Namibia again
ふりだしに戻る・・・まさかのナミビア再入国

2011.9.17 / Botswana→Namibia(Maun~Katima Mulilo) 本日 769km移動(自転車29km走行) : Total 32519km走行
天気:晴
朝飯→パン 昼飯→ジャガイモ+ゆで卵 夕飯→サンドイッチ / 宿→適当な場所で野宿

(English)
 Today we left from Maun. I entered to Namibia. When my Africa's 2nd, I entered to Namibia... So Namibia again... I already have been in Africa for half year...Why now again? Isn't my trip too late?



 さぁ、いよいよ、マウンを出発。早めの朝ごはんを食べていたら、ガバロネへ向かうというシム先生がもう出発するというので見送る。そして、食後のティーをすすっていたら、シュンさんとマネンゴのジュリアも起きてきた。これからナミビアへ向かう3人、マネンゴたちの車に、シュンさんも同乗し、レンタカーをシェアして旅することにしたという。「じゃ、またどこかで」と別れる際、一緒に写真を撮ろうと言ってくれたジュリア。マネンゴの一眼で撮ってもらうのに、ファニーバニーにまたがるオイラの隣に並んだジュリアが、

 「You are real traveler. We are just tourist」

 と言ってくれるじゃないですか。おお、よかったよ。出会った時の印象が、パソコンいじってばかりの男、だったからね。オイラのこと、ただのパソコンオタク旅人だと思われたままだったら、どうしようって思ってたところだったよぉ。

 マネンゴと固い握手でお別れ。ジュリアとも握手しようと思ったら、「女の子とはハグでしょ」と。すんません、この手の習慣、全然慣れないんです、ハイ、と慌ててジュリアをハグ。

 シュンさんともお別れ。ま、また会える気がする、シュンさんとは。オイラがインドかアジアに突入したあたりでバッタリと、なんてね。

 さてさて、オイラの向かう先なんですけど・・・いや、向かう先は、ビクトリアフォールズなんですが・・・ええ、戻るんです、滝に。ただ、その戻り方がちょっと悩ましくて。最初は、カサネからマウンに来る時に通ってきた道を、そのままバスに乗って引き返そうと思っていたんです。ナタに着いたら、ソルト・パンリベンジするのもアリか、なんて考えたりして。が、実際問題ソルト・パンリベンジはツラすぎるだろうと。だって、プラネット・バオバブで出会った、アンドリフたち。お二人も、ソルト・パンに行こうと車で向かったそうなのですが・・・彼らの車は四駆なのに、途中の砂道に断念して引き返してきたっていうんですよ。ま、もちろん、彼らが突っ込んじゃった道は、オイラが突入した道とはちょっと違うとはいえ・・・四駆で走れない道をチャリでは無謀にもほどがあるでしょ。ということで、ここは泣く泣くソルト・パンは諦めることにしまして。で、そうなると、もと来た道を戻る意味があまりない。一度通った道は、行き止まりでしょうがないとか、リベンジという意味合いがないと、通りたくない、というのがチャリダー心ってもんでして。

 じゃぁ、別の道がないのかと、地図を広げてみたら・・・あったのですよ。オカバンゴの西側を北上し、一旦ナミビアに突入してからザンビアに入るという、超遠回りルートが。オカバンゴの上流を見れるっていうのが心をワクワクさせてくれたし、ナミビアの通り道となる<Capriviゾーン>は、ゾウとか出没するスポットらしくて。さらに、レンタカーで周っちゃったナミビア、自転車で走れるチャンスだ、ということもありまして。ということで、この超遠回りルートで戻ることにしたんですよ。オイラの自転車旅は、メンドクサイより、ワクワク心を優先させる、っつーのがモットーですから。

 が、実際問題として、このルートを自転車だけで戻るのは正直シンドイ。オカバンゴの西側を走るルートは、この道を走ってきたアレックスの情報によると、走ることになる幹線道路からは、オカバンゴの川や湿地ゾーンはまったく見えないらしい。道から見れるのは、ひたすら乾いた風景だって。一応、幹線道路から中に入っていけば水のあるところに辿り着くケド、砂道で大変とのこと。う~ん、だったら、ここは、バスワープでしょ。ということで、ボツワナと、ナミビアの国境に近い、シャカウエという村まで、一気にバスで移動することにしたのです。

 とりあえず、バスターミナルのあるマウンの町なかまで、自転車で行く。シャカウエ行きのバスを探したら・・・前回乗ったミニバスではなく、マルコポーロ製のでっかい車体のバスだった。これなら、問題なく自転車を乗せてくれるだろう、ま、いくらか追加料金を取られるかもしんないけど、と思ったら、バスのおじちゃん、折りたたんでコンパクトになった自転車に大喜びして、普通に乗車料金だけで、シャカウエまで乗せてくれることになった。こういう時に便利です、折りたたみチャリ。ただ、こんな時、おじちゃんは「旅が終わったら、この自転車オレに譲ってくれ」って必ず言ってきますケドね。

 それにしても、バスの座席は、前方はキュウキュウに混んでいるのだが、後ろがガラ空き。なぜ、皆さん、前方に座りたがるんですか?ま、おかげで、どうせ終点まで乗るオイラは、後部のガラ空きゾーンで、ユッタリ出来るからいいんですけど。

 アレックスの言うとおり、乾いた風景が広がる道をバスはひた走りし、シャカウエに到着した。うん、この道はバスワープして正解だった。動物もそんなに見れなかったし。

 さて、この先、国境までは村レベルの集落もないようだから、一応、ここで手元に残ったボツワナの通貨プラを両替しておこうか、と。バスを降りるとき、運転手のおっちゃんに聞いたら、その辺のスーパーで替えてくれるよ、と教えてくれたので、適当なスーパーに入り、ちょっとだけ残ったボツワナ・プラをナミビア・ドルに両替。

 いやぁ、でも、これからナミビアなんてねぇ・・・ホント、まさかのナミビア再入国。ナミビアに再入国するなんて思わなかったから、ロンプラのナミビアページ、荷物を軽くするため、ちぎって捨てちゃったんだよなぁ・・・

 シャカウエから国境までは、自転車で走る。ボツワナの出国手続きをすませ、ビザのいらないナミビアも問題なく、入国スタンプを押してくれて、いざナミビア。と、とりあえず、イミグレに張ってあった周辺マップで、キャンプ可能なロッジ情報を発見。「ここまで、どれくらいかかります?」と、イミグレのおじちゃんに聞いたところ、「10kmくらいで着くけど・・・何でいくの?バイク?」と聞いてきたので「いや、自転車です」と答えると・・・

 「自転車じゃ、行けないよ」と。

 ひどい砂利道の先にでもあるのかな、と思って、「わかりました、ま、とりあえず、別のところで、泊まれそうなところを探してみます」と、おじちゃんに言うと、

 「いや、だから、自転車じゃ行けない」と。

 ・・・どうやら、おじさんが言う自転車じゃ行けない、というのは、オイラが聞いたキャンプロッジへではなく、そもそも、自転車ではイミグレから先に入れないということらしいのだ。

 理由は・・・イミグレから出たところが、ライオンの出没するBwabwata National Parkという国立公園になっているから。

 ええ~、ミシュランのマップでは普通に通れる道として記されているのにぃ。こんなところが国立公園になっているなんて、書かれていないのにぃ・・・イミグレのおじちゃんが言うには、先に進みたかったら、国境に来た車をヒッチして乗せていってもらうしかないとのこと。

 ・・・困った。

 っていうほど、困ってもない。こういう時は、どうにかなるもんなのだ。案の定、イミグレの外に停めておいたファニーバニーの横で、どうしようかと思案し始めたオイラに、巨大なトラックでやってきたお兄さんが「どうした?」と声をかけてきた。

 事情を話すと、乗せていってくれるとのこと。ただし「いくら出す?」と来た。ま、ナミビアは、ヒッチがタダという文化はないらしいという話は聞いていたので、いくらか出すのはしょうがないなぁ、と「じゃぁ、30ナミビアドルで」と、交渉。すると、鼻で笑われた。ちょっと安くふっかけすぎたらしい。というか、どこまで連れて行ってくれるつもりなんですか?と聞き返すと、なんでも、ナミビアとザンビアの国境までこれからいくから、方向が同じということで、300kmも連れて行ってくれるとのこと。うぬぬ、オイラは、国立公園を抜けるところまで連れて行って欲しいつもりだったのだが・・・確かにそれだと、30ナミビアドルは、安すぎる。「ザンビアとの国境、カティマまで、150でどうだ?」とおっちゃん。ちょっと高いと思ったが、まぁ、いいかと「じゃぁ150で」というと「もちろん、USドルな。150USドル」とお兄さん。アホかぁ~、そりゃ高すぎじゃ。もちろん、150ナミビアドルということで了承してもらって(ちなみにナミビアドルはUSドルのだいたい1/7)、トラックに乗せてもらうことに。ナミビアのCapriviエリア、自転車で走りたい気持ちはちょっとあったのだが、こういうラッキー親切は流れに乗ったほうがいい。神様が置いてくれた敷石は、踏んでいくのが、よき旅となるコツ。自分の我で別の敷石を置いて進もうとすると、大抵ろくなことは起こらない。

 積荷はビールという二連結の後部車両にファニーバニーをくくりつけてもらい、荷物は、トラックのサイドに入れさせてもらう。

 準備は終わり、後は、お兄さんの書類が税関を通れば出発・・・なのだが、この税関手続きに手間取っているらしく、しばし、待たされる。待っている間、オイラの伸びた髪が気になったお兄さん「ガールフレンドにプレゼントしたいんだが・・・キミの髪、オレが切ってやるから、売らない?」と言ってきた。

 7人の子持ちというのに、奥さんではなく、ガールフレンドにプレゼントをあげたいと言う浮気性のこのお兄さんの名はジャウエさん。そうそう、アフリカの人は家族構成が複雑なんですよねぇ・・・それは、たぶん、男の人の浮気性が原因なのではないかと。子供たちがたくさんいるんで、「こんなに生んで大変だったでしょ」と聞くと、「あの子とあの子は私の子じゃないわ」なんて言われて。じゃぁ、この子は誰の子ですか?なんて、聞くのがちょいと野暮な感じがして聞けなかったんだけど・・・お世話になったガリカイさんところでも、長居したブラワヨの宿の管理人家族も、この人は誰の子ですか?という状況に遭遇しまして。

 という複雑な話はここでは深入りせず、ここでしたいのは、そんなジャウエさんがプレゼントしたいという髪のお話。アフリカの女性、オシャレさんで、髪も気を使ったヘアスタイルを皆さんしている。が、髪の毛、実は、地毛が生えていない人もいっぱいいるんです。原因はわからないけど、毛根がそもそも弱いのか・・・そんな人はウィッグをつけてオシャレさんになるようで。で、ジャウエさんは、このウィッグ用に、オイラの髪をもらえないか、と言ってきたってワケなのだ。

 ここは、すかさず「150で。もちろん、USドルでね」とニヤリと答えるオイラなのであった。

 さて、そんなやりとりをしていたら、書類が無事、税関を通過したらしく、出発できることに。トラックに乗り込み、国立公園に突入。しばらく進んだら、いきなりトラックが止まった。「ほら、あそこにゾウがいる」というジャウエさん。おお、ほんまや、ゾウだ。「せっかくナショナルパークを通るんだから、動物がいたら、停めてやるよ。好きなだけ、写真を撮りな」と言ってくれるジャウエさん。

 いや、この親切はですね・・・ちょいと理由がありまして。実は、税関の書類通過を待っている間、ジャウエさんが「キミはなんで自転車で、しかもノースポンサーで旅をしているんだ?」って聞かれたんです。これ、アフリカではホントよく聞かれる質問。で、これまでは、「楽しいからです」って答えていたんだけど、この答えでは、いつも怪訝な顔をされる。そんな話を、ブラワヨで、ヒロキくんにしたところ「そうそう、アフリカの人は、実利益なしで、旅をするという概念がないみたい。旅をしているアフリカ人はいるけど、彼らは、旅先で何かを売るとか、後で儲けるための何かを仕入れるとか、そういうことを必ずやっている。ただ楽しいから旅してる、といっても、アフリカ人は理解してくれない。後で本を書くために旅しているとか言うと、なるほど、って言ってくれますよ。」というアドバイスをもらいまして。

 そんなワケで、今回、ジャウエさんに、「日本に帰ってから、本を書くために、アフリカを自転車で旅してるんですよ」って答えたんです。すると、ヒロキくんの言ったとおり「なるほど」って納得してくれて。で、その理由を聞いたジャウエさんは、さらに、「本書くなら、オレのことも書いてくれよ」と、過剰なまでのサービスをし始めててくれたんですよ。動物写真を撮るためにわざわざトラックを停めてくれたりしたのは、こういうことがあったから。途中で寄ったサービスエリアでは、「奢ってやるよ」とコーラを買ってくれるし。ま、この金はオイラが払う150ナミビアドルからのお金なんですけど・・・

 うむむ、「本を書くから」という理由は、期待以上の効果を発揮するな・・・本当の理由ではない気がするが、ま、ウソでもないから、いいか。この答え、次回からも使っていくことにしよう。

 さて、車は国立公園を抜け、幹線道路へ。そして、右手に、川が見えてきた。オカバンゴ川だ。デルタ地帯とは違って、豊富な水であふれんばかりのでかい川。うむむ、この水が、流れに流れて、オイラが見てきたデルタの水になって、そして、その水は、海にそそぎこまれることなく、カラハリの砂漠へと吸収されてっちゃうのか・・・なんか、このつながりが心の中でイメージできるようになったことが嬉しい。オカバンゴを知ったって感じ。オカバンゴ川の上流に上がる道を選択してよかったよぉ。欲を言えば、アンゴラに入って、オカバンゴの源流も見てみたいんだけど・・・アンゴラは入国が面倒らしいので、パス。ムシくんとヒロキくんは、アンゴラビザがおりるのを、3ヶ月?近く待ったらしいから。いや、オイラには3ヶ月も、ビザ待ちする忍耐力はありませぬ。

 その後、Capriviエリアに突入。噂どおり、アフリカっぽいイメージをもつ道なのだが・・・正直、ザッツ・アフリカな道は、ボツワナで存分に堪能したオイラには、新鮮味がない。ひたすら続くまっすぐな道は、きっと自転車では退屈だったに違いない。ここは、車でワープして正解だったかも。

 日が暮れ、夜の道をトラックは進んでいく。久々な夜移動。自転車だと、日が暮れたら、走りをやめちゃうからね。で、ザンビアとの国境近くの町、Katima Muliloまでもうすぐという、手前20kmあたりのところで、トラックが停まった。「このあたりでテントを張るといい」、とジャウエさん。これ以上町に近づくと、民家が増えるため、野宿がしにくくなるだろうという心遣いで、停めてくれまして・・・いやぁ、実は、これまた、税関の書類待ちの時間に、「半年もアフリカを旅しているなんて、お金をたんまりもっているんだろ」なんてジャウエさんに言われたオイラ、「いや、お金がないから、人力で自転車を漕いでいるんですよ。宿代も払えないから、いつもブッシュキャンプ」と、お金にまつわる話は、面倒だから、全然金をもっていないテイで、話をすすめちゃっていたんです。で、町まで連れて行っても、宿には泊まれないんだろうから、途中で降ろしてやるか、というジャウエさんの優しさ。ありゃ、適当に進めちゃった話が、こんな展開を招きましたか・・・嬉しいですケド・・・ココ、サバンナの大平原の中で、ただ今、真っ暗なんですけど・・・

 Katima Muliloの町へ行ってしまうトラックを見送るオイラ。トラックの明かりがなくなったら、ホントに周囲は真っ暗になってしまった。場合によってはライオンも出現する可能性があるというCapriviゾーン。いや、夜のサバンナは危険でしょ・・・若干おびえながら、ヘッドライトの明かりを頼りに、なんとかテント設営をし、そそくさとテントにもぐりこむオイラなのであった。


【今日のイラストメモ】