(English)
I run on sandy road today too.
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意外とぐっすり眠れた廃墟での野宿。蚊帳テントから出た途端襲ってくる蚊の攻撃をかわしつつ、出発準備。日の出とともに走りはじめる。20kmほど走ったら、町に到着した。ああ、昨日、もうちょっとがんばれば、宿に泊まれたんだなぁ・・・朝の10kmロスが痛かった。あれさえなければ、がんばれたのに・・・シャワーを浴びれたのに・・・まぁ、こんなところで、<もし>と仮定してもしょうがない。辿り着けなかったのが事実だし。とにかく、レストランに入って、ここで、朝食をとることに。まずは、裏手の手洗いに行って、顔と手を洗わせてもらう。肌にベットリついていた砂が落ちて、とりあえず、気持ちはスッキリ。さて何を食べようかと、メニューを聞くと・・・タジンもあったのだが・・・腹が緩い原因は、ホントにタジンなのかを調べるため、しばらくタジン断ちをすることにしたオイラ。しばらく、タジンを食べずに、お腹の調子が元通りになるのなら、やっぱりタジンが原因だったってことになるのではないかと。ということで、今日の朝食は、魚のフライ。
この海岸沿いの道、海産物が豊富なんですよ。レストラン、どこに入っても、魚料理が出てくるし、その魚料理がウマイ。そんな海岸道、道を走っていると、いたるところで、釣りをしている人たちを見かける。昨日は砂嵐の道だったから、釣りをしている人なんて見かけなかったけど、今日は、天気もいいし、海岸線は釣り人だらけ。
さて、先ほどの町を出発し、また30kmくらい走ったら、ガソリンスタンドが見えてきた。ここにレストランが併設されていたので、さっき朝飯を食べたばかりではあるのだが、昼食にすることに。食べれる時に食べておかないと・・・今日も野宿っぽいから、夕飯レストランで食べれないかもしれないし。で、ここでも「何か食べ物は?」と聞くと「タジンなら準備できてるよ」との返答。タジン断ち中のオイラは・・・しょうがないので、特別に、魚をフライにして出してもらうことに。基本的にこの辺のレストランって、タジンしか置いてないのですよ。なので、タジン以外に食べようとすると、ちと苦労する。
しばらく待たされて運ばれてきた魚フライ。ムシャムシャと食べていたら、今日もやっぱり猫が寄ってきた。足元で、モノ欲しそうになく子猫ちゃん。いやぁ、モロッコなんで、こんなに猫がいるんでしょうか?
さて、飯を食べ終え、ガソリンスタンドを出ようとしたところで、ポリスチェックがあった。差し出したパスポートの写真と、オイラの顔を見比べていたポリスマンが、ビックリした顔でオイラの横顔をマジマジと見る。「あ~、また髭がない写真とは別人だって言うんでしょ」と、定番となっているポリス突込みを期待していたら、今回は、違った。「耳の中が砂だらけだぞ、どうした」と。・・・あ、耳の中は洗い忘れてました、ハイ。
さて、ここから、道の風景がガラリと変わってきた。今までは、ひたすら砂の平原が広がっていただけだったのだが、砂の海岸線の絶壁沿いを走るように道が作られ、起伏にとんだ道になっているのだ。アップダウンが加わってきたので、走りがちょっと大変になるのだが、風景が変わるほうがいい。少々のアップ道ならなんてことはない。だって、これまでの道は平坦だったといっても、正面から吹く風のせいで、常に上り道をこいでいたようなものだったのだから。
ちなみに、風向きも、このあたりから、正面からじゃなくなってきた。道が北東方向に折れ曲がってきたので、風はどちらかといえば、横から受けることになってきたのだ。今日はちょっと風も弱めだし、今までと比べれば、全然走りやすい。あ~、これこれ。正面風がないと、こんな感じで、走りを楽しめるんだよぉ・・・と、ちょっとだけ、走りが楽しい感覚を思い出してきた。
さて、先ほどのガソリンスタンド地点から、また30kmほど走ったら、前方になにやら建物が見えてきた。どうやら、ポリスチェックの場所らしい。ホント、モロッコ道は、ポリスチェックが多い。別に賄賂を要求されるとかそういうことはなく、ただ単に、パスポートチェックだけで終わるんで、なんてことはないのだが、こんなにも頻繁にチェックされると、ちとウザイ。と、いつもならメンドクサイところなのだが、今回のポリスチェックポイントは、そろそろ日暮れが近づいてきたことだし、寝泊り許可をもらうのにちょうどよいタイミングだったので、「ここで寝たいんですけど。あ、もちろんテントを持ってますから。部屋に泊めさせてくれなんて、贅沢は言いませんから」と、ポリスマンに聞いてみた。すると、「う~ん、この辺にテントは、リスキーだから、止めておいたほうがいいぞ」とアドバイス。ガ~ン、頼んだら受け入れてくれるもんだと思っていたモロッコ、まさか拒否されるとは・・・しかも、ポリスマンがリスキーって言うくらいなのだから、結構危険なのか?そうなのかぁ、じゃぁ、なんとか人目につかない場所を探して、勝手に野宿するしかないか、と、テン場を探すために、ちょっと先に進むことに。
で、ポリスチェック場所から続く坂を下ったら、目の前にめっちゃ素敵な砂丘が見えてきた。「おお~」と思わず声が口からもれる。ここは、ツライだけだった砂漠道で、初めて出くわした感動的な風景。これは、近くから見るしかない、と、幹線道路から、未舗装のわき道へ入っていくことに。わき道を入っていくと、この砂丘が正面に見れる場所に出た。
「ふおお・・・この砂丘は素晴らしい・・・」
しばし感動に浸る。夕暮れの優しい陽が砂丘をオレンジ色に包んでいく。辺りをキョロキョロ見渡すと、ここは隠れスポットらしく、人気がない。「ちょうどよかった。ここで、今日はテント泊させてもらっちゃうことにしよう」と。ただ、日があるうちは、人がやってくる可能性がないわけではないので、テントを張るのは日が暮れてからと、石に座って砂丘を眺めながら日の入りを待っていると・・・後ろから足音が聞こえてきた。先ほどのポリスマンとは違う制服を着たポリスマンが、にこやかな顔で近づいてきた。「いい景色だろ」と。「ええ」と答えるオイラ。「ところで、キミは、自転車旅かい?う~ん、ここで、テントを張ろうなんて考えてないよな」「・・・いや、考えてますけど」「ダメダメ。ここはテント禁止」どうやら、地元の観光客がちょくちょく来るので、テント泊は許してくれないらしい。う~ん、なんだよぉ、だったら、宿とか作ればいいのに。こんなにいい景色があるんだから、宿を作れば、泊まる人いっぱいいるだろうに・・・
しかし、もう日暮れ直前。これから移動しようにもすぐに真っ暗になってしまう・・・「寝るところに困っているんです」と、そのポリスマンに相談したら、「その坂の上に、ポリスチェックやっているところがあるだろ、あそこで泊まらせてくれるよ」とアドバイス。いや、さっき、そこではリスキーだって言われてここに来たんですけど・・・う~ん、たらいまわしの予感。
とりあえず、次に進もうかと思ったのだが、この先が再び上り坂になっているので、先に進むのもちょっとシンドイ。進んだとしても、いいテン場があるとも限らないし。それなら、戻って、「下のポリスマンが、ここで泊まれるって言ってました」と言い張って、泊まらせてもらうほうが賢明かも、と、戻ることに。
で、戻ったポリスチェック場所では、やっぱり「いや、ここはリスキーだから」と、いい返事をもらえなかった。まぁ、当たり前か。さっき言われたんだもん。さて、どうしたもんかと、困っていたら、奥から別のポリスマンが出てきた。で、そのポリスマンが「なになに?泊まる場所を探している?あそこの建物の間にテントを張ればいいじゃないか」と言ってくれるじゃないですか。リスキーポリスマンは「いや、危ないでしょ」と言うのだが「いや、あそこなら、ここから見えるし。なんなら、俺が一晩中見ておいてやるよ。安心して寝な」と優しいポリスマンが言ってくれまして。
ということで、やっと今夜の寝場所確保。優しいポリスマンが行ってくれた建物の間にテントを張ることに。思ったより風が吹きぬけるところで、テントがバタバタいうのだが、まぁ、ポリスステーションの目の前だし、安全だろうからいいとしよう。ちなみに、この辺は海沿いで涼しいので、蚊帳テントではなく、久々に、Aktoが登場。テント内に全ての荷物を入れ込んだし、あっちにはポリスステーションも見えるし。今晩は、安心して熟睡できそうだ。
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