Last work as Volunteer
そしてもう仕事最終日:ボランティア生活七日目

2012.1.3 / Uganda(Kalivaliyo付近) 本日 自転車0km走行 : Total 36436km走行
天気:晴
朝飯→ポリッジ 昼飯→ビーンズ(カレー味)+ポショ 夕飯→煮干スープ+ポショ / 宿→Newtopia(一週間120,000ウガンダシリング)

(English)
 Today I stayed at Newtopia. Today was last day to work as Volunteer.



 朝起きて、豚小屋に行ってみたら、子豚が10匹になっていた。横になったお母さん豚のおっぱいを奪い合うようにして飲んでいる。いやぁ、生命の誕生シーンに立ち会えちゃうとは・・・ニュートピアはホント、いろんなことが起こります。

 さて、今日は、ジョンが出発しちゃう日。ポリッジを飲んだ後、バックパックを背負って出てきたジョンの前に子どもたちが並んで、送る歌を歌い始めた。う、泣ける・・・こういう場面で子どもたちによる歌のハーモニーは最強です。涙腺を完全に緩めてくれます。

 実はオイラももうココに来て一週間になる。明日には出発するつもりでいるんで・・・明日、こうして送ってもらうのかと思うと・・・ちょっと重いなぁ。オイラ、送られるのは、ちょっと苦手。去る時には、サラッと去りたいんですけど・・・なんて想いが、ジョンとの涙のサヨウナラシーンを見ていると、頭をかすめる。

 さて、ジョンを送った後、オイラたちは、アスレチックの仕上げ。アスレチックの制作現場監督である、リンさんも、オイラと一緒に、明日出発予定のため、なんとしても、今日中にアスレチックを仕上げてしまわないといけない。一応ニューイヤーパーティ前にほぼ出来上がっていたのだが、リンさんのこだわりで、最後にどうしても作っておきたいといって、作り始めた、滑車を使った<キャノピー>アトラクション。これを仕上げるのに、リンさんと、オイラと、サトシさんと、ドクターの四人がかりで作業。まずは、滑車を通すロープを縛るための支柱を埋める作業から。埋めた支柱を固定して、ロープを張り、滑車で滑る。興味シンシンで寄ってきた子どもたちに、試し乗りをしてもらいながら、修正点を直し、徐々に完成させていく。ロープを縛るための支柱の埋め込みは、オイラたちだけではノウハウがなく、結局、カマウさんや、リアにも手伝ってもらうことに。

 午後までかかったアスレチックつくりも、なんとか仕上げることができた。心残りなく、リンさんと共に、明日、出発できることに。

 その後は、ビジターズノートに、ニュートピアで感じたことをつらつらと書いたりしていたら、あっという間に、夕飯時に。夕飯を食べたあと・・・なんと、今晩は、リンさんとオイラのために、送別会をしてくれるというではないですか。子どもたちが集まって歌を歌ってくれることになったのですが・・・いつもメイン太鼓役であるリアが、本日、マラリアでダウンしちゃってまして。低音太鼓担当のワスワだけでは、伴奏にならない・・・さて、どうしようということに。

 そうそう、今日、午前中にアスレチックを手伝ってもらっている時点で、リアはなんか具合悪そうだったんですよ。それが・・・マラリアだったとは。実は、ここんところ、マラリアで倒れる子どもたちが続発してまして。毎日のように、誰かしらが、高熱を出して倒れている。こんなにもマラリアにかかっちゃうんだって、正直ビックリ。日本で言う<風邪>くらいの感覚で、マラリアにかかっちゃっている子どもたち。一応、初期段階できちんと対処すれば、問題なく治る病気であるため、マラリアの疑いがある子どもには、すぐにクスリを飲ませ、寝かしつけるようにしている、とのこと。

 マラリアは、マラリアを持っているハマダラ蚊という蚊に刺されることによって発症する。蚊に刺されないことが、マラリア対策となるのだが・・・ここ、ニュートピアには蚊が大量にいすぎるため、実質的に、蚊に刺されないなんてことはできない。体力のあるオイラたちは、まだ刺されても、マラリアに打ち勝つことができ、発病せずにすむってことがありうるが、栄養状態が充分ではない、子どもたちは刺されたら、ほぼ、発病してしまうようなのだ。これが、アフリカの現実。

 ちなみに、リンさんも、ここでマラリアを患ってしまったとのこと。

 で、マラリアで倒れてしまった太鼓リーダーのリアの代わりに、メイン太鼓を急遽オイラが叩くことになりまして。送られる人が送り側の曲の演奏をするのってどうなの・・・って状態ですが、まぁ、こういう送られ方もアリ。というか、オイラ的には、子どもたちと一緒に演奏できるっていう方が、思い出深いものになるし、こっちの方がいい。ただ、ぶっつけ本番の太鼓演奏。途中のリズムはなんとか合わせられるものの、ドラム音が歌のカウントとなる頭のフレーズが・・・ちと問題でして。何度か聴いたことがあるリアの太鼓を思い出して、「こんな感じかな」とやってみたら、隣のワスワが、「アンクル、オーケー!」と。ということで、なんとかなったカウントフレーズを叩いて、楽しい送別演奏が始まったのでした。

 素敵なグッバイソングを聞かせていただき、思わずジーンとなっちゃった後、オイラとリンさんは、カマウさんの部屋に呼ばれまして。「最後の夜だから、じっくりお話をしましょう」ってことで。

 ここで、カマウさんの想い、アフリカで生活するということなどなど、貴重なお話をたくさん聞かせてもらうことができました。体調が優れないというカマウさんでしたが、なんだかんだで話が盛り上がり、結局話し終わったのは夜中の1時過ぎ。

 カマウさんは、まず<ボランティア>とは何なのか、について話してくれた。もちろん、ボランティアは、<ボランティア>とはこういうものです、と、断言できるものではない。いくつも話してくれたエピソードが、<ボランティア>とは何ぞや、ということを考えさせてくれる種になるような話し方をしてくれたのだ・・・ボランティアという枠組みを利用して自分にとって都合のいい生き方をしようとする輩への憤り、お金だけを出すというボランティア行為は何も生み出さないどころか、返ってボランティア対象となったアフリカ人をダメにする結果になりかねないことについて、日本のNGOの現状(カンパラで中村さんから聞いた話とは違った視点で話が聞けた)、なぜ、ウガンダにNGO隊員(JAICA隊員だったかな?)が多いのかという疑問に対する答え、そして、ニュートピアの年間運営費はJAICA隊員一人にかける予算の1/30にも満たないという事実。

 次に、ウガンダ(アフリカ)で生きていくことの大変さについて語ってくれた・・・日本人であるカマウさんへのやっかみの感情を持たれてしまい、そのやっかみは、時には警察をも動かし、いわれのない罪で留置されてしまった経験。

 そんな大変なウガンダであるにも関わらず、それでもここで子どもたちのための教育施設を続けていこうとしているカマウさんの原動力となる想いについて語ってくれた・・・そもそも、アフリカで孤児院をやることになったきっかけ、そして、ケニア・ナイロビで始めた初代孤児院での葛藤と苦悩、ナイロビでの孤児院運営は諦め、ウガンダに来てニュートピアを始めた経緯について。

 そして、ここまで、自分を支えてくれている多くの人たちについて話が至った。奥さんのシルビアさんについて、娘のナッちゃんについて、そして、二人の息子である、クリントンとジュチについて、日本からニュートピアを支えてくれる人たちについて。

 最後に、今後も、ニュートピアを続けていくことのムズカシさについて。

 話を聞いて、自分の信念を貫き通している人なんだなぁってことを強烈に感じさせられた。ニュートピアで、カマウさんの子どもたちに対する接し方を見ていて、正直、疑問が生じたことは何度もあった。失敗した子どもに対して、食事抜き(皆が食事している前で半正座状態で反省させられる)といった厳しい罰を与えたり、今日なんて、パンガ(ナタ)がいつものところに戻っていないということで、マラリアにかかって寝込んでいるリアを呼びつけ怒っていたりと、理不尽で理解しがたい面もあるカマウさんなのだが・・・全ては、大きな愛情と信念をもってやっていることなんだ、ってことが分かって、なんていうか・・・あ、この人にはかなわないなって思わされた。子どもを教育するっていうことは、理解ある優しさだけじゃダメなのだ。世の中には理不尽で、自分ではかなわない存在があるってことを知らしめることも重要なのだ。

 カマウさんが部屋に入った途端に、子どもたちの空気がサッと変わるのが分かるほどの威厳。

 そんな頑固一徹オヤジな表面の裏には、秘められた大きな優しさがある。これが、カマウさんの魅力。あ、あと、冗談が好きな関西人気質もカマウさんの魅力の一つ。あの軽さが大変なアフリカで長年過ごしていける秘訣なのかもって思ってみたりもする。

 ああ、もっといろんな話を聞きたかった。

 ・・・一週間、長いようで短かった。ようやく一週間たって、子どもたちの顔と名前が一致するようになってきて、子どもたちと遊ぶのが楽しくなってきたところでもあるし・・・なんかここで去るのはちょっともったいない気がする・・・と今になって思い始める。

 最後に、アフリカに入ってから、オイラがずっと気になっていることをカマウさんに聞いてみた「アフリカって、これから変わるんですか?」と。それに対するカマウさんの答えを聞いて、オイラは自分がただの傍観者の立場をとっているだけだということを痛感させられてしまった。恥ずかしくなった。アフリカで地面に足をつけて生活しているカマウさんの答えは重い。「アフリカは変わらないかもしれない。でも・・・変えなきゃいけないんだ、子どもたちのためにね。」