Reserch of Morocco Music in Fes
到着したフェズで早速やったこと・・・それはモロッコ音楽調査

2012.8.21 / Morocco(~Fes) 本日 自転車5km走行 : Total 39589km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→クロワッサン 昼飯→タジン 夕飯→ハリラ / 宿→Pension Talla(ダブル部屋100ディルハム)

(English)
 I arrived at Fes.



 朝、まだ真っ暗な中、フェズに到着。このバスに乗っていた日本人は、レイコさんと、男の人と、これまた別のグループで砂漠に行っていたという女の人二人がいたのだが、皆さん、このままバスを乗りつぎ、シェフシャウエンという町へ向かうとのこと。とりあえず、そのシャウエン行きのバスが来るまで、しばし待ちということなので、オイラも、このままフェズの町へ行っても、宿はまだ開いてないだろうから、と一緒にカフェで待つことに。

 そんなカフェで皆さんおもむろに取り出したのが、iPhoneかiPod Touch。いや、もう、旅人みんな持っているんですな、この二つのどっちか。まぁ、便利ですもん。携帯会社の意向で、町中でフリーWiFiなんてあまり飛んでいないガラパゴスな日本じゃ、ピンとこないかもしれないですが(まぁ、日本にはテザリングやモバイルWifiルーターなんていう便利なものがありますが、料金かかるし)、今の時代、世界では、その辺のカフェでフリーなWifiが拾えるのが当たり前な世の中になっているのですよ。ということで、この便利グッズは、今や旅人の必須品。これさえあれば、どこでもインターネット情報にアクセスできちゃう。待ち時間も、こうして、皆さん、この便利グッズをいじって、情報収集。こんな風景を見ると、旅のスタイルが大きく変わっているなぁ、と実感するのですが・・・これ、あまり依存しすぎると、旅させられちゃうハメになる。なので、適当に距離をとる事が大事だとは思うんですよ、ハイ。

 コーヒーを飲んで一休みした後、開いたバスオフィスに向かう皆さんに別れを告げ、オイラは、宿のあるフェズのメディナに。マラケシュで相当迷った思い出が頭をよぎり、マラケシュ以上に迷路だというフェズのメディナに若干恐怖を感じていたのだが、メディナに入ってすぐ、意外とあっけなくお目当ての宿は見つかり、無事チェックイン。

 さて、フェズは二泊くらいの予定なので、あんまりノンビリしている暇はない。早速街歩き・・・と思い、フェズのメディナ探索の基点となるブー・ジュルード門へ。で、迷路となるメディナへ足を一歩踏み込んだところで・・・斜め左にあるCD屋が目に入った。そうそう、実は、フェズで、確認しておかねばならないことがあったのですよ。以前、<ジャジューカ音楽>が気に入ったので、ぜひジャジューカ村に行きたい、と日記に書いたと思うのですが、あれ以来、ジャジューカがどこにあるのか調べまくっているのに、場所が分からない。ノリコさんに聞けば分かると思ったのに、ノリコさんも詳しい場所までは知らず、「たぶん、フェズの近くだと思うから・・・フェズに行って確かめてみるといいわ」と、アドバイスをいただいていたんです。

 ということで、フェズのCD屋なら、分かるだろうと、このCD屋に入り、おじさんに聞いたところ・・・「ジャジューカ?ああ、シェフシャウエンね」と。え?いや、シャウエンではなく、ジャジューカを知りたいんです、と聞き返すも・・・どうやら、おじさんが言うには、ジャジューカ≒シェフシャウエンとのこと。なるほど、村の名前が変わったのか・・・それは、地図を見てもわからないはずだ。とにかく、シェフシャウエンは次に向かおうと思っていた町。そこが行きたくてたまらなかったジャジューカだったというのは、好都合。

 さて、このCD屋のおじさん、話してみたら、めっちゃモロッコ音楽に詳しい。このおじさんにいろいろ教えてもらえば、オイラの中でごっちゃごちゃになっている、モロッコ音楽が整理できるかも・・・と、これまでいろんな場所で撮り貯めてきたライブ映像を、デジカメで再生し「この音楽って、モロッコではどういうカテゴリーに入る音楽なんですか?」とおじさんに聞いてもらいながら質問攻め。

 で、このおじさん、オイラの質問攻撃に、一つ一つ、丁寧に答えてくれまして。おかげで、オイラの中で、相当モロッコ音楽を整理することができたのですよ。

 そんなオイラの中で、整理したモロッコ音楽をメモメモ。まず、モロッコ音楽は、大きく、アラブ系とベルベル系と黒人系に大別されまして・・・



 アラブ系は、カサブランカがメインで、現在アラブ民謡をベースにして、アラブポップス(シャアビ?)と、ライ(Ray)というハウスミュージックの二つの流れがあるという。二つとも、お勧めのCDを聞かせてもらったのだが・・・ライはオイラの好みじゃなかった。クラブミュージックが好きな人なら絶対気に入ると思うのだが、生演奏派なオイラは、リズムマシーンで作られたリズムのミュージックってちょっと苦手。その点、アラブポップスは、好みど真ん中だった。ワルザザートのラマダンフェスで一日目の最後に見た超カッコイイバンドが、アラブポップスだったと判明。以下のものが、おじさんが勧めてくれたアラブポップスCD。ジャケットはパッとしないおじさんだけど、音楽はめっちゃカッコイイ。視聴させてもらったあと即購入。

アラブポップス(シャアビ?)お勧めCD

Said Senhaji アルバム名 不明

※ライは多数のコンピレーションアルバムが出ている。



 ベルベル系は、アトラス山脈の山間部や盆地に住むベルベル人による音楽。同じベルベル人とはいえ、険しい土地柄ゆえに、部族間の文化交流が難しかったらしく、部族ごとに独自の音楽形体に発展。これゆえ、モロッコ音楽は多様性を持つことになったらしい。

 アトラス山脈北部リフ山脈のジャジューカ(現シェフシャウエン?)の儀礼音楽が、あのブライアン・ジョーンズがハマッたジャジューカ音楽。4000年の歴史を持つアッタール族の遺産であり、国王やスルタンのもとで保護されていた音楽らしい。強烈なチャルメラ(ライタ)の音が特徴なのは、フェズやメクネスのイサワ音楽と同様で、音楽的にも非常に相似性があるのだが、一応イサワと区別するため、ジャジューカ音楽は、ラハッダァラと呼ばれているとのこと。

ジャジューカ(ラハッダァラ)音楽お勧めCD

The Master Musicians of Jajouka Feat.Bachir Attar

 フェズやネクメスのベルベル音楽は、イサワと呼ばれている。ジャジューカ同様強烈なチャルメラ(ライタ)の音が特徴。以下のものが、CD屋のおじさん一押しのイサワ音楽。超カッコイイ。そして、サイード・ブラダ(Said Berada)というイサワアーティストのCDが二番目にお勧めらしい。ちなみに、エッサウィラでジャズコラボレーションしていて、オイラが衝撃を受けたライブは、このイサワをベースにしていた。

イサワ音楽お勧めCD

Yaacoubi Abdellah アルバム名 <Abdellah>

 マラケシュのジャマエルフナ広場で見た、ベルベル人のライブパフォーマンスは、ルワイスと呼ばれるものらしい。1弦楽器リバーブや3弦楽器ロタールによる弾き歌い音楽。マラケシュでCDを探した時には、リズム伴奏がショボイものしかなかったのだが、ここのおじさんは、素敵なリズム伴奏のCDを勧めてくれた。これこれ、このCDが欲しかったのよ。

ルワイス音楽お勧めCD

El Houssine アルバム名 <Baz>

 ワルザザートのラマダンフェスのトップで見た、儀礼音楽は、アフワーシュと呼ばれるものらしい。華麗な衣装をまとった女性が円形になり、輪の中心には楽師が陣取り、全音階のメロディーにのせた男声と女声の応答歌唱に、「アルン」と言う羊の皮を張ったタンバリンや「ガンガ」と呼ばれる2本のスティックで叩く大型タンブリンでリズム演奏が行われる。おじさんは以下のCDを勧めてくれたが、これは、アガディールの南にあるTafraouteという村の音源を収録したものとのこと。オイラはワルザザートで見たわけだから・・・アトラス山脈中部~西部にかけて広く浸透している音楽形態だと言えよう。

アフワーシュ音楽お勧めCD

アーティスト名 不明 アルバム名 不明

 メルズーガの砂漠で見たパーカッションパフォーマンスは、ジャンル名は不明。だが、おじさんはお勧めCDを出してくれた。このCDは、アトラス山脈南部のラシディア(Ar-Rachidia:メルズーガから北へ200kmくらいにある町)で収録された音源とのこと。

ベルベルパーカッションお勧めCD

La Source Bleu アルバム名<Percussion>



 黒人系は、マラケシュ、エッサウィラを中心にしたグナワ音楽。奴隷としてつれてこられた黒人がこの地で広めた。ゲンブリという3弦楽器に鉄製のカスタネットのカルカベがリズム伴奏する。エッサウィラが本場らしいが、マラケシュのジャマエルフナ広場でもグナワパフォーマンスは見ることができる。帽子の先についている飾りを回しながら演奏している人たちがグナワです。ちなみに、メルズーガから南へ20kmほど行ったところに黒人の町があり、そこでは黒人によるオリジナルグナワ音楽が聴けるらしい。

グナワ音楽お勧めCD

Hamid El Kasri アルバム名 不明



 こんな感じで、ようやくバラエティーに富みすぎるモロッコ音楽を自分なりに整理ができ、すっきりさせた頭で、夜のフェズのメディナを歩いていたら・・・太鼓の音が聴こえてきた。お、チャルメラの音も聴こえるし、これはイサワ音楽か???と、音のするほうへ行ってみると、先頭の楽団の後ろに、なにやら行列が出来ている。何があるのか気になっちゃったオイラ、その行列についていくことに。で、その行列の向かった先は・・・なんと、結婚式場。どうやら、この楽団、結婚式場に案内するチンドン屋的、演奏集団だったらしい。中では、花嫁さんが、担がれていて、この様子はなかなか興味深い。おお、これがベルベル式結婚式?「ところで・・・部外者のオイラがおじゃましちゃっていいのかしら?」と隣のおじさんに聞いてみると「うん、大丈夫」って言ってくれたし、「皆さん、ビデオを撮っているけど、僕も撮っちゃっていいかしら?」とこれまた隣のおじさんに聞いてみると「うん、大丈夫」って言ってくれたのに・・・

 ビデオを撮影していたら「何勝手に撮影してんだ、コラ。関係者以外は撮影禁止」と、式場の係員らしき人に怒られてつまみ出された。ええ!?・・・おじさんがイイって言ったのに・・・










ノリコさんから「ベルベル人とアラブ人の見分け方は、ベルベル人の方がラクダっぽい顔なのよ」と教わりまして・・・うん、なんとなく分かってきた。おじさん、ベルベル人でしょ。