Desert Country
サハラ砂漠越え、始まりマス

2012.6.4 / Mauritania(Rosso~Tiguent) 本日 自転車96km走行 : Total 38078km走行
天気:晴
朝飯→パン 昼飯→パン(バターつき) 夕飯→チキン料理 / 宿→Residance Atrantique(5000ウギア)

(English)
 I run on Mauritania. This country is everywhere desert.



 いよいよ、今日からモーリタニア走り。砂しかないという噂のモーリタニア、暑さと風に悩まされると聞いていて・・・厳しい走りの予感に、ちょっと憂鬱・・・

 それにしても、ロッソ・モーリタニアの町は汚い。セネガルもゴミがいっぱい落ちていて、汚いなぁと思っていたのだが、モーリタニアはそれ以上だ。ゴミはとりあえず、外に捨てる。捨てたゴミはいつかは砂に・・・ってな感覚なのだろうか?

 さて、ロッソの町を出て、セネガル川を離れると、周囲は砂一面の世界となった。そんな砂の上を一本アスファルトの道が通っている。そう、これからは、サハラ砂漠へと突入することになるのだが、砂漠といっても、砂の上を走るわけではない。ちゃんと舗装道路が通っているのだ。一部、未舗装地帯もあるらしいのだが、いちおう、道はモロッコまで続いているとのこと。で、この舗装道、出来た頃は綺麗だったんだろうケド・・・今や、デコボコでガタガタ。まぁ、しょうがない、ここを走るしかない。少しでも道を外れると、サラサラの砂がタイヤをとらえて走れなくなっちゃうから、デコボコでガタガタでも、アスファルトの上を走るしかないのだ。ボコボコの道穴につかまり、自転車が上下するたびに、自転車の重みがお尻を通じて感じられる。う~ん、やっぱり、いつもより・・・自転車が重い。ただでさえ荷物が重いのに、砂漠対策にと大量に持っている水が、荷物の重量を超ヘビー級のものとしているのだ。そうそう、水は、普段は5Lくらい積んで走り始めるのだが、今回は砂漠ってことで、10Lのペットボトルを追加し、計15Lもの水を積んでいる。水だけで15kg・・・

 さて、昨日は雲があって、暑さがしのげたのだが・・・今日の空は雲ひとつない快晴となってしまった。みごとに太陽が照り付けてくる。6月は雨季じゃないのかぁ・・・もう、夏に突入しちゃいましたよ的な太陽の照り。この灼熱の照りが喉を乾かし、持ってきた水をどんどん消費させていく。ふおお、15Lって、2日ぶんくらいと思って持ってきたのに、ひょっとしたら1日でなくなっちゃうんじゃないの・・・水を飲めば、自転車は軽くなるんだけど、飲みすぎて水がなくなっても困る。そんな矛盾を抱えて、ひた走り。

 周囲はホントに砂漠。一面砂の世界。この世界には、最初はちょっとテンションあがったんですケド・・・何も変わらない砂漠の風景にすぐ飽きてしまった。砂漠は、南米でも何度も見たし、アフリカでは、ナミブ砂漠も見てきたし、ダナキルもこんな感じだったし・・・砂漠は見慣れちゃった感がありまして。贅沢な悩みです。<世界最大の砂漠>ってことでサハラ砂漠に突入したけど・・・一見だと、ただの砂漠。大きかろうが、小さかろうが・・・いや、これからひたすら長い時間苦しめられて、サハラ砂漠の巨大さを実感することになるに違いない。う~ん、でも、そこまでして、サハラ砂漠の<世界最大>さを感じたいのか?オイラ・・・砂漠、そんなに好きじゃないでしょ・・・

 なんて思っていたのだが、目の前にラクダが出現した時には、心が躍ってしまった。砂漠といえばラクダ。砂だけの世界は味気ないのだが、ラクダがいると空間に味わいがでてくる。生き物を寄せ付けない砂漠の世界に、生き物の気配が感じられると、ホッとするんだろうな。ダナキルで飽きるほどラクダを見てきたというのに・・・ここで見るラクダはなんか、心を癒してくれる。

 そんな砂漠道、砂漠は、生き物をよせつけない無人の世界だろう、って思っていたのに、意外と道脇には、家が点々と存在しているのにビックリさせられた。遊牧生活がメインなのか、テントっぽい家が多いのだが、確かに家が存在し、村を形成し、ここで、人が生活を営んでいる。

 そうそう、この道、結構車も通るんですよ。気のいいモーリタニアの皆さんは、対向車は必ず手を振ってくれるし、追い抜く車は大きく迂回して避けてくれる。そして、追い抜き際に「乗っていくか?」なんて声もかけてくれたりする。

 さて、とりあえず、村みたいなのがあるから、これなら、食堂とかもあるかも、と、ちょうどお昼時で、腹が減ってバテてきたオイラは、食堂を探してみたのだが・・・食堂らしきものが分からない。とりあえず、売店らしきものは分かったので、そこに入って、「食べ物を食べれるところはありますか?」と聞くと「ないよ。腹減っているの?ここに、パンならあるよ」と言って、店先に置いてあるフランスパンを勧めてくれた。移動食はビスケットやクッキーくらいしか用意していないオイラ、まぁ、しょうがない、パンでいいか、とフランスパンを一本買うことに。「中に挟むものなんてないよね?」とダメもとで聞いてみたら「バターならあるよ」と言って、バターを出してくれた。おお、バターがあるだけでもだいぶ違う。中にバターを塗ってもらって、昼飯はバターサンド。

 で、昼飯後、パン一個でも食べるとだいぶ違う。ちょっと元気になれたので走り始めたのだが・・・さらに暑が増してきた。13時~15時の時間が一番暑いのだ。この時間、直に当たる太陽光線もキツイのだが、太陽によって温められた砂から発生するムワッとした熱風が、カラダにまきついてきて、暑さに追い討ちをかける。

 そんな道をヒイコラ言いながら走っていたら、途中、検問のポリスマンに手招きされ、止められた。そう、モーリタニアはなぜか、検問が異様に多いらしいのだ。以前は、検問のたびに、賄賂を要求されたようなのだが、今は、改善されたようで、賄賂を要求されることはないらしい。そんな話を聞いていたので、警戒することもなく、パスポートを見せる。案の定、ポリスマンはフレンドリーだった。ただ、外国人は一応厳しくチェックするのか、いちいち、渡したパスポートを持って、車に戻り、ナンバーとかを別紙に控えているのがちとメンドクサイ。その間、太陽光線を遮るものがない炎天下で待っていなければならないからだ。

 さて、別紙控え作業を終え、オイラの元に戻ってきたポリスマン「なんでこんな暑い時間に走っているんだ?」と汗ダラダラの顔で聞いてきた。それはお互い様です。あなたこそ、なんでこんな暑い時間に働いているんですか?と聞きたいところだったけど・・・まぁ、でも、ポリスマンは仕事だからね。仕事でもないオイラが、わざわざ一番暑い時間に動くのは、アホですがな。うん、今日は走っちゃったけど、明日からは、一番暑い時間は走らずに休憩することにしよう。といっても、うまく日陰になるようなものがあったらの話だが。

 とにかく今日はがんばることにして、暑い中ひた走る。しかし、今日の道はツライ。暑いだけでなく、道が妙にアップダウンを繰り返してて、走りにくいったらありゃしない。といってもアップダウンは緩やか。これくらいのアップダウンなら、元気な時ならば苦もないのだが・・・暑さの上に空腹もあいまって、ビミョウな登り道も、登りきれない。もう、バテバテ。やっぱり、昼飯フランスパン一個ではもたないな。

 さて、今日、3箇所ほどあったポリスマンの検問。最後の検問のところで、もう夕刻になりかけていた。相変わらず、預かったパスポートの控え作業をノンビリとこなすポリスマン。う~ん、町に辿り着かないと、砂漠の上で野宿ってことになっちゃう。砂まみれになりそうだから、それはなるべく避けたいオイラ。なんとか次の町に着きたいと焦っていると、そんな焦りが顔に出たのか、ポリスマンが「あと6kmいけば、次の町にでるよ」と嬉しいアドバイスをくれた。

 おお、あと6kmだったか。GPSに次の町が表示されなかったから、距離がわかんなかったんで、果てしない感じがしていたのだが、あと6kmと聞いて俄然力がわいてきた。最後の力を振り絞って走り、なんとか日暮れ前に、町に到着。とりあえず、宿があって助かった。ちょっと高かったけど、最初に目に付いた宿で泊まることにした。もう、別の宿とか探す体力と気力がない。ふ~、とりあえず、一息つこうと、部屋にあった扇風機の電源をいれようとするも、扇風機が回らない。どうやら断線しちゃっているようだ。高い金払っているのに扇風機が回らないのは納得イカン、とオーナーのおじちゃんに文句を言うと、すぐに直してくれた。といっても、断線している部分のコードを切って、裸のコードで延長するというアバウトな修理ッぷり。これ、今回はこのまま使いますけど、下手すれば漏電して危険ですよ。後で、ちゃんと修理してくださいな。そんな感じのモーリタニアの宿・・・・・・なんか、これまでと違って部屋の中が独特な雰囲気があり、面白い。昨日の宿も今日の宿も、部屋に置かれたベッドの隣に、お祈り用の絨毯がひいてあったりするのだ。

 はぁ~、まぁ、とにかく疲れた、今日は。マタズレが痛いし・・・こんな走りが連日続くのかと思うとゲンナリする。久々だな、この走りが楽しくない感じ。走ってて、ただ、ツライだけっていうこの感じ。ふ~、モーリタニアの人たちが優しいってのが唯一の救いだ・・・