Pretty Girl in Hamer Village
ディメカの村のトゥルミちゃん

2012.2.19 / Ethiopia(Dimeka~Turmi) 本日 自転車0km走行 : Total 36729km走行
天気:晴
朝飯→アンバシャ 昼飯→カイワット 夕飯→チブス / 宿→アンリナットホテル(80ブル)

(English)
 Today I went to hamer tribe village. I met one pretty girl. She was very cute.



 今日は、ようやく朝ユックリできる日・・・だったのだが、日の出とともに部屋の温度が上昇し、暑くて寝ていられなくなった。この辺の安宿、部屋が完全密閉構造のため、熱がこもる。窓は一応あるのだが、夜の間開けていると、蚊が入ってくるため、開けてられない。一応蚊帳がついていたりするのだが、穴が開いて、蚊が潜入し放題なため、結局、窓はしめざるをえなくなるのだ。

 さて、朝飯を食べに、近くのカフェへ。ハマル族の人たちも、ザッツ・ハマルな衣装で、カフェで飯を食っている。彼らの衣装、観光用とかではなく、普段着なのが素敵だ。まぁ、なんていうか、彼らの衣装は、普段着ていても、ぜんぜん違和感はない。行き過ぎたオシャレではないので、ぜんぜんなじんでいる。

 そんなハマルの人たちの朝食風景を見ていて、一点気になったことが。カフェでは、男の人3人と女の人1人がいたんです。で、男グループとは違うテーブルで女の人が1人座ってて。始めは別のグループなんだろうと思っていたのですが、どうやらこの4人、同じ仲間らしいのですよ。離れた席の女の人と、普通に会話をしている男3人。そして、会計をすませ、一緒に4人で出て行きまして。うん?同じ仲間だったら、一つのテーブルを囲んで飯を食えばよかったのに・・・ひょっとして、女性は、別席でないといけない、なんていうルールでもあるのかいな?アフリカ、男尊女卑っていうからな・・・なんて、勘ぐってみたりもする(ああ、これがなんでなのか、ベンジに聞けばよかったな・・・聞き忘れた)。ちなみに、この辺の民族の方々、一夫多妻制が多い。ベンジのお父さんも、数人奥さんがいるっていってたし。だから、カイアファールで、腹違いの兄弟を紹介されたりして。

 さて、朝飯は、ティーとアンバシャという定番ものをオーダーし、食べていたのだが・・・気づいたら、飲み残していたティーに、蜂が群がっているじゃないですか。そのまましばらくほおっておいたら、さらに蜂が集まってきて、ティーの中で蜂が溺れだした。「ヨシ、ディス・イズ・アフリカだよ」とベンジは言い、もう一杯、新たにティーを頼んでくれた。今度は、蜂がたかるまえに、全部を飲み干す。

 さて、朝食の後、ディメカの町をしばし散歩。ベンジには先に宿に戻ってもらい、一人でブラブラしていた。町といっても、それなりに喧騒を感じるのは、中心部だけ。ちょっと町外れまで歩くと、茅葺の屋根の家がポツリポツリと点在する田舎町だ。そんなディメカの町では、庭先で、動物の皮を日干ししていたりと、のどかなで、昔ながらの風景が広がっている。ちなみに、ディメカは、この周辺に住むハマル族の人たちの中心的な町。その町でさえ、このノンビリムード。

 さて、宿に戻ると、ベンジが、ここディメカの友達と話をしていた。「ヨシ、これからハニーワインを飲みに行こう」と誘ってくる。え?朝っぱらから?そして、ハニーワイン?そう、朝食時に、あっという間にティーに蜂がたかってきたように、この辺、ミツバチが多い。ということは、ハニーの産地であるらしい。ハニーワインといえば、ラリベラだけが有名なのかと思っていたら、エチオピア、あちこちで、ハニーワインは作られているようだ。

 まぁ、とにかく、ベンジの友達数人とともに行くことになったタッジハウス。最初3人くらいだった友達が、まぁ、増えるは増える。最終的には9人くらいに。途中、ちらっと寄っていって、コップにつがれたハニーワインをぐいっと飲み干して、そのまま去っていく人もいる。あんたは何者なんだって人も紛れこんでも、誰も気にしない愉快な場となっていく。

 「ヨシ、ディス・イズ・アフリカだ」とベンジ。ええ、こうなるであろうことは予想してました。なので、あらかじめベンジには、「飲み屋には行くけど、オイラは、一銭も払わないからね。全部ベンジもちだよ」と、釘をさしておいたのです。ハニーワインには苦い思い出がありますからねぇ・・・ガンガン追加注文され、次々に空き瓶になっていくハニーワインのボトルたち。いやぁ、ベンジに釘をさしておいてよかった。何も言っていなかったら、これ、ひょっとして割り勘?いや、全部オイラもち?と気になって、まったく酔えなかったに違いない。

 空けに空けた、ハニーワインのビンボトル。最終的には、結構な額になっちゃったらしく「ヨシ・・・割り勘にしない?」とベンジが泣きついてきたのだが、そこは、非情に、「だから最初に言ったでしょ」とはねつけるオイラであった。まぁ、楽しかったからちょっと払ってもいいかなって気にもなっていたのだが。が、ここで甘い顔をすると、つけあがるからな、と、厳しい判断で。

 そんなハニーワインの会、一応、友達はみなハマル族なんですが、みんな洋服姿。ハマルの人たち、みんながみんなあのカラフルな格好をしているワケじゃないんです。そんな中、一人だけ、ハマルの衣装を着た青年が居まして。彼の名はイボ。ノッポで、見るからに人がよさそうな、ハマルの青年です。それにしても、改めて間近で見ても、オシャレ。なんか無理がないんですよねぇ・・・そして、こぎれいで。腕輪とかピッカピカに磨いてある。数ある腕輪、大きさもきっちり揃えてあって。几帳面さがにじみ出ている。ちなみに、この腕輪、いろんな民族がつけているのですが、民族ごとに、ちょっと形状が違ったりする。ハマルの人たちは、ストレートな円形の腕輪なのだが、ムルシの人たちの腕輪は、歪みをつけてある。昨日の半裸の女の子のしている腕輪のような感じ。そんな感じで、違いがあるもんだから、腕輪で、族の人たちの区別ができたりするのだ。さらに、この腕輪、ここいら辺で買うと安いのだが、アルバミンチではめっちゃ高く売っているらしい。「結構な商売になるんだよ」と、ここで大量の買い付けをしているガイドのベンジ。腕に買い込んだいろんな民族の腕輪をごっちゃにつけちゃっているベンジは・・・腕輪では何族だかわかんない。

 で、そうそう、忘れちゃいけないものが。ハマルの男性がみんな持っている、ちっちゃな椅子。これ、どんな時でも、肌身離さずもっているようです、彼らは。そして、ちょっとしたところで腰掛ける時に、この椅子を取り出し、座るってワケ。ここの会場には椅子があるので、イボも自前椅子は使わずに、店の椅子を使っているけど・・・マーケットとかで、店の前で、このちっちゃな椅子に腰掛けて商談をしているハマルの人たちをよく見かける。で、オイラ、テント生活中に、ちょっと外で楽器を弾く時とか、食事を作る時とかに、椅子があるといいな、って思うことがありまして。最初に、この椅子を見たとき、あ、持ち運びも楽そうだし、いいな、って思ったんです。めったにおみやげ物は買わないオイラですが、このちっちゃな椅子は、買おうかなって思ったんですが・・・実際、座らせてもらったら、これ、結構安定性ないんですよ。グラグラするんで、結局足で踏ん張らなきゃいけない状況になり、長時間座っていると辛くなりそうな感じ。う~む、これだったら、地面にじか座りしたほうがいいや、と思って、結局、買わずじまい。

 さて、酒が進むにつれて、取り出されたのが、アフリカの嗅ぎタバコ。これ、アフリカ旅の途中で何度かお目にかかる機会はあったのですが、試したことはなかったんですよねぇ。今回、勧められるがまま、試してみたのですが・・・これ、香辛料なんですな。手に取った粉を鼻から吸いいれる。即座に、鼻にツーンという刺激がくる。覚醒作用というか、刺激にビックリして目が覚める感じ。う~ん、チャットといい、この嗅ぎタバコといい、そしてコーヒーといい、こういう天然素材の刺激物を取り入れるのがアフリカ式なんですなぁ。

 オイラたちがハニーワインを12本ほど空けた時、店のおばちゃんが、使い古されたフルーツ缶の空き缶に入れた飲み物を持って近づいてきた。おばちゃんがおいしそうに飲んでいるので、「なんですか?それ」と聞いてみたら、「ハニーワインよ」とのこと。ちょっと飲んでみる?と言われたので、いただいてみることに。が、入っている容器が錆びた空き缶だし、ドロドロの異物が浮かんでいたりするんで、ちょっと飲むのに躊躇したんですが・・・これがメッチャウマかった。ええ???店で出しているハニーワインと全然違うやないですか。「そうなのよ。これは特製」と、おばちゃん。店で飲むハニーワインは、一応ハニーの味はするものの、薄い感じなのだが、これは、めっちゃハニーの味が濃厚。そう、実は、お店のハニーワインって、「ん?これ?ハニー?」と、蜂蜜っぽさはあんまりないのだ。が、この飲ませてもらった<特製>というハニーワインは、まさに、ハニードリンクって感じの味がした。ん~、このハニーワインに最初に出会っていれば、確実にハニーワインにはまっていたかも。ええ~、これ、お店で買えないんですか?これは、お店の人だけが味わえる、まかない飯ならぬ、まかない酒ってやつなんですか?

 さて、ハニーワインの会が終了し、次に、この近くにあるというハマル族のバシャダビレッジという村を訪問することになった。本当は、ベンジが案内するはずだったのだが、体調が優れないというので、代わりに友達のカレに案内してもらうことになったのだ。友達のカレとは、<彼>ではなく、<カレ>という名前の青年。このハニーワインの会で知り合ったカレ、ハニーワインの会で一番おしゃべりで、場を盛り上げていたヤツだ。ということで、カレと一緒に行くことになったハマルビレッジ、一応入村料を聞いたところ・・・15USドルとのこと。いやぁ、それは高いっしょ、と言ったのだが、いや、通常45ドルのところを、ヨシだから特別に15ドルなんだよ、とベンジは言ってくる。なんかウソくさいんだけど・・・

 う~ん、ちょくちょく、アレッ、っていう値段を言ってくるんだよね、ベンジは。例えば・・・マーケットを歩いているとき、「お土産を買うとき、オレを通して買えよ。直接買うと高くなるから」って言ってくれたんですよ。ああ、そういうもんなんだ、やっぱりガイドがいると心強いな、と最初は思ったのですが、ハマル族の椅子を買おうと交渉していた時、どうも、ベンジを介して買おうとする値段が高い。直接ハマルの人に聞いたところ、もっと安い値段で売ってくれるって言われまして・・・なんだよ、オレを通せって、ベンジ、キミがマージンを取ろうって魂胆だったのかい・・・結局、椅子を買わなかったオイラに、「なんで買わないの?日本人はみんないろいろ買っていくのに」と、とにかく何かを買わせようとするベンジ。ベンジくん、残念ながら、オイラ、お土産には興味がないのですよ、と言ったら「ヨシは、普通のジャパニーズと違う」って、すねちゃって。そんなことがあったんで、今度は村訪問で、ピンはねしようってことじゃないの?って勘ぐってしまうオイラ。ああ、一緒に行動するガイドを信用できなくなるほど、悲しいガイド旅はないのだが・・・

 しかし、この村の入村料、相場が分からないからなんとも言えない。いやぁ、やっぱりこういうのはガイド任せって安心しちゃいかんのだな。ガイドをつけたからそこ、情報を持っていなければならない。情報を持っていないモノは負ける。うん、これ今回で、一つ勉強しました、ハイ。

 結局、高いなぁとは思いながらも、せっかく来たのだからという想いがあって、行くことにしたハマルビレッジ。カレに案内され、行って見たところが・・・茅葺の屋根の家が4軒ほど立ち並ぶ小さな村落。まぁ、確かに、ディメカの町とは全然雰囲気が違う、ザッツ・ビレッジって雰囲気の場所ではあるのですが・・・問題なことに人がいない。

 ハマルの村に、ハマルの人たちに会いに来たというのに、そこに居るのはおそらくお留守番をまかされているであろうちびっ子3人だけ。え~、なに?ちびっ子3人を見るために、15ドルも払ったんじゃないんですけど・・・「今はみんな出かけている時間なんだ」と言い切るカレ。なに~、分かっていて誰もいない時間につれてきたってのか?そういえば、カレは、オフィシャルのガイドではない。オイラを村につれてくるときも「もし、誰かにどこに行くの?って聞かれても、絶対、ビレッジに行くって言っちゃダメだよ。その辺を歩いているだけって答えてね」って言い聞かされていた。

 騙されたのか?

 アンオフィシャルガイドなもんだから、人がいると、面倒なことになるから、ワザと人がいない時間に連れてきたんでしょ。一応ビレッジには連れていったよ、でも、人がいないのは、運だったから、というつもりなのかい?う~ん、これは・・・アンオフィシャルで連れてきてもらったもんだから、文句の言いようもない。普通だったらガイドのアソシエーションに抗議すればいいところなんだけど・・・今回はそうもいかない。失敗したなぁって思い始めたところで・・・隣の家に人影を発見。どうやら薪を取りに言っていた親娘が戻ってきたらしい。「おお、あの家に行こう」とカレが案内してくれたところには、薪を背負った半裸娘のキュートな女の子が。彼女の名前は、トゥルミちゃん。トゥルミ?ええ、隣の町の名前でもあります。彼女はお母さんと一緒に今ココに住んでますが、生まれたのがトゥルミだったから、トゥルミって名前をつけられたとのこと。

 このトゥルミちゃんが、コロコロと表情を変えるかわいらしい娘だった。そして、スタイル抜群。めっちゃ足が長いし。このトゥルミちゃんの登場で、一気に、このハマルビレッジ滞在が楽しい時間へと変貌していったのであった。いや、カレくんよ、疑ってすまなかった。ココ、すばらしくいい村だ。連れてきてくれてありがとう。

 ちなみに、あらかじめ弁解しておくと、決して女の子のオッパイが見れたからテンションがあがったってワケじゃないのよ。このトゥルミちゃんの<性格>が、かわいかったから楽しくなっちゃったってコトなのよ。

 ・・・え?弁解するところが返って怪しいって?まぁ、昨日から非常にテンションがあがってきているのは事実ですけどね、ええ・・・ハイ・・・

 ん~、その辺はなんとなくぼかした話にしておいて、と・・・あ、そうそう、ここでも、家の中に案内してもらって、トゥルミちゃんのお母さんに、エチオピア恒例の、コーヒーセレモニーをしてもらえることになったのですよ。正直、ああ、またコーヒーセレモニーかと思ったのですが、ここでのコーヒーは、今までとは全然違っていた。炒るところまでは一緒なのですが、その後、粉になるまで砕かない。適当なサイズに砕いたら、そのままお湯に入れて煮出してしまう。そのせいなのか、味があんまりでてなくて、アメリカンコーヒーな味だった。まぁ、味はともかく、出してくれた器がオシャレ。ハマル族の人たちが帽子にも使っているカラワッシュという植物の実の皮をコップ代わりにして入れてくれたのが斬新で。

 さて、何をするわけでもないのですが、家の中でまったりさせてもらいました。そして、言葉が通じるワケでもないのですが、なんだか、気持ちが伝わっているような気がしちゃいました。

 ああ、これはなんなのでしょう。

 これが、民族の人たちと触れ合うってことなのでしょうか。

 ビレッジ訪問って、なんとなくやることがなくなると、居づらい雰囲気になってきちゃうもんなのですが、ここ、ハマルのビレッジ・・・というか、トゥルミちゃんの家は、全然そんな雰囲気がなかった。居たいならいくらでも居ていいわよ、というハマル族の人たちが持つ、特有のフレンドリー感というか、親しみがにじみ出ているというか・・・なんか、そういう空気で包まれている感じがあり、ホント、居心地がよかった。

 そんな空間だったので、もうちょっと居たかったのですが、残念ながら、ベンジが戻ってきてねと言っていた時間が迫ってきてしまい、ヴィレッジを去らねばならないことに。さようなら、トゥルミちゃん、キミにはまた会いたいぞ。

 オイラにとっては抜群に居心地よかったハマル族のビレッジ訪問ですが、お勧めかと言われると、う~ん、ちとビミョウです。オイラの場合、トゥルミちゃんに出会えたから、行ってよかったって思えたんだけど、そういう出会いがないと、なんか物足りなさが残るかも。出会い・・・こればっかりは運ですのでなんとも言えないっす。ただ、行かないと出会いはない、これだけは真実です。

 さて、ビレッジから戻った後、シャワーを浴びようということに。ちなみに、宿にはシャワーなんてものはついていない。ディメカの町には、公衆シャワーなるものがあって、そこでシャワーが浴びれるのだ。ちなみにオイラがベンジ経由で払ったのは6ブル。ホントはもっと安く浴びれたみたい。たぶん、またベンジがマージンをとったんだと思う。だって後から聞いたら、3ブルくらいが相場って言ってたもん。ああ、物知りだし、仕事はきっちりこなすし、基本的にはいいやつなんだけどな、ベンジ。まぁ、ガイドはこうやって小遣い稼ぎをしないとやっていられないんだろうな。よくよく考えたら、300ドル払ったのって、ベンジに対してじゃないんだもん。アルバミンチに事務所を構えるアソシエーションに対して払ったんだもん。そのオイラの払ったお金が、ベンジに対していくら支払われているのかは分からない。たぶん、そんなにはたくさんの額ではないのかな、と思う。

 そんなことを考えながら、町を歩くハマルの女性を写真に撮らせてもらったりして過ごす。結婚する前のハマルのお嬢さんは、トゥルミちゃんみたいな軽々しいスタイルなのだが、結婚すると、髪の毛を編み、皮を着る、という、ちょっと重たい印象を与えるスタイルになるらしい。う~ん、この辺の民族の女性は、結婚を機に、大きく変わっていくのが興味深い。ムルシの人たちも、結婚したら、下唇に穴をあけるワケだし。「この女性はもう結婚してますよ~」ということを分かりやすくアピールする理由があるのだろうか?

 「ヨシ~、そろそろ行くよ~」というベンジの声が聞こえてきた。今日はこれから、トゥルミの町へと向かう・・・のだが、例によってバスがない。ということで、昨日に引き続き、今日もトラックヒッチ。今日は、荷台ではなく、助手席に乗せてもらえることになった。快適な状況で、移動。が、なんだかちょっと物足りない。移動が普通すぎる・・・なんだ、だんだんMっ気が出てきてしまっているようだぞ。そう、このオモバレー旅、大変なんですけど、その大変さが楽しくなってきちゃいまして。いや、ホント大変なんですよ。どれくらい大変かというと、ガイドのベンジがバテてしまうくらい大変。「ヨシ~、なんで車をチャーターして来なかったんだよ。普通はね、こんなふうにガイドだけってやらないよ」と愚痴をこぼし始めるほど。ベンジくんよ、ガイドがそんなことを言っちゃダメだぞ。そういうことは、思っていても口にはしないもんだ。そうそう、普段、ベンジは、オモバレーをガイドする時、チャーターされた車に乗ってやってくるらしいのだ。今回みたいに、車なしで同行っていうのは、あまりやらないパターンらしい。仕事だからやりますけどってがんばってくれているが、ガイドでも大変なんだろう、移動手段の手配と、照りつける太陽の暑さが、相当こたえているようで、日に日にベンジが消耗していくのが分かる。その逆に、オイラはどんどんテンション上がっていっているんですけど・・・

 うむ、ある意味、この<ガイドに同行してもらう>作戦は成功だったとも言える。大変な移動手段の手配は、お任せしちゃうことで、自分に余計な疲労がたまらず、この魅力たっぷりなオモバレー地区を、テンション高く楽しむことができたってことで。

 さて、トゥルミの町に到着したのだが・・・いよいよ、具合が悪くなってきて「マラリアかも」と言い出し始めたベンジ。大丈夫か?とりあえず、寝たほうがいいぞ、ということで、ベンジは部屋で寝ることになり、オイラは一人で、トゥルミを散歩。そう、ここトゥルミは町というより、村。いろんなブログで絶賛されているトゥルミ。トゥルミでは生のハマルの人たちに会えるって言うんで、ディメカより、トゥルミの方が、ハマルの衣装を着た人たちが闊歩しているのかと思っていたのだが、実際はそうでもなかったって印象。トゥルミはそんなに人が出歩いていない。どちらかというと、ディメカの方が、人の行き来が多い。で、人が多い分、ハマルの人たちに出会うチャンスも多かった。ま、トゥルミはのどかな田舎村って感じで、ノンビリするならいいところだと思うケドね。

 そんなトゥルミ、歩いていたら、ちょっとヤンキーなかほりを漂わせた女の子3人に遭遇。ハマルの衣装のいいところをいろいろまとってみました的な分かりやすい衣装であり、いかにも、写真を撮ってください的な、お揃いな女の子3人組でもあったので、その分かりやすい魅力に惹かれてしまい、写真を撮らせてもらうことに。が、この女の子3人とは、いい関係が築けなかった。やはり、いい意味じゃなく写真を撮られ慣れしちゃっているのだろう。完全に、撮られることは、金を稼ぐ手段と割り切ってる、マグロな女の子たちだった。表情をやわらかくしようと、いろいろ試みたのだが、無理だった。ま、この子たちは、このやさぐれた感じが、ポイントだから、これはこれでその感じが写っているからいい写真と言えるだろうと、自分を説得。あ、でも、この女の子たち、めっちゃ若そうなんだけど、結婚後のハマルスタイルだったぞ。あの年で結婚しちゃっているってことなのかなぁ。それとも、観光客相手用に、あのスタイルにしちゃっているだけなのかなぁ。ちょっと謎だ。

 その後、再び、村をテクテクと歩いていたら、一人のハマルの女性が声をかけてきた。握手をして、何を求めるワケでもなく、そのまま行ってしまう。うん、挨拶しただけだ。そう、ハマルの人たちは基本的にフレンドリー。ムルシの人たちのように、妙な威圧感がないし、気軽に寄ってもきてくれる。で、せっかくだから、と、そのまま立ち去ろうとする、その女性を、追いかけていって写真を撮らせてもらうことに。すると、写真を撮った後、この女性、家に来いと、オイラをしきりに誘ってくる。とりあえず、ついていくと、空になったポリバケツを持って出てきた。どうやら、これから水を汲みに行きたいらしい。ははあ、なるほど、汲んだ水が重くなるから、オイラに手伝って欲しいってことか、と思ったオイラは、写真撮影させてくれたお礼にと、水運びを手伝うことに。が、到着したのは、井戸ではなく、どこぞの家の庭。水道の蛇口からでる水をポリバケツに入れる女性。と、そこへ、家の人が出てきた。どうやら、ココの家、水を入れさせてあげる代わりに、水代をもらっている模様。ポリバケツ一杯10ブルとのことで・・・女性がここで、オイラに、10ブル払ってと言い始めたではないですか。ん?水を持って欲しいのではなく、水代を支払ってほしいために、オイラをつれてきたのかい?と気づいたオイラ。写真を撮らせてもらったお代は2ブルすでに支払っているわけでして。これ以上、お金を払う義務はない。ということで、丁重にお断りして、この場を後にする。ふ~、なんか、地元の人との付き合い方って難しいもんだな。

 なんて思いながら歩いていたら、遠くから「ヨシさ~ん」と呼ぶ声が。おお、オリエさんじゃないですか。ジンカの町で出会って、ちょっとだけお話したオリエさん、ジンカの後、オモラテってところに行くって行っていたので、別れたのですが、トゥルミのマーケットには行くつもりって言っていたので、また会えるかもって思っていたのです。ま、狭い村ですからね、トゥルミ。ちょっと歩いていれば、日本人は目立ちます。そうそう、再会といえば、ジンカで再会しましょう、と、カイアファールで別れたアキさん&ミカさんカップル。ジンカではドタバタしていたオイラだったし、ジンカの町が結構大きくて、結局、彼らがバスで出発する直前、チラッと会えただけだったのですよ。久々だったんでね、じっくりお話したかったんだけどなぁ・・・二人とは。ちなみに、アキさん&ミカさんの知り合いだったという、オリエさんとは、その時会いまして。

 で、このオモバレー地区を自力で移動し続けているというオリエさんには、オイラが300ドルも払ってガイドをつけていることに対して「なんで長期旅の人がそんな豪遊しちゃってるの?どうしちゃったの?」と、ビックリされまして。さらに宿代とかオプションのツアーが別料金である話をすると、実情の値段を知っているオリエさんが「いろいろガイドにぼったくられているわね」と。そうなんだよね、ガイドのベンジ、基本的にはいいやつなんですけど、なんかお金に関しては、ビミョウに分かりやすいウソをつくところがたびたびあり、イマイチ信用しきれなくなってきているところなのですよ、と思わず愚痴る。

 ちなみに、エチオピア、ツーリスト価格というものが設定されてまして。宿代とかは、ローカルの人たちよりも高い値段で言われるのが普通とのこと。レストランも、そういう場所があることがあるらしい。ま、オイラの場合、ツーリスト価格に、さらに、ガイドマージンを上乗せされた値段というハイレートで、支払っているワケで・・・

 そんな話を、ちかくのカフェで、気のいいエチオピア人にティーを奢ってもらいながら、話すオイラたち。この気のいいエチオピア人のおじさん、現在建設中のカイアファール~トゥルミ間の道路建設の仕事でここに来ているという。ちなみに、もう7年もその仕事に従事しているって・・・7年かけて、あの道路状況なんすか?一体、あの道路はいつになったら出来上がるのでしょう・・・と、その話を聞いてビックリするオイラ。

 で、そうそう、このおじさんの隣に座っていためっちゃ若くて美人な女の人が、なんと、奥さんとのことで。「奥さん美人!」って褒めてあげると、奥さんはもちろん、旦那さんのほうが、めっちゃ機嫌がよくなり、ティーも奢ってくれるという流れになったのですよ・・・さて、英語と日本語と、たまにアムハラ語、そして、そのエチオピア人のおじさんが知っているという中国語が飛び交うマルチリンガルな場で、さらに、話は飛び、オリエさんとは、エチオピアの前評判についての話になりまして。

 オリエさんもオイラも、エチオピアを実際に旅をしてエチオピアが大好きになってしまった二人、ということで、意気投合。そして、オリエさんもやっぱり、オイラと同じように、エチオピアに来る前は、インジェラが超マズイだの、エチオピア人はウザイだの、変な話しか聞いていなくて、入った後に、あれっ、噂と全然違うじゃんって思ったらしい。

 で、なんで、エチオピアって、事実とは違うひどい噂になっちゃっているのかね、という話になった時、ふと気づいたことがありまして。それは、オイラもオリエさんも、南からアフリカを上がっている旅人という共通点があったのです。実は、日本人旅行者で、世界一周旅行をしている人は、意外と西回りが多い。ということで、アフリカへは北から入る人が多いのです。で、アフリカに北から入ってくると、大抵、エチオピアが最初のブラックアフリカの国となる訳でして。異文化であるブラックアフリカに最初に触れたときの印象が強烈なんでしょうな。負の印象が強すぎて、嫌な面を強調しすぎてブログとかに書き残してしまう。で、それが噂を呼び、エチオピアって・・・って話になっているのではないか、と。逆に南からエチオピアに入る人は、すでに通ってきた、これまでのアフリカ諸国で、食べ物がウガリしかないっていう状況とか、金にうるさい胡散臭い奴らや、モノを掠め取ろうというコソ泥連中や、人の顔を見ればチャイナ呼ばわりしてくるガキどもや、意味もなく人の顔をじっと見つめてくる輩という、ザッツ・ブラックアフリカなシチュエーションと、十分に戦ってきていて、抵抗力というか、免疫ができちゃっているワケなのですよ。そんな状態で入国したエチオピアは、むしろ、平和で、人々は(他のアフリカの人たちに比べると)誠実で、食べ物もウマイ、素敵な場所に思えてしまう、ということになるのですよ。このように、北からアフリカに入るか、南からアフリカに入るかで、エチオピアの印象は180度変わるのではないか、という結論に達したんですけど・・・果たして、この説は正しいのか?

 話は尽きなかったのだが、いい加減暗くなってきて、街灯なんてものがないトゥルミの夜、下手すると、宿に戻れなくなる。ということで、オリエさんとは、またどこかで会いましょ~と、別れ、真っ暗になる前に宿に戻る。すると、宿では、隣の部屋で、ベンジは、まだ寝ていた。起こすのも悪いと思ったのだが、明日の予定の確認をするため、「ベンジ~」と小声で呼んでみると、「ヨシ~、蚊に刺されないように気をつけろよ~」と力なく応えるベンジ。オイラは大丈夫だけど、キミは大丈夫なのかい、ベンジ。明日最終日は、移動移動で大変な一日だぞ、たぶん。