I lost my wallet
この旅一番の冷や汗瞬間・・・そしてその後に見たエチオピアの奇跡

2012.2.29 / Ethiopia→Senegal(Addis Ababa~Dakar) 本日 自転車18km走行 : Total 36747km走行
天気:晴時々曇 自転車折りたたみ:1 ネット:1
朝飯→機内食(フィッシュ) 昼飯→機内食(フィッシュ) 夕飯→ツナサンド / 宿→Via Via(11200CFA)

(English)
 Today I was not fine but better than yesterday. I left from Addis Ababa by airplane. I arrived at Dakar, Senegal.



 朝4時半。昨日一日ベッドで完全休養したのが効いたか、ダイブ体調は戻ってきた感じがする。喉の痛みは引いてきたし、タンが出るようになってきた。うん、タンは、復活の兆しだ。が、タンとともに出る、鼻水のせいで、若干集中力がなくなるのが、困った点ではあるのだが。

 ま、とりあえず、体は動けるので、パッキング開始。結局、いる物いらない物の選別はすることなく、とにかく、バックに現在持っているすべてのモノを詰め入れる。5時半過ぎには準備が完了し、部屋を出る。空港までは自転車で行くので、部屋の外で、自転車に荷物を装着。そして、6時、まだ暗い中、宿を出発。

 アディスの街を走っていたら、次第に明るくなってきた。朝日に照らされる車や建物。ああ、この風景ともお別れか、と思うと、非常に寂しい。いやぁ、エチオピア、ホント、大好きになっちゃったからなぁ・・・永住はちと厳しいけど、アフリカの中では、住んでもいい国ナンバーワンだ(今のところ)。風邪で若干気持ちが弱くなっているというのと、情報が少ないためオイラの中で暗黒地区な西アフリカに突入することに対する不安もあるのだろうが、いつも以上に、去りがたい。

 さて、空港に到着し、入り口でカートをゲット。自転車を折りたたみ、輪行袋に入れ、カートに乗せて、空港ロビーへ。空港ロビーでは、まず、入るとすぐに、荷物検査。せっかくカートに乗せた荷物をまた降ろし、ベルトコンベアに乗せ、X線で中身を見られる。ここで、なぜか、オイラの荷物は、要チェック項目にまわされた。食材バックを開けられ、調味料を取り出される。塩やコショウは問題ないのだが・・・オイラの食材バッグの中身、カレー用素材として、カルダモンとかクローブとか、種とか茎の状態で持っている調味料が多い。それらが、どうやらひっかかるようで、取り出されて「これはなんだ?」と係員が詰問してきた。「え~と、これは、カレーって料理に使う調味料で・・・」と懇切丁寧に説明する。その低姿勢感がよかったのか、まぁ、問題なし、ということで、解放される。

 そして、チェックインカウンターへ。預ける荷物を台の上に乗せ、重さを量ってもらったら、57kg。確実に荷物が太ってきている。今回の増加分は、日本から送ってもらった救援物資分。もともと、アディスで整備して、交換後のパーツは置いていこうと思っていたのだが、よくよく考えたら、空輸中にまた壊されるってこともあるなぁ、って思いまして。それだったら、セネガルについてから新しいパーツと取り替えた方がいいや、と思い直し、結局、新旧のパーツをダブルで持ち合わせている現在。

 「27kgオーバーですね」

 というチェックインカウンターのお姉さん。「追加料金がかかりますが、どうします?」と聞かれるのだが、どうしますもこうしますも、払うしかない。払うしかないのだが、なんとか安くする方向で、と交渉を開始しようと思ったのだが・・・「値段はここじゃわかりません。あそこに見える窓口に、これを持っていって支払ってください」と、お姉さんに言われ、別の場所にある窓口に行く。そこでは、パイロットの人や乗務員の人たちが、給料らしきお金を受け取っていた。オイラは、先ほど預かった紙を提出し、追加料金計算をしてもらおうとしたのだが・・次から次へとパイロットの人たちがやってきて、給料請求書らしきものを出していく。そのたびに、窓口のおじちゃんは、パイロットの人優先で、給料を計算しはじめ、お金を渡す。おいおい、オイラの追加料金は一体いくらになるのねん?と、いつまでたっても、オイラの荷物の料金計算は出てこない。

 30分くらいまたされて、ようやく「216USドルね」とおじちゃんが言ってきた。待たされたイライラがあったのだが、タンと鼻水による集中力低下のため、値切り交渉がめんどくさくなり、高いとは思いつつ、素直に払うオイラ。

 領収書を持って、先ほどのチェックインカウンターに戻り、パスポートとチケットと、荷物預かりの半券を受け取る。ふ~、とりあえずチェックイン手続きは終わったぞ、と。次は、出国手続き。出国カードに必要事項を記入し、いざ、窓口へ行こうとしたところで、ふと、思いついた。そうだ、両替をしておこう、と。エチオピアの通貨ブルがまだ若干手元にある。ゲートロビーに入ったら、両替銀行がないかもしんないから、確実にあることが分かっているここで、やっておこう、と。ということで、引き返して、先ほど見かけた銀行窓口へ行き、いつもの、ウェストポーチに入っている財布を取り出そうとしたところ・・・

 ん・・・ない?

 手には、何も入っていないウエストポーチの感触しかない。いやいや、ないはずはないでしょ、またまた、ご冗談を・・・と、思って、ウエストポーチを今度は目視で確認してみたのだが、やっぱり、ない。

 一瞬なにが起こったのか、把握できず。

 財布がなくなったと気づいたのは、10秒ほどたってから。ひょっとしてポケットに入れたのかもと、いろんなポケットをまさぐってみるも、財布は入っていない。

 冷や汗たらり・・・

 頭の中がパニックになりました。が、病み上がりで集中力がなくなっている頭では、冷静な判断ができないのか、なんだか、これが現実なのか、夢の出来事なのかわからない。パニックなんだけど、慌てれない。なんか、この状況を人事のように考えている自分もいまして。

 とりあえず、先ほど、追加料金を支払ったところまでは、確実に財布は持っていた。その後、歩いたであろう場所を、もう一度歩いて、財布が落ちていないか確認していったのだが、ない。3度ほど往復してみたのだが、やっぱりない。

 こりゃ、もう出てくるわけないか・・・旅は終わったな・・・

 と考え始めるオイラ。ここ、アフリカで財布を落として、戻ってくるわけないじゃないですか。エリックの時も戻ってこなかったし。ああ、カード会社に連絡して、カードを止めなきゃいけないのがめんどくさいな。いやいや、それより、もう、フライト時間がせまっているんだけど。乗るのか?それとも、乗らずして、ここで、財布紛失後の処理をしなけりゃいけないのか?なんてことも考えなきゃいけない。

 ただ、こういう時は諦めの悪いオイラ。オワッタと思いつつも、やっぱり諦めきれず、空港内をウロウロ。警備員らしき人を見かけ、「財布を落としたんですけど」とすがってみるも、「両替なら、あっちだぞ」と英語が通じなかったのか、トンチンカンな返事。今度は、くつろいでいた機長さんらしき人がいたので、この人に言ったところでどうしようもない、と思いつつも「財布を落としたんですが・・・」と泣きついてみる。すると、機長さん、「そういうのは俺に言われてもなぁ・・・空港職員に相談するといい。ほら、あそこに歩いている人。」と、ネクタイ姿で、首から身分証明パスをぶら下げている人をさしてくれた。ああ、じゃぁ、あの人に、言ってみます、と、その空港職員さんのところに近づいたら・・・

 な、なんと・・・

 その空港職員さんの手に、オイラの財布が握られているではないですか!!!

 走り寄りました。事情を説明して、中に入っているカードとオイラのパスポートを照らし合わせ、この財布がオイラのものであることを確認してもらって、財布を渡してもらいました。

 !!!!!

 この安堵感といったら、もう!!!

 思わず、空港職員さんに抱きついてしまいました。何度も何度もお礼をいいました。ついでに、先ほどの機長さんとも抱き合いました。

 はぁぁぁぁぁ~(脱力)

 いやぁ、地獄から舞い戻ってきた時の安堵感ってこんな感じなんでしょう。

 「一応中身を確認して」と空港職員のおじさんに言われ、確認してみると、お金は今朝、残高確認したのとぴったり。ええ、びた一文無くなっておりませぬ。

 ああ、落とした財布が戻ってきて、しかも、一銭もお金がなくなっていないなんて・・・エチオピアの奇跡ですよ。

 でも、ホント、集中力を保てない頭の状態で、煩雑な作業をしちゃいけませんな。こんな時には、いつもの倍以上に気を使わないと、大変な目にあうっていう教訓です、ハイ。

 何度も何度も、お礼を言って、空港職員のおじさんと別れる。その後、銀行へ行って、ブルをドルに両替。そして、出国カウンターへ。で、この出国カウンターに、人がたくさん並んでいた。ああ、そうだ、エチオピア、最初に入国した時の入国カウンターでも、人の行列がやばいことになっていた。出国でも同じなのかい・・・

 9時15分搭乗開始の飛行機に乗らねばならない。8時30分に並び始めた出国カウンター、結局出国スタンプを押してもらえたのが9時10分。ふ~、ギリギリだ。で、それから、最後の手荷物検査を受け、ゲートへ。チケットに書かれていたナンバーの4番ゲートに行ったところ、すでに搭乗が開始されているようで、人がどんどん動いている。オイラもその流れに乗ったところ、オイラのチケットをチェックしたお姉さんが「アナタのフライトはココじゃないわよ。2番ゲート」と。フライト状況が映し出されるモニターで確認したところ、確かにダカール行きの飛行機ET907は、2番ゲートになっている。なんだよ、変更かよ、と2番ゲートへと急ぐオイラ。到着した2番ゲートは、まだ人が椅子に座っているような状態だったが、オイラの到着と同時に、ゲートが開き、人々が動き始めた。その流れに乗って、オイラも中へ。今度は間違いないようだ。

 ほぼ満席な飛行機は、ほぼ定刻どおりに離陸。いよいよ、エチオピアともお別れだ。いやぁ、最後にひと波乱あったけど、無事解決できたおかげで、むしろ、エチオピアの好感度がますますアップ。

 さて、4時間半ほどして、飛行機が着陸態勢に入った。あれ?16時くらいに到着って聞いていたのに、早いなぁ、と思っていたら・・・降りたところは、トーゴの空港。この飛行機、ダカールへの直通便ではなく、トーゴ経由便だったことに初めて気づくオイラ。トーゴ・・・そうか、西アフリカ、ここからスタートするっていう手もあったんだよなぁ。アフリカ旅にそろそろ疲れてきちゃったウガンダで、チケットを買ったから、一気にセネガルまで飛ぶことにしちゃったんだけど、アフリカの魅力を再確認しちゃったエチオピアでチケットを買うことになっていたら、きっと、西アフリカをもっと走ろうって気になって、このトーゴあたりで、降りる判断をしていたかもしれない。

 1時間ほど停まった後、飛行機は動き始め、トーゴ空港を離陸。トーゴ空港では大量の人が降りたのだが、乗ってくる人はまばらだったため、機内はめっちゃ空いてしまった。3列シートに一人づつ座っても席が余る。みんな、シートに横たわり、寝始めた。

 さて、トーゴ空港から3時間、いよいよ、ダカールが見えてきた。ええ、セネガル到着です。空港に到着し、入国審査。セネガルは日本人ならビザは要らない。機内でもらった入国カードとパスポートを持って、入国窓口に並ぼうとしたところ、ガードマンらしき人が「チェック」と言って、オイラの入国カードとパスポートを取り上げた。で、チラ見して、返してくれた後、手を出しながら言った台詞が「マネー」。おおぉと、これが、噂の、何にもしないのに、とりあえず、賄賂金を要求する西アフリカってヤツですか。ここで払う必要はないでしょ、と、呆れ顔をしたら、そのまま前へ進め、とガードマン。

 入国はあっけないほど簡単に終了。荷物を受け取ろうと、バゲージクレイムの前で待っていたら、「タクシー?」とか「ホテル?」とか、黒人があっちこっちから絡んできた。む、なんか威圧感アリアリ。セネガル人、東アフリカの黒人よりゴツイ気がする。そんなゴツイ勧誘攻撃を振り切りながら、荷物を無事受け取り、空港を出る。出てからも、相変わらず続く勧誘攻撃。適当にあしらいながら、空港脇で、自転車を取り出し、荷物を装着。そして、走り始める。ふ~、ここで、ようやく勧誘攻撃を振り切れた。ちなみに、今回、自転車に損傷はなし。

 さて、飛行機内で見ていたロンプラに書かれていた宿に向かうことに。が、場所が分からない。道行く人に聞くも、言葉が通じない。そう、セネガルはフランス語圏なのだ。街中に出ちゃうと、英語をしゃべれるセネガル人は稀。

 一応大学時代、第二外国語はフランス語を選択していたんですけどね。今となっては、ちゃんと勉強しておけばよかったなぁと思うものの、あの時のオイラは、将来の自分がこんな状況に身を投じるなんて、思いもしなかったわけで。フランス語なんて一生使う機会はないだろうって思っていたんです。だから、全然身につくような勉強の仕方はしてなくて。テストのために覚えて、テストが終わったら忘れるっていう、パターン。ああ、覚えていることといったら、簡単な挨拶と、10までの数字くらい・・・

 困ったなぁ、と。まぁ、宿はその辺にいっぱいあるので、目に付いたところに泊まってしまうというのもアリっちゃぁアリなのだが・・・実は、行きたいと思っている宿、ロンプラに<この宿ではジャンベが習える>って書かれていたのですよ。

 セネガルには、ジャンベを叩くためにやってきたといっても過言ではないオイラ。だが、事前情報として、どこでジャンベが習えるかといった情報がゲットできていなくて。で、キューバの時のように、自分の足で探しまくるしかないか、って思っていた矢先に、見つけたこの宿情報・・・これは、有効に使わないと、と。自分の足で探すの結構しんどいですから、ね。キューバでは結局、マリーというめっちゃ素敵な先生に出会えたけど、マリーに出会うまでが大変だった。

 ということで、今回は、その宿をとっかかりにして、セネガルジャンベ修行を始めようと思いまして。まずは、なんとしても、その宿に辿り着きたかったのですよ。が、ロンプラの地図はアバウトだし、道を聞いても分からない。と、その時、一応その宿のことを知っているらしいおじさんと出会った。宿名を連呼していたら、片言の英語で道らしきものを教えてくれるのだが・・・わからない。おじさんの片言英語が理解不能。お互い困っていたら、おじさんが、通りすがりのタクシーを呼び止めてくれた。いや、タクシーなんて乗らないから、と言ったら、「サービスで送ってってくれるって」と。おお、それはありがたい、と乗せてもらうことに。

 オイラが思っていた以上に、空港から離れた場所にあった、宿<Via Via>に到着。送ってくれたタクシーの運転手に感謝して、降りようとしたところ「お金は?」と来た。「え?サービスって言ったじゃん。タダで乗せてくれたんでしょ」「タクシーがタダなワケないだろう。どこの世界のタクシーがタダなんだ?トーキョーはタクシータダで乗れるのか?」と、それまで和気藹々とした雰囲気で話していたタクシーのおじさんが、真剣な顔でスゴんできた。これがセネガルかぁ・・・kuroさんが、ブログで書いてくれてた<手ごわい>ってこういうことなのかぁ・・・う~む、その後出しジャンケンは詐欺じゃないですか。しかも、吹っかけてきたお金が20USドル。はぁ?あの距離で20ドルはありえないよ~、どこの世界に、そんな値段設定のタクシーがあるのよ?と言うも、おじさんは「セネガルではこれが普通だ。なんてったって、ガソリンが高いんだ」と、頑として譲らない。いやぁ、絶対ふっかけてきてるよぉ、と思うも、荷物を後部に詰め込んでいるので、人質をとられている状態だし、なんか、ちょっと風邪がぶり返し始めてきた感じで、抵抗する気力が沸かなかったので、20ドル差し出して降ろしてもらう。

 そんなこんなで、辿り着いた宿。とりあえず、チェックインしようとしたら、宿代は、一泊日本円にして2000円。しかも、バストイレ共同で、この値段だ。西アフリカは物価が高いと聞いていたけど、セネガルの宿代はこんなに、高いとは・・・まぁ、来ちゃったし。もう動きたくないしってことで、おとなしくチェックイン。う~む、ぼったくられタクシー代とともに、セネガル、初日から散財が激しすぎる。空港で両替してきたお金があっという間になくなっていくじゃないか・・・

 やっぱり、風邪気味の状態で動いてはいけませんな。警戒心や判断が鈍ります。その結果、いらぬトラブルを生じさせたり、いらぬ出費を余儀なくされたり。散々な目にあいます、ハイ。