Uyuni again...?
ウユニの感動再びのはずが・・・

2011.9.7 / Botswana(Kasane~Nata付近) 本日 自転車44km走行 : Total 32121km走行
天気:晴 自転車折りたたみ:1
朝飯→パン 昼飯→チキン&ライス 夕飯→スナック / 宿→野宿

(English)
 I heard that there is salt lake near hear. I wanted to see salt lake, so I tried to run toward salt lake. But... the road to salt lake is deep sand road. It was too tough to run by bicycle. I gave up to go there...



 カサネでは、チョベ動物公園で、ボートサファリくらいはしていこうか、と思っていたのですが、もう、昨日で充分にゾウ体験を堪能しちゃったんで、宿も高いことだし、出発することに。

 さて、ここからのルートですが、バスワープしちゃうことにしました。道は違うとはいえ、ジンバブエ側をセッセと北上してきた道を、また走って南下するのが、気分的にしんどく感じたのと、そもそも、この道、町がない区間が200kmくらい続くんで、最近の灼熱の太陽が照りつける中では、走るのはツライというのがありまして。この道も、野生動物に遭遇できる可能性が高い、という魅力的な道ではあったのですが・・・

 とりあえず、ナタという300kmちょい先の町まで、バスに乗っていくことに。朝7時に、バス停まで自転車で走る。で、荷物を装着したままの自転車を押しつつ、バスの運転手のおじさんに近づき「ナタまで行きたいんですけど」と言うと、「自転車は乗せられないぞ」と断られた。そう、ここのバスは、小型バスなので、荷物を搭載するスペースがなく、自転車を乗せることはできないというのだ。「いや、この自転車は小さくなるんで」と、荷物を外して、自転車を折りたたんでみせる。あっという間に小さくなったオイラのファニーバニーを見て、口元がゆるんだ運転手のおじさんは「おお、これなら、いい、乗せてやる。」、と。やった!久々に折りたたみ自転車であることの本来の意味での使い方ができた。ふふふ、場合によってはバスに乗せちゃうハイブリッド旅・・・と心の中で喜んでいたオイラに、おじさんはツライ一言を浴びせた。「ただし、料金は二人分払ってな」

 ・・・折りたたむことで、バスに入れられるようにはなったものの、自転車は座席乗せになるから、二人分の料金を払ってくれというのが、おじさんの言い分。たしかに、そりゃその通りなんですけど・・・一人だと65プラの料金が130プラになってしまう。そこをなんとか、と値段交渉し、100プラにまけてもらうことに。

 さて、乗り込んだバスの車窓からは、ゾウやら、ダチョウやら、角のかっこいい名前のわからんシカ系草食動物やら、キリンやらが見えた。あ~、これは、自転車で走っても楽しかったかも・・・と昨日の、ゾウ遭遇体験を思い出し、ちょっとだけ、後悔する気が起きたんですが・・・バスから見える風景は、基本的に平坦で、周囲は代わり映えのしないサバンナ道、いや、この道を3日走るのはちょっと飽きるな・・・、とやっぱりバスに乗っていることにホッとするのであった。

 で、自転車だと3日かかるところなのだが、バスだと3時間強で、ナタに到着。ここ、ナタでは、一泊して、周囲の情報収集をしようと思っていたのだが・・・ナタの町には安い宿がなさそう。キャンプできそうなところはないですか?と町の人に聞いたところ、10km先の、ナタ自然公園内にキャンプ場があるよ、とのこと。むむむ、ナタ自然公園だと、方向が逆になるし、その公園、オイラ的にはあまり興味をそそられない。ということで、ま、時間も早いことだし、ナタに泊まることは諦め、次の目的地に向け、走り始めることに。ナタのガソリンスタンド併設のレストランで、腹ごしらえをし、ペダルをこぎ始めた。

 道が平坦なため、平均速度18km/hの快ペース。午後12時過ぎての出発だったが、これは、100km先のグウェタという町まで、今日中に着いちゃうんじゃないの?なんて思いながら、1時間ほど走ったら、<Kubu Island>という標識が目に付いた。おぉ!?ここが入り口か・・・

 実は、ナタまではバスに乗ったのに、ナタからは自転車で走り始めたのにはワケがありまして。ナタからマウンという町に続く道沿いが塩湖になっている。で、ナタの近くに、この塩湖に入る道があるということを聞いていたのですよ。情報元は、もちろん、アフリカ旅が長い、ヒロキくんとムシくん。ヒロキくん絶賛の塩湖<ソルト・パン>には、ぜひ、行ってみたくなって。だって、塩湖にバオバブが生えているっていうんですよ。ああ、想像するだけでワクワクしてくる。

 で、この標識に書かれている<Kubu Island>というのは、塩湖に浮かぶ島らしいのデス。ウユニ塩湖でいえば、イスラ・デ・ペスカドにあたる場所だと思われる。南米で一番気持ちよく走れた場所だったのがウユニ塩湖。アフリカにも似た場所があるのであれば、行くしかないでしょ、ウユニ塩湖の感激再びってことでね。

 って、突入した時には、ウユニ塩湖での楽しかった思い出しか頭になかったんです。日記に<今日の日はなかったことにしたい>とまで書いたあの日のことは忘れて・・・(というか、考えないようにしてたんです、ハイ)

 突入した途端、あの日のことが頭に蘇ってきた。ひたすら続く砂道。車輪が砂にとられ、前に進めなかった、オルーロからウユニ塩湖に突入したあの日のコト。

 ああ、一緒だ・・・

 塩湖って、どこも同じなんだ。周囲は砂で囲まれており、塩湖に辿り着くまでが大変。塩湖に入ってしまえば、塩の上はアスファルト並みに走りやすいんだけど・・・

 そう、この砂道さえ抜けてしまえば、あとは、あの楽しい想いができるじゃないか、がんばればいいんだよ。いつものように、辛い時には何も考えずに、ただひたすら前に進めばいいんだ。

 と思うも、照りつける太陽が、ツライ。そして、大量に持ってきたはずの水もあっという間に減っていく。3時間たっても、15kmくらいしか進めない。Kubu Islandまでの約100km、ま、二日あればいけるだろうと思っていたのだが、このペースだと、3日はかかりそうだ。となると、水が確実に足りなくなる。途中で、補給できるところがあればいいのだが・・・一応ロンプラには、この先に村らしきものがあるように書かれているのだが、そもそも、道なんて、あってないような場所。村に辿り着けるかどうかもわからない。いやぁ、これは無理だな・・・

 今まで不安と思えるところでも、前に進めたのは、それなりに、事前情報があったから。少々大変だけれども、なんとかなるだろうという無謀さは、事前情報に基づいた見通しがあったから。今回のように、あやふやな情報ばかりしか手元にない状態での無謀さは、ムチャでしかないということに気づいた。そうか、このムチャさを、冒険と呼ぶのなのかもしれない。未知なところへ、無謀にも突っ込んでいく行為。これぞ<冒険>。ま、ほとんど全ての場所に人の足跡が刻まれてしまった現代、もはや未知の場所なんてないのかもしれないが・・・ガイドブックを持たずに、道なき道につっこんでいく、こういう旅スタイルによって、個人的な未知体験は充分可能だ。

 そうか、そういう意味では、アラスカからずっと、冒険はしてなかったな、と改めて気づいたオイラ。オイラは、ドコへ行くにも、だいたい事前情報をガッツリ入手して、見通しをつけてから望む。行きたい場所に、行くのに、道が地図に載っておらず、どの道を行けばいいのかよくわからないとか、途中に何があるかわからないとか、一体何日かければ辿り着くのかわからない、なんて状態で、向かうことはなかった。もちろん、自転車旅ならではの、不確定要素はあるのだが・・・・冒険と呼べるものではない。オイラがしてきたのは、ただの旅なんだな、と改めて気づいた。あ、誤解してもしくないのだが、ただの旅とは行っても、この旅は、充分魅力的だし、オイラ的には、満足いく行程なんで、別に、これは否定的な意味で書いているわけじゃない。

 そんなことを考えながらテントを張った場所は、まっ平らな地平線を臨む、サバンナの大平原のど真ん中。ソルト・パンには辿り着かなかったけど・・・この風景が見れただけでもよかったかな、と思うオイラ。ちょっとした冒険心は、こんな素敵な場所に導いてくれたりするもんなんだよなぁ・・・

 冒険スタイルもいいかも・・・

 なんて思ったりもするのだが、もし、オイラが旅スタイルをちょっと変えて、冒険スタイルに足を踏み込ませるとしたら・・・今以上に、荷物を増やさねばならないだろう。すくなくとも、水や食料は、想定する日数分の倍はもっていかなければならない。うむむ、これ以上荷物を増やすのはちょっと・・・そんな理由で、冒険心の気構えが萎えるオイラであった。これ以上ファニーバニーに負担をかけるのは、ちょっと、ね。だって、こいつと一緒に日本に帰り着きたいんだもん。


【今日のイラストメモ】