Debut as Djembe player
セネガルでデビュー・ライブ:ジャンベ修行Ⅱ26日目

2012.4.16 / Senegal(Kafountine) 本日 自転車0km走行 : Total 37294km走行
天気:晴
朝飯→晩飯の残り 昼飯→メリーの店の昼食 夕飯→肉じゃがみたいなの / 宿→Casa di Mansah(3000CFAたぶん)

(English)
 I stayed in Kafountine. I learned Djembe.



 今日のディザンレッスンで<ドゥンドゥンバ>という新しい曲に突入。あれっ?新しい曲はもうやらないって思っていたのだが・・・

 そう、今日も総復習かと思っていたのですよ。というのも、実は、昨日の練習で「ようし、ヨシは、もう、ライブが出来るくらいになっているな。明日の夜、海辺の家でイベントとしてライブをやる予定があるんだが、ヨシもそれに、出ろ」なんて言われちゃって。こんな流れで、今日の夜、ライブに出るなんてことになってしまいましたので、今日の練習は、ライブに向けてのリハーサルっていう意味を込めて、本番を想定しての練習をするのかな、って思っていたのに・・・まったくその気配はない。ライブで演奏する曲の流れなんて、まったく触れることなく、本日の練習は、新曲<ドゥンドゥンバ>のフレーズを淡々と練習。

 あれぇ、昨日、ああ言われたケド、本当に今日、ライブに出してもらえるのかいな?なんて、不安が頭をかすめたのだが・・・練習後「じゃぁ、機材運んで車で向かうから、19時にここにまた集合な」と言われ、やっと、本日ライブがあるということを再確認。

 さて、19時に再び、ディザン師匠の住むカンパメントに。で、迎えに来てくれたタクシーに、ジャンベとチュンを積んで出発。途中で、ライブハウスから大太鼓を借りてスタンバイしていたチョとライと合流。タクシーの後部座席に、トランクに入りきらなかった太鼓を詰め込み、さらに5人が乗り込む・・・助手席に二人で乗るという、ザッツ・アフリカなタクシーライドで、海辺にあるとある家まで走る。

 到着したとある家では・・・なにやらすでに盛り上がりつつある雰囲気。どうやら、今日、ここで、マリッジ・セレブレーションがあるようで。結婚式というより、結婚のお祝い日って感じ?そのお祝いをジャンベで盛り上げようっていうのが、僕らが呼ばれた理由。ちなみに、主催の旦那さんは、二日前、オイラがネットカフェで、ネットをしていた時に、話しかけてきてくれた英語を流暢に話す、セネガル人のおじさんだった。小さな村での人との出会いは、こんな感じでつながっていく。

 で、家の前で待っていたら、続々と人々が集まってきた。この人たちは、お祝いの席にかけつけた客人がメインのようなのだが、この中には演者であるディザン師匠の弟子、つまりオイラの兄弟子にあたる人たちも、混じっている模様。まぁ、誰が誰だかよく分からないオイラは、とりあえず、やってくる人みんなに、握手してご挨拶。

 さて、デザートつきの豪勢な夕飯が振舞われ(カフォンティンで食った飯で一番ウマかった)、砂浜である庭先にキャンプファイアーが灯されたところで、ディザンに「ヨシ、出番だ」と呼ばれ、ジャンベを抱えて庭へ出る。

 5人くらいいる兄弟子だちがジャンベを並べる中、オイラも、借りたジャンベを置いて一番端に座った。が、「ヨシは、俺の隣」と、オイラを呼び寄せるディザン師匠。演奏中に指示をだすから、という理由で呼ばれたのですが、いや、ステージのど真ん中じゃないですか・・・

 セネガル・デビューライブで、大勢の人前で、しかもど真ん中・・・といっても、あまり緊張はしなかった。オイラ、太鼓を持つと、人前に出ても全然緊張しないんですよねぇ。場慣れっていうか・・・緊張とは、上手く出来るだろうか・失敗しないだろうかという不安と、よく思われたいという自分の実力以上のことを出そうとする見栄から生まれるものでしょ。太鼓に関しては、失敗してもどうにでもごまかせるという経験上のテクニックがあるし、自分がどういうレベルなのか客観的に理解しているので、実力以上のことを出そうなんて思ったりもしないからか、緊張が生じない。ちなみに、本来は、あがり症なオイラ、他のことなら、人前に出たら、ド緊張するのだが。

 「一曲目は<ショコ>な」と、オイラにささやき、イントロのキメフレーズを叩き始めるディザン師匠。皆が一斉にあわせる中、オイラもあわせる。キメは見事に決まり、リズムに突入。ここから先は、オイラはひたすらリズムを刻んでいるだけ。ところどころで、ちょっと遊びは入れるけど、基本的には、ディザン師匠や兄弟子が、見事なソロを回すのをバックで支える役割。

 ジャンベの曲って、基本的には、イントロのキメと終わりのキメだけが決まっていて、あとはひたすらベースとなる一つのリズムが繰り返されるっていう構成になっている。なので、イントロと終わりのキメと、ベースとなるリズムが叩ければ、とりあえず、なんとかなるんです。

 ん?一つのリズムだと聞いているほうは飽きるんじゃないの?とお思いでしょうが・・・いや、これが、ベースのリズムの上に、別のリズムを重ねることによって、曲の雰囲気が変わったり、テンションによって、テンポを上げたり下げたり、途中静かに叩いて歌が入ったりと、めまぐるしく展開していくので、全然飽きないんですよ、ハイ。あと、ライブだと、ただ聴いているんじゃなくて、基本踊っていますから。そう、もともとジャンベ音楽は<聴かせる>音楽ではなく<躍らせる>音楽。ロックとかポピュラー音楽とかの、展開構成がある曲というより、延々同じビートを刻み続けるダンスホールでの音楽に近いのだ。

 ということで、事前に綿密な曲の打ち合わせなんてしなくても、まぁ、普通に合奏できちゃっているワケなのですが・・・いやぁ、しかし、練習の時には、テンポのアップダウンなんてやらなかった。そして、盛り上がりすぎて超速いリズムになっていくと、ついていくのが大変に・・・まぁ、これが本番のテンションってやつなのだ。そして、このテンションが心地いい。

 こんな感じで一曲が10分くらい続く。ディザンの合図で終わりのキメを演奏して、一曲目が終わる。ちょっと一息ついて、二曲目・・・そして、三曲目・・・曲を追うごとに場はどんどん盛り上がり、リズムに合わせて踊っているお客さんたちの踊りも激しさを増していく。

 ああ、これ、何度も見た光景だけど・・・やっている立場から見るのは初めて。そして、やっている立場から踊る人たちを見るのが、これまたいいのですよ。なんていうか、オイラが叩くリズムで踊ってもらっているっていう、この事実が、快感で。

 そして、教えてもらった5曲が終わった。これで終わりかと思ったら・・・「じゃぁ、次は<ドゥンドゥンバ>な」とディザン。え~、ドゥンドゥンバは、今日、さっき習ったばっかりじゃん。まだ全然カラダになじんでないんですけど・・・なんて文句を言う暇もなく、ディザンがイントロを叩き始め、<ドゥンドゥンバ>に突入。ああ、もうオイラはついていくしかありませぬ。

 そして、<ドゥンドゥンバ>が演奏し終え、今度こそ終わりかと思ったら「じゃぁ、最後の曲を」と言って、オイラが知らない曲を叩き始めた師匠。「ヨシはこのリズムで合わせて」と、叩いているリズムを、真似しろと言ってくる。こんな無茶振りも、なんなくこなしましたけどね、オイラ。まぁ、これが修行の成果ってやつか。

 そして、今度こそ、演奏が終了。いつも練習の終わりに叩いている<ジャンベ演奏終わり>のフレーズを叩く。客席からの拍手がうれしい。

 セネガルでジャンベを叩くのを楽しみにしてきたけど、こんな人前でライブを展開できることになるとは・・・ああ、最高に幸せだ。旅に出てよかった、セネガルに来てよかった。この旅で一番楽しみにしていたジャンベ修行。それは、オイラの期待を遙かに超えるカタチで、素敵な体験を演出してくれている。

 師匠、兄弟子、そして、お客のみなさん、最高の夜をありがと~

 多分、これが旅のハイライト。これ以上の気持ちの盛り上がりなんて、この先ないのでは?ここで旅の最後を迎えるっていうのもいいんじゃない?なんて思ったりもしちゃったのですが・・・いや、これまでの旅でも、実は何度もそういう想いになったことはありまして。で、旅ってやつは、いつもそんな思いを吹っ飛ばしてくれる、スゴイ体験を次に用意してくれているものでして。ということで、まだまだ旅は続けますよぉ。さぁて、次にこのジャンベ体験を超える興奮を与えてくれるのは何なのだろうか。

 それにしても・・・手が痛い。非常に痛い。叩いている時は夢中になっているから気づかなかったけど・・・とにかく手が痛い。宿に戻ったけど、痛すぎて眠れないじゃん。ニヒヒ、でも、この手の痛みが、今日の興奮が現実だったということを、オイラに教えてくれる。今日は、この興奮を抱えたまま寝つけないってのでも、まぁ、いいか、うん。