさん。話し好きのツェポさんは、いろんな質問をオイラにぶつけてきた。旅の話、宗教の話、結婚の話、日本の話・・・うむむ、この間お世話になったポリスマンのセバチャーナさんも、宗教話をぶつけてきたなぁ。レソト人はほとんどの人がキリスト教を信じているらしい。それにしても、「お前は神を信じるのか?」と言われ「信じてない」と答えた後の「なぜ?」という質問に対する答えが難しい。
さて、オイラを乗せたトラックは、まだまだ坂道を上っていく。あぁ、やっぱりまだまだ上り坂が続いていたんだ・・・と、車に乗れたことにホッとするオイラ。結局3300m近くまで上り、ようやく峠越え。その後、下り始めたトラックの窓から見えてきたのは、なんと、スキー場。不自然なかたちで雪が敷かれているゲレンデはおそらく人工雪なんだろうが・・・レソトの人たちもスキーを楽しむのかぁ。ブランケットを羽織っているレソト人がスキーをしている姿を想像して、ちょっぴり笑ってしまった。ま、実際は、お金持ちの人たちがスキーウェアを着て滑っているようなので、ブランケット姿のスキーヤーなんて見れないようなのだが。
一旦下った道をトラックは再び登っていく。そしてまた3300m近くまで上る。そして峠を越えて下った後、また上り・・・いやぁ、ホントこの道は、車に乗せてもらってよかった。このアップダウンは、自転車走りにはきつすぎる。そして、ようやくMothaeの村に到着。乗せてあげられるのはココまでだ、と言うツェボさんに、お礼をいい、お別れ。
ここからは、下り道がメインとなった。しかも40km近くトラックで走ってもらったので、モホトまで、残り60km、今日中に辿り着けそうなペースとなり、心が軽い。
途中、小さな村が見えてきた。ちょうど昼時だったので、お昼ご飯を食べようと、食べ物がありそうな店に立ち寄る。と、店先に自転車を止めていると、子供たちがどんどん集まってきた。めずらしそうに、ファニーバニーを眺めている。飯を食べ終え、さぁ、出発しようとこぎはじめると、見学していた子供たちが、一緒になって走りだし、後を追ってくる。いや、ゆっくりペースのオイラのチャリ、後を追ってくるというより、横を併走してくる子供たち。無邪気に走っている子供たちとの併走は、なんだか心をホッとさせてくれる。ツライ山道レソトの走りですが、心温まる瞬間です。
無邪気に走っているだけの子供たちはいいんです。ほほえましいんですよ。が、中には「ギブ・ミー・マネー」「ギブ・ミー・スイーツ」と言って追ってくる子供たちがいて。これは、ちょっとウザイ。難しいんですよねぇ、対応が。自分も、人に頼りながら旅を続けているワケで。要求だけして、御礼をちゃんと返せてないという意味では、「ギブ・ミー・マネー」と言っている子供たちと同じ。ただ、あからさまに<お金を要求する>というのは違うだろう、って思うんですけど。
さて、その後は順調に走り続け、目的地であるモホトの近くに辿り着いたんですが・・・モホトは、最終目的地であるサニパスに続く道から分岐した道の先にある。分岐した道から8kmほど行ってようやく辿り着くのだ。往復で16kmのロスとなるわけで・・・これはめんどくさい。サニパス方面に進んだ場所にあるモルモンという村に、バックパッカー宿があるようなので、そちらに行くことに。
と、しばらく進むと、<モルモンはこちら>という看板が見えた。そちらを見ると・・・猛烈に丘を登る道が続いているじゃないですか。しかもここから6kmくらい行かなきゃいけないようで。これだったら、モホトに行ったほうがよかった。うぬぬ、今日の宿はどうしようか、モルモンに進むべきか、それともモホトに戻るべきか・・・と思って悩んでいたら、一人の男の人が声をかけてきた。モルモンまでは遠いですよねぇ、なんて話をしていたら、「テントを持っているんだったら、うちの庭で寝ればいい」とありがたい言葉を投げかけてくれるじゃないですか。そして、声をかけてくれたオッティさんが、なにやら急に叫びだした。おお!?何事?と思っていると、「あそこに車が止まっている家が見えるだろう。あれば僕の家だ。今、君がいくことを伝えておいたから、行くといい。僕はこれから、町にいかなきゃいけないから、じゃぁ」と200mくらい先に見える小さな家を指差すオッティさん。
えぇ・・・先ほどの叫びは、オイラが行くことを家族に伝えてくれたってこと?そして、そんな連絡方法で、ご家族の人は、オイラを受け入れてくるの???と半信半疑ながら、向かったオッティさんの家の入り口で、オッティさんの弟さんが出迎えてくれた。いやぁ、なんでしょう、この優しさの連携プレー。今日はありがたく、家の庭にテントをはらせていただきやした。そんなテントがめずらしいのか、子供たちが集まってしまい、しばらくテントの周りから離れようとしない。いや、場所を提供していただいたのはありがたいのですが、こうも、皆さんに見つめられたのでは・・・落ち着けないです、ハイ。
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