Rock-Hewn Churches of Tigray
ツアーで行って大正解:ティグライ岩窟教会群

2012.1.22 / Ethiopia(Wikro~Mekele) 本日 自転車0km走行 : Total 36729km走行
天気:晴 自転車折りたたみ:1
朝飯→卵サンド 昼飯→卵インジェラ 夕飯→卵サンド / 宿→Bisrat Hotel(70ブル)

(English)
 I went to see Rock-Hewn Churches of Tigray on tour today.



 朝7時半にホテル前に迎えに来ると言われていたので、近くの食堂で慌てて朝飯をすませ、5分前にホテル前のテラスに座って待っていたのだが・・・来ない。8時を過ぎても、迎えが来ない。これは、ひょっとして騙されたパターンか?よくよく考えたら、ツアーオフィスの場所も知らないし、昨日フラッとやってきたお兄さんを信用しただけだし・・・と、不安になる。が、そんな不安げなオイラの顔を見て心配してくれたのか、昨日、オイラに、ツアー会社を紹介してくれた宿のお姉さんが、声をかけてきてくれた「電話したら、今、向かっているところだって」。おお、ありがたい。そうそう、こういう時って、何も情報がないことが不安を煽るんですよ。ちょっとでも、現状情報が分かると、途端に安心できる。

 さて、1時間遅れの8時半、一台のバンが宿の前に止まった。降りてきたのは、昨日、オイラと契約してくれたお兄さん。今日は、ドライバーとガイドのみで行くっていってたのに、なぜ彼が・・・と思っていたら、今朝、タイヤトラブルが起こって、出発が遅れたので、ちょっと謝っておこうと思って、と。いやいや、確かに不安だったけど、途中経過を宿のお姉さんが教えてくれたから、大丈夫でしたよ。いや、それより、律儀にどうも。エチオピア人、こういうところ、意外と真面目なんだな、と感心。

 さて、バンには、もう一人ツアー参加客が乗ってまして。メケレから参加したというドイツ人のトーマスおじさん。よろしく、と挨拶した時、どこかで見たことがあると思ったのだが・・・「おお、キミは、同じ飛行機だったね」とトーマスおじさん。どうやら、アディスからメケレに飛んだ飛行機が一緒の便だったらしい。・・・で、ここで気づいた。メケレから参加したトーマスおじさん・・・どうやら、今回頼んだツアーエージェンシーの事務所は、メケレにあるらしい。どうりで、昨日、担当のお兄さんが来るのが遅かったりしたワケだ。うむむ、ウクロに来たほうが安くなるだろう、と思ってわざわざウクロまで走ってきたというのに。頼んだツアー会社はメケレの会社だったとは。ま、若干値段が違うみたいだし、なにより、メケレからウクロまでのチャリ走りが、楽しかったので、まぁ、よしとするか。

 で、ここで、お兄さんは、降りてメケレに戻るという。ドライバーに、今日の予定を確認するお兄さんであったが・・・「トーマスは、メケレで・・・ヨシは、ルワンホテル(メケレでオイラが泊まっているホテル)に戻ってくるってことでいいんだよね」と確認してきた。で、ここで、閃いてしまったオイラは「いや、僕もメケレまで乗せていってください」とお願い。ウクロには、ティグライの教会群を見に来ただけで、他に用事はない。まぁ、ノンビリとした言い場所なので、ユックリしていきたいところではあるのだが、メケレに戻ってダナキル行きの予定を早めに立てておきたいという思いがありまして。今日、ツアーが終わったら、そのままメケレにカムバックすることにしたのです。ま、ウクロからメケレに戻るのに、自転車でもう一度同じ道を走るっていうのもなんだなぁって思ってたし、かといってローカルバスに乗っていくのもメンドクサイって思っていたところだったんで、このまま送ってってもらえるのなら、大助かりって思ったのもあって。

 そんなこんなで、ようやく、ティグライの教会群へ出発。そうそう、この周辺、教会が20以上もある、大教会地帯になっていまして。教会を一つ一つ巡るだけで、おそらく一週間以上かかるのではないか、と思われるくらい、たくさんの教会がある。今回、オイラが行くのは、アブナ・イエマタ教会と、デブレ・ティジョン・アブラハム教会と、アブラハ・アツベハ教会という3つの教会。アブナ・イエマタと、ティジョン・アブラハムが、教会に行くのに時間がかかるらしくて、今日一日かけて、3つの教会を巡るのがやっとらしいのですよ。え?教会は50km四方くらいの場所に固まって存在している教会群地域なんでしょ?道は未舗装とはいえ、車でいくんだったら、もっと巡れるでしょ・・・とお思いでしょうが・・・・実は、アブナ・イエマタ教会と、ティジョン・アブラハム教会は、山の上にあるのですよ。いや、山ではなく、崖の上にあると言ったほうが正しいか。車でなんかいけない切り立った山の上に、岩をくりぬいて作った岩窟を教会としているんです。

 ここの存在を知ったのは、昨日の日記にも書いたけど、ようこ&ひろさんがエチオピアを旅している時に綴っていたブログ。荒涼とした大地の上にそびえる奇岩の上の岩窟教会。そのロマンシズム溢れる状況をファンタジックに切り取った写真を見て、ここは、絶対行きたいって思っていたんです。ちなみに、ようこ&ひろさんが、ブログで紹介していたのは、アブナ・イエマタ教会。今回オイラも、その教会だけ行ければいいかな、って思っていたのですが・・・ウクロからのツアー、どうせ一日車とドライバーとガイドをチャーターすることになるのだから、一つ行こうが、二つ行こうが、三つ行こうが、値段は大して変わらないよ、と言われまして。変わるのは教会に入る入場料くらい。しかも、一つの教会の入場料は100ブル(500円)くらいらしいので、確かに、三つ行っても、金額的に大した違いはない。だったら、ということで、もう一つ、行けるなら行きたかったアブラハ・アツベハ教会に行くことにし、もう一つは・・・どこでもよかったんで、ツアーエージェンシーのお兄さんが薦めてくれた、ティジョン・アブラハム教会に行くことにしたんです。

 で、ウクロの町、北側の外れを出たところから、すぐに、脇道に入り、未舗装道に突入。基本的には踏み固めてあるものの、大きめの石がゴロゴロしているし、ところどころ砂地になっていて、自転車だとかなり大変そう。まぁ、それでも平坦だったらがんばれるかもしれないが・・・ウクロの町を出た途端に、登り道。まず一山越えて、教会ゾーンに突入する模様。最初は、自転車で教会巡りをしようと思っていたんだけど・・・これは、ツアーにして正解だったかもな、と荒れ道をガタゴト揺れながら進むバンに乗りながら思うオイラであった。

 ひたすら続く未舗装道を走るバン。進めば進むほど、周囲の景色が素晴らしいものになっていく。最初は山だった周囲の隆起が、次第に、北米のモニュメントバレーや、チリのチレチコを思い出させてくれるような、奇岩へと変化していく。もう、これだけで、来た甲斐あり。奇岩フェチのオイラは、これだけで大興奮。さて、2時間ほど、バンに揺られ、ようやく、最初の教会、アブナ・イエマタに到着・・・って、教会らしきものはまったく見えない、ただの切り立った岩山の前でバンを降ろされるオイラたち。「ここから歩いていくぞ」と、ガイドに連れられ、片手に水を持って歩き始めるオイラとトーマスおじさん。

 と、途中、道端にたむろっていた数名の現地のエチオピア人がガイドについてきた。む、この人たちが、噂に聞く、スカウトってやつか?・・・そう、これから向かう、アブナ・イエマタ教会、切り立った崖の上に作られた教会で・・・ロッククライミングばりの崖登りで登らないとたどり着けないところらしいのだ。もちろん、命綱なんて便利なものは用意されていない。身一つで、崖をよじ登っていかなければならなくて・・・このあまりに危険な教会訪問、初心者の人でもなんとか教会にたどり着けるように、<スカウト>と呼ばれる、達人たちが、サポートをしてくれるらしいのだ。

 「ひぇぇ~、この崖を登っていくの・・・・」

 中腹までは普通に登れた山道が途切れ、ここから先は崖となっている。靴を脱ぎ、裸足になって、と言われたので、靴を脱いでいたら、ここで、待機していた司祭さんが、ヒョイヒョイと、崖を登っていくではないですか。<80歳のクライマー>とようこ&ひろさんのブログでは評していた年老いた司祭さん(たぶん、同じ司祭さんなのではないか、と思うのだが)が、登る姿を見ていたら、オイラも軽くいけるのではないか、と錯覚したのだが・・・そうは問屋がおろさなかった。

 壁には、凸凹があり、そこを握ったり、足をかけたりして登ることになる。一応登りやすい手順があるらしく、スカウトのおじさんたちが、「まずは、ここを右手で握り、右足をこの穴に入れて、次に左足をこっちに移して・・・」と説明してくれる。最初は、なるほど、と言われた通りに、やっていたのだが、崖の途中くらいに来ると、無意識に恐怖心が煽られるのか、手足が思ったように動かなくなってきて、指示されたところに、手や足がいかなくなってくる。「右足はそこじゃない、もっと先」とスカウトのおじさんが言うのだが、もっと先まで足が行かないのだ。無理して伸ばそうとすると、このまま落ちてしまうんじゃないか、と思う恐怖が心に芽生える。だって、もう4mくらい登っちゃっている。ちょっと足を踏み外したら、大きな岩がゴロゴロしている地面に落下し大怪我間違いなしな状況なのだ。

 恐怖とは想像から沸き起こるもの

 恐怖とは、怖い幻影を作り出してしまった自分の心の中の、その怖い幻影におびえることから発生する感情なのだ。したがって、いくら周囲の状況が恐ろしいことになっていても、心の中をお花畑にしてしまえば、恐怖なんて感じない。これを、現実逃避と呼ぶのだが、現実逃避とは必ずしも悪いことじゃない。こういう場面で、頭に中をお花畑に切り替えるのは、高所恐怖症を克服するのにいい手段なのだ。

 そんなことを考えながら、なるべく下は見ないようにして、頭の中をお花畑にしてみるのだが・・・下から吹き上げてくる風が、足元には何もないことを実感させてくれちゃたりする。この実感が、頭の中からお花畑を吹き飛ばしてくれる。

 いやぁん、やっぱり怖い。

 いくつも壁登りがあるのだが、一番初めの壁登りがもっとも怖かった。ロッククライミングなんて初めてやったし・・・(ちなみに、大学の時に所属していた音楽サークルがロッククライミングという名前だったのだが、これはロックという文字をかけていただけのネーミングなので、実際崖登りとはまったく関係なし)

 二つ目の崖登りゾーンは、もう、そんなに恐怖心を煽られることもなくなった。トーマスおじさんは、登るのにめっちゃ手間取っていたけど、オイラは、割と楽ちんに。そして、もっともっと厳しい崖登りが待っているのかと思いきや・・・「ここが教会の入り口だよ」とガイドに言われたのは、下から仰ぎ見た岩山のちょうど中腹あたり。なんだ、もっと上の方にあるかと思っていたのに・・・ちょっと肩透かし。ここ、ロッククライミング初心者で、高所恐怖症のケがある人でも、大丈夫、これますよ。高いところに来ると眩暈がするオイラが登れちゃったくらいですから。

 さて、先に上っていた司祭さんが、オイラたちの到着を待っていてくれて、オイラたちの到着と同時に、教会の扉にかけられた鍵を開け、中へ招きいれてくれた。電気なんてない、開けられた扉から漏れ入る光だけが、教会内を照らす。まず、天井を見て、うならされた。なんて素敵な宗教画なんだ・・・大きな目玉が特徴のマンガチックなエチオピア正教独特の宗教画。このポップでキッチュな感性は大好きだ。ヨーロッパ&アメリカのキリスト教の宗教画ってなんか苦手で、見ていても、なにも心を打たれることがないオイラなのだが、このエチオピア正教の宗教画たちは、グイグイとオイラの心をつかんでくる。

 崖の上に作られたありえないシチュエーション。これだけでも神が宿っていてもおかしくはないと思わされる教会ではあるし、岩をくりぬいて作られた岩窟の内部壁面いっぱいに描かれたポップな宗教画が、更に神々しい異空間の雰囲気を作り上げてくれている。とても素敵な教会だ、ええとても素敵な教会だとは思うのだが・・・思っていたよりは、こじんまりとした空間で・・・雰囲気がなんかちょっとだけ足りない。あと一ひねり雰囲気が欲しかった。期待度が高かっただけに、ホントにちょっとだけ不満が残ったのが、ちと残念だった。

 降りるのは、登る時より怖いだろうって思っていたのに、意外とアッサリ降りれて拍子抜け。と、降りたところで、ここまで助けてくれたスカウトの人たちが、お金を要求してきた。トーマスおじさんが、気前よく100ブル紙幣を一枚渡したところ、4人だから四枚と、更に請求してくる。なぜかオイラの方には請求攻撃がこない。日本人は渋ちんだから、気前のいい西洋人に請求したほうがいい、と彼らが思っているのかどうかは、よく分からないが、請求攻撃をまともにくらっていたトーマスおじさんは、結局250ブル、スカウトの人たちにチップを渡していた。そして、オイラたちと別れる時、スカウトのおじさんたちはこう言っていた「オレたちは、ここにしばらく居るよ。さっき登っていった5人組のツアー客が降りてくるのを助けるからさ」・・・さっきの5人もちゃんとスカウトを雇っていたと思うんですけど・・・降りるとき、最後ちょっと手伝って、「助けたからお金ちょうだいね」って請求するつもりでしょ。う~ん、なるほどね、エチオピア人、こういうところが、ウザイって言われる要因なのかな。抜け目ないというか、ガメツイっていうか。

 再びバンに乗って、アブナ・イエマタ教会を後にして、近くの村へ向かうオイラたち。ここで、昼食。時刻はもう、12時半を過ぎていた。昼飯には、インジェラを頼むオイラ。トーマスおじさんは、インジェラは避けてパンを頼んでいた。嫌いじゃないけど、インジェラは苦手というトーマスおじさん。食べる瞬間はいいけど、すっぱい味がいつまでも口の中に残る感覚がちょっとね、って言っていた。

 さて、食後すぐにバンに乗り込み、次に向かったのは、ティジョン・アブラハム教会。ここは、崖のてっぺんに教会があるという。ただ、ここは、アブナ・イエマタほど大変な崖登りはないらしくて、まぁ、ちょっと厳しめの山道を登っていけばたどり着くらしい。

 またもやバンを降りて、ガイドと共に歩き出す、オイラとトーマスおじさん。が、これまた、いつのまにやら、周囲に、現地の人が群がってついてくる。またもや、スカウトか?さっきのアブナ・イエマタは、確かに、スカウトの人たちがいて助かったから、いいけど、今回のは、自力で全然登れるっていうから、スカウトは必要ないですよ。ついてきても、お金は払いませんよ・・・ってオイラも、トーマスおじさんも思っていたのだが、地元の人は、親しげにガイドとしゃべっているもんだから、追い払うに追い払えず。結局大して手伝ってもらってもいないのに、ついてきた4人のお兄ちゃんたちに、6ブルづつ支払うことになってしまうオイラたちであった・・・

 さて、山道、確かに、アブナ・イエマタほどの激しさはなく、恐怖とドキドキを感じさせてくれるような道ではない。の割には意外と、厳しく延々と山頂まで続く山道は、結構シンドイ。おまけで来ることにした教会だし、なんかかったるいなぁ・・・と、途中、だんだん気持ちがだれてきてしまったオイラ。昼間の暑い日ざしのなか登る山道、喉が渇いてしょうがなくて、水をがぶ飲みしていたら、手持ちの水もなくなっちゃって・・・ああ、どうせ、さっきと同じような教会でしょ。もう教会は見ないで、帰っちゃってもいいんじゃない?なんて思いも頭をかすめる。

 まぁ、とにかく、たどり着いた山頂。山頂の岩をくりぬいて作られた教会の入り口が、岩肌に埋め込まれている。そうそう、麓から一人の司祭さんがまた一緒に上がってきてくれたのだが(教会に入るには鍵をもった司祭さんに同行してもらわないといけない)、ここ、ティジョン・アブラハム教会には、教会の建物の隣に掘っ立て小屋みたいなのがあり、オイラたちが到着したのを見て、そこから腰の曲がった老人の司祭さんが、ムックリと出てきた。う、お酒くさい・・・山頂からの絶景だけがある、この場所。日々特にやることはないのであろう、酒を飲むことくらいしか。ま、ある意味、幸せな生活なのかもしれない。神を感じる場所で、日がな酒を飲んで暮らしていればいいというのも。

 さて、一緒に麓からついてきてくれた若い司祭さんが、教会の鍵をあけてくれ、中へ入る。酒飲みの老司祭も一緒に中に入ってきてくれたのだが、いろいろ説明してくれる若い司祭さんとは対照的に、老司祭さんは、教会内にあるベンチに座ってそのまま動かない。う~ん、なんか、フォトジェニックでいいんですけど・・・老司祭さんは、そういう役目なんですか?

 教会内には、アブナ・イエマタと同じように、壁面にびっしりポップでキッチュなエチオピア正教画が描かれていた。ただ、アブナ・イエマタほど鮮やかではない。古びて色あせていて、ところどころは、壁が崩れ、画が削げ落ちてしまっている箇所もある(ちなみに、ここ、ティジョン・アブラハム教会は、エチオピアで二番目に古い教会とのこと)。先ほどのアブナ・イエマタの壁画がどれほど素晴らしい状態だったのか、ということを再確認するとともに、これはこれで、リアルな感じがあって、いい。

 そう、ここは、なんか雰囲気がめっちゃいい教会だった。窓としてくりぬかれた岩壁から漏れ入る日の光が幻想的なライティングになっていたり、日が差さない奥の部屋では、司祭さんが、ろうそくの明かりで、壁面の画や彫刻を解説してくれたりして・・・あ、もちろん、椅子に座ったままの老司祭さんが、厳かな教会の雰囲気をずっと保っていたというのはいうまでもない。オマケで来た教会だったのに、説明を受け、思ったより広々とした教会内をじっくり案内してもらううちに、ここがどんどん好きになっていくのを感じた。そう、オイラは、岩窟教会に、ここティジョン・アブラハムのような雰囲気を求めていたのかも。アブナ・イエマタでちょっと不満足だった思いはここで、完全に解消された。うんうん、ツアーで来て、しかも、お勧め教会を巡ることにして、正解だった。ここに来れてよかった。

 さて、ティジョン・アブラハム教会を後にして、山を降り、バンのところに戻ったのだが・・・ここでも、結構時間を食ってしまい、もう時刻は4時半過ぎ。「もう一つ教会に行くには時間がないぞ」とドライバーに言われたのですが、「せっかく来たんだから、もう一つも見て行きたい。」と言い張り、もう、戻りたがっているドライバーを、次の教会へ向かわせる。ちなみに、ガイドさんとはここでお別れ。最後に向かうアブラハ・アツベハは、道のすぐ脇にあって、車で教会の横まで行けちゃうんで、特にガイドが必要ないところらしい。

 日が沈みつつある中、アブラハ・アツベハに到着。「すぐ見て戻ってきますから」と急ぎ足で教会へ。教会隣の建物で食事中だった司祭さんに、教会を開けてくれるようお願いする。すると、食べ途中のインジェラをちぎって「まぁ、これでも食べて」と勧めてくれた。もらったインジェラを食べてみると、口の中でジャリッっと音が・・・む・・・砂が混じっているようなのですが・・・うむむ、これが噂の砂入りインジェラか・・・これは確かに、なんか美味くないな。っていうか、インジェラは、インジェラだけで食べると、ちとキツイ。ワットとかなにか挟む具になるやつがないと、いっぱいは食べれない。

 モグモグする司祭さんが、見習いと思えるお兄さんに指図して、鍵を開けてくれることになった。が、このお兄さん、自分で教会の鍵を開けたことがないのか、南京錠に鍵が差し込めないで困っている。「それ、鍵がさかさまですよ」と、見かねてオイラがアドバイス。ようやく教会の鍵が開けられ、中へ。ここも、中の壁一面が、ファンキーな画でいっぱいになっていた。うむむ、画としては、この教会の画が3つの教会の中で一番好きかもしれない・・・ここも、諦めずに来てよかった。

 教会へ行くまでの道が最高に興奮する&壁画の状態が一番いいのが、アブナ・イエマタ教会、岩窟教会として最高に雰囲気があるのが、ティジョン・アブラハム教会、壁画が、最高にポップでキッチュなのが、アブラハ・アツベハ教会と、今日巡った3つの教会は、それぞれがそれぞれに特徴があって、3つ周れてよかった。ツアーにして正解だったんだろうなぁ・・・と思う。自転車で周ろうと思えば周れなくもない場所ではあるのですが・・・教会に到着するだけでくたびれ果てそう。アブナ・イエマタや、ティジョン・アブラハムは麓に到着してからが、また大変なんで・・・ここは、少々お金がかかっちゃいますが、ツアーで周るのをお勧めしまっせ。

 さて、真っ暗になってからウクロに戻ってきたバン。このままメケレに戻ることに変更したオイラは、今日も泊まるつもりでホテルに置きっぱなしにしてきた、荷物と自転車を取りに部屋に戻る。そして、チェックアウト。当然、こんな時間のチェックアウトは、泊まった場合と同じ額のお金を請求されることになる。レセプションのお姉さんに「72.5ブルの宿代、50ブルにまけてくれない?」と交渉するも「ダメ」と連れない返事。一応、2.5ブル分だけまけてくれ、70ブルを支払って、宿を出る。自転車を折りたたんで、バンに乗せ、メケレへ。

 ふ~、なんかバタバタだけど、交通事情が大変と言われているエチオピアを、結構効率的に周れている気がする。この調子ですんなりエチオピア観光ができると嬉しいんだけどねぇ。この先、どうなることやら。