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戻ってきたぜ北半球

2011.12.9 / Kenya(Nakuru~Marigat) 本日 自転車101km走行 : Total 35609km走行
天気:晴
朝飯→サモサ 昼飯→スパゲティ 夕飯→ビーフ&チャパティ / 宿→SunCity Lodge(600ケニアシリング)

(English)
 I left from Nakuru. Today I run crossing the Equator.



 今日も快晴の青空。完全に小雨季は終わったようですな。うむむ、これだったら、もうちょっとナイロビでゆっくりしていれば、リフトバレーも青空の下で見れたのにぃ・・・と、若干悔やまれるが、あの時点では小雨季がいつ終わるかなんて、予想ができなかったし、ナイロビにあれ以上居たくなかったし、まぁ、後悔してもしょうがない。

 さて、今日は、前回ナクルを出た時とは、違った道を走り出す。今回は、B4という道を通って、ナクル北部にあるケリオ・バレーという谷を目指すのだ。そうそう、ナクルの北側には、ネメンガイクレーターという、アフリカで二番目にデカイというクレーターがありまして。今日は、ちょうどそのネメンガイクレーターの脇を通ることになったのですが・・・ナクル滞在中には、なぜか全然見に行く気になれなかったんですけど、いざ、脇を通ってみたら、見に行っておけばよかったな、と、ちと思う心が・・・今更になってとは・・・もう遅いです、と自己制御。

 クレーター脇を過ぎたあたりから、道は緩やかな下り道となりはじめた。気持ちよく走っていたら、いつのまにやら、隣に、ケニア人のお兄さんがピタリとついているのに気づいた。「ジャンボ」と挨拶すると、それで気を許したと思ったのか、饒舌に語り始めたお兄さん、名前はチャールズと言い、この辺に住んでいるとのこと。「俺がこのあたりを案内してやるよ」と、勝手に、周囲の案内を始めたチャールズさん。しかし・・・その案内情報が、超ローカル情報でして。う~ん、隣に見える農場が、だれそれさんのモノとか、そういうディテール細かすぎるローカル情報は、そんなに知りたいワケじゃないんですけど・・・

 「じゃぁ、ここが俺の家だから」と脇道に入っていってしまったチャールズさんと、別れ、しばらく走っていると・・・いよいよ近づいてまいりました。え?なにがって?

 赤道ですよ、赤道。

 そう、アフリカ大陸では、赤道はケニア、ウガンダ、コンゴ、ガボンを突っ切ってまして。ケニアを北上中のオイラは、ここで赤道越えをすることになったのです。

 GPSとにらめっこしながら、カウントダウン。が、GPSが0度を指す前に、赤道看板を道脇に発見。う~ん、ちょっとズレているみたいなんですけど・・・赤道看板がズレているのか、GPSがズレているのか・・・どちらかというと、ずっとGPSの方を信頼したいオイラ。一応ということで、看板前で記念撮影。こういうところには、必ず、商売人の人たちが居て、絡んでくるものでして。例外なく、近寄ってきた赤道記念グッズ販売のお兄さんの勧誘を振り切り、走り始めるオイラ。

 100mほど走って、GPSが指す、緯度0度のポイントへ辿り着いた。なんか感慨深いものがありますわ。南米、エクアドルで赤道を跨ぎ、南半球に突入して、二年五ヶ月前。数字にして考えちゃうと、そんなにも長い間、南半球を走り回っていたのかぁ・・・って感じ。だって、三年三ヶ月の旅のうちの二年五ヶ月ですよ。ほとんど、南半球ってことじゃないですか。う~ん、しみじみ。

 で、ここでも記念撮影。何もないただの道路なんですけど・・・ここで、三脚カメラを設置して、セルフタイマーでセットしたカメラの前でポーズをとりまくる自転車乗りの日本人。通りを歩くケニア人たちが、不思議そうな顔をして見ていく。「ガイコクジンのすることはよくワカラナ~イ」と思っているに違いない。

 赤道越えってなんかテンションあがっちゃうんですよねぇ・・・写真撮影で遊んじゃって、思っていた通り、ずいぶん時間が経ってしまいまして。ようやく出発。

 この後も、ひたすら緩やかな下り道が続く。しばらく走っていたら、道端でモノ売りのおばちゃんに声をかけられた。「ハニー、買わない?」ハニー・・・これは特別な人を呼ぶときの二人称という意味合いがあるのですが、この場合はそれとは違いまして。ええ、本来の意味の<蜂蜜>ってことです。なんでもこのあたり、蜂蜜の産地らしく、ウイスキーの瓶に詰められた蜂蜜が、あちこちで売っている。

 なんとなく買ってしまいました、ハニー。

 ハニーの小瓶から流れ出る蜂蜜を、カバンに入れていたパンにつけて食べる。美味い。今日の昼飯はこれだな、と、調子に乗って二枚、三枚とパンを食べていたのですが・・・ふと、パンの袋に目をやって、パンの淵が青緑色に変色しているのに気づいた。「ブブブブブー」慌てて、口に含んでいたパンを吐き出すオイラ。3日前に買ったパンだったのだが、もう、カビが生えてしまっていたようだ。保存剤なんて使っていないアフリカのパン、天然嗜好でいいのだが、ぜんぜんもたないのが難点。高原なんでもうちょっと持つと思っていたのだが・・・炎天下の昼間の移動の暑さに耐えられなかったのか。しかし、口の中にあったパンと、袋の中のパンは捨てたんだけど、飲み込んじゃったパンまで吐き出すわけにはいかず・・・ああ、腹を下しちゃうかもしんないな。カビによる腹下しは、下だけでなく、吐き気まできちゃうんだよな。ああ、地獄の苦しみなんだよな・・・

 なんてちと、気分がブルーになりながら、走り始め、そして、ボゴリア湖へ行く分岐点に辿り着いた。ナクルから結構距離があるため、ボゴリア湖へ行くのは止めようと思っていたのですが、下り坂だったため、思っていたより早くここに辿り着いてしまいまして。時間的には充分ボゴリア湖まで行く余裕はある状態。じゃぁ、行ってみるか、と進路をボゴリア湖方面に切り替え、走り始めたのですが・・・ここからの道が猛烈な下り坂になってまして。下り坂だったら、いいじゃん、と思うところなのですが、ケリオバレーに行くには、戻らなければならない。ココを下ると、明日、ココを上らなければならないワケでして。それがめんどくさい。フラリといける程度だったら、行きたい、ケドこの上りの苦労を追加してまで、行こうとは思えない場所だったんで・・・ボゴリア湖行きは断念。

 自転車旅のルート決めって、こんな感じ。「行こうと思ったけどやっぱりや~めた。ん、やっぱり行ってみようかな、でも後が大変だからな・・・」行く前にも地図を片手に悩むものなのだが、結局、その場その場で、その時の気分で決まるものなのです、ハイ。

 さて、結局、到着したマリガットという町では、ついに標高は1100mまで下がってしまった。ナクルが1850mくらいの場所にあったので、750mも下がってきたことになる。こんなにも下がると・・・暑さが増してくるワケでして。ここは、そりゃもう、暑い。赤道直下で、この高度では、こんなにも暑くなるのか・・・ケニア、走りやすくていい、って思っていたのは、ずっと高度が高かったからだったんだなぁって改めて実感。灼熱のアフリカ、ちょっと下がると、うだるような暑さが待っているのです。

 あ~、ここは一日で脱出しよう。明日は1000m上の峠へ。峠上りは嫌いだけど、この暑さからの脱出と考えれば、がんばれる気がする。