(English)
Today I run on Mozambique road.
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ああ、なんだか胃が重い。気持ちよく朝を迎えて、マプトを出発するつもりだったのに・・・調子に乗ってカシューナッツを食べ過ぎたのが原因か、いや多分、そうだ、それしか考えられない。ま、胸焼けくらいで出発を取りやめるワケにもいかず、ともかく、今日、いよいよマプトを出発。
雑然とした街なかを走り始める。モザンビークでは、海岸側の幹線道路を走る予定で、早速この幹線道路に出たのだが・・・街周辺はトラックやバスが多くて走るのが大変。ガンガン幅寄せしてくる。幅寄せしてくるのは、人を乗せるためでして・・・道端にとにかくたくさんの人たちが立っていて、バスやトラックの荷台に乗ろうと、待っているのですよ。で、この人乗せバスやトラックが、待っていた人たちをどんどん乗せる。いやぁ、ありえないくらいの人たちを詰め込み、走り始めるバスやトラックに、ビックリ。こんなにも<すし詰め状態>に人を乗せ走っているトラックは初めて見た。
そんな喧騒の道がしばらく続いたのですが、マプトを離れてしばらく走っていると、道は、次第に、のどかな田舎道になった。ふ~、ようやく落ち着いて走れる。心地よい風景を堪能しながら、ノンビリ走る。
さて、この時期の南半球は一日が短い。気づいたらもう日が傾き始めている。時計を見たらまだ16時過ぎなのに・・・17時には日が落ちてしまうのだ。そろそろ寝床を見つけなきゃいけないんだけど・・・町から離れた場所を走っているため、周囲には宿はない・・・これは、野宿かな、と適当なテン場を探し始めるオイラ。幹線道路から隠れるのにちょうどよさそうな林の方に続いている小道を発見し、その道を通って奥に入る。で、ちょうど林の所にきたら、幹線道路を走る車からは見えない具合になったので、ここでいいか、と小道沿いのブッシュに、テントを設営。日は沈み、次第に暗くなる周囲。やぶ蚊が多いので、テント内に潜り込み、とりあえず、横になって疲れをほぐしていると・・・なにやらテントの外で、人の気配が。
見つかったか・・・
数人の声が、次第に大きくなる。まっすぐオイラのテントの方に向かってきている。これは間違いなく見つかった模様。ひょっとして襲われちゃうのか!と、身構えるオイラ。テントの周囲で、一旦声が止まった次の瞬間、テントがブンブンと揺さぶられ始めた。「なにするんですか!」と外へ出るオイラ。外では、6人くらいのモザンビーク人たちが、オイラのテントを取り囲んでいた。周囲が暗くなりつつある中、取り囲む黒人の人たちの表情がイマイチ読み取れない。どうするつもりなのか分からないのが、余計不安心をかりたてる。
リーダーらしき男性が、早口のポルトガル語で話しかけてきた。なんとか分かる部分だけで解釈すると、「ここにテントをはっちゃダメだ」と、言っているらしい。よかった、どうやら襲ってくるワケではないようだ。勝手に敷地に入ってきたオイラを発見して、注意しにきただけのようだ。ホッとするオイラ。警戒心が緩んだ瞬間、甘えモードに切り替わる現金なオイラは、「一晩だけなんです。もう、暗くなってきたことだし、なんとかなりませんか?」と頼みはじめる。が、「いや、ダメなものはダメなんだ」と、かたくななリーダーの男性。
しかし、これから別の場所を探すったって・・・困っているオイラを見て、「分かった、とりあえず、荷物をまとめて、オレについてこい」と言いはじめるリーダー。おほっ、これは、リーダーさんの家に泊まらせてもらえるのかと思ったオイラ、一旦設営したテントをまたたたみ、装備をほどいた自転車に、また再装着して、歩き始めたリーダーの後を追う。「ドコにいくんですか?」「すぐそこだ」というリーダーについて、自転車を押し始めたのですが・・・
すぐそこ、なる場所に全然到着しませぬ。
しかも、連れて行かれている道は幹線道路からどんどん離れていく。草木が周囲を覆う小道を分け入っていくオイラたち。ちなみに海岸側のモザンビークの道って、幹線道路こそアスファルトで固められていて普通に走れるものの、脇道は基本的に砂道なんです。奥へ行けばいくほど砂が深くなり、フル装備の自転車で進むのがどんどん困難になっていく・・・
え~、これは、暗いところに連れて行ってなにかしようという魂胆なのでは・・・とまた、不安が頭をかすめる。
汗だくになりながら、リーダーについていくこと、延々1時間半。いや、アフリカ人の言う<すぐそこ>を近い場所と解釈してはいけませんな。
「ここだ」と、ようやく到着した場所。一軒の家があり、庭にプラスチック椅子が並べられていた。「そこに座ってて」と言われたので、遠慮して端の椅子に腰掛けようとしたら、「違う違う、真ん中」と言われ、不自然に置かれた真ん中の椅子に腰掛けるオイラ。ん、これは客人だからか?と思ってたら、一人の老人が家から出てきた。そして、その老人になにやら説明を始めたリーダー。その老人を含め、数人が、オイラを取り囲むように椅子に座り、オイラについてなにやら議論をし始めた様子・・・周囲は真っ暗で、聞こえてくるのは早口のポルトガル語・・・何も見えないし、何も分からない。これは一体なんなのだ?オイラをここに泊めさせてくれるってワケじゃないのか?
老人が一旦席をたった時、リーダーがオイラに向かって囁いた「彼が、この周辺をまとめているボスだ」ボス・・・どうやら、あの老人がこの辺の村をまとめている村長さんらしい。そして、リーダーは、扱いに困ったオイラを、どう扱うべきか、村長にお伺いをたてにきたってことらしいのだ。
・・・ってことは、コレは村長裁判ってやつですか?
人の畑?に勝手に入り込んでテントをはったので、不法侵入の罪で、釜茹の刑とかそういうコト?。なんかメンドクサイ流れになってきたぞ。
いやぁ、これは、「ここにテントをはっちゃダメだ」と言われた時に、おとなしく退散しておけばよかった。というか、それ以前に、あの小道沿いじゃなく、もっと人に見つかりにくいブッシュのど真ん中にテントをはっておけばよかった・・・と、考えるも後の祭り。
戻ってきた村長、手には懐中電灯を持っていて、そのライトで、オイラのファニーバニーを照らしてなにやら思案している。そして、おもむろに電話を取り出し、どこかに電話をかけはじめた。長い電話会話が終わり、オイラの方を振り向いた村長・・・先ほどまでの厳しい顔が一変、にこやかな顔になっている(って暗闇であまり見えなかったのだが・・・)
「彼(リーダー)の家に泊めてもらいなさい」
お咎めなしですか。ふ~、よかった。っていうか、電話をかけていた相手は誰ですか?村長がさらに誰かにお伺いをたてていたんですか?
よく分からないけど、まぁ、よかった・・・よかったんですけど・・・リーダーであるアルメンドさんの家は、オイラが勝手にテントをはっちゃった場所の近く。1時間半かけてきた道をまた戻れと・・・
こうなるんだったら、ファニーバニーは、アルメンドさんの庭先に置かせてもらってきてもよかったんじゃないんですか?なぜ、フル装備の自転車をもって、村長さんの所に来る必要があったのか・・・まぁ、村長の決断次第で、そのまま自転車ごと海に投げ出されるなんてこともあったのかもしれないってコトか・・・
リーダーのアルメンドさんは、「よかったな」的な顔で、オイラを自分家へ案内してくれているんですけど・・・いや、お世話になるのは感謝感謝なんですけど・・・このメンドクサイ砂道を3時間もかけて往復する身にもなってくださいよぉ~、と、腹が減り始め、内心イライラモードなオイラなのであった。
で、辿り着いたアルメンドさん宅。家は質素なレンガ造りで、中はろうそくの明かりが灯っているだけ。中に招いてもらい、ポリバケツに入れてあった水をいただき、パプを少々ごちそうしていただきまして。とりあえず、お腹が落ち着いたら、気持ちは存分に感謝モードに切り替わりました。いや、ホント、不法侵入したオイラにこんなにしていただいて、申し訳ないです、ハイ。で、「ここで、一緒に寝てかまわないからな」と、家の中に寝床も提供していただきまして。もちろん、オイラはどこでも寝れるっちゃ寝れるんで、招いていただいた家で横になろうとさせてもらったんですが・・・ここ、蚊が多すぎる。蚊帳なんてものがない室内、刺されまくりなんです。ここで寝させてもらったら、間違いなく、痒さのために眠れやしない。ここなら、まだテントの方が、蚊よけができる・・・「家に招いていただいて大変ありがたいのですが、蚊が無理なので、僕は外にテントをはらせてもらって寝ることにします」と言って、結局庭にテントをはらせてもらい、寝ることに。
モザンビーク、空き地と見えても、誰かの所有地。テントを張る時には、所有者にちゃんと許可をもらってからでないと、面倒なことになるようです。以後、気をつけないとな。
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