Azmari bet
アズマリベッド

2012.1.24 / Ethiopia(Mekele) 本日 自転車0km走行 : Total 36729km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→アボガドジュース 昼飯→ピザ 夕飯→パスタ+サラダ / 宿→Bisrat Hotel(70ブル)

(English)
 Today I went to azmari bet to see ethiopian dance.



 朝、ユースケくんと待ち合わせて、朝食。その後、一緒にダナキルツアーに参加すべくツアーエージェンシー&ツーリストインフォメーションに行くことに。まず、ツアーエージェンシーに行ってみたところ・・・25日発であると言っていたダナキルツアーが、なんかの理由で27日に延期になったとのこと。そのなんかの理由ってのがハッキリしなくて。ひょっとしてここで申し込んだら、27日も更に延期になっちゃった、なんてことを言われてしまうのではないかという不安を覚え「う~ん」と顔を見合わせるオイラとユースケくん。こちらのほうが、ツアーの提示額が一人750ドルでちょっとお安いので、できれば、こっちのエージェンシーに頼みたいなとは思っていたところだったのだが。とりあえず、ツーリストインフォの方にも行って情報、聞いてこようと、通りを挟んで向かい側にあるツーリストインフォのオフィスへ移動。「おお、やっぱり二人は友達だったか」と、陽気なお兄ちゃんが迎えてくれた。さて、ここのお兄ちゃんによると、ツーリストインフォで推薦しているツアーは、予定通り26日発でダナキルに向かうらしい。で、値段は、たぶん800ドルとのこと。向かいのツアーエージェンシーは750ドルだったんだけど、と交渉をしてみたところ、ちょっと困った顔になったお兄さん。「僕の判断ではないから」と、直接、ツアーエージェンシーに電話してくれることに。で、電話してもらったところ、「エージェンシーが、オフィスに来てくれと言っている」とのことで、直接オフィスに行って交渉することに。

 オイラたちが泊まっている宿の近くにあるでっかいミラノホテルの一角にオフィスを構えていた<エチオ・トラベル&ツアー>というトラベル・エージェンシー。中へ入ると、お姉さんがツアーに関して詳細な説明をしてくれた。で、値段は・・・「750ドルでいいわよ」とアッサリ。ということで、このツアー会社にお願いして、ダナキルに行くことに。ただ、ここでも、一応気になったので・・・事件のことを聞いてみた。すると「あの事件があったから、今警備を強化したところなのよ、ええ、政府がね。むしろ、今が安全よ」と、昨日、別のツアー・エージェンシーで聞いたのと同じことを言う。う~む、ま、そういうことなんだろうな。同じようなことは連続しては起こらない、と思うことにしよう。

 ちなみに、ツアーは、オイラたち二人のほかに6人のイスラエル人たちが一緒とのこと。うむむ、ユースケくんが居てくれてよかった。おそらく全員知り合いだろうと思われる6人のイスラエル人のチームに、一人で入り込むのは、ちょっと心細い。

 前金300ドルを支払い、とりあえず、申し込み完了。いやぁ、申し込んじゃったよ。ダナキル、行けることになっちゃったよ。高度マイナス60mと大地溝帯の中でも地球の中心に最も近く、地殻が薄いので、マグマがすぐ下まで迫っていて、気温45度ととにかく熱く、まるで地球内部を見ているような驚異の光景が広がっているというダナキル。楽しみな半面、不安が半面・・・

 とりあえず、出発待ちで、26日まで暇になってしまったオイラたち。ユースケくんは明日、ティグライの岩窟教会巡りをすることにしたのだが・・・オイラは、もう行っちゃったし。ま、HPの更新作業でもして過ごすかな、と思ったその時、「そうだ、こんな時に!」と、頭をよぎったことが。ようこ&ひろさんから、「エチオピアではアズマリベッドへぜひ」と言われていたのを思い出したのだ。エチオピアには、アズマリと呼ばれるエチオピア伝統の音楽を歌い上げるダンサー兼歌手が居て、彼ら(彼女ら)が歌う音楽を楽しむ店 (酒場) をアズマリベッドというらしい。ということで、アズマリを見に行こう、と思ったものの、どこへ行けば、見れるのかが分からない。アズマリベッドは、特に観光化されているワケではなく、地元の人たちが、普通に楽しむ場として、町に存在しているようであり、ようこ&ひろさんは地元の人と知り合って連れて行ってもらったとのこと。

 う~ん、地元の人の知り合いか。オイラがこの町で一番の知り合いになったのは・・・ツーリストインフォのお兄ちゃん。そうか、彼に聞けば教えてくれるかもと、再びツーリストインフォを訪れてみた。お兄ちゃんに、ダナキルツアーを申し込んだことを報告した後、アズマリベッドに行きたいとのことを伝えてたら、「本格的なアズマリベッドは、ゴンダールに行かないと見れないんだ。あそこが発祥みたいなものだからさ。この町では、トレディショナルレストランが、アズマリベッドの代わりになっている。本来のアズマリベッドはわりと狭い空間でアコースティックな楽器の演奏で行われるもんなんだけど、ここでは、広いレストランのステージで、エレキ楽器を使ってショーアップしてやっているのさ。音楽やダンス自身はエチオピア伝統のものだから、一緒なんだけどね。」と説明してくれた。まぁ、オイラの場合、場所が見たいわけじゃなく、ダンスを見たいだけなので、ダンスが見れるんなら、場所はどういうカタチであろうとかまわない。

 ということで、今日、ショーが開催されるというトラディショナルレストランを教えてもらい、夜、行ってみたのであった。

 <Cultural Restaurant Rimna>と看板に書かれたレストラン。入ってみると、店内には大きなステージが設けられていて、テーブル椅子がすべて、ステージを向いて並べてある。レストランというより、ライブハウスって感じ。ショーを見ることが前提となっているような店の作りだ。

 一応19時から始まるよって言われたから19時に来てみたのだが・・・店内客はオイラだけ。ステージも、一応PAスイッチは入っているようなのだが、真ん中に置かれたキーボードがポツリと寂しそうにおいてあるだけ。ホントに、今日ショーが行われるのか?ひょっとしたら、7時ってエチオピア時間の7時のことだったのか?と、不安になるほど、ショーが始まる雰囲気がない。とりあえず、オーダーを取りに来たお姉さんに、パスタとサラダを頼みながら「今夜、ダンスが見れるんですよね?」と聞いてみたら「ハイ」とは答えてくれたのだが・・・

 結局、パスタとサラダを食べ終え、二本目のスプライトを飲み終えようとした20時過ぎ、ようやく他の客がちらほら入り始め、演奏者がステージにのぼった。始めは、キーボードとベースと歌手の3人組。エチオピアの民俗音楽と思われる音楽を演奏し始めた彼ら。しかし・・・ボーカルの女の子は、ただ歌っているだけだぞ。ぜんぜん踊ってなんかいないんですけど。え~ダンスを見に来たんだけどなぁ・・・と、これまた不安に思っていたら、一曲終わって、女の子は舞台裏に引き返し、代わりに男性の歌い手と、アディスで弾かせてもらったフレットレスのギターのような楽器をもった男の人がステージにのぼってきた。そして、演奏が始めたと同時に、ステージの前に、民族衣装を来た男女二人づつのダンサーの人たちが登場。小気味よい、キュートな動きで、踊り始めた。

 これこれ、これを見たかったんですよ!

 おぉ~、これがエチオピアンダンスか。確かにスゴイ。体全体では8分のビートで動いているのだが、肩が16分のビートで動いて、胸や足が32分のビートで動いている。全体でみれば、ユッタリと動いているように見えるのだが、体からは細かいアップビートのパルスが溢れているこの動き、ゆっくりなビートの曲でのダンスもなかなかいいのだが、なんといってもスゴイのが、アップテンポなビートの曲の時。こりゃもう凄いの一言。目が点になってしまった。どうやったら肩と胸と腰をそうやって揺らせられるの?と体の構造から疑問に思わされちゃうほど、細かいパルスが体から溢れている。これは、キューバで、メッチャ上手にサルサを踊る女の子を見た時と同じ衝撃だ。

 そんなアズマリダンスは情熱的でかっこいいのだが、どこかコミカルでキュート。これは、エチオピア正教の宗教画に通じるものがあると思う。エチオピアには、<カワイイ>という感覚を文化に取り入れる国民性があるのかもしれない。かわいさとは、厳しさに対する癒しの対象。自然環境が厳しいエチオピアは、かわいさに救いを求めたのかも、なんて思ってみる。

 ステージでは、歌い手が歌い続けているのだが、ダンサーの人たちは一曲歌い終わるごとに、舞台裏に引っ込んでいく。引っ込んだ後の次の一曲は、ダンサーなしで、歌が始まるのだが・・・この時間は、お客さんのダンシングタイムとなるようで。椅子に座って飯を食べていたお客さん数人がおもむろに立ち上がり、ステージ前で踊りだす。なるほどね、見るだけじゃなくて、参加するショーになっているんだ。こうやって、普通に地元の人たちが楽しむ場になっているんだな。

 すっかり、オイラも楽しませてもらっちゃいました。いやぁ、これはこの目で見てよかった。そして、これだけ楽しませてもらったのに、代金は、パスタ+サラダ+スプライト2本分で66ブル(350円くらい)ってのが、さらに驚き。

 それにしても、エチオピアダンスがこんなにもスゴイものとは。オイラの中で、世界のダンス文化の相当上位に入るダンスです。しかし、なぜこんなスゴイものが、マイナーなのか・・・オイラなんて、ようこ&ひろさんに薦められなかったら、スルーしていたかもしれないほど、知らなかったもんねぇ。