God of Weather
天気の神様が憑いている

2011.12.2 / Kenya(Nairobi~Naivasha) 本日 自転車94km走行 : Total 35161km走行
天気:雨のち曇時々晴一時雨
朝飯→なし 昼飯→煮豆+ライス 夕飯→ビーフフライ&チャパティ / 宿→Orchards Lodge(500ケニアシリング)

(English)
 Today I left from Nairobi.



 ナイロビとオイラはどうやら相性が悪いらしい。これ以上ナイロビに留まっていると、またろくでもないことが起こるような予感がするので、今日は、もう、横殴りの雨が降ろうが、雷が落ちようが、なにがあろうと、ナイロビを出発しようと決心。

 嫌いじゃないんだけどねぇ・・・ナイロビ。というか、むしろ好きな街なんだけどねぇ。そこそこの値段で、快適に作業ができる宿に泊まれて、宿の近くには安くておいしい食堂があり、三度の飯が満足できて、ネット屋に行けば、ストレスない程度の速度と料金でネットができる。ん~、こう書くと、なんか当たり前のことしかやっていないようなのですが・・・この当たり前のことが出きる街というのが、なかなかないのですよ、アフリカには。

 さて、出発準備。送られてきた救援物資によって荷物が膨れ上がるかと思いきや、意外とそうでもない。外見でわかるのは、予備タイヤはどっさり増えたことくらい。カホンは、カバンのサイドポケットに収納できたし、予想以上に大きかったコンデジ用のハウジングカバーも、カバンの奥にすっぽり収まっている。たぶん、荷物的には、今の状態がマックスでしょう。アフリカ旅用に、自転車パーツの予備品を多めに持っているので・・・アフリカ旅が終われば、荷物はもっとスリムになるはず。うん、これ以上は、荷物は増やさないつもり。西アフリカでジャンベを買っちゃうと思うけど、ジャンベはたぶん、持ち運ばない。修行が終わったら、日本に送るかな。習ったジャンベリズムは、カホンを使って引き続き修行することになると思う。奏法は違うんだけど、代用できなくはない、カホン。ジャンベ修行を見据えての、この時点でのカホン入手なんですよ、実はね。

 で、門番のおじさんに「昨日は大変だったねぇ、大丈夫だった?」と心配されながら、ゲートを開けてもらい、出発。と、外は雨。大雨でも雷がなってても出発するんだ、と意気込んだのはいいのだが・・・やっぱり雨中走りは嫌なもんだ。

 11月から小雨季に入ってしまうケニア周辺。12月は、この時期ではもっとも雨が降るという。あ~、ナイロビに滞在している間に、小雨季が行ってしまわないかな、と期待していたのだが、行ってしまうどころか、ますます盛んな時期に突入してしまっている。

 これは、この先の走りが思いやられる・・・と、そんな季節事情やら、アフリカ走りに疲れてきたオイラの心情などがあり、東アフリカ走りは、ウガンダのカンパラまでにしようかな、と、思い始めてきていまして。

 そうそう、ここで、今段階で考えている、この先の旅予定について少々。カンパラ到着後、自転車を置いて、しばしバスなどでウガンダ観光。その後、カンパラからエチオピアのアディスへ飛行機で飛ぶ。エチオピアでも、基本的に、公共交通機関を使っての、観光旅。しかし、エチオピア、公共交通機関がめんどくさいらしいので・・・そん時には、ファニーバニーが登場するかもしれない。で、エチオピアから、一気に、セネガルへこれまた飛行機でひとっ飛び。事前にビザが取れるようであれば、ギニアかマリに飛びたいけど、無理なようだったら、ビザのいらないセネガルにインして、そこから西アフリカを攻めるってことになるかな、と。で、西アフリカを北上して、5月くらいにはモロッコを抜けて、ヨーロッパに入れればいいな。6~8月のいい時期にヨーロッパを回って、中東へっていうのが、季節的にベターだと思うんで。

 そうそう、季節って旅をする上で意外と重要なんです。アフリカでは、暑い時期とか雨季は、できるだけ避けたいし、ヨーロッパでは、寒くなる前に走り終えたい。う~ん、ケニアの小雨季は、ちと誤算だったんですよ。小雨季っていうくらいだから、たまに雨が降る日がありますよ、程度の季節かと思っていたのに・・・どん曇りの日が続き、毎日雨が降るとは・・・これ、小雨季じゃなくて、雨季って名前にしちゃったほうがいいと思います。

 ああ、南の方であんなにノンビリせず、もうちょっと急いでくればよかった、なんて思ったりもするのだが、それは今更。雨の中を走り続けるしかないと、前向きに。

 しかし、雨の中だと、全然景色が楽しめない。今日は、ひたすら峠を登って、リフトバレーが眼下に一望できる、という絶景ポイントを通るというのに・・・リフトバレーを臨む峠からの風景は、ようこ&ひろさんたちが、ネームカードの写真にしているほど場所なのだ。ウシュアイアで遭った時にオイラのトラベルノートの一ページに貼ってくれた彼らのネームカードの写真。ああ、この風景をぜひともこの眼で見てみたい、と思っていたのに・・・こんな天気じゃ、見れないじゃん。しかも、峠越えで、1000mも登るってのに。登り損じゃん、と嘆くオイラ。

 と、峠を登りが中盤に差し掛かってきたあたりから、雲が薄くなりはじめ、日が差すようになってきた。うおお!?いやぁ、相変わらずのオイラのサンパワー。ケニアの小雨季にも負けないってか。これは、いい風景が見れるんじゃないの、と気合を入れてペダルをこいだ瞬間・・・

 プチン

 という小さな音とともに、ペダルがいきなり軽くなった。何事?チェーンが外れたのかな?と思って、足元を見てみると・・・なんと、チェーンが切れちゃっているじゃないですか。おおお、しまった・・・ジンバブエで購入した安物チェーン、シマノのチェーンが手に入るまでのつなぎだ、と思っていたのですが、使ってみると、意外とトラブルもなく、走れちゃっていたので、ついつい、そのまま使い続けてまして。救援物資要求の際に、「チェーンも新品のシマノチェーンを要求しようかな」という想いがちらっと頭をかすめたのですが、ま、なんか、今のチェーンで走れちゃっているからいいか、と思ってそのままにしてしまっていたんですよ。

 やっぱり、チェーンも交換しておけばよかった・・・

 後悔はいつだってトラブルの後からやってくるものです。後悔先に立たず。これが世界の真理。

 しょうがないので、その場でチェーン修理を開始。チェーンの一箇所のスペーサーが外れてしまったようだ。そして、外れてしまった部分のコマがひんまがってしまっている。これは、この部分を外してしまわないといけない。前回チェーン交換した際に、一部、とっておいたチェーンを接ぎゴマにして直そうと思ったのですが・・・コレが結構難しい。文章ではうまく説明できないのだが、とにかく難しい。悪戦苦闘していると、地元の子供が近寄ってきた。オイラの作業をジッと見ている。なにするわけではなく、ジッと見ているだけ。その辺に放り投げてあるカバンを盗って走り去られたら、追っていきようがないのだが、そんなことをするつもりもないようで、ただ、ジッとみつめてくる。

 接ぎゴマ作戦は断念して、チェーンをそのままつなげる作戦に切り替えた。すると、あらあら、いとも簡単につなぐことができてしまった。うむむ、接ぎゴマは、サイズが合わなかったのだろうか?メーカーが違うと使えないのかな?

 チェーンは一部を切り取ってしまったため、短くなってしまったのだが、まぁ、とりあえず直った。ペダルを回してみると、問題なし。こんなところで1時間も手間取ってしまうとは。天気が再び崩れないうちに峠を上ってしまおう、と走り始めるオイラ。見つめていた少年に「バーイ」と手を振ると、「ボク、見ていてあげたから・・・コーヒー一杯おごってくれないかな?」とその少年が言ってきた。見ていてあげた・・・荷物を見ているとかではなく、ただ、オイラの作業を見ていただけで、コーヒーを要求する、アフリカの子供のしたたかさに、ビックリです。

 コーヒーは奢らず、にこやかな笑顔だけを贈って、その少年とはお別れ。そのまましばらく道を登り続け・・・到着しました、絶景ポイント!

 太陽光は絶妙な感じでリフトバレーを照らしてくれていた。空には雨雲がかかっていたりするのに、危ういバランスで、バレーを見事に照らしてくれている。まるで、「キミが見ている間は、サンシャインなバレーにしておいてあげるからさ」と、天気の神様が魔法をかけてくれているかのような、この奇跡の状況。

 ・・・が、ここ、<View Point>と書かれた看板の下に、お土産屋が並ぶ、超観光スポットになっていまして。うへぇ~・・・かなり幻滅・・・なにもない峠の上から、ただ雄大な景色が見下ろせるって、場所を勝手に夢想しちゃっていたんですよ。それなのに、こんなにも、ザッツ・観光地な場所だったとは・・・とりあえず、自転車をフェンスに立てかけ、眼下に広がる風景を眺めていたら、「お兄さん、これ買わない?」と物売りが寄ってくる。あああ、もう!一人で、浸りたいのに。

 この先に、もっと静かに風景を眺められる場所があるでしょ、と期待して、ここを離れる。が、走り始めると、バレー側は小高い木々で覆われはじめ、眺められるような状況でなくなってしまった。加えて、空は再び、雨雲が増え始めている・・・そして、峠は下り道になってきた。

 「ああ、さっきのが最大のチャンスだったのか・・・物売りに負けずにもっと風景を堪能しておけばよかった・・・」

 と思った途端、目の前に飛び込んできた風景。

 「これだ!!!!」

 マッ平らな地面にニョキっとそびえたつロンゴノット山。そして右手に広がるナイパシャ湖。雲の切れ間から漏れた太陽光が光のカーテンのようになり幻想的に演出してくれている。晴れたら気持ちいい風景が広がるのだろうが・・・これはこれで、趣あって素晴らしい。

 見とれていたら・・・顔にポツポツとあたる雨。そして、降り始めた雨の作る霧が、すぐにロンゴノット山を覆い隠してしまった。まるで、この風景をオイラに見せるために、天気の神様が雨に待ったをかけてくれていたようなタイミング。いやぁ、絶対オイラには憑いてくれてますよ、天気の神様・・・今日、確信しました、ハイ。