Sometimes Shortcut is not better
急がば回れ

2012.7.4 / Morocco(Guelmim~Lakhsas) 本日 自転車67km走行 : Total 38906km走行
天気:曇のち晴
朝飯→オムレツっぽいやつ 昼飯→なし 夕飯→ヨーグルト / 宿→Hotel Lakhsas(60ディルハム)

(English)
 I left from Guelmim. Today's road was too much hard to run.



 昨日130km走りをして、若干カラダに疲れが残っていたし、いつもなら、この規模の町に到着したら延泊しちゃうところなのだが、絶不調のHDDをバックアップを早くしなければという想いがあり(グエルミンにもHDDは売っていなかった)、出発することに。とりあえず引き続き北上するのだが、ここから先、2つのコースがある。このまま幹線道路を走っていく最短ルートと、海沿いに出ていく迂回ルートだ。どっちにいっても、また合流することになるので、好みの道を選べばいいのだが・・・通常の状況だったら、海辺の道を選んでいただろう。このあたり、少しでも内陸に入っちゃうと、暑いのだ。海辺道の方が、断然涼しく走りやすい。が、この時は、とにかく急がなきゃという想いがあり、近道である幹線道路をこのまま走り続けるという選択をすることに。

 これが大きな判断ミスだったと気づくのは、走り始めてしばらくたってから・・・

 グエルミンの町を抜けてしばらくは順調だった。ちょっとカラダが疲れているかな、くらいな感じだったのだが、普通にカラダの調子はいいし、気力もある。昨日の快調な走りがイメージとして残っていたので、いつもより、がんばり気味いいペースでがんばるか、と思っていたのだ。が、町を出てから、ペダルが重くなった。今日は風もないのに・・・なぜ?やっぱり、昨日の疲れがたまっているのかな?なんて思っていたのだが、どうやらどういうことでもないらしい。道が、ずっとビミョウに緩やかな上り坂になっていて、常に力いっぱいこぎ続けなければならない道だったのだ。まぁ、でも、こんな程度のことでは、この道を走って後悔する種にはならない。

 とにかく、そんな道をヒイコラ走っていたら、前方からチャリダーらしき姿が見えてきた。すれ違いざまに声をかけ、しばしお話。彼はフランス人のフランツ。これから砂漠を越えて、セネガルに向かうらしい。オイラのジャンベを見て「僕も楽器を持っているよ。ほら、ギター」と言って、背中を見せてくれ、その後、しばし、音楽談義。そんなことで盛り上がってしまい、この先のコースのことを聞く暇なんてなかったのだが・・・後から考えたら、あの時、フランツに、この先の道について、聞いておくべきだった・・・

 フランツと別れてしばし走ると、小さな町へ出た。ここで、遅めの朝飯。そうそう、セネガルで朝飯をフランスパン一個とかでずっと過ごしていたせいか、ここんとこ、起きてすぐは、朝飯をガッツリ食べれない体になってきちゃって。まぁ、でも大体、走り始めたらお腹が空いてくるものなので、走りはじめて食堂があれば、そこで飯を、なければ、携行食のパンをかじりながら走るってのが、このところの走りスタイル。で、今日は、早々と食堂が見つかったので、朝飯をオーダーしたんですが・・・いつもだったら、そろそろお腹が空いているころなのに、今日はなんだか、そんなに食欲がない。が、食べておかねば、体がもたないと、無理やり食べる。

 ちょっと休憩して、走り出す。そこから10kmほど走ったらまた町に出た。それにして・・・なんだかカラダが重い。喉が異様に乾く。ずっと上り坂とはいえ、かなり緩やかな勾配なので、こんなに疲れるワケはないのだが・・・昨日の130km走の疲れが潜在的にカラダに残っていたのだろうか。やっぱり今日はグエルミンで延泊してきたほうがよかったのか・・・

 いや、暑さのせいです、この疲れはたぶん。なんだか今日はとても、暑い。

 とにかく、10kmしか走っていないにもかかわらず、疲労困憊してしまったので、ここでも一休みすることに。空いているカフェに入り、ミントティーを飲みながら休憩。しばらく休憩すれば、体力回復するだろうと思ったのだが、いくら休んでも一向に休まらない。あと30分くらいは休憩が必要だな、と思っていたのだが・・・近所のガキンチョたちが、ファニーバニーの周りに寄ってきてウザイことになってきたので、彼らを振り払うべく、しょうがなく、出発することに。

 で、この先の道からが、後悔の道となる・・・疲れに追い討ちをかけるような、急な上り坂となったのだ。どうやら、ここから峠越えが始まるらしい。まぁ、峠越えは、昨日もやってきたし、昨日くらいのだったら、問題なし・・・と思っていたのだが、今日の峠はいくらのぼっても、終わりが見えなかった。昨日の峠とは比べ物にならないくらい大きな峠で、たぶん800mくらいずっと上りっぱなしだった。

 ただでさえ、なんでか分からないのだがカラダが重い本日、この峠越えは、キツかった。そういえば、ここは、もう、アトラス山脈のふもと地帯。これくらいの峠が待ち受けていることなど、予想できたはずなのに・・・いや、予想したくなかっただけなのだ。オイラ、事前のルート確認は、平坦な地図で見るだけにしている。地図上に載っている標高くらいは参考にするが、走るルートがどれくらいの標高ルートになるのかとかまで、詳細な調査はしない。メンドクサイというのもあるのだが、それを事前に知ってしまうと、走りたくなくなっちゃうからなのだ。基本的にヘタレチャリダーであるオイラ、標高差があるような道だったりしたら、避けて通りたくなっちゃうのだ。ということで、800mも一気に上らなきゃいけないような峠に、知らずに突入してしまうことになるのだが・・・まぁ、知らないほうががんばれたりするのです。天辺がどれくらいなのか分からないからこそ、あともうちょっと、あともうちょっと、と地道に進んで、いつの間にか峠のてっぺんに、ってことになるワケでして。

 ということで、今回も、途中、何度も休みつつ、もうちょっとがんばれば峠を越えられるのでは・・・と思いながら、少しずつ前に進む。

 しかし、この上り、いつまで続くんだ・・・こんな大変な道が待っているなんて・・・フランツ、教えてくれればよかったのに・・・と、知らないほうががんばれると言ってた先から矛盾したことを思うオイラ。ええ、チャリダーの気分なんてものは状況に流され、コロコロ変わるもんなのです。

 それにしても、暑い。内陸に入ってきちゃっているので、うだるように暑い。海岸からちょっとしか内陸に入っていないのに・・・ホントこの辺、海沿い以外の場所は、夏には大変ザンス。道脇には陰になるようなところなんてなく、休んでいても、直射日光がオイラをいじめてくるし。そんな暑さにたまらず、とにかく水をがぶ飲み。が、その水も、手元の水は、熱湯のようにあったまってきていて、全然喉の渇きを癒してくれない。と、その時、道行く車が、ペットボトルをオイラに向かって投げよこしてくれた。どうやら、水のプレゼントらしい。モロッコ人は、親切だけど、めんどくさがりなのでしょうか?水をくれる時、車を停めることなく、窓から放り投げてプレゼントしてくれるんですよ。オイラとしては、お礼を言いたいのに、お礼を言おうとしたら、もう車は遥か向こうで・・・ま、ありがたくいただいてますんで、ハイ。で、今日、放り投げプレゼントしてくれた水が、メッチャ冷えてる水でして。顔も知らない先ほど通り過ぎていった車のお方、おかげで生き返りました、感謝感謝です。

 ようやく、道の先が下に見えるようになってきて、そろそろ頂上なのでは?ってところにきたところで、食堂発見。あ~、ようやく日陰で休める・・・とりあえず、自転車を置き、テーブルに座る。昼飯食ってないのに、もう16時。が、疲れすぎて、固形物は喉を通りそうもない。スープかなんかないかと思ったのだが、あいにくスープはないって言われちゃって・・・タジンならあったのだが、タジンって気分でもない。しょうがないので、ジュースだけ飲む。

 さて、ここまでくれば、この先は、ミシュランマップに標高224mと書かれているティズニートの町まであとは、下りだろう、時間はだいぶ遅くなっちゃっているけど、下りならいけるぜ、とという期待をもとに走り出したのだが、その期待はすぐに砕かれた。頂上だ、と、勝手に勘違いした食堂から先の道は、下りだけではなく、下っては上り、下っては上りの激しいアップダウン道だった。下りはいいのだが、もはや疲れ果てたカラダに上り坂はキツイ・・・

 グエルミンから次の町ティズニートまでは地図上で最短ルートで100kmだった。昨日のペースを考えて、100kmくらいは余裕って思って、この最短ルートを選んだのに・・・結局、今日中に100km進むのは、無理だった。グエルミンから70kmくらい走ったところで、町に出て、<ホテル>という看板を見つけた途端、今日はもう、ここで断念することに決めた。今度こそ、この先は、たぶん、もう下りだけなんだろうな・・・とは思いつつも、さっきもそう思って裏切られた経緯が頭をかすめ、もう先に進む気力がなかった。

 ふ~、どうせ途中で休むのだったら、海辺沿いの迂回ルートにすればよかった。あっちだったら、もっと緩やかな峠越えですんだだろうに・・・急がば回れってやつですな。

 内陸部にあるこの町は、標高が高いのに暑い。この暑さが、カラダの疲労を回復させてくれない。カラダが疲れすぎちゃって、やっぱり固形物が食べれない。そんな時、モロッコには、<ハリラ>というカラダに優しいスープがあるはずなのだが、なぜかこの町にいくつもあるレストランには、どこにも、スープがおいてない・・・