(English)
Today I arrived at Essaouira.
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朝起きると、まだ左の頬が痛い。意外と重症だったようで、一晩寝たら治るってもんでもなかったようだ。ま、腫れてもないようだし、いくらなんでも二、三日すれば治るでしょ。
さて、テントをたたんで走り始める。今日は、最初はしばらく緩やかなアップダウンがあったのだが、基本的に下り道。昨日に比べたら全然楽だ。暑さは相変わらずなんだけど・・・
17kmくらい一気に走り終え、町が見えてきた。ガソリンスタンド併設の食堂に入って朝飯。腹ごしらえをして、走り始めたところ、そこから先がまたちょっとメンドクサイ山道になっていた。若干てこずって、30kmくらい先にあった次の町に辿り着く。ちょうど昼食時間だったので、ここで飯を食べることにしたのだが・・・ここには、タジンしかなかった。昨日からお腹が緩いオイラとしては、タジンは避けたいところだったのだが・・・これしかないというので、しょうがない。久々にタジン。で、最初は、食べる気まんまんだったのだが、三口くらい食べたら、なんだかもう、食欲が満たされてしまった感じ。まぁ、食前に、喉が渇いたからといって、1Lの炭酸ジュースをがぶ飲みしてしまったのも、お腹が膨れた原因なのだが・・・とにかく、もう、喉に通らない。うむむ、あの大食漢のオイラが、オーダーした食べ物を残すことになるとは。しかも、マズイってわけでもないのに。普段、食事は絶対完食主義なオイラなのだが・・・モロッコの暑さが、オイラの食欲をなくさせる。暑さバテってやつのため、食う気になれないのだ。モロッコ料理、なんで柔らかいものが多いのか、理由が分かった気がする。タジンのような煮込み料理も、肉や野菜が溶けるくらいになるまで柔らかく徹底的に煮込んであるのだが・・・これは、暑さのため、固いものなんて喉を通らなくなるからなのだろう。そんなタジンでさえ、オイラの喉を通らない。食べなきゃ余計バテるよ、と分かっているから、無理して食べようとするのだが、なんだかカラダが受け付けない。あ~、味付けとかは、イケてるんだけどなぁ、モロッコ飯。暑さバテのため食欲がないのと、食べたらお腹が緩くなるってところが、イマイチモロッコ飯を堪能できない要因になっちゃっている。そして、飯を元気に食えないことが、モロッコ旅のテンションがあがりきらない原因になっちゃっている。
う~ん、モロッコ、いいところなんだけどねぇ。
さて、昼食後、走り始めた道は、平坦になった。相変わらず暑いのだが、アップダウンがなくなっただけでも、だいぶツラサが違う。しかし、そろそろ海に近いはずで、涼しい風が吹いてきてもおかしくない場所なのだが・・・なぜか、風は相変わらず熱風が吹きつけてくる。ひょっとして、これから向かうエッサウィラは暑いところなのか?海沿いの町だから、涼しいって勝手に思い込んでいたけど、この辺は、涼しいゾーンではない場所なのか?
そんなことを考えながら走っていたら、エッサウィラまであと12kmくらいってところから、急に風が冷たくなった。いきなり風が変わったのだ。暑い風のゾーンと冷たい風のゾーンの区切りが分かるくらいクッキリと。
おお、自然現象の不可思議。まるでエッサウィラの周辺10km四方あまりだけ見えない壁で囲まれて、その中だけ最大冷却のクーラーを効かせているっていうこの感じ。
風が冷たくなったのはいいのだが、それに伴い、風速も増してしまった。最大冷却のクーラーゾーンに突入した結果、ここから先は、猛烈な向かい風と対抗せねばならなくなったのだ。しかし、酷暑の中を走ることを考えれば、冷たい風の方が全然マシ・・・って、オイラ、向かい風が超嫌いなんじゃなかったっけ?やっぱり暑さの方が苦手ってことなのか?うぬぬ、これはまさに、<北風と太陽>のジレンマだな。実際、あの寓話に出てくる男の人の立場に立つと分かる。あの寓話のように、「やっぱり太陽の勝ち」みたいな、簡単に決着がつくような話ではないですよ。まぁ、コートを脱ぐ脱がないっていう観点で言うならば、どちらでも脱ぎたくなるだろう。が、それ以上に、あんなことされると、どちらも嫌いになる。北風がビュービュー吹きつけたら、北風が嫌いになるし、太陽がガンガン照りつけたら、太陽が嫌いになる。
まぁ、とにかく、あと12kmくらいだから、猛烈な向かい風でもがんばれた。そしてやってきました海岸町エッサウィラ。海岸ではカイトサーフィンをやっている欧米人ばかりが目に付く。思っていたよりビーチリゾートって感じの町だった。立ち並ぶホテルは高級そう・・・オイラはこんなゾーンに泊まれるワケもない。町の奥にある<メディナ>と呼ばれる旧市街地区へ。そうそう、モロッコの町には、旧市街の<メディナ>と呼ばれる地区がある。そこには古くからの建物が多く、宿も安い。ただ、道が迷路のようになっているため、入り込むと大変なことになっちゃったりするのだが・・・ええ、今回もお目当ての宿に辿り着くまで何度もメディア内で、迷子に。
で、ようやく宿に到着。今、夏休みシーズンで、欧米人旅行者が多く、混みあっている時期なのだが、なんとかシングル部屋をゲット。ここ、値段も安いし、快適そうだし。風が抜けて超心地いいので、作業するにはもってこい。うん、残りのアフリカ映像編集、ここでなら落ち着いて出来そうだ。
が、実は、ここへは、映像編集するためだけに来たんじゃないんですよ。もっと大きな目的があってこの町へやってきたのです。それは、<グナワ音楽>。オイラが旅立つ前に熟読していた、<してみたい!世界一周>って本の中に、モロッコのグナワ音楽を取り上げている項目がありまして。そこに、『作家ウィリアム・バロウズが「4千年前のロックンロール」と称し、ジミ・ヘンドリックスやレッド・ツェッペリンも傾倒したと言われるモロッコの伝統音楽グナワ』なんて紹介されていたのです。ロック好きとしては、この文言に、猛烈に興味をそそられてしまいまして。ずぅっと楽しみにしてきたんですよ、グナワ音楽と遭遇するのを。
そんなグナワ音楽の中心地がここ、エッサウィラらしくて。毎年グナワ音楽祭なるフェスが開かれる場所でもあるらしい。その音楽祭6月に開催されるってことで・・・もうちょっと早く辿り着いていれば、音楽祭を堪能できたのですが・・・辿り着けなかった。カフォンティンの時と同様、祭りの後に到着。まぁ、祭りの最中は、人で賑わいすぎて、宿も高くなっていたり、そもそも泊まれなかったりするみたいだから、貧乏旅行者にとって、あえて、時期をズラすのも、ある意味、正解。でも、フェスも生で見たかった・・・この辺が、旅の葛藤ですな。
で、宿について早々、グナワ音楽を求めて町へ繰り出すオイラ。エッサウィラの町、普通に歩いていても面白い。城壁に囲まれたメディナの中には、いろんな店が立ち並んでいて、何でも詰まったオモチャ箱の中を歩き回っているようなのだ。
ただ、オイラは、雑貨にはあまり興味がない。服にも、絨毯にもあまり興味がない。なので、こういういろんなもので溢れている場所へ来ても、反応するのは、食べ物(香辛料)屋か楽器屋くらい。今回もやっぱり、楽器が並ぶ店で思わず足を止めたのであった。
この楽器屋には、ジャンベをはじめ、いろんな太鼓が並んでいた。興味津々で物色しているオイラに、店のおじさんが近づいてきて、棚に並べてあった一つの太鼓を取り上げ、叩き始めた。「うむむ、そのリズムかっちょいい。おじさん、教えて」と、ずうずうしくも、おじさんに教えをこうオイラ。ダラブッカと呼ぶこの楽器、ジャンベと同じ構造の打楽器であるが、胴の部分が陶器で作られている。そして、皮はなんと魚の皮を使っているらしい。え~、太鼓の皮になるほど強靭な皮を持つ魚なんているんだ、とビックリ。
3つほど、リズムを教えてもらう。で、おじさん、オイラがてっきり太鼓を買うもんだと思い込んで、いろいろ勧めてくるのだが・・・オイラ、もうジャンベを持っているし。太鼓を買う気はあまりない。いや、本音を言うと欲しいのだが、これ以上荷物を増やすわけにもいかないし。そして、このダラブッカ、陶器で出来ているから、運んでいる途中で絶対割っちゃうでしょ。と言ったら、おじさん、プラスティックで作られたダラブッカを取り出してきちゃった。ああ、これは、ダカールで泊まった宿で、ジェフリーが持っていたのと同じヤツだ。ん~、確かに、これ、ジャンベと違って、軽くていいんだよなぁ・・・でも、やっぱり皮がプラスチックなので、動物の皮と違って、叩いた時のシックリ感がないのですよ。う~ん、でも、軽さは魅力・・・
なんて悩みながらも、やっぱり太鼓はこれ以上買えない。とりあえず、おじさんの太鼓売り攻撃をかわすために、CDに興味を移すオイラ。この店には大量のCDも並んでいたのだ。「グナワ音楽に興味があるんですよ」とおじさんに言うと、「じゃぁ、これがお勧めだ」と、2010年のグナワ音楽祭のCDを出してきてくれた。そして、店にあったプレイヤーで視聴をさせてくれまして。いい感じだったので、購入することに。一枚50ディルハムと言う所をまけてもらって40ディルハム(400円)で購入。うむむ、おじさんの感じだったら、もう一声まけてもらうこともできたかも。
で、おじさん「グナワ音楽に興味があるんだったら、そこの角を曲がったところにあるレストランに行くといい。今日か明日にライブをやっているはずだから」と耳寄り情報を教えてくれた。で、早速レストランに行ってみたら、明日夜の9時くらいから、ライブをやるとのこと。うむむ、いい流れだ。早速生グナワを見れることになるとは。
暗くなってきたことだし、今日は、宿に戻って、購入したグナワCDを部屋で堪能することに。しかし、このCD、ジャケットは2010年の音楽祭なのだが、中に入っているCD本体は2012年というレーベルになっていた。さらに、iTunesで、データベースと照会させると、2005年の音楽祭のアーティストと曲名が出てきて・・・このアバウトさ・・・モロッコっぽくて、思わず笑ってしまった。そして・・・一体どの情報が正解なのだろう?と、気になりつつも、ま、いいかと済ませてしまうオイラは、相当アフリカのアバウトさに、やられてしまっている。割と几帳面なオイラ、以前だったら、こういうこと、きっちり管理したいからということで、時間をかけて追求したものなのだが。
そう、長旅は、完璧主義者の人格をぶち壊していく。特に、中南米、アフリカでは、毎日アバウト攻撃を食らっていた。そんな世界に完璧主義を振りかざしたって、到底太刀打ちなんて出来ない。周囲のいいかげんさに逆らうことなく、自らもいいかげんさに切り替え、世界を許容していかないと、前に進めなくなっちゃうのだ。
うんうん、日本では超几帳面だった性格が崩壊・・・旅に一番変えられたのは、ソコんところだなぁ・・・と、相変わらず、毎日マメに日記をつけて、アップするYouTube映像は時系列にナンバリングしている、オイラが言う。
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