(English)
I left from Saint-Luis. I entered to Mauritania, today.
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ビデオ編集は、まだまだやらねばならないのですが、ま、とりあえず、手をつけたということで、モヤモヤが消えたのか、ようやく、気分的に出発しようって思えるようになりまして。続きのビデオ編集は、走りながらチョクチョクやっていくことにしようか、と。ということで、ええ、やっとサンルイを発ちます。モーリタニアに向けて出発デス。
セネガル、大好きだし、できるのなら、ずっとこの国に居たい、って気はまだある。さらに、他の西アフリカ諸国に対する興味も、消えていないどころかますます大きくなってきている。いつものオイラなら、未練を大きく残したまま、その地を去るってことはしない。興味が沸いちゃったのに、その心を残して旅を進めるなんて、気持ち悪くて、耐えられないのだ。じゃぁ、今回はどうして・・・ええ、今回は、その耐えられない心を、説得する案が思い浮かんだんです。それは、<また戻ってくればいいじゃないか>っていう案。現状だと行きたいマリにも行きづらいことだし、今回はこのまま北上し、ヨーロッパを巡った後、エジプトでもう一回アフリカ大陸に足を踏み入れた時、セネガルおよび西アフリカに行きたいって気持ちがあるようだったら、飛行機で飛んでくればいいじゃないか、と。そう、別に一回来たところを二度訪れてはいけないなんてルールはない。轍をつなげなきゃ、っていうこだわりもそんなにないし。この旅は自由なのだ。さらに、マリにしろ、カフォンティンにしろ、2月が楽しそうなカーニバルの時期なんで、それにあわせて戻ってくれば、西アフリカの音楽と踊りをさらに存分に味わえるじゃないか、と我ながらナイスアイデアだと思いまして。2月までにエジプトに辿り着かないようであれば、旧フランス領な国が多い西アフリカ、フランスからの航空便が安いって話があるので、フランスから飛ぶっていう作戦もアリだし。
ということで、いろいろ考えた結果、今回は北上するのが得策かと思いまして。こんな感じで、気持ちを一応吹っ切って今後のルートを決めたオイラは、とりあえずモヤモヤもなく、北に向けて出発。サンルイ島と本土をつなぐ橋を渡り、北へ続く道をひた走る。朝晴れていた天気が、次第に悪くなってきた。空一面に雲がかかって、ドンヨリとしている。いつもなら気分が落ち込むところなのだが、西アフリカ走りでは恵みの雲。灼熱の太陽を遮ってくれるので、非常に助かる。
さて、セネガル道、北へ進むと、周囲の風景が殺風景になってきた。緑が減り、砂ばかりの乾いた風景が広がる。点在する家も、エチオピアのダナキルで見てきたような、藁で作る簡素な家が多い。砂漠の風景だ。そろそろ、砂漠に近づいてきたのかぁ・・・いよいよサハラ砂漠突入かぁ・・・なんて思っていたら、一度途切れた緑がまた、目に付くようになった。セネガルとモーリタニアとの国境は、セネガル川という川で区切られているのだが、どうやら、そのセネガル川の恵みで、川の周辺は緑が豊かになれるようだ。そして、さらに、ここでは、その川の恵みを生かし、稲作が行われていた。なるほど、セネガルのおいしいお米は、こういうところで作られていたのかぁ、フムフム。
さて、雲のおかげで、暑さにやられることもなく、割と順調に走ることが出来た本日。セネガルとモーリタニアとの国境の町、ロッソに17時過ぎに到着。一応、予定では、今日はセネガル側のロッソの町に宿泊して、最後のセネガルライフを満喫しようと思っていたのだが・・・時間的にまだ余裕があったし、ロッソの町が、国境の町特有のゴミゴミした喧騒に覆われていて、とても、落ち着いたセネガル最後の夜なんて迎えられないな、と思ったので、もう、今日モーリタニアに入ってしまうことに。
ということで、このまま出国手続きをしてしまおうと、セネガルのイミグレはどこかいな、と自転車を進めていたのだか、イミグレが分かりづらい。と、サングラスをした、いかにも怪しそうなセネガルのお兄ちゃんが、「ポリスはこっちこっち」と手招きをしているのが見えた。一見近寄りたくなかったこのお兄ちゃんは、両替商のお兄ちゃんだった。「出国手続きが終わったら、俺に声をかけてな。いいレートで交換するよ」と言って、オイラをイミグレに案内してくれるお兄ちゃん。うん、まぁ悪い人ではない気がする。
とりあえず、イミグレに入ってセネガルの出国手続きをしてもらうことに。スタンプを押してもらおうとパスポートを渡そうとしたのだが、職員さんはなにやら長い雑談中。話を中断させちゃうのもなんだしな、と思い、話が終わるのを待っていたら、オイラの後から入ってきた5人くらいの団体が、割り込んできて、職員に強引にパスポートを渡していた。最初に待っていたのはオイラなんですけど・・・うむむ、ここでは、多少の強引さがなければ、コトは進まないってことのようです。ということで、オイラも、その流れに乗ってパスポート提出。で、ようやく手続きを始めてくれた職員さんなのだが、なんだか仕事が超ノンビリモード。判子を一つ押せばいいだけなのに・・・判子を押す一歩手前で、思いついたように電話を取り出し、長話をはじめたり(おそらく私用電話。仕事の話ではなさそうだった)。まぁ、これがアフリカ。今日は、もうあとは国境越えだけだし、多少待たされたところで、イライラはしない。
で、なんとか出国スタンプを押してもらって、イミグレを出ると、さっきの兄ちゃんが待っていた。「両替、するんだろ?こっちきて」と、有無を言わさず誘導する。ま、どうせ、両替するつもりだったし、話した感じは悪い人じゃなさそうだったから、いいかとついていくと、怪しげな店に連れて行かれた。「公に両替はできないからさ、こういうところじゃないと」と言っているのだが、その割には、ギャラリーがたくさんいる。っていうか、ギャラリー多すぎ。両替するオイラの周りを20人くらいのセネガル人が囲んでいる。え~、この状況は、魔のマラウィータンザニア国境と同じじゃないの?ここも要注意国境なの?と、頭の中で警報が鳴り始め、気を引き締めるオイラ。とりあえず、お兄ちゃんが言ってくるレートは妥当なレートだったので、恐る恐る両替交渉開始。まずはオイラの手持ちのセーファを見せて、モーリタニアのウギアをもらうことに(手元のお金は最後まで渡さない)。手持ちのセーファが、35000ウギアになるというのだが、お兄ちゃんまず2000ウギア紙幣を10枚渡してくれ、「確認してくれ」と言ってきた。ええ、確かに20000ウギアですけど、と言うと「確かにだな。じゃぁ、それで」とオイラのお金を取ろうとするお兄ちゃん。「いやいや、待て待て。あと15000ウギア足らない」と慌ててお兄ちゃんを止めるオイラ。しょうがないなぁ、ばれちゃったかぁ顔で、残りの15000ウギアを渡すお兄ちゃん。いや、ばれちゃったもなにも・・・こんなのアホでもひっかかりませんがな。
さて、無事両替を済ませた後、セネガル川岸へ向かうオイラ。なぜか、先ほどのギャラリーのセネガル人たちがゾロゾロと後をついてくる。さて、モーリタニアへ行くには、セネガル川を超えねばならないのだが、ここには、橋がかかっていませんで。フェリーもしくは小船で渡らないといけない。フェリーだとタダという話を聞いていたオイラ、フェリーを待っていたら、ついてきたギャラリーの人たちが「フェリーは今日はもう終了だ。小船で渡るしかないぞ。小船渡し、1000セーファでどうだ?」と絡んできた。う~ん、そうなのかぁ、じゃぁ、小船で行くしかないな、と思ったオイラであったが、すぐに、ギャラリーの中の一人が、「いや、フェリーはまだある」と教えてくれた。なんなんだよ、すぐばれるウソなんてつくなよ・・・それにしても、ギャラリーの中に真実を教えてくれる人がいるとは。ここの人たちはチームワークがなっていないな。騙すつもりなら、マラウィータンザニア国境のように、一丸になって攻めてこなきゃ、ひっかけられませんよ。
で、対岸で荷物降ろし中のフェリーがこちらに戻ってくるのを待っていると、ギャラリーの一人が、手に持ったタオルでオイラのフロントバックを拭き始めた。どうやら、綺麗にしてやるから、小遣いよこせってことらしい。「いや、汚れてないから、ふく必要ないから」と、事後承認で料金を強引に請求される前に慌てて断る。
うむむ、なんかここの国境は疲れる。小遣いを稼ぎたいっていう輩が、あの手この手で絡んでくるのだ。しかも、観光客っぽいのはオイラだけだから、ターゲットとばかりに、その手の輩が一斉にオイラの周囲に群がってくるし。最後のセネガルの印象がこれなのは、ちょっと残念・・・ま、セネガル、メンドクサイ人が多いのも事実だからね。いい人もいっぱいいるけど、メンドクサイ人もいっぱいいる。そこが、セネガルの面白さだったりするのです。
さて、フェリーが到着したので、自転車ごと乗り込む。と、先ほどのギャラリーの一人がまたまたついてきまして。「フェリー乗船代、5000ウギア払って」とチケットを見せて言ってきた。このチケットってのが・・・たぶん、どこか別の渡し舟のチケットを拾ってきたのだろう。手元を見ていたら、種類がバラバラな数枚のチケット半券から、5000って書かれたやつをつまみだし、オイラに提示してきた。ホレ見ろこれが証拠だから、って自信満々な顔して。・・・いや、これは、明らかに、この船のチケットではないでしょ。そもそも、この船、お金払わなくていいの知ってるし。ウソつくならもっとばれないようにつけっての。
なんか、非常にメンドクサイのだが、騙そうとするのに騙しきれない抜けっぷりなロッソ国境の人たちが妙におかしくて。逆になんか、ほのぼのとしてきた。ああ、なんか悪人になりきれないんだなこの人たちはって、思っちゃって。
で、乗ってしまえば、あっという間に川を渡るフェリーでモーリタニア側に到着。と、ここで、先ほどのギャラリーの一人で、そのまま船にまで乗ってついてきたお兄ちゃんが「乗船、下船を手伝ったから小遣いくれ」ときた。いや、手伝ったって・・・後ろからついてきて、後部荷物に手を乗せてただけじゃん、アナタ。
そんなお兄ちゃんを軽く無視して、さて、とりあえず、モーリタニアの入国手続き。これまたイミグレが分かりづらかった。イミグレはどこかいな、と思っていたら、またこちらでも怪しげなお兄ちゃんが手招きしているのが見えた(ロッソセネガルの手招き兄ちゃんとは別のお兄ちゃん)。「パスポートは、ここ。ところで、両替やるなら、僕に言ってね」と来た。ここの国境、イミグレの場所は非常に分かりづらいのですが、両替商のお兄ちゃんたちが、案内してくれるので、すぐ辿り着けます、ハイ。
で、無事入国スタンプを押してもらえて、いざモーリタニアへと思ったところ、なんかゲートみたいなもので区切られており、町へ出るのに、チェックがあった。ま、別に怪しいものはないし、スルーでいいでしょ、と出ようとすると、ゲート脇にいたポリスマンが「タックスを払え」と言ってオイラを止めてきた。早口のフランス語だったんで、なんだかよくわからなかったのだが、船代(自転車積み込み代?)をココで払えということらしい。払うまでゲートを通さないと。ちゃんと制服を着たポリスが言うのだから、まぁしょうがないか、とタックスを払うことにしたのだが・・・100ウギアのチケットを5枚切られて、500ウギア払えときた。実は、一枚100ウギアと記されているチケットには、50kgって書かれている。これって、50kg超過だと100ウギア払えってことですよね。まぁ、確かに重いオイラのファニーバニー、追加料金もいたしかたない。しょうがない、自転車の分は、重く見積もって100kgとしましょう。だとすると、チケット2枚でしょ。なぜ5枚切ったんですか?500ウギア払うのはポクワ?と詰め寄るも、500ウギア払うまでは通さねぇ、という態度のポリスマンに根負けして、500ウギア払うことに。まぁ、500ウギアって、200円くらいなんで、いいかと・・・
そんなやりとりがあって、ようやく、モーリタニア側のロッソの町へ出てまして・・・で、出てみたら、ビックリした。ここから風景が一変。アラブ系の人たちが一気に増えたのだ。もちろん、黒人もいっぱいいるのだが、今までは<黒人しかない>国だったんで、久々となる<黒人以外がいる>国が新鮮だった。スワジランド以来だから、ほぼ一年ぶりの<黒人以外がいる>国体験か。しかも、服装も一変したから、雰囲気が全然違う。男の人はアラブ独特のブーブーというひらひらしたのをまとっているし、女の人はヴォワルというザッツ・アラブスタイルで全身を覆っている。セネガルの<なんか違うぞイスラム>な風景とは違って、ザッツ・イスラムなカホリがする風景。いやぁ、なんかあまりの違いにちょっと、怖気ついちゃって。カメラを取り出せなかった(つーか、ロッソセネガルの国境から喧騒に飲み込まれ、カメラを取り出す余裕がなかった)。撮ったのもあるけど、遠くから風景的にしか撮れなくて。う~む、それくらい衝撃だったな、この国境越えは。
南アに居た頃は黒人に勝手に威圧感を感じていて、怖がっていたのに、今ではすっかりその感じはなくなった。むしろ、この時点では、イスラムな世界に戸惑い、ブラックアフリカな世界には郷愁さえ感じちゃっている。人間、慣れっていうか・・・これが、旅による意識変化ってやつ?人種理解っていうのは、こうして生まれるんだなぁって、この時のオイラの心境は、そんなことを思わせてくれちゃいました。
さて、日が暮れてきたことだし、とにかく宿を・・・と思ってキョロキョロしていたら、アラブ人のおじさんが「何かお困り?」と声をかけてきてくれた。宿を探しているんですけど、というと、ちょっと離れた場所にある宿に案内してくれまして。お金はないです、と宣言しておいたので、安い宿に案内してくれたのかと思いきや、一泊6000ウギア・・・高い・・・まぁ、もう、戻るのも面倒だし、国境越えで疲れてしまったので、ここで泊まることに。値段が高いなりにクーラーとかあったので、ま、いいかと。
ふ~、ついにブラックアフリカの旅は終わっちゃったんだな・・・う~ん、もっと名残惜しく感じるかと思っていたのだが、そうでもなかった。ま、多分、また戻ってくるって思っているからだな、きっと。それにしても・・・一度アフリカの水を飲んだ者はまたアフリカに戻る、そんな格言を東アフリカを走りながら聞いたとき、いやぁ、オイラはアフリカは一度っきりでいいッス、って思っていたのになぁ・・・
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