Visit Murshi Village
ムルシ村の楽しみ方

2012.2.18 / Ethiopia(Jinka~Dimeka) 本日 自転車0km走行 : Total 36729km走行
天気:晴
朝飯→クッキー 昼飯→アボガドジュース 夕飯→チブス / 宿→National Tourist Hotel(80ブル)

(English)
 Today I have been to Murshi Village. I could meet so many Murshi people.



 朝5時半に宿の前で待つ。約束の時間のはずなのだが・・・アシュが来ない。そうそう、今日ムルシ村に連れて行ってくれるのは、ベンジではなく、別のガイド、ジンカ在住のアシュという青年。6時過ぎにようやくアシュ登場。うむむ、ベンジも最初30分遅れてきたし・・・この辺では約束の時間に30分遅れてくるのが普通なのかい?

 ま、ともかく、すぐに出発ってことで、まだ、真っ暗な中、バイクにまたがり走りだす。話に聞いていた通り、未舗装のゴツゴツ道を走っていく。しかも、結構遠いため、急いでスピードを出すもんだから、かなり怖い。次第に周囲が明るくなり、周辺の風景が見えるようになってきた。ムルシの村に行くには、マゴナショナルパークという国立公園を通過していくことになる。ここで、国立公園の入場料を払わねばならないらしく、80ブル支払う。風光明媚な山の中をバイクがぐんぐん進んでいく。途中で、バブーンや鹿の仲間が道を横切って走っていくのが見える。

 山を一つ越え、低地のジャングルの中を突っ切る道を走りぬけ、もう一つの山を登り始めたところで、道端を歩くムルシの人たちが見えてきた。そして、藁葺きの小屋がいくつも建っている場所に到着。ムルシ村だ。村の入り口には、厳ついムルシの男性がたむろっている。中にはカラシニコフを持っている人もいる。相当怖い雰囲気。一人で紛れ込みたくなんかない場所だ。そうそう、昨日、ジンカで出会ったムルシの人たちに威圧感を感じたのは、正しいセンサーの作動だったようで・・・やっぱりムルシの人たちは相当好戦的らしい。下手な態度にでると、襲われちゃうから気をつけてね、とベンジから忠告をもらっていた。

 そんなムルシの男性との交渉は、アシュにおまかせ。村の入村料は100ブルでとのこと。で、100ブルも払うのに、写真は撮り放題っていうワケにはいかないとのこと。対面で人物を撮るのに、ワンショット5ブルだと。一人5ブルではなく、シャッターを一回切るごとに5ブルとのこと。うむむ、それは・・・なかなか厳しい条件だ。オイラのように、シャッターを切りまくって、よさげな写真をなんとか撮る、下手な鉄砲数打ちゃあたる写真術にとっては、ホントに厳しい条件だ。

 が、ここのしきたりであるならしょうがない。じゃぁ、そういうことで、と村の中に入れてもらう。一応、ベンジから、ムルシの村は、写真を撮るとき、そういう支払いルールになっていると思うけど、遠めからの写真だったら、大丈夫だと思うから、なるべく気づかれないようにして、たくさん撮っちゃえ、とアドバイスをもらっていたので、被写体を探すフリをしながら、なんとなく、シャッターを押し続けるオイラ。

 さて、ムルシ村までわざわざ来たのは、ムルシの人たちにとにかく、たくさん会いたかったのと、ムルシの人たちの生活風景が見たかったっていうのはあるのだが・・・一番の目的は、なんといっても、でっかいお皿をつけた女性に会いたかったのだ。昨日マーケットで出会った女性は、もちろんお皿をつけてはくれたのだが、ちょっと小ぶりだった。というのも、ムルシの人たち、普段からお皿をつけて生活しているわけではなく、普段はお皿は外して生活している。おしゃれというか、正装の時に、お皿はつけるもので。だから、お買い物で、訪れるマーケットには、基本的にお皿はしていかない。一応お皿は観光客向けの写真撮影用に持っていくのだが、大きくてかさばるお皿は持っていかない。ということで、大きなお皿をつけた女性を見たかったら、ムルシ村まで来なきゃいけなかったってわけなのだ。

 で、村一番の大きなお皿をつけた女性の写真を撮りたい、とアシュにお願いして、そういう女性を探してもらったのだが・・・この村で一番大きな皿、というのが、昨日、マーケットで、お母さんムルシな人がしてくれたお皿と同じくらいで。期待していた大きさじゃない。「もっと大きなお皿の人いないの?」とわがままを言うオイラであったのだが、居ないものは居ないらしく、アシュも、どうしようもないって表情。

 お皿の大きな女性を探して、カメラを持って村をウロウロするオイラ。そんなオイラの周囲には、「撮って撮って」と群がる子供たち。もちろん「2ブル、2ブル」とお金をせびってくる。これが結構ウザイ。「後で後で」と言うものの、子供たちは、ゾロゾロずっとついてくる。そして、無理やりにでも撮ってもらおうと、オイラの腕を引っ張る。まぁ、子供たちだけなら、まだいいのだが、いい大人の女性たちはずっとついて来るワケではないのだが、オイラを見かけると、「撮れ撮れ、3ブル、3ブル」と腕を引っ張ってくる。うむむ・・・出し惜しみしているワケじゃないのよ。お皿がでっかい女性がいるのであれば、モデル料がっつり払って撮らせてもらうんですけど・・・それか、お皿はしてなくても、かわいくて綺麗な女性であれば・・・

 村を一巡してみたのだが、オイラがどうしても撮りたいって思える被写体が、この村にはいない。いや、村の雰囲気はザッツ・ムルシって感じでよかったから、来たことには後悔していないんだけど、大満足だぜとは思えない。

 「別の村に行けないかな?」

 と、アッシュにお願いする。個人チャーターして来ているワケだし、この辺は、少々わがままでも、自分の希望を叶えてもらわなきゃ、と。

 ちなみに、ムルシの人たちの村は、そんなにたくさん人がいるわけではない。気性が荒いムルシの人たち、同じ民族であっても、相容れない場合が多いらしく、結構小さな人数で、村を形成して、生活しているとのこと。

 で、ちょっと離れた場所にある別の村に連れて行ってくれた。その村も同じように、村の入り口にムルシの男性がたむろっていて、やはり、怖い。そして、こっちの村の男性の方が、なんか無愛想で、よけい怖い雰囲気を漂わせている。

 ここでもアッシュが交渉してくれ、入村料100ブルを支払うということで、入れてもらう。写真は同じくワンショット5ブル。で、ここでも、お皿の大きな女性を、と探してもらったら・・・

 ここには居ました!!!

 顔の大きさほどもある大きなお皿を唇にはめ込んでいる女性が。はわわ、感動です。しかも、結構美人さんで、かなり写真心をくすぐられます。「ぜひぜひ、この女性を撮らせて下さい」とお願いすると、村の案内役みたいな男性が近づいてきて、オイラがカメラを構える様子をじっくりみている。何回シャッターを押すかガッツリ見られている。ここでは、どさくさまぎれに数ショットなんてこともできず・・・「2ショット撮らせていただきました」ときっちり報告し、10ブル払う。う~、2ショットで10ブルなんて高け~・・・ま、いい写真を撮らせてもらったのでよしとしよう。

 さて、最大の目的を成し遂げたので、後は、気になった人たちを撮らせてもらおうと回りを見渡すと・・・この村に入ったときから、「私を撮って撮って」と、強烈にアピールしてくるおばちゃんがいた。体を白塗りでペイントし、衣装のかぶりもの(正確に言うと、かぶってはおらず、頭にのっけているだけなため、常に、両手で支えていたのだが)を頭にのせたおばちゃん。そう、ムルシといえば、お皿が有名なのだが、奇抜なボディペインティングをしているよって話も聞いてまして。できれば、ボディペインティングでお皿をハメている写真が撮りたかったのだが、おばちゃん、唇には穴を開けていなくて。ま、それでも、気になる存在だったので、一枚写真を撮らせてもらう。それから、最初に撮らせてもらった女性の次に大きそうな皿をつけ、赤ん坊を抱いた女性がいたので、その人も一枚パチリ。

 ちなみに、小さな子供たちは、ちっちゃな杭みたいなのを耳にさしてます。これをだんだん大きなものに入れ替えていき、次第に穴を大きくしていき、最終的には、あんなにでっかい皿も、収納できちゃうような穴に広げるらしい。うむむ、人間の体ってスゲエな。

 いやぁ、この村、写真をフリーで撮っていいのであれば、おそらくバッテリーがなくなるであろうくらい撮りたい被写体で溢れた空間ではあったのですが、残念ながら、一枚撮るごとに、お金を支払わねばならないというプレッシャーが、心に大きくのしかかり、対面写真はもう撮れない。お金は持っていたんですけどね。なんか、この囲まれた空間の中で、お金をそのつど払って撮らせてもらうっていうシステムがちょっと嫌で。あの人には払って撮るのになんで私は?みたいな視線が痛いのです。まぁ、ノーファインダーショットで、雰囲気写真は撮ったし、と思ったオイラ、写真は終了とすることに。後は、村をブラブラしていたいな、と思ったのだが、なんか、もはや、写真を撮ることをやめ、金を払う気がなくなったヤツは、イラネって雰囲気になってしまいまして。ということで、ブラブラしているだけだと、村に居づらくなっちゃったので、ムルシビレッジを後にすることに。

 正直、ちょっと心残りはあったんですけどね。ま、観光客相手なんてこんなもんか、しょうがない・・・と思ってアシュの運転するバイクの後ろに乗っていると、道を歩いているムルシの人たちを発見。うむむ、村での姿もいいのだが、こういうサバンナを歩く彼らの姿の方が、さまになってていい。走るバイクに振り落とされないように、ポケットからカメラを取り出し、後姿をパチリ。いやぁ、これは、バイクに乗ってきてよかったな。こういうショットが自由に撮れる。なんて思いながら、さらに走っていたら、道を、牛たちが封鎖していた。牛たちが道を横切り終わるまでバイクを止めていると、その牛たちを、裸族な少年たちが誘導している姿が見えた。完全フルチン。おお、全然隠したりしないんだぁ・・・と、この潔さに返って心を打たれてしまいまして。一人2ブルってことで、写真を撮らせてもらうことに。ここでは、ワンショット2ブルでなく、3人に合計6ブルっていう交渉だったんで、数ショット撮らせてもらう。

 これはまたいい写真を撮らせてもらうことができたなぁ、と思って、またバイクにまたがり走り出したところ・・・今度は、胸をはだけた半裸族な女の子が!

 「アシュ、ストップストップ!!!」

 と、バイクを止めてもらう。女の子がよってきて、「フォト?」と言ってきたので、「ぜひに」と撮らせてもらうことに。で、いざ、カメラを構えようとしたところで、はだけていた胸を、着ている布で覆ってしまった。「え~、キミはかわいいけど、その胸もキュートだったから、胸をはだけた姿が撮りたいんだけど」と、スケベオヤジ丸出しな発言・・・いや、美しいものに出会ってしまった衝動による純粋な気持ちによる発言で聞いてみると「これで、2ブル。布をとったら3ブル」と女の子が言ってきた。・・・キミのオッパイは1ブルなんすか。オイラ的には、全然もっと払ってもよいのだぞ、その美乳になら。

 なんて、交渉があり、とにかく、3ブル払って撮らせてもらうことになった半裸姿のムルシの女の子写真。最初は、彼女のオッパイ目的だったのだが、よくよく見せてもらったら、胸からお腹にかけて、美しく傷模様がいれてあるではないですか。スカーと呼ばれるこの傷模様。昨日ジンカのマーケットで出会った男性のスカーもよかったけど、彼女のスカーは特別美しい。うむむ、胸のこの位置にいれますか・・・ちょっとでもずれちゃったら、大事な美乳が台無しになるところなのに、ホントに絶妙なバランスで、オッパイの美しさを強調するカタチで美しい曲線のスカーがいれてある。うむむ、改めて、これは素敵だ。しばし、オッパイではなく、この傷模様に、目が釘付けになってしまった。いや、なんていうか、いやらしい気持ち抜きで、きれいだと思った。まぁ、もちろん、この美しさは、彼女のオッパイの形が綺麗っていうことが前提としてあるのだが。

 彼女は、ノリがよく、ムルシっぽくない娘だった。彼女はまだ若いのだろう。下唇にはまだ穴を開けてないみたいだし、耳の穴もそんなに大きくはない(下唇に穴をあけるのは結婚したときだって、ベンジが言っていた)。ムルシの女性、お皿だけが魅力じゃない。立ち姿それだけで惚れ惚れしちゃう娘もいるのだ。

 なんだ、楽しいぞ。ムルシ村はテンションあがったけど、ちょっと萎縮してた。それに比べて、ムルシ村に向かうこの道は、テンションがあがることはもちろん、抜群に楽しい。心が躍る。ムルシ村は閉ざされた空間で圧迫感がただものではなかったけど、ココでの出会いは開放的で刺激的。写真もノビノビと撮れる。う~ん、ムルシ村の楽しみ方としては、ムルシ村では、でっかいお皿な女性を見るということを目的にして、その後の、帰り道でのムルシの人たちとの出会いを楽しむのがいいと思う。

 そんな道端でのムルシの人たちとの出会い、最後に、また素敵な出会いが待っていた。今度は、道端に、体中ペインティングしている少年たちを発見。もちろん、真っ裸な体をキャンバスにしての全身ペイントだ。そんな彼らは、子供ながらに、威圧感たっぷり。ペインティングして、おどろおどろしい雰囲気をかもし出しているのもあるのだが、そもそも、目つきが怖い。ひぇぇ~、一人だったら、絶対声かけられないよ、キミたちには。

 いやぁ、大満足大満足。大変だったけど、バイクで来てよかった。バイクで来たからこそ、帰りの道で出会った素敵なムルシの人たちに、気軽に接することができたのだ。これが、車だったら、いちいちちょっと止まってっていうことは、めんどくさくてやらなかっただろう。彼ら、彼女たちは、ただの風景の一部になっていただろう。バイクだからこそ、風景ではない、ひとりの民族として、出会えたのだ。う~む、この道、自転車で走ったら、さらにテンションあがっただろうになぁ・・・と思うものの、実際自転車で走りながら、ムルシの人と出会っていたら、相当ひるんでいたかもしれない。なんてったって、ノリがよくキュートだった半裸族のあの女の子は例外として、彼らの威圧感は半端ないのだ。今は、アシュがいるから、オイラも安心して行動できているだけなのだ。

 そんな素敵なバイク旅であったのだが、一つトラブルが。朝、ムルシ村に行く途中、マゴ国立公園で入園料と思って支払った80ブル、なんとあれは、スカウト料だったらしく、帰りに別途入園料として125ブル取られるハメに。オイラたちは、バイクだったんで、結局スカウトの人たちを同行させることができず(スカウトは、たまに危害を加えることがあるムルシの人たちから観光客を守るために、ムルシ村に行く車には同乗することになっているらしい)、80ブル支払ったのに、なんの効力もなかったわけで。だったら、80ブルを返してくれと言ったのだが、レシートもないし、とにかく、ここで、入園料を払ってくれなければ、キミ達をここから返すわけにはいけないってなことになりまして。う~ん、アッシュさん、その辺の仕組み知らなかったんですか?ええ、アッシュは、ムルシ村のガイドはあまりやらないみたいで、知らなかったようです。ここは、レシートをもらわなかったオイラたちに分が悪く、泣く泣く125ブル支払うことに。

 まぁ、公園を出る前に、そんなトラブルがあったもんだから、ジンカの村に戻るのが、すっかり遅れてしまったのですよ。ベンジの友達が、気を利かせて、ジンカ発のディメカ行きのバスのチケットを買っていてくれていたようだったのだが、オイラがそのバスに間に合う時間に、ジンカに戻ることができなかったため、そのチケットは別の人に売ってしまったとのこと。そして、今日はもう、ディメカ行きのバスはなくなってしまったとのこと。

 困った・・・いや、オイラは困らないんです。

 さぁ、こうなってしまった時に、力を発揮してもらうのが、ベンジ。そう、こういう時のために、アナタと一緒に旅をしているのですよ、とベンジにおまかせ。で、ベンジは、トラックの運転手に乗せていってくれるよう、交渉を始めた。エチオピア、走っているトラックの多くはイスズ製なため、<イスズ方式>と言われているこの、トラックヒッチハイク方法。実は、正式には、禁止されているんです。エチオピア、ヒッチハイク禁止なんです。が、それは表向きの話。まぁ、交通手段がないこの辺では、実際には、多くの人たちがヒッチをして、トラックの荷台に乗って移動しているワケでして。

 で、なんとか、ディメカに向かうトラックに乗せてもらえるよう、トラックの運ちゃんと交渉がまとまったようなのだが、なぜか、バイクタクシーを捕まえるベンジ。「ヨシ、これに乗って!」と言われるがままに、バイクタクシーに乗るオイラであったが・・・あれっ?トラックに乗っていくんじゃないの?バイクタクシーでディメカまでって、めっちゃ金かかるんじゃないの?と疑問がぐるぐる頭の中を回りながら、バイクに乗っていると、途中で、バイクを降ろされた。

 「ここで待つんだ」

 と、ベンジ。どうやら、禁止されているトラックヒッチ、ジンカのような大きな町では、町中から乗ってしまうと、見つかって罰金なんてことになるようで、こうして、一旦町を出て、郊外で、やってくるトラックを待ち、乗せてもらうっていう戦法らしい。とりあえず、トラックが来るまで待つ。ここ、カイサの広場では、マーケットが繰り広げられている。そうそう、今日はジンカのマーケット日。結局ムルシの村へ行って、ジンカのマーケットは、帰りにちょこっと覗いてきた程度だったんだけど・・・まぁ、衣装が普通なアリ族の人たちが、メインなジンカのマーケットは、見ていても、そんなに華やかなワケではない。ここ、郊外の広場で行われているカイサマーケットも同じだ。ここも、アリ族の人たちがメインのマーケット。

 さて、ぼ~と、マーケットを眺めていたら、イスズトラックがやってきた。乗り込むオイラたち。オイラたちを乗せ、しばらく走ったら、トラックが止まった。同じく郊外で、待っていたハマル族の人たちが乗ってくる。「まぁ、これでも噛みながらノンビリと」と、ベンジが渡してくれたチャットを噛んでいたら、隣に座ったハマル族のおじちゃんが、「オレにもくれないか?」と言ってきたので、二枝ほどあげる。ハマル族のおじちゃんとチャットを噛みながら、イスズトラックの上。うん、まぁ、これも悪くない。

 と、途中、ちょっと大きな町にもうちょっとで到着ってところで、またトラックが止まった。なんだ、またハマルの人たちが乗ってくるのかいな?と思っていたら、ここで降りろと。え?まだディメカには到着していないでしょ、と、ベンジに言ったら、「この先の町はチェックポイントになるから、乗っていくわけにはいかない。町を抜けるまで歩いて、そこからまた乗せてもらうんだ」と。うむむ、なるほど、そういう裏技を使うんですか・・・ということで、降りて歩き始めるオイラたち。町を抜け、また郊外に出たところで、トラックがやってくるのを待つ。そして、やってきたトラックに再び乗り込み、走り出す。こりゃ、大変だ。ディメカに着くまでにあと何個くらいチェックポイントがあるんだい?と、ベンジに聞いたら、あと二つだって。ふ~・・・「ヨシ、ディス・イズ・アフリカだ」と、ベンジ。

 ここからしばらく上り坂になった。ぐんぐんと登っていくトラック。ふと振り返ると、目の前には絶景が広がっていた。民族ばかりに目が行きがちな、オモバレーであるが、オモバレー自身の自然景観も素晴らしい場所なのだ。緑の大地が広がり、その向こうには幾重にも重なる山々の峰が横たわっている。ああ、このパノラマ風景を風を切りながら眺めなれるとは・・・イスズトラック、なかなかいいじゃないか。

 さて、再び戻ってきたカイアファールの町の手前でまたしても降ろされ、町を歩いていくことに。もはや、この途中途中を楽しむことしたオイラたちは、現地の人たちと戯れながら町を抜ける。そして、カイアファールの郊外で待っていたトラックは、新たな客と荷物を乗せており、荷台は大変なことになっていた。敷き詰められたコカコーラのビンケースの上に腰掛け、走るトラックの揺れに身を任せる。周囲は、素敵な衣装はハマル族の人たち。うん、これは、いい。オイラ一人の旅だったら、こんな状況には陥らなかっただろう。ベンジがいたからこそだ。未舗装のガタガタ道を、トラックの荷台に乗っていくだなんて・・・高い金を払って、ガイドを雇って旅しているというのに、なんで、そんな普通の旅人もやらないような大変な旅になっちゃっているの?と疑問を持つかもしれない。いや、この一見大変な状況は、<ガイドを雇ったからこそ>体験できることなのだ。そして、これは、避けたい状況なワケではない。むしろ、こういう形になることを心の底では望んでいたのだ。自分ではあえて飛び込めないけど、誰かがサポートしてくれるのなら、飛び込んでもいいと思える、ドキドキ状況。そう、これは、素敵なドキドキ旅の一幕なのだ。

 トラックから眺める風景がどんどん暗くなっていく。周囲は暗闇に包まれた。トラックのヘッドライトだけが、景色を照らす。そして・・・ディメカに到着した。

 降りたディメカの町は、真っ暗。ライトで足元を照らさないと歩けない。そんな道でも、現地の人たちは、ノーライトでスタスタ歩いている。まぁ、勝手知ったる道ではあるのだろうけど・・・きっと夜目が利くのだ。アフリカ人は、真っ暗な中でも、平気で自転車を飛ばして走っていけるような人たちなのだから。

 「ディス・イズ・アフリカ」、そう、ここオモバレーは、アフリカを強烈に感じさせてくれる場所なのかもしれない・・・だんだん、オモバレーの魅力が分かったような気がしてきたぞ、うん。