(English)
I run on sandy load. I arrived at TanTan.
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今日は、そんなに長い距離を走るワケじゃないから、と、目覚ましをちょっとずつ延ばし、3度寝くらいして、ようやく起きる。寝ぼけ眼でボーっとしながら、、テントの内部屋のファスナーをあけたのだが・・・目の前の信じられない光景にビックリして一気に目が覚めた。オイラのAktoテント、内装が二重になってまして。寝室用の空間の外側にも、もう一つテント布で覆われた土間スペースがあり、大抵の荷物は、その土間スペースに置いてあるのですよ。そんな土間スペースに、昨日の晩、確かに置いておいたジャンベが、忽然と消えているじゃないですか。
テント荒らし。こんな砂漠の荒野に、わざわざジャンベを盗るような輩がいるなんて・・・さらに、盗られたものはないかと、チェックしてみると、同じく土間スペースに置いていたサンダルが片方だけなくなっていた。サンダルが、片方だけ?盗人が人であれば、サンダルを片方だけ盗っていくなんてことはしないだろう。盗るのなら、両方とっていくはずだ。二つ揃えて置いてあったのだから。ということは・・・と、その時、向こうから、真っ黒な犬が走りよって、じゃれてきた。
「お前か!?」
どうやら、コイツがくわえてどこかへ持っていってしまったみたいだ。寝室空間とは布一枚隔てているとはいえ、いつものテント泊なら、物音に反応したんだろうけど、昨日は風の音と、それによるテントのバタバタ音に紛れてしまい、ヤツが、ジャンベとサンダルの片方を持っていく音に気づくことができなかったのだ。
走り始めたクロ(勝手に名づけた黒い犬)の後を追っていくと、遙か向こうに、ジャンベを入れたバイファール袋が転がっているのが見えた。おお、なんだよ、こんなところまでくわえていきやがって・・・とりあえず、ジャンベは無事だったのでよかったのだが・・・バイファール袋が、泥砂まみれ。さらに、袋の口を縛る紐が噛み切られてしまっているし・・・トホホ。
で、じゃぁ、サンダルは?とクロに聞くも、そ知らぬ顔。知らないワケないだろ。サンダルもお前なんだろ、と問い詰めても、当然のごとく、通じはしない。う~ん、困った。西アフリカの人たちに、フランス語が通じない以上に困った。暑い西アフリカは、靴なんて持っておらず、常にサンダルで過ごしているオイラ。あのサンダルがないと、片足靴下で行動しなきゃいけなくなるのだ。しょうがないので、なんとか、自分で探すしかない。周辺を歩き回って探す。が、そのまま歩くと、ガラスの破片とか刺さって危険なので、落ちていたボロボロのサンダル底にヒモを通して足にくくりつける。「どうしても、ないようだったら、このスタイルで、走るしかないかぁ・・・そして、次の町へ行って、新しい靴を買うしかないかぁ・・・」なんて思いながら探していたら・・・二つ隣の建物の壁の脇に、ポツンと置き去られているオイラのサンダルの片割れが見えた。発見。
ふ~、ま、あったからいいとするか。
昨日のリスキーポリスマンが「ここはリスキーな場所だから」と言っていた意味はこういうことだったのか?モロッコ人が親切な人が多いと思って油断していると、敵は思わぬところに潜んでいたりします。要注意っすな。
さて、テントに戻ってパンをかじり、出発準備を終え、ポリスステーションへ。昨日見守ってやるよ、と言ってくれたポリスマンにお礼を言って走り始める。彼、寝ぼけ眼で、「おお」なんて生返事だったから、昨日言ったことなんてすっかり忘れて、結局見ててはくれなかったんだろうけど。
そして、再び坂を下りたところで、昨日の砂丘が見えてきた。夕日の砂丘もよかったけど、朝日の砂丘も素晴らしい。ここ、やっぱり地元の人の観光スポットみたいで、今朝は、まだ早いのに、結構な人たちが車で訪れて、記念撮影をしていた。
さて、しばらく堪能した砂丘地帯を後にして、その後も海岸道をひた走り。今日はちょっと風が強め。横から吹く風が結構強く、自転車をまっすぐ進ませるのが大変。砂シャワーは浴びせてこなくなったけど、すれ違いざま、爆風で巻き込んでいくトラックは相変わらず恐怖。そんなこんなで、しばらく走ったら、タンタンプラージというところに到着。ここで、昼飯でも食おうと、店を探す。と、韓国レストランを発見。おお、こんなところで、韓国料理を食べれるとは!と期待して近寄ってみたのだが、なんと、まだ建物を作り途中でオープンしていないとのこと。今度来るときにはまた寄ってね、と、言ってくれたのだが・・・残念。ああ、韓国料理、食べたかった・・・
しょうがないので、隣のレストランに入り、スープとサンドイッチを頼む。ここも、いい感じのレストラン兼宿になっていた。ここで、ノンビリ一泊するのもアリかな、なんて思っていたのだが、飯を食べながら、iPod Touchのスイッチを入れたところ・・・なぜかバックライトが点かない。一応表示はされているようで、太陽光に照らして見ると画面が見えるのだが、バックライトだけが点かない。あ~、なんてこったい。これも直さなきゃなんないのか・・・メンドクサイことは連鎖反応のように畳み掛けてくる。とりあえず、ここでノンビリしている場合じゃないな。壊れたモノを早く直さなきゃって想いが、オイラを先に進ませる。
さて、タンタンプラージから先、道がさらに東方向になる。北西の風が吹くならば、追い風になってもいい方向。これは、今まで敵だった風が、ようやく味方になってくれるのか・・・と期待したのだが、そんなことはなかった。前方のちょっとした峠に風があたって跳ね返ってくるのか、追い風どころか、正面から風がくるじゃないですか。しかも、ここから、交通量が増え、猛烈な風をまきあげるトラックが、ガンガン通るようになってきた。正面から風、横からもトラックの巻き上げる爆風。おかげで、自転車ヨロヨロ。路肩が狭いので、よけるによけれないし・・・う~ん、これはこれで、精神的に疲れる。
で、なんとかタンタンという町に到着。三日ぶりに、宿。荷物を部屋に入れてすぐに浴びたシャワーが超気持ちいい。で、今日は、疲れを癒すためのお休み日と決め、日記を書くでもなく、ほおって置くだけでいい編集を終えたビデオのレンダリングをパソコンにやらせることに。
この作業は、レンダリングを開始させたら、あとはほおっておくしかないので、iPodで音楽を聴きながら、ノンビリお茶でも飲みながら、スナックをポリポリしていたのだが・・・iPodから流れてくる音楽とは違うビートで、カラカラという音が聴こえてきた。
「ん・・・この音は」
これは、ハードディスクのデータシークが物理的に失敗している時にする音。なんと、映像データが入っている外付けのポータブルハードディスクがカラカラ音を立てているじゃないですか。普通はこんな音はしない。異常な状況でしか聴こえてこない音だ。こんな音を立てたハードディスクがすぐ後でクラッシュする現場は何度も体験してきた。当然、パソコンの方では、このHDDが認識できなくなっちゃったみたいで、レンダリングは続いているのに、タイムライン上のファイルが、オフライン(ファイルが見当たらない状態)になっちゃっている。
ふおお・・・これはヤバイ。慌ててHDDを抜き取るオイラ。アフリカで撮り貯めてきた映像ファイル、全てこのHDDに入れてある。そして、あまりにも大量のため、バックアップなんてとっていない。つまり、このHDDがクラッシュしたら、アフリカでの思い出データが消え去ってしまうことになるのだ。こいつが、クラッシュなんてことになったら・・・泣くに泣けない。
ああ、なんで、こうも、メンドクサイことが次から次へと起こるのだろうか、この砂漠道・・・なんかオイラと相性がめっちゃ悪いんですけど・・・
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