Fes el Bali
迷路?フェズの迷い方

2012.8.22 / Morocco(Fes) 本日 自転車0km走行 : Total 39589km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→なし 昼飯→タジン 夕飯→チキンサンド / 宿→Pension Talla(ダブル部屋100ディルハム)

(English)
 I stayed in Fes.



 フェズの町、マラケシュ以上に入り組んでいるらしい。<世界一複雑な迷路の町>、地球の歩き方にはそんなふうに書かれている。マラケシュで迷子になってしまったオイラは、もう、メディナで迷子になるのはこりごり。今回、フェズの町も探索するつもりだけれども・・・あまり無茶歩きはせず、迷子にならない程度にしようと思いまして。

 ということで、地球の歩き方に載っている<フェズ・エル・バリ メディナ見所巡り最短コース>なる地図を見ながら、常に自分がどこにいるのか確認しながら、歩いていくことに。

 ブー・ジュルード門から出発して、順調に、サウィア・ムーレイ・イドレス廟という、フェズのメディナのなかで最も聖域とされている修道院に到着。非ムスリムは入れないこの廟の前で、写真を撮っていいものかどうか迷っていたら、一人の女の子が声をかけてきてくれた「ココからは入っちゃダメですけど、この手前からなら写真、OKですよ」と。おお、ご親切にどうも、と、女の子の言うギリギリのラインのところから写真を撮っていたら、引き続き、その女の子がしゃべりかけてきた。「メディナ、一人で歩いているんですか?もしよかったら、案内しますよ」と。うむむ?これはガイドの押し売りなのかいな?と、思って警戒したのだが、とても感じのよさそうな、女の子でして。「私、今学生で、将来ガイドになるつもりなんです。その練習ってことで恐縮なんですけど」と、どうやら、親切で、案内してくれるみたい。だったら、ぜひ、とお願いすることにして、女の子の後についていくオイラ。

 自分では絶対入り込まないであろうまさに迷路の小道にズンズン入り込んでいく女の子。そして、もはやここがどこであるか分からない場所にある建物の階段を上っていき、屋上のテラスにつれてきてくれた。「ここから、メディナが一望できるんです。いい眺めでしょ」と、女の子。

 ふぉ~、確かに、いい眺め。いやぁ、いいところへ案内してくれてありがとう、とお礼をいいながら、写真を撮っていたオイラに、女の子が話しかけてきた。「タンネリに行きます?」

 タンネリ・・・メディナ内にあるなめし革染色職人街。ガイドブックにも、メディナのスークで異彩を放つ場所ということで紹介されていて、ぜひ行きたいと思っていた場所だった。実は、マラケシュのメディナにもタンネリはあったのだが、場所が全然分からず、結局辿り着けなかったのだ。

 「タンネリ、行きたいです」と、女の子に返事すると、「タンネリを案内するには、タダでってわけにはいかなくて・・・50ディルハムでいかがですか?」と。ふむむ、最初はタダでいいですと言っておきながら、結局ガイド料を要求する作戦ですか・・・まぁ、自分では来ないようなところに連れて来てくれたし、なにより、かわいい女の子と一緒にメディナを歩けるのだから、500円くらいは安いもんだ、と、タンネリ案内をお願いすることに。

 さて、タンネリに着くまで、いろいろメディナについて、解説してもらいながら、歩く。そして、とある革製品屋さんに到着。「ここから先は、ご主人が案内してくれます。私はここで待ってますから、楽しんできてください」と女の子。で、女の子の代わりに案内してくれることになったのが、この店の主のおじいちゃんだった。店の階段をあがって、またもや屋上のテラスへ。ふむむ、やっぱり、こういう場所を通らないといかんのか。こりゃ、一人じゃ辿り着けなかったな、なんて思っていたら、途中でおじいちゃんが、ミントの葉を手渡してくれた。「ココから先は、匂いが強烈じゃけん、これを嗅いで耐えてくだされ」と。動物の皮をなめす場所ですから、そりゃ、えげつない匂いがするワケですよ。生乾きの革がどんなに臭いか、ジャンベの革張りで体験済みのオイラは、このミントの葉サービスの心遣いに、いたく感心。

 さて、屋上のテラスに辿り着き、そこから見下ろした先に、なめし革の染色現場があった。今日はお休み日のようで、働いている人々は数人しかいなかったけど、なるほど、ここは、ちょっと独特で面白い。染色液がいれられた桶のような区切りが非常にビジュアル的。そして、その横には、まだ毛を剃られる前の羊達がドーンと積まれていた。

 その後、階段を下りて、店内にもどってきたオイラに、おじいちゃんが染色講義。ひとしきり解説をしてくれた後「さぁ、じゃぁ、お土産に革製品をどうだ?」と、お土産買え攻撃。といっても、「申し訳ないですが、買い物はしない主義なんで」と断ったら、無理押ししてくるようなおじいちゃんではなかった。「ああ、そうか。じゃぁ、友達に、この店のこと勧めておいてくれな」と、あっさり引き下がってくれまして。うん、なかなか感じのいい店だ。ぜひ、フェズを訪れた人には来てもらいたいのだが・・・女の子にまかせっきりで連れて来てもらったため、この店の場所が分からず。すまん、おじいちゃん、日本のみんなに、場所を説明できないッス・・・

 革製品屋を出て、再び女の子にメディナ内を案内してもらっていたら・・・「あ、ポリスだわ、ちょっと隠れて!私、ガイド証を持っていないから、こうやっているの見つかるの、まずいの」と、女の子。そうそう、観光客向けフェズのメディナ案内は、本当は公認ガイドしかやっちゃいけないことになっているらしい。以前、自称ガイドが横行して、非常にトラブルが多かったらしいので、ガイドを公認性にしたらしいのだ。ただ、公認ガイドを雇うと、2~3時間のメディナツアーで100~150ディルハムくらいかかるらしい。

 今回、非公認ガイドの女の子に案内してもらって、フェズのメディナ歩きは、確かに、一人でも歩けないことはないのだが、土地勘がある人に案内してもらったほうが楽しいということに気づかされた。うん、お勧めですよ、ガイドつきのフェズ歩き。ただ、公認ガイドをやとってまで、ガッツリ案内してもらうほどじゃないとは思う。今回のオイラのように、タンネリだけ案内してもらうっていうのがいいと思う。タンネリだけは、一人では行きづらい。で、タンネリに向かうまでに、見所はそれとなく解説してもらえるし。案内料が50ディルハムくらいなら、まぁ、妥当な値段だと思う。

 さて、とりあえず、自分がどこにいるのか分かる場所まで、連れ戻してくれたところで、女の子のガイド終了。お礼を言ってお別れする時に、女の子が「あ、そうそう、この先にあるアッタリーン・マドラサには行ったほうがいいわ。すごくキレイな建物よ」と、アドバイス。ふむむ、でも、イスラム建築でしょ、と、イスラム建築に興味がないオイラは、行こうかどうしようか迷ったのだが、そのアッタリーン・マドラサという神学校、ガイドブックで確かめてみたら、14世紀のイスラム建築芸術における傑作の一つと書かれているじゃないですか。イスラム建築に興味がないオイラも、<傑作>という言葉に惹かれて行ってみることにしたのだが・・・

 ここが、凄かった。

 確かに、ここは傑作といっても言い過ぎではないくらい素晴らしい建物だった。細かすぎる造形が、見るものを惹きつける。神は細部に宿るっていうのは何の言葉だっけ?とにかく、繊細に作られた細部には、まさに神が宿っているように思えた。いやぁ、オイラ、ちょっと、イスラム建築に目覚めさせらちゃったかも。うん、やっぱり、自分で出来るからって、自分だけで歩き回っているだけでは、旅はモッタイナイ。たまには、誰かに導いてもらうことも必要だな。誰かに導いてもらうことで、自分の興味って広がっていくのだから。