St. George Church in Lalibela
なんかビミョウなラリベラですが、聖ギオルギス教会が見れたのですべて許します

2012.2.1 / Ethiopia(Weldiya~Lalibela) 本日 自転車0km走行 : Total 36729km走行
天気:晴
朝飯→シュロワット 昼飯→ファスティングフード 夕飯→パスタ / 宿→Jourden Guest House(120ブル)

(English)
 Today I arrived at Lalibela. I saw fantastic St. George Church.



 朝、またもや、4時半起床。暗い中宿を出てバスターミナルに向かうと、まだ開いていない門の前に人だかりができている。うむむ、昨日は、結局バスターミナルに行かずに、ミニバスに乗れちゃったので、この風景は見なかったのだが、朝のバスターミナルの門前というのは、こんな風になっているのか。それにしても、こんなにも多くの人たちが集まっているなんて・・・みんな早起きなんだなぁ、エチオピア人。で、5時になり、門番の人がバスターミナルの門を開けた途端に、全員が走り出した。席は早いもの勝ちなのだ。満席になってしまったら、当然乗れない。下手すればまた次の日まで待たされることになる。

 ということなので、オイラも急いで中に入ったのだが・・・バスターミナルにはたくさんバスが停まっている。バスの前ガラスにはおそらく行き先と思われるものが書かれているのだが、アムハラ語で書かれているため、読めない。ということで、オイラは、どのバスに乗ればいいのかが分からない。「ラリベラへ行きたいんですけど」とその辺の人に聞きまくっていたら、一台のミニバスに連れて行かれた。え?またミニバスなんですか?あっちの大きなバスじゃないんですか?「いいから、これがダイレクトにラリベラに行くから乗って」と言われ、ワケがわからないオイラは、もう、言われるがままに従うしかない。これがもし騙しであって、どこか変な場所に連れて行かれたとしても、それはそれでしょうがない流れだ。そんな状況なので、心配性のオイラは、人が乗ってくるたびに、「ラリベラに行くんですか?」と聞いて、「ウン」という返事を確認してみる。

 さて、昨日はあっという間に人が集まり、サクッと出発できたのに、今日はなかなか人が集まらない。まぁ、それでも、待てば人は集まるもんだ。結果的には、大型バスの出発よりは早く、6時ちょい前くらいに出発。

 走り始めたラリベラへの道はいい感じ。しばらくずっと舗装道路が続いた。ミシュランのマップでは工事中って表記だったのだが・・・もうアスファルト化は完成したようだ。上りも緩やかな道で、昨日のメケレからの道のような激しい峠越え道はない。これだったら、自転車でも走れるかも・・・と思ったのだが、この道の風景は、イマイチ。道脇にずっと木が埋まっていて、周囲の景色もあんまり見れないし。あまり心を動かしてはくれなかったこの道は・・・うん、バス移動で正解だったってことで。

 さて、ミニバス、出発した時点で、席は満席だったのだが・・・途中からがんがん人が乗ってくる。当然、席はないわけで。補助席もない。ということで、途中から乗ってくる人は、車の床に座ることになる。いやぁ、オイラ、奥の席に座っててよかった。ドア付近に座っていたら、途中から乗ってきた人たちの圧力で押しつぶされていたに違いない。

 と、ガシェナってところに到着したら、途中から乗ってきた人たちがみんな降りた。どうやら、分岐点となる村らしく、ここからさらに別方面のバスが出ているらしく、乗り換えるみたいだ。ラリベラへ向かうオイラたちはそのまま。ミニバスは、ここからわき道へ入っていく。で、そのわき道は未舗装道だった。ここからガタガタの道となる。この道のせいで、乗り心地は一気に悪くなったのだが、周囲の眺めは絶景となった。う~ん、この風景は自転車で見たい、と思わせられる風景だ・・・なんて、バスに乗っていても、常にチャリダー魂がうずいてしまう。うずくんだけれども、実際バスに乗っちゃっていると、バスの快適さからあえて降りて、自転車に切り替えて・・・という気持ちには至れない。「バスを降りて走ろう、とまでは思えないな・・・未舗装だからだ」なんて自分の中で自分を説得する理由付けなんてしちゃったりして。気分が向いたところで、チャリに切り替えて走ろう、って思っていたハイブリッドチャリ旅だったのだが、気が向いてもチャリに切り替えられない。結局チャリは、バスに乗せて運ぶだけっていうことになっちゃっているぞ、エチオピア北部旅。

 と、そんなことを考えていたら、途中で、いきなりバスが止まった。そして、運転手がドアを開け、吐きはじめた。エチオピア人、乗り物に弱いみたいで、吐いている人、結構見かけるんだけど・・・運転手で吐いているのは初めてみたぞ。っていうか、運転手が乗り物酔いするってことはありうるのか?

 さて、途中から再び舗装道路になり、スムーズになったラリベラまでの道をバスは走り、午前中にラリベラに到着。ラリベラは思っていた以上に田舎な町だった。山間に囲まれたノンビリした町というよりは村。観光地って聞いていたから、こじゃれた建物でも建っているんではないかと想像していたのだが、そんなことはなく、質素な小売の商店がポツリポツリと並んでいるだけ。が、バスを降りた途端、ここが観光地だということを実感させられたのであった。宿の客引きが群がってきたのだ。一応情報ノートに載っていた宿の客引きの人についていくことにしたのだが・・・なんか提示額が高い。一泊200ブルって言ってたのを二泊分払うからと、二泊で240ブルまで下げてもらって泊まることにした。が、その後も、部屋に入ろうとするオイラを引きとめ、ガイドはいらないかと言ってくる。う~ん、ここはホントに、情報ノートに<お勧め>って書いてあった宿なのか?ウザイぞ。

 ちなみに、やっぱり観光地なラリベラの町はいろいろウザイ。ちょっと外を歩くだけで、そこらじゅうから「ジャパネ?」と声かけられる。「オハヨゴザイマス」「ゲンキデスカ」「ヨコソ、ラリベラヘ」などなど、片言の日本語攻撃をくらう。遠くからの言葉攻撃だけならまだいいのだが、歩くオイラにぴったりとついてきて「ナンカチョウダイ」とモノをねだったりもしてくる。ああ、ここと比べたら、観光地擦れしていないメケレが、いかに過ごしやすかったことか・・・

 まぁ、そんな感じでウザイ町の人は、振り切ればいいのだが、宿の人が、しつこく勧誘してくるのはホント困りモノ。なんか、めんどくさい宿に泊まることにしちゃったなぁ、金を返してもらって他の宿に移るか?と思ったところ、そんなオイラの気持ちを察したのか、「分かった。ガイドは気が向いたら声をかけてくれ。とりあえず、腹減っているだろ。朝飯、おごるよ」と言ってきた。マジ?宿の青年、アベルくん、実は、いい人なのかもって思ってゴチになる。で、その朝飯の席で、夜も、一緒に飲まないか?という誘いをいただき、思わず乗ってしまうオイラ。この<朝飯おごるよ>攻撃が、のちのちの事件への布石であることもこの時には、気づかず・・・

 さて、ラリベラに来たのは、教会群を見るため。到着して早々であったが、早速ラリベラの教会を見に行くことにしたのであった。

 ガイドは特に必要ないが、チケットは買わないとダメなようなので、350ブル出して、チケット購入。5日間有効のこのチケット、話を聞くたびに、値段が上がっている気がする。

 買ったチケットを握り締め、まずは、一番行きたかった聖ギオルギス教会へ。これを見るためだけにラリベラに来たといっても過言ではない教会なのだ。ひとつだけポツンと離れた場所にあるこの教会に歩いていくと・・・地面からニョキッと突き出す十字架が見えてきた。おお、これが!そう、この十字架が教会。いや、正確に言うと、教会の屋根。この教会は、岩を<垂直に>くりぬいて作られた岩窟教会なのだ。ティグライで見た岩窟教会は、岩場を横から掘って教会の空間を作り出したものだったが、この聖ギオルギス教会は、上から縦に岩場を掘りぬいて、巨大な教会を造りあげている。教会に向かう際に歩いている地面の面と同じ高さの岩を掘り下げているので、歩いて向かうと、教会の建物がドーンとそびえ立って見えるワケではなく、教会の屋根だけが、岩の間からチョコンと見えてくることになる。建物自体は、足の下、地面の中っていうわけ。で、この聖ギオルギス教会が素晴らしいのは、教会が、垂直方向に対して十字架の形状で作られている点。そのため、最初に見えてくるのが<十字架>なのだ。そして、十字架形状の彫り物が地面から突き出している、と思って、近づいて覗き込むと、実は、これが教会の建物だ、見えていたのは屋根だったんだということが分かり、驚かされることになる。この不思議な感覚に包まれる驚き構造に、ゾクゾクさせられる。

 というか、垂直方向に十字架形状で建てられた教会が、それだけで、カッコイイ。

 この教会は、上から俯瞰で眺めているだけで心が癒される。それだけの威厳と言うかパワーが教会から発せられているのを感じる。うむむ・・・やっぱり教会ってこうじゃなきゃ。しばらく、上でたたずみながら、教会を眺めていたのだが、教会内部も見てみたくなり、岩場の横にある下へと降りていく通路を通り、教会の入り口へと行ってみることに。すると・・・今日はセントジョージデイという特別な日らしく、教会の中には信者の方々がいっぱいいて、雰囲気ある状態となっていた。たぶん、いつもなら、教会内部は、観光客で溢れていて、幻滅するところだったんだろうが・・・これはラッキーだ。外だけでなく、内部でも厳かな気分にさせてもらえるとは。う~ん、いい。聖ギオルギス教会、エチオピアの教会の中で、一番のお気に入りになりそうだ。

 その後、別の場所にある、第一教会群という場所で、6つほどの教会を見てみた。どの教会も聖ギオルギス教会ほどのインパクトは受けず。というか、修復作業のためなのか、酸性雨から建物を守るためなのか、聖救世主教会とか、天井の上に、教会の風景にそぐわないシートがかぶされちゃっていて、なんかガッカリ。どうせ、そういったシートをかぶせるのなら、もっと教会にマッチしたものをデザインすればいいのに。古びて趣のある教会の上に、近代的なそっけないシートって・・・興ざめもいいところだ。ということで、第一教会群はイマイチ気分が盛り上がらず、そそくさとそこの教会巡りを終了し、もう一度聖ギオルギス教会へ行って、お口直しというか、気分的な満足感をもらうことに。そうそう、ラリベラの教会群、一応駆け足でみれば、半日もあれば全部の教会を見れちゃいそう(山の上にあるというアシェトンの聖マリア教会は別として)だったのだが、ま、明日もラリベラに滞在するつもりだし、そこはそんなにあせらずってことで、残りの第二教会群は明日見ることにしまして。今日はお気に入りのキルギオス教会を再び堪能することに。時刻はちょうど夕刻。夕日をバッグにした聖ギオルギス教会の十字架の屋根・・・ああ、やっぱりココが最高だ。

 で、夜、約束どおり、アベルくんが、飲みに誘ってくれた。いい人なのかもって思い始めていたオイラは、ここでホイホイとついていったのだが・・・連れて行かれたのが、だれかの家庭のような家。何人か人が集まって飲んでいるので、一応、飲み屋ではあるらしい。あれ?バーじゃないのと思ったのだが、ローカルはこういう場で飲むのだよ、とアベルくんに言われ、ああ、なるほど、こういう場所が<ベッド>と呼ばれる場所なのかも、と勝手に納得。で、この家のママらしいおばちゃんについでもらった豆の蒸留酒をいただくのであった。

 さて・・・ラリベラに来たからには、名物というハニーワインを飲んでみたいと思っていた、オイラ、「ハニーワインは飲めないの?」とアベルくんに聞いたところ、おばちゃんがわざわざ別の場所に買いにいってくれて、出してくれた。ハニーワインと豆の酒でいい感じにほろ酔いになったところで、「そろそろ宿に帰って寝ます」と席を立とうとしたところ・・・「御代は200ブルね」と来た。日本円にしたら1000円になるその額、ハニーワインコップ二杯と、豆の酒一杯で、請求される額じゃない。エチオピア価格から考えたら、おばちゃんにわざわざハニーワインを買ってきてもらったチップ代も含めて、多く払ったとして60ブルってところだ。「ハニーワインはレストランで飲むと8ドルくらいするもんなんだよ」というアベル。ウソつけ~、エリコちゃんのブログでエチオピアンダンスを見ながら飲んだハニーワインが50ブルだって書いていたのを読んだぞ。「いやいや、ここはぼったくりバーですか?その値段はありえないでしょ。ローカルの値段知らないと思ってるの?」と、支払いを拒否するオイラであったが、この家で飲んでいる人たちは皆仲間。みんながグルになってオイラに払えと圧力をかけてくる。結局150支払って出ることになったオイラ。ああ、エチオピア人、親切な人が多かったから、って完全に油断していたなぁ・・・やっぱりここはラリベラ。観光地には気をつけろってことですよ、ハイ。